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「よし!それじゃあ行こうか!!」

 翌日、お昼ご飯を食べてから最終確認をして、私とフィリアとリアさんは玄関口に並んでいた。

「いってらっしゃい!!お土産美味しいものがいいな!!」

 これは大体いつも元気なイルリ。

 「うん」と返事をして頬に口付けを落とせば惚けたような表情でポケーとしてしまう。
 中々機会がなくて今まで軽いスキンシップだけだったけど、帰ったらいっぱい犯してあげるからね♡

「いってらっしゃい。気を付けて」

 これはポーカーフェイスのルーミャ。

 こんな澄ました顔をしているがこの女、さっきソファでフィリアと寛いでいたら突然耳たぶに噛みついていたのである。なんで噛んだのかと聞いても「何となく」としか返してこないし、意外と独占欲が強いのかもしれない。

「ルーミャ、ちょっとこっちおいで」

 一旦生意気な小娘をトイレに引き連れ、思い切り首筋に噛み跡をつけてやった。
 その時のルーミャの恍惚とした表情にぞくぞくきました。

「い、いってらっしゃい!さ、寂しいから、早く帰って来てね」

 これはいつも通りどもり気味なコン。
 一旦舌入れキスしておいた。

「い、いってらっしゃい。ま、ママ、も、もう一回だけ頭、な、撫でて」

 可愛いシルちゃんを取り敢えず撫でて。

 私たちは「いってきます」と返し、家を後にした。

 コットンはぐるぐると空中を回っている。彼女は私たちの案内役なので、まだもう少し一緒だ。

「それじゃあコットン、道案内よろしくね」

「よろしくね、コットン」

「コットンちゃん、よろしくお願いね」

 頷くように空を跳ねる。
 いつかコットンとも話せるようになれたらいいなと思いながら、私たちはてってく火の玉の後ろを付いていく。

 休みを入れながら数時間歩くと、小さな村が見えてきた。
 フィリアたちのいた所よりは小さいが、代わりに馬車停留所っぽい大きな建物があったり、村自体もそれなりに活気があるようだった。村というより、駅みたいな感じに近いのかな。

「ここまで来れば大丈夫だよ、コットン。案内ありがとうね」

 私がそう言うと、コットンはぐるぐると私の周りを回り回る。三半規管どうなってんだろ。

「コットン、ここまでありがと!すごい助かっちゃった!!」

「コットンちゃん、本当に助かったわ。ありがとうね」

 皆でお礼と「またね」を言うと、コットンは荒ぶりまくったあと、森の方へ消えて行った。
 もうちょっと一緒にいたかったけど、他の人に見られたら面倒そうだし、シルちゃんも心配だろうからね。

 時間があれば村で少しのんびりしても良かったが、思ったより家でのんびりしてしまったためあまり時間がない。

 馬車搭乗のやり取りはリアさんに任せることにした。過去に冒険者してるだけあって慣れているらしい。その様子をフィリアと感心しながら眺めて、やり取りを終えたリアさんからチケットを受け取る。

「まずは王都じゃなくて、中継地点の街まで行くんでしたよね?」

「そうね。王都までは遠いから中継地点の街で一泊休んで、後日王都行きの馬車に乗る、って形になってるわ」

 私たちは少しだけ余った時間で骨付きチキンを買って、食べながら待ち合いの椅子に腰掛け馬車の到着を待った。馬車を待っている人は何人かいたが、老人ばかりで可愛い女の子とかはいなかった。いいもん、私は今両手に花だから。

 食べ終わると両手を二人のスカートのポケットの中に入れてお尻を揉み揉み楽しんでいると、馬車が到着した。

「あ、馬車来たみたいだよ!行こう!二人とも!!」

「う、うん。分かったから、ちょっと…ん♡…待って」

「ふふ…うぅん♡…アカリちゃん、わざとやってるわよね?」

 ええ、もちのろんですとも。ちゃんと二人とも発情して足腰立たないだろうなーって分かってて言いました。

 少しだけ時間を置いてから、二人に肩を貸しつつ馬車まで移動する。チケットを御者に渡して馬車に乗り込んだ。それなりにお金の掛かったこともあって、想像していたような田舎のトラックの荷台みたく外に振り落とされそうな造りでなく、ちょっとした電車の向かい合わせにならないクロスシートのような造りで、そこそこ綺麗で乗り心地が良さそうだった。

 ただ、座席が左右で2:2で分けられていたため、フィリアとリアさんの熾烈な口論が繰り広げられた末、私の隣はリアさんが勝ち取った。別にいいけど、他の乗客に迷惑だから早く座りなさい君たち。

 私がため息を吐くと、乗客を待っている間暇そうにしていた御者さんに笑われた。
 若干恥ずかしい。

 しばらくしてから馬車は出発。
 周りが老人だったこともあって最初は一頻り会話に花を咲かせていたが、すぐに失速、心地よい揺れも相俟ってほんの一時間程度で車内は静まり返っていた。

 隣で可愛い寝息を立てているリアさんの頬にそっとキスして、

「『ステータス』」

アカリ・トモサト
加護//百合神の導き
エクストラスキル//リリーイーター
スキル//
炎魔法G6(5up!)
風魔法G2
水魔法G1
聖魔法G1
暗視
威圧
悪意感知G6(new!)
気配感知G2
結界G2(new!)
思考加速G2(new!)
身体強化G6(4up!)
精霊使役G1(new!)
物理耐性G4

 久しぶりに見てみると、すっごい増えてる。

 恐らくリアさんのスキルのおかげか『炎魔法』と『身体強化』のグレードが異常に上がっていて、『悪意感知』とやらも増えていた。あと、シルちゃんの『結界』と『精霊使役』も習得している。ルーミャの『思考加速』もちゃんとある。

 『精霊使役』を持っていてもコットンと会話できなかったし、『気配感知』も未だ満足に使いこなせないし、便利なスキルを持っていても何だか今の所宝の持ち腐れ感が否めない。

 手遊びにリアさんのおっぱいを揉みつつ窓の外を眺める。

 何もない田舎の風景が広がっている。前世が田舎育ちだったため何だか懐かしい気分になってくる。特別ホームシックとかはないが、ふと何か大事なことを思い出しそうになる。

「…ん?大事なこと…?」

 大事なことってなんだ。
 私は何かを忘れてる?確かに、死んでから最初に目が覚めた時に『何か酷くショックを受けて、私は足を踏み外して階段から転落し』た記憶が明瞭にあった。
 ただ、そのショックを受けるような出来事の詳細が全くと言っていいほど思い出せない。

 私の人生大体外を走り回るかオタ活してるか妹の世話してた記憶しかないし、大方オタグッズを間違えてお母さんに捨てられたとかだろうけど、思い出せそうで全く思い出せない。もやる。

 いつの間にか私も寝ていて、夢を見た。

 誰か二人の男女が私の視界の先にいて、何故かそれを見て、すごくショックだった。

 この夢はなんなんだろう。
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