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第57話 魔法少女についての調査報告書

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「で、この調査報告書は何だね?」

「はい、例の魔法少女についてです」


自分だってこんな馬鹿なものをまとめたくなどなかった


『重病者でも治してしまう魔法少女についての報告書』


おそらく数ヶ月前の私ならこのお題だけで部下の正気を疑っていただろう

世間で騒がれた魔法少女は知っている

フェイクニュース、もしくはゴシップネタの一種として風化されるものと思った


だがどんどん追加の情報が上がってくるのだ


それも現代の医学では困難とされる病の治療、空飛ぶ箒にのった魔法少女、光の柱、光るビル、光人間、UMAなどなど

こういうものは追加の情報がなく、一笑に付されていつの間にか消え去っていくのが世の常だ


だがこれは違った

癌、死の病だ、全人類の誰もできないことを一人の人間がやってのけている

世の中がこのニュースに沸き立たないはずがない

誰も彼もこの謎の少女に夢中だ、いや少年だったが


この調査書類は未だにはっきりした情報が無いしとにかく急ぎでまとめたものだ

すべてが馬鹿げてると自分で見てもそう思う




元杉洋介、享年11歳、現住所不明
5年前の交通事故において父・母死亡、車ごと海に落ちたため元杉洋介の消息は不明に、5年間の消息は一切不明

登仙病院癌患者『元杉康介』の甥
登仙病院癌患者『春日井遥』の隣人
『春日井遥』は素手で強化鉄筋コンクリートを破壊
通称『光るビル』の所有者、登仙病院半身不随患者『金道為臣』
『金道為臣』の部下『光人間』『内田良平』
登仙院長『登仙明』との関連性は不明
登仙病院院長『登仙明』とは病院ですれ違い、一言交わしたようだと証言あり
登仙病院上空の『光の柱』の発生時刻前、病院の監視カメラに元杉洋介の姿を確認
重病・重症患者が治った同日2度にわたって元杉洋介の存在を病院内で確認
重病・重症患者によるとレアナー教に入信、それと財産を寄付することで健康体となる
重病・重症患者による証言・治療に付いての過程は別紙3ページから12ページ
国内外に『レアナー教』・『女神レアナー』の詳細はなし、類似した神や伝承は存在したが現在調査中

健康体となった処置の際に一時的に超人化し、警察が出動


目撃箇所
上空、登仙病院、ヤクザの本邸、光るビル、光るビル近くの数件の店舗、光るビル近くのファミリーレストランにて光人間『内田良平』と同席


本日の新情報
スイーツパラダイスにてメイド服にて多数のSNSで目撃、女神レアナーらしき小人も撮影される
動画投稿サイトにてLIVE配信、自己紹介によって年齢、性別、名前などが明らかになる、重病・重症患者についても治したとのこと
メイド服については『田辺』という人物が関与、『田辺』については現在のところ情報なし




他にも情報は多くある、未確認生物がでたとか、別の宗教団体による祈祷術がきいたとか光の柱を再現してみたとか、自称魔法使い、自称ヒーラー、自称僧侶・・・国内のみならず国外からもフェイクニュースはある・・・・・

とにかく多い情報、まとめきるのにも裏を取るのにも一苦労だ



「つまり、その、患者が治ったのは真実なんだな?」

「はい、世間が騒いでいる登仙院長の陰謀などではなく患者全員から証言はとれました、病院の詐欺の可能性についても県外や別の病院からの通院記録からありえないのではないか?という調査結果となりました」

「なぜ疑問形なんだね?」

「病院ぐるみですべての証拠が隠蔽されれば手のうちようがありません、37の病院すべてが隠蔽に加担していれば、の話ですが」


「ありえん・・と思いたいが悪魔の証明に近いな、とにかく所在を明らかにしろ」


空を飛んで移動する相手にそれはないだろう、だが上の命令だ、やるしか無い
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