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第24話 被害者A
しおりを挟む社長が車に轢かれたと聞いて「ついにか」なんてつぶやいてしまった
もしも誠実そうな見た目で、誠実そうに話すのならまだ恨みを買わないと思うんだけどあの社長の胡散臭さは酷い
借金を作ったビルの元のオーナーがそれを買い取った社長を恨んで車で轢いた
社長は生死をさまよったが生き残って半身不随、事故を起こした相手も重症らしく警察病院にいる
一体どんな取引をしたんだ?
社長は今ある小さな事務所の近くにかなり好条件のビルを買った
だが日本全国を飛び回って商売する社長は知らなかった
このビルが超弩級の事故物件だということを・・
私も知っているのは噂程度だが一等地にあるのに入った借り主やオーナーは例外なく不幸が起きる
借りた人間は運が良くて怪我で入院、普通で精神病院やお祓い行き、悪かったら・・・
社長のことだ、どうせ底値以下で買い取ったんだろう
前のオーナーは県外だったので私は対応していないが鍵だけは郵送されてきた
だけどまぁ社長もひどい目にあったし私の出番はないと思いたい
一応場所だけ確認しにいったが背筋が凍るほどゾッとした、外から窓を見上げただけだが異様なまでの存在感がした
「なにか・・いる・・・・?」
ビルの3階、だれもいないはずなのに妙に気になる
何も映ってないはずだ、窓が少し薄汚れている、ただそれだけの雑居ビル
他に入居していたりオーナーが居るわけもない、いわくつきの幽霊ビル
だれもいないはず、なのに
ブゥゥゥゥン!キィー!!!
目を離せずにいつの間にか後ろに下がって車道に出ていた
バイクの兄ちゃんに怒鳴られているがそれよりビルが
あれ?存在感がなくなってる?
<・・・・もうちょっとだったのに>
「ギャアアアアアアアアアアアアア!!!!!????」
中にも入ってないのにこれか!?
何だ!?今の女の子の声!!?
とにかく事務所に返って荷物をまとめて近所の寺だか神社の念仏を唱えている広間に突撃して訳を話して念仏の中にいさせてもらった
「またあのビルですか・・」
坊さんいわく、あのビル関係の相談は今までも受けた事があるらしい
坊さんでも一週間は寝込むぐらいの事故物件だそうだ
頼み込んでお堂に数日泊めてもらう
普段ならこんな場所に泊まるほうが怖い、だけどあのゾッとするような声が耳から離れない
二度とあんな場所いかない、行けって言われたらやめてやる
あのうさんすぎる社長には世話になってきたし今社長は精神的にも弱ってる、今のタイミングで言うのは嫌だなー
機嫌の良いタイミングでさり気なく言えないかな?
社長から連絡が来たときは本当に驚いた
一応見舞いには行ったが半身不随、足の感覚がなく回復は難しい
そんな診断で本人も珍しく辛そうにしてたし明らかに弱っていた
なのに踊ってるムービーが添付されて「治ったー!ヒーハー!!」って叫んでた、病院で
詳しく聞いてみると本物の神官が病人に来て社長の下半身不随を治していったそうだ
しかも社長一人ではない、他にも死にかけの病人たちも魔法で治した
ここまでなら「おめでとうございます」と心から思う
だけど問題はその後だ
その神官様にビルをあげることになった、お祓いもできるらしいのでお前もやってもらえ、30分以内にいけ、見ればわかる
で、きれた
うん、意味わかんない
怪しい新興宗教にでも引っかかって壺でも買わされたか?
いやあの人なら壺を売る側だろう
ムービーの後ろを見直すと社長のキモい踊りの後ろで他にも何人かの患者が警備員や看護師と格闘してた
とにかく言われた通り行ってみる、坊さんにもらった御守りを持って
できたら徳の高そうな禿げた坊様や日焼けした身長2メートル体重130キロぐらいのマッチョな人がいい、頼りがいの有りそうな
なんだったらバズーカ砲でも持っていてくれれば最高だと馬鹿な思いがよぎってしまう
ビルの周りは人通りが多く、すぐ横は公園だ
人は多いが思ってるような人物はいない
「あの、ビルの人ですか?」
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