103 / 618
第103話 もふもふタイム
しおりを挟む「ちょ、くすぐった、はは、クビ、ダ、めふふははは」
洋介は猫の山の真ん中にいる
舐め回されたりゴツゴツと頭突きを食らったり振り回されたりしているのがチラチラと見える
大山猫?いや虎だな、ライオンやピューマのような大型のネコ科の動物に見える
隊長っぽいトゥガールさんが言うにはミャーゴルという生き物らしい
由来を聞くと子猫のときはミャーと鳴くのに大きくなるとゴルゴルいうらしい
こっちの世界でも猫の鳴き声はそのままなのか
「た、助けなくていいんですか!?」
「ん、洋介聖下か?彼には加護がある」
うん、危ないと思うほどにじゃれつかれまくってるが洋介はけらけら笑ってる
あ、洋介の奪い合いが始まってあのぶ厚めの服を噛まれてぴょんぴょん獣舎を走り回ってる、楽しそうだからいいのか?
熊とかイノシシみたいな大きさのミャーゴル、それに比べていつもよりも洋介が小さく見える
「でも、貴女方にも加護はあるようですね、ほら、護衛の方は離れてますし、この子たちもわかるようで、おーよしよしよし」
後ろを見てみるとケーリーリュは、はるか後方の建物の影でこちらを見ていた
それよりも私達の周りにもミャーゴルは近づいてきていた
大きな牙に大きな爪、ライオンよりもよっぽど大きい
正直ちょっと怖い
「この子たちは加護を持っていてもあそこまでじゃれつくことは稀です、よほど加護が強いのでしょうね、それに洋介聖下は今までに何度かここにあのようにじゃれつきにきましたから慣れもあるのでしょう」
空中で洋介の奪い合いを行ってるミャーゴル達、服に穴空いたり、いや体に穴空いたりしないのかな?
「初めて見る方であればその日は様子見するぐらいがいいでしょう、触っても大丈夫ですがゆっくりお願いします」
ゴルルルル
グゥゥゥ
ゴゴゴ
ゴロゴロ喉を鳴らしながらよってくる、猫だな、おっきい猫だ
こういうときは少し下からゆっくり拳を近づけるといいと何処かで見た気がする
拳を差し出すとすぐに匂いを嗅がれる
クンクン匂いを嗅がれて更に前に出てきたミャーゴルのおでこと差し出した拳がごっつんと当たった
甘えてる?のかな
私の拳をミャーゴルの毛がサラッとくすぐって気持ちいい
「よろしくね」
その子はすぐにいなくなり代わる代わる他のミャーゴル達も来た
奈美は私よりも少し後ろから恍惚の表情でこちらを見ている
後ろでスマホを構えて顔は溶けている
少し声は小さめで呼んでみる
「奈美ー、おいでー」
「私、猫に嫌われる方だし怖がらせても悪いし」
たまに猫に向かって写真を撮りに行ってすぐ逃げられてるのは見たことがある
スマホの待受も子猫でストラップも猫なので結構な猫好きなのだろう
猫は大好きで飼いたいらしいが彼女の両親が猫アレルギー、猫はどうしても飼えなかったと嘆いていた
そして悲しいことに生粋の猫好きではあるが本人は猫に嫌われる体質らしく、たまに逃げられては凹んでいた
私は犬も猫もどっちも好きだがどちらかというと犬派かも知れない
猫も可愛いが大きくて素直で賢い犬の方が好きかも?一緒に走り回れるし遊べるしね
いつの間にかミャーゴルの背に乗って黒葉に近づいた洋介が何かを手渡している
ここに来る途中で買っていた果実と、なにかの大きな袋を渡していた
「洋介聖下!ありがとうございます、ですがそちらは?」
「猫用のお菓子、子猫用のミルクとかもあるよ」
「仔ミャーゴル用のミルク?ほほう」
いって見るとよくCMで見る猫科の生き物が超喜ぶと見たことのあるというお菓子や粉ミルクにミルクのパックだ
その場で洋介がミルクを作って
ひときわ大きな親ミャーゴルによって仔ミャーゴルが一頭連れられてきてミルクを飲み始めた
ミャー!ミャー!!
ルルル
「大丈夫なんですか?初めての食べ物を子猫に」
「こいつらは結構なんでも食べる悪食なんです、もしも具合が悪くなっても聖下が原因なら文句は言えませんし、聖下かレアナー教に診てもらうんで大丈夫です」
私の心配を他所に親らしきミャーゴル達が仔ミャーゴルたちを連れて洋介と奈美のところに連れてきた
奈美はモッフモフに囲まれて幸せそうだ
ミルクの大皿に顔を突っ込んで飲んでる親ミャーゴルと競うように飲んでる仔ミャーゴル
顔の毛がミルクまみれだ
奈美は片手でスマホ、片手で撫でている
「それにこいつらは小さい頃によく食べたほうが立派な体になるんです」
ミルクに顔を突っ込んでる大きな親ミャーゴルを洋介が引き離してペーストのお菓子や途中買っていた果実を食べさせている
「ペディの実も高いもんじゃないですがなかなか買えないもんで、ありがたいです」
ルルルルルっ!ルルルルルっ!!
美味しいらしく果実にがっついてる
洋介はペディの果実を親ミャーゴル達に投げている、私も投げてみる
ぴょいんと飛んで空中でひとくちで食べてる!!可愛すぎる!!!
投げ終わって残った日本の猫用お菓子をペロペロとがっついてる
猫って可愛いな、かなりおっきいけど
頭を撫でても目を細めてくれるし顎を指でカリカリかいてあげるとルルルと鳴いて可愛い
奈美はミルクを食べ終わった仔ミャーゴルに群がられて猫じゃらし使ってるし、洋介は撫でていたり犬に振り回されるぬいぐるみのように玩具にされて楽しそうだ
私たちは隊長さんに申し訳無さそうに「訓練の時間が」と言われるまでものすごく堪能した
0
お気に入りに追加
114
あなたにおすすめの小説
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
十年間片思いしていた幼馴染に告白したら、完膚なきまでに振られた俺が、昔イジメから助けた美少女にアプローチを受けてる。
味のないお茶
恋愛
中学三年の終わり、俺。桜井霧都(さくらいきりと)は十年間片思いしていた幼馴染。南野凛音(みなみのりんね)に告白した。
十分以上に勝算がある。と思っていたが、
「アンタを男として見たことなんか一度も無いから無理!!」
と完膚なきまでに振られた俺。
失意のまま、十年目にして初めて一人で登校すると、小学生の頃にいじめから助けた女の子。北島永久(きたじまとわ)が目の前に居た。
彼女は俺を見て涙を流しながら、今までずっと俺のことを想い続けていたと言ってきた。
そして、
「北島永久は桜井霧都くんを心から愛しています。私をあなたの彼女にしてください」
と、告白をされ、抱きしめられる。
突然の出来事に困惑する俺。
そんな俺を追撃するように、
「な、な、な、な……何してんのよアンタ……」
「………………凛音、なんでここに」
その現場を見ていたのは、朝が苦手なはずの、置いてきた幼なじみだった。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる