マッチョな料理人が送る、異世界のんびり生活。 強面、筋骨隆々、非常に強い。でもとっても優しい男が異世界でほのぼの暮らすお話

かむら

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#259 こういうのでいい

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「おや、ボリーさん。 早いですね」

「……おはよ」

「おはようございます」
 

 まだ辺りは少し薄暗い朝方。

 シュージが朝ご飯の準備をしに食堂にやってきたところ、一足先にやってきたボリーが食堂の椅子に座っていた。


「今日は依頼ですか?」

「……その予定、だった。 けど、向こうの、都合で、なくなった」

「おや、そうなんですね」


 それからもう少し詳しく話を聞くと、今日の依頼は商隊の護衛依頼だったそうだが、先程待ち合わせ場所に行ったら積荷に不備があったとかで出発できなくなり、その場で依頼のキャンセル料だけ貰って帰ってきたそうだ。

 ボリーレベルの冒険者が動く依頼ともなると、キャンセル料も中々の額になるが、それを踏まえても出発できないくらいのトラブルだったらしい。


「災難でしたねぇ」

「……まぁ、たまにある」

「朝ご飯はまだですか?」

「……まだ。 でも、適当に、作った、おにぎりが、ある」

「そうですか。 そういえば、ボリーさんって何か好きな食べ物とか料理あるんですか? 大体いつも美味しそうにご飯食べてくれますけど」

「……んー、おにぎりと、味噌汁の、セット」

「あー、いいですねぇ。 僕もとても好きですよ」


 やはり日本生まれのシュージからすると、おにぎりと味噌汁というのはシンプルながら至高の組み合わせだと思っているので、それが好きだというボリーの言葉に思わず嬉しくなってしまった。


「……シュージは、色々な、味噌汁、作る」

「そうですね。 味噌汁は本当に色々と工夫ができますから」


 作るのはとても簡単な味噌汁だが、まず何で出汁を取るかだったり、味噌はどんなものを使うのか、そして具材を何にするのかなど、その辺をこだわり始めるともう無限な等しい種類が作れるだろう。


「ボリーさんは今まで食べた味噌汁の具材だと、どれが一番好みでした?」

「……なめこ、美味かった」

「おお、良いですねぇ。 あの独特の食感、味、ぬめりがクセになりますよね」

「……シュージは、何が好き?」

「そうですねぇ、折角なら、朝ご飯のお供に作りましょうか」


 ボリーがおにぎりを食べるという事で、それに合う味噌汁を、折角なら他のメンバーの朝ご飯の分も作ることにした。

 まずは鍋に水と乾燥昆布を入れて火にかけ、出汁を取っていく。

 沸騰させると昆布から灰汁やえぐみが出てしまうので、沸騰直前くらいになったら昆布は取り出す。

 そうしたら、出汁を軽く煮立たせて、そこへ鰹節を入れ、少し置いてしっかりと旨みを引き出したら、ペーパーとザルでこしていく。

 そんな感じで昆布と鰹の合わせ出汁がひけたら、再び鍋に戻し、賽の目状に切り分けた豆腐を入れて、沸々と煮立たせていく。


「……良い匂い」

「出汁をひく作業、個人的に凄い好きなんですよねぇ」
 

 それから豆腐がある程度煮えたら、火を止めて味噌を溶かしていく。

 しっかりと味噌が溶けたら、沿海州で買ってきた新鮮な綺麗に洗った生わかめを食べやすい大きさに切り分け、器にまずわかめを入れて、そこへ熱々の豆腐入り味噌汁を注いだら、豆腐とわかめの味噌汁の完成だ。

 薄くて柔らかいタイプのわかめなので、味噌汁の熱で丁度よく火が入り、黒っぽい色から鮮やかな緑色へと器の中で変化していく様がどことなく美しい一皿になっていた。


「……とても、シンプル」

「そうですね。 でも、個人的には僕はこれが一番好きです。 どうぞ、ボリーさん」


 出来上がった味噌汁をボリーに渡すと、ボリーは早速豆腐とわかめを箸で口に運びつつ、ずずっと味噌汁を口に含んでいった。


「……ああ、美味い」

「豆腐の自然な仄かな甘みと、柔らかいわかめの風味が味噌と絶妙に合うんですよねぇ」

「……これは、確かに、至高」


 ほっと息を吐きながら味噌汁を飲んだボリーは、その風味が口に残っているうちに、ボリーが自分好みに作った少し塩気が強めの塩おにぎりを一口食べていった。


「……最高」

「ボリーさんを見てたら僕も食べたくなってきちゃいました」


 とても幸せそうにおにぎりと味噌汁を堪能するボリーを見て、うずうずし始めたシュージは、自分の分のおにぎりも手早く作って、同じようにおにぎりと味噌汁を食べ始めた。

 
「んー、やっぱり、こういうのでいいんですよねぇ」

「……分かる」


 もちろん、手の込んだ料理もそれはそれで良いのだが、ふとした時に食べるこういう食事はやけに心と体に染み渡っていき、それによる言葉にならない幸福感と満足感を朝から堪能するボリーとシュージなのであった。



 ※※※



 皆んなは何の味噌汁が好きですか?
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