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第111話 ご機嫌斜め

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異世界旅行5日目、元杉神官はなにかご機嫌が斜めのようだ

昨日からかふてくされてるというかいじけてるというか

私と遥に「別の場所に行く?僕は休みたいけど」何ていうのだがそもそもこっちでやることあったんじゃないのか?そう聞くとはっとした顔で神殿でなにかやっていた


朝に遥と同じベッドで起き、同じくスマホチェックをしてしまったりして苦笑してしまう

異世界だから繋がらないのはわかってる

だけどマスコミの動向チェックは欠かしてはいなかったから習慣付いてしまっているのにお互い苦笑してしまう

元杉神官のことをことを聞くと聖下って言ってくださいとかも言われたがレアナー様は<そこは奈美の好きにしたらいいですぅ>と言ってくれたので好きにする

まだ奇跡のような婚姻からほんの数日だ、いきなり「ダーリン」とか口に出す自分を想像しても寒気がするだけだ、あれ?「ハニー」だったかな?


「貴族の方に無理を言われて辛い旅の記憶を思い出したようです」


そう言われるとちょっとどうしようもないな

近頃の私は魔法が面白くて神殿内で教えてもらっている、遥はトゥゲールさんとミャーゴルの散歩に行ってる

ミャーゴルの獣舎には3人で日課のように行っている

元杉神官は腹毛にダイブして撫でまくって顔を埋めたりと満喫しているし、私もムービーを撮るのは面白いし遥はお手や芸を教えたり乗って散歩に行ったりしてる


今日は見慣れないミャーゴルがいた


毛の色や柄にあまり規則性のないミャーゴルだがこの子は白を基調として黒と金と青い色が雲のような柄で混じっている

体付きも一際大きく、威圧感を感じる

他の子と違って薄汚れていて少し怪我もしている

こんな子いたっけかな?


「珍しいですなルールが来るなんて」

「あの子の名前ですか?」

「はい、グナイ様の騎獣でして、グナイ様が亡くなった後は姿を見せていなかったのですが・・帰ってきたのか」


トゥガールさんがルールに近づきルールにつけている馬具のようなものをはずすとルールは倒れた

すぐに元杉神官が近づいていった

わたしも近づいてみる


「どうしたの?」

ルルル<ち  と疲 た>


元杉神官が問いかけると唸るように鳴いたルール

あれ?私この子の言ってることがわかる?


「そっか、これ食べるといいよ」

ルルルル<あ    う>

「あの、練習で回復魔法使ってみてもいいですか?」

「ん?良いんじゃない?どうかな?」

ルルルルッル<うみ い みゃ   ! いよ>


ところどころ聞こえないが何を言ってるかだいたいわかる

腰や足に所々血が滲んでいて毛を分けて見るとえぐれた肉が見て取れる

触ってみると他のミャーゴルたちがふわふわした毛並みに対して汚れているからか少しごわついている


「【レアナー様、私に愛を教えてくれてきっかけを与えてくれたレアナー様、ここに奇跡を発現させてください ヒール】」

レアナー様に回復の魔法を教えてもらっているのだが「自分の魔力をレアナー様に捧げる」ことで少しの間だけ使える「回復する魔力」を得られる、その「回復する魔力」を捧げた魔力とは別の「自分の魔力」で動かして当てていく

単純かつ効率が悪い初歩的なやり方だが練習にはまずはここかららしい

魔力を動かすのが結構難しいのでまだ全然うまくいかない

だけど魔力は感じ取れたし魔力はいくら使っても減らない

魔力元杉神官と婚約したからいくらでも流れてくるらしい

練習台はいくらでも運び込まれてくる、練習名目なら対価もほとんど必要がない

初めは1時間やってもちっとも治らなかったりもして流石に後ろから交代のお達しがかかった

レアナー様への呪文は魔力を込めて愛に関する話をしたりするらしいけど<好きにしたら良いですぅ>なんてレアナー様が言っていたので好きにしている

【ヒール】については向こうではゲームで治す時によくこういうというと<じゃあそれでいいですぅ>と雑に返された、良いのかそれで

コントロールはまだうまくない

10の力を使って9の結果を出せる神官もいるが私は500の力を使って10ぐらいを治す練習をしている

魔力があればいくらでも使えるというわけではない

多く使うと今まで感じなかった感覚がとても疲れる

だが<とりあえず感覚を覚えましょー>というレアナー様の指導だ

大量の魔力を使って強引に治している私に周りの神官たちやケーリーリュさんはものすごくなにかいいたそうだったがそれは、うん、まぁいいだろう、魔法使えるの楽しいし


怪我をわかる範囲で治し終わると膝をついてしまった、魔力を使うって結構疲れる


ゴルルルルル<あ がとう>


ルールにぺろりと舐められ、お礼を言われた

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