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第82話 無観客試合

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「ファイッ!」


3つのリーグで最強となったボクサーが、世界最強の格闘家が子供と戦う

世間は騒いだ、誰も大人対子供の公開処刑を見たくはない


なので無観客試合となった


僕が勝てばお金はもらえるし、吾郷が言うには「世間に認められる」らしい

今でもみんなの前で魔法を使ってもトリックだとか言って認めてくれない人がいる

はるねーちゃんが言うには「これまで魔法なんてなかったし宗教と絡むと怪しく見えるものなのよ」ってことだ


ドッドパン!!パパン!!


「でも超能力とかエスパーってあったんじゃなかったの?一緒にテレビで見たよね!??」というと苦い顔をしていた

昔、山で「見てなさい、私の力でこの木を折ってみせるから」と言われて木を殴りつけたはるねーちゃんと蜂に追われたのを僕は忘れない

六太たちにやったように圧倒的に勝つのが大事みたい


ノーガードですきにうたせてる


攻撃魔法は禁止だが僕にかかった体表の防御魔法で全くダメージはない

試合前にかけたから半日はきいたままだ、それよりもパンツと靴だけでみんなに見られてると思ったら恥ずかしい

ボクシングってパンツで戦うんだね、みんな恥ずかしくないのかな?


顔やお腹にいっぱいパンチが当たってるが効果はないし前に歩いて行く


ボブは僕が前に出るとその分下がって打ち込んでくる


「ストップ!」


審判に選ばれた人が割って入ってきた、どうしたんだろう?


「闘えるか?ちゃんと構えて打ち返さないとTKO負けになるぞ!」

「あ、はい、じゃあ攻撃しますね」

「わかった!構えて・・・ファイッ!!」


TKOはたったまま気絶した場合だよね、その判断もできないのかな?

仕方ないし攻撃する

先程までと違ってボブは向かってこない

振りかぶって、殴る!!!!








リングが揺れた

どんな大男でも膝をつかせてきた俺のパンチが全くきいてない

マジカルボーイは細く、ボクサーとしてはジュニアクラスだとさえ思える体つきだ

ほんのうっすらとだが身体の至る所に傷がある

熊のような大きな爪痕を見るに、ボクサーではなく、真のファイターだったのかもしれない


そんなマジカルボーイを開始直後にグローブタッチ無しで本気のラッシュで仕留めにかかった


身体能力の測定では身体の柔軟性以外で俺が勝てたものはない

オリンピック選手並みと言われた俺がだ、屈辱だ

俺のパンチ、テレフォンパンチではなく試合用向けの殴り方で歴代最強の記録726キロとでた

数々のボクサーの骨を殴り砕いてきた自信のあるパンチだ

スピード、パワー、コンパクト、全てに自信のあるパンチを様々な種類を計測してもらった


だがマジカルボーイは測れる俺と違って測れない


計器ごとぶっ壊しまくっていた

壊した計器の記録は記録は0キロ、別の次元の存在だ

ワクワクする、俺はこんな強い男に挑めている

だがここまで差があるとは思っていなかった


一度審判が止めに入ったのは幸いだった

無抵抗とは言え有効打が有効になってない相手だ、息が続かない

体重は軽いはずなのにまるで金属の塊、戦車とたたかっているとまで感じた


「ファイッ!!」


マジカルボーイにボクシングの常識は無い

グローブタッチもなく、あるのは先程までは見受けられなかったやる気だ

重心がわずかに前に傾き、一応ではあるが拳を構えられた

冷や汗が止まらない、こいつはボーイではない、モンスターだ




ジュッ・・・・ガァアアアアアン!!!!!




身体が勝手に動いた

ボクシングではありえない動きだ

全身をキャンバスに投げ出すような避け方を身体が勝手に動いてくれた

マジカルモンスターは矢のように俺に向かって拳を突き出してきた、と思う

リングごと動き、俺の身体に触れてはいけないものが感じられる


ロープだ


リング中央にいる俺にロープが触れている


マジカルモンスターのパンチはコーナーポストに突き刺さり、コーナーポストが半分に折れ曲がり、頑丈に作られたロープが外れていた



「ス、ストーップ!ストォーーップ!!!」


リング自体がはねたかのような振動で倒れていた審判が止めに入った


これが審判に助けられるってことか・・・これは勝てない、笑えてくるぜ
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