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第63話 これで良かったんだろうか?
しおりを挟む病院に行ったのは2度だ
一度は怪我の直後でこっそり行って・・・包帯だらけだった遥に絶句した
怪我さえ良くなればまた一緒にいれる、なんて考えてたのだが不安が募る
もしも後遺症でもでて半身不随にでもなったら僕はこの人とずっと一緒なのか?
そんな覚悟はなかった
本当に好きだった、そのはずだ、今では性欲から言っていたのかは定かではないが・・
悩んで、病院にはいかなかったことにして「お見舞いに行きたい」と遥に言っても行かせてもらえなかった
新学期が始まって、桜が散っていてもどこか別の世界の出来事のようで足取りが重く感じる
「ねー、春樹ー、そんなに悩んでも仕方ないから飲みに行こーよ」
「今はそんな気分じゃ」
「みんな春樹のこと心配してるし、私にぐらい相談してもいいじゃん?」
「わかった」
酒を飲んでこのもやもやした気持ちが晴れるならそうしたいと思った
でも
「おはよう春樹、昨日はすごかったよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」
気がつけばホテルで、横には裸の真莉愛がいた
酒に酔ってフラフラの僕をつれて帰ろうとしたら僕に引きずられてホテルに入った
仕方なしに真莉愛は僕をここに寝かして帰ろうとしたんだけどベッドで呻く僕に水を渡そうとしたらそのまま・・・
幼馴染の真莉愛にそういう感情を抱いたことを無いといえば嘘になるが僕には遥がいる
でも真莉愛は優しくて
「2人だけのヒミツね」
そう言ってくれた
2度目は僕が悩んでると気晴らしにって言われて、拒否したら「私も初めてだったんだよ、でも、あんな無理矢理で、お願い」そう言われたら断れなかった
僕も重く感じていた心のモヤを払うように2度3度とズルズル関係を続けてしまった
-春樹、お願いがあるから病院きてくれる?-
遥からメッセが来て、すぐに行こうと思った、が、僕には見せる顔がない
用事もないのに3日待ってもらった
その間も真莉愛とあった
やるせない不安と情動を真莉愛にぶつけても真莉愛は微笑んでくれた
病院に真莉愛と行くと遥はもう別人だった
痩せて、顔は茶色い、誰もが振り返るような美人だった面影はまったくない
倒れれば折れそうな浮き出た骨、カサついている唇、帽子で隠していても眉や髪がなくなったとわかった
渡されたのは婚姻届だ
遥の気持ちはわかるが、なんと言ったかは覚えてない
とにかく言い訳をして僕はその場を去った
遥のきれいな字で遥の部分は埋まった婚姻届
後は僕が書いて出せば、成立する
「ねぇ春樹、どうするの?」
後ろから肩に顎を乗せるように真莉愛が来た
「どうって」
答えられない
あれだけ好きだったのに
どうすればいいか、わからない
「ね、これだけは答えて」
「・・・・・なに」
「春樹は病気のあの子といたい?これからずっと寝てるだけで起き上がれもしないかもしれないあの子と」
「・・・・・・・・」
「それだけ教えて、どんな決断だって私はいつだって春樹の味方だから、これまでもこれからも」
「・・・軽蔑しない?」
「しない、私が全部うまいことしてあげる」
「・・でもさ・・・だって・・・・」
「私は春樹といてあげるし、サークルの友達からも悪く言われない、みんな納得するよ」
「・・・・そうかな、でも」
「春樹、私は、春樹を裏切らないし、春樹のことが好きだよ」
「任せても、良いの?」
「うん」
「僕は・・・・・・・」
僕は任せた
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