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第88話 加護の重さ
しおりを挟むあっさり話せるようになったはるねーちゃん達だがレアナー様と同じ対応でいつものようにお菓子を食べ始めた
神殿の中でもここは祈って加護を得るための場所だ
良いのかはわからないけど言われるがままに机や椅子、お菓子にお茶を出していく
「洋介、次プリンで」
「はい」
「これ美味しいですね」
「サシル様、2人への加護をありがとうございます」
「ふふ、それよりも他のお菓子をお願いしますね」
サシル様はレアナー様の姉に当たる神様で愛や言語、旅などを司っている
加護を得られる神様の中でも最も馴染みの深い神様だ
自分の国の言語を覚えることができてもこの世界は単一種族の統一言語ではなく、他種族多言語であるため言葉が通じないなんてことはよくある
そんな言葉の壁を取り払って愛を育ませてくれる神がサシル様だ
言語の加護は一定の範囲でのみ効果を発揮するため大きな街の神殿に行くと必ずここか外も設置された女神像に祈らないといけない
一度祈れば一年はその地での言語に不自由することはないし、別の地に行っても同じくサシル様に祈れば言語の不自由はない
負担はほとんどない加護だから問題はない、加護の中ではちょっと特別かも?
加護の中でも僕は強い加護を貰えたからある程度の魔法も使える
過去にこの世界に来たアメリカ人やフランス人、福建人、オスマン人辺りの声なら翻訳できる
一応こちらの言語を2人がわかるように聞かせられることもできるけど・・・僕がやると練度も低いし、通じても僅かなニュアンスが限界かもしれない
それなら僕がやるよりも女神様から加護をもらったほうがちゃんと通じる
僕はこの魔法は全然使う機会なかったしなぁ
ボブとは簡単に話せたがビルに来る人の中でもたまに使われるスペイン語は喋れないから本当に困る
神様の加護は様々な条件で授けられる
種族であったり、強さを示したり、神が興味を持ったり、祈りの果てにあったり
条件を満たしたとしても簡単に受け入れられるものだけではない
一定の人数しか授けられない加護や、加護の力で体が耐えきれないなどということも多い
でもサシル様の加護であれば体への負担はほとんどない
国から国、町から町への旅などの思い出話や得たものを捧げる程度で得られるため金銭的負担もなくても良い
それにしてもサシル様よく食べる
出したのは小さな机だが机の上がいっぱいになるほどのお菓子を食べ続けている
「レアナーからいつもいつも自慢されていたので・・それにしてもこのお菓子は美味しいですね、さすが異世界産」
「こっちのフルーツ大福はレアナー様のお気に入りです」
こんな神聖な場所で、こんなに長居してもいいのかな?
ドアを開けて外を見に行くとすごい並んでいた
神官さんたちがせき止めてくれてるが申し訳無さすぎる
「サシル様、少し長くなってしまって申し訳ありません、待ってる方も多く、旅路への邪魔をするのは本意ではありません」
「あら、洋介、言い回しが大人びましたね」
すっと近づいてきたサシル様に頭を撫でられた
神様たちはすぐに僕の頭を撫でたがる、孫や子供扱いだ
「仕方ありませんね」
テーブルや紅茶を片付けるとやはり甘い匂いが残った
ここは飲み食いする場所ではないんだけど神殿の主たる神様たちの要望だから仕方ない
ちょっと食べかすがついた女神像の口元をウェットティッシュで拭っておく
「それでは失礼します」
「また顔を出しなさい、貴方の旅路が良きものであらんことを祈ります」
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