マッチョな料理人が送る、異世界のんびり生活。 強面、筋骨隆々、非常に強い。でもとっても優しい男が異世界でほのぼの暮らすお話

かむら

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#291-2 ナグモ城でお花見②

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 シルムーン王家の者達との思わぬ再会があったが、ひとまず全員桜がよく見える位置に用意された席に座っていった。


「ふむ、何度見ても美しいな、桜というのは」

「グラハム様は見たことがあるのですね?」

「ああ。先代将軍閣下に招かれた時に一度見たことがあるのだ」


 シュージが尋ねた事に、グラハムそう返してくれた。

 その横に座るフローリアとルビィはどうやら桜を見るのは初めてなようで、2人ともうっとりとした表情で桜を眺めていた。
 

「ヨシツネ様、実はシュージ殿がこの場に合う一品を用意してくださったそうです」

「おや、それは助かりますね。ありがとう、シュージ殿」

「いえいえ。凄く手の込んだものではないのが恥ずかしいですが」

「では、用意させましょう」


 それからムサシが給仕の者達に目配せすると、綺麗なお皿に盛り付けられたシュージの持ち込み料理が運ばれてきた。


「まぁ、これは……」

「とっても可愛いです!」

「こちらは桜餅というものになります」


 そう、シュージが用意したのは、桜の葉に包まれた薄桃色の桜餅だった。


「これは…… 凄いね。この場にこれほど合うものはないだろう」

「桜餅にも色々と作り方があるのですが、今回は本物の桜の花びらを塩漬けにしたものを生地に混ぜ込んでみました」

「桜を食べ物にするなんて、考えたこともなかったよ」


 どうやらナグモの人達にも桜を食べるという習慣は無いらしく、その場にいたヨシツネもムサシもカンスケもとても興味深そうに桜餅を眺めていた。

 ちなみにこの桜餅に使った花びらや葉っぱは、昨日行った市場の花屋で仕入れたものだ。

 で、もちろん桜餅を作る過程で花びらの塩漬けの味見などもしてみたが、やっぱりこちらの世界のものは地球のものよりも旨味が強く、桜の花びらでさえ塩漬けにすると、ちょっとしたおつまみとして食べれそうなくらい美味しかった。

 塩漬けにした際に良い感じに色も出たので、後から色を足さずとも綺麗な桜色になってくれたのもありがたい。


「では、いただきましょうか」


 桜餅の綺麗さに見惚れていた面々にも聞こえるようにヨシツネがそう声を上げ、その場にいる者達は桜餅を手に取っていった。


「一応、桜餅を包んでいる葉っぱも塩漬けしてあって、食べられます。もちろん、食べなくても大丈夫です。好みはあるので」


 そんなシュージの説明を聞き、とりあえず男性陣は葉っぱごと、フローリアとルビィはまず桜餅だけで一口食べていった。


「んんっ♡ 甘くて美味しいです~♡」

「本当ですね♡ この中のものは、確かあんこというものでしたか」

「はい。中には今回、粒を取り除いて滑らかにしたこしあんを詰めてます」


 個人的にシュージは桜餅はこしあん派なので、今回はこしあんで作らせてもらった。
 

「確かに餅とそのあんこも美味しいけど、生地に練り込まれた桜の花びらの風味が凄いですね」

「桜の良い香りが鼻から抜けていくからか、なんだか凄く上品なものを食べている気分だ」

「この桜の葉も良いですな。程良い塩気が甘さを中和してくれて、とても食べやすい」


 女性陣は言わずもがなだが、あまり甘味に執着のない男性陣にも桜餅はかなり気に入ってもらえていた。

 カンスケが言った通り、桜の葉の塩漬けの程よい塩味が、あんこの濃厚な甘味を中和してくれるのも、気に入ってもらえたポイントだろう。


「シュージ殿には毎度驚かされるね。これはぜひ、貴族も平民も関係なく、この国に広めていきたいよ」

「そうしたら、原材料があまり出回っているものでは無いのですが、作るの自体はそう難しくありませんから、原材料を作ってくれた方と一緒に原材料の作り方もレシピにまとめて後日お渡ししますね」

「助かるよ。きっとこの国の者達はこの桜餅を気に入ってくれるだろう」


 それからシュージ達は、用意された桜餅を摘みつつ、風で靡く桜の様子をのんびりと眺め、心休まる時間を過ごすのであった。
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