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第116話 急げ!

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クレープを食べているとサシル様が真剣な顔をこちらに向けてきた、先程までとろけて食べてたのに


「黒葉が何者かに襲われました、急ぎなさい」

「はい」


ほんの一瞬、驚いたが驚いたりためらっていても何も助けられない

すぐに収納から杖を出して獣舎に転移する

先程までいたときとは違う獣の匂いに嗅ぎ馴れた血の匂い、そして倒れた兵士たち


「うっ・・・あぁ・・・・・」

「ケーリー・・」


兵士やミャーゴルが倒れている

僕を見た兵士が呻くように指さした方向に護衛のケーリーリュが倒れていた

すぐにケーリーリュに向かうと腹に大きな穴が空いていて、横にやりが落ちている
【治癒】と【覚醒】を打ち込む


「何があった?」

「エマンスと、名乗る、神官はオーク、が、化けていたようで、黒葉を拐われました・・申し訳ありません・・・」

「わかった」


酷い出血、これは緊急であるという判断をする

ケーリーリュだけではなく最低限死んでいなければ生きられる程度に広範囲に【治癒】をつかう


ルルルォ


足元に転がって血を流したルールから思念が飛んでくる

やつは主の仇だった、そして負けて悔しいという思念が伝わってくる


他のミャーゴルと違って何箇所か骨を折られているのだろう、前足一本で体を地面を這いつくばらせて外に出ようとしている


「治したらそのオークと黒葉を追える?」

ルルルァっ!!


肯定と伝わってきた

すぐに治癒して思いっきり魔力を込めてこのミャーゴルを強化した

人間のように治癒してすぐに動けなかったり変な行動をするわけじゃない、ミャーゴルなら治癒して直ぐもちゃんと動ける


乗って移動しながら【体力向上】などもうちこんでいく

外に出ると多くの人が倒れていて向こうだ向こうだと示している

風のようにミャーゴルが走り、僕は片手でしがみつく


僕に探索や探知の能力はない

空を飛んで上から見つけられなかったら取り返しがつかない


胸の中が焦ってしまってるのがわかる、黒葉が拐われた

こういう時は冷静にやれることをしないといけない、もう死んでるかもしれない

僕のせいで、駄目だ駄目だ、嫌な考えが湧いてきてしまう


死屍累々と言わんばかりに行く先行く先に人が倒れている

申し訳ないが元凶を倒さないとさらに被害者は増えるし幸いにして死者はいなさそうだ

先を進んでいく


「急いで」

ルルルラァッ!!


駆け抜けようとすると通行人や商人、傭兵まで街の皆が向こうだと示してくれてすごく助かる

2人の安全のために顔を見せて回っていて本当に良かった


このルール、これだけ強化してもまだいけると言わんばかりに余裕があるように感じる


もっと


思念が伝わり、魔力をさらに込める

すでに【治癒】【治癒力向上】【祝福】【身体能力強化】【風除け】【幸運】【体力向上】などを使ったがルールは足に効率的に魔力を回している


魔力さえ足しておけばさらに加速してくれた


城門のわずかに外で戦ってるオークと兵士たち、黒葉を掴んだ派手な鎧を着たオークを見つけた

黒葉は意識はないようだが怪我もしてなさそうだ


良かった、今、助けるから


杖の先から【魔力剣】をだして首を落とそうとしたのだが気付いたオークが黒葉を盾にしたので剣を上にそらして外す

距離を取ってルールから飛び降りる

ルールが僕をおろして軽くなったのか雷のような速度で噛みつこうとしていたが弾き飛ばされた

爪がわずかに鎧を引っ掻いた程度でオークにダメージはない

僕も吶喊しようとしたが槍をこちらに向けられて制されてしまった


「勇者よ、貴様に神聖決闘を申し込む!」

「受けよう!」
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