マッチョな料理人が送る、異世界のんびり生活。 強面、筋骨隆々、非常に強い。でもとっても優しい男が異世界でほのぼの暮らすお話

かむら

文字の大きさ
197 / 435
連載

#224 工業国家、バンデンへ

しおりを挟む
「おお、ここが工業国家の王都ですか」


 本日、シュージと蒼天の風の一部のメンバー達は、転移門を使って工業国家、バンデンを訪れていた。

 今回はシュージと一緒にこの国出身で案内ができるジンバとミノリ、そして社会勉強に見習い組のリック、カイン、メイの3人、その監督役でボリーとグレース、あと色々買い物をしたいというハンスもやって来ている。

 シュージとハンスがギルドを同時に離れるのはなかなか珍しいが、残ったメンバーの食事に関しては冷凍で色々な料理を作り置きしてきたし、残ったメンバーはある程度料理はできる面々なので、作り置きが無くなってもまぁなんとかなるだろう。


「聞いていた通り、なかなか暑いですね」

「火山が近いからの。 それに、元々この辺りは年中暑いんじゃ」


 シュージ達が暮らしているシルムーン国は、まだまだ寒くて日中でも10℃に届かない日が多い。

 だが、この国は体感30℃くらいはあり、皆んな着ていた上着などをすぐに脱いで薄着になっていた。


「王都は大きく分けて3つの区画に分かれてて、今いるのが平民が暮らす城下町エリア。 で、城に近いあっちの区画が貴族や裕福な人、あとは高名な職人とかが暮らすエリア。 最後に、向こうの方の煙が立ち昇ってるエリアが色んな工房がある職人街エリアだね」

「なるほど。 分かりやすいですね」


 とりあえず、今回シュージは3泊ほどこの国でするつもりで、今日は街で色々と食材や面白そうなアイテムがないか散策し、明日は王城に赴く事になっている。

 そこでは他の国同様、料理指南や実際に料理を振る舞ったりする予定である。

 今回の訪問の前に、王城には当然この日程で訪問する予定だとは伝えていて、ある程度準備をしていてくれていたのか、とてもすんなり王城訪問の予定は決まった。

 どうやら、この国の王であるデグンダも、シュージの訪問を楽しみにしてくれているようだ。


 ……ドドドドッ


「……なんか、きてる?」

「あら、本当ですね」
 

 それからシュージ達が街をのんびり見ながら宿を目指していると、通りの向こうから何やら猛スピードで近づいてくる人影があった。
 

「……~~ノ~~リ~~!」

「げっ……!」

「とうっ! ふぅ、迎えに来たぞ!」


 その人影の正体は、Sランク冒険者であり、ミノリの姉であるサキナだった。


「シュージ達も、ちょっと振りだね!」

「ご無沙汰してます、サキナさん」

「お姉ちゃん、仕事は……?」

「今は昼休みだ! それで、休んでたらミノリが来た気がして、来てみた!」

「な。なにそれ怖い……」

「あぁ、ミノリは今日も可愛いなぁ……♡」


 相変わらずのシスコンのサキナだが、どうやら以前にミノリとした、周りに人がいる時はベタベタしないという約束をちゃんと守っているようで、ミノリのすぐそこに立ってはいるが、以前のように抱きついたりはしていなかった。

 ただ、周りにいたこの国の人達は「あ、サキナさんだ」「妹さん来たのね」「今日は大人しめだな」なんて事を言っていて、どうやらサキナがシスコンな事はこの国の人からすると割と当たり前の知識らしい。

 そんなにサキナの知名度が高いのは、この国の防人という仕事の重要さから来るもので、防人が近くの火山の魔物を倒さないと、この国の生命線である火山の資源が採れなくなってしまい、国が回らなくなってしまうのだ。

 そんな防人の中でもサキナは筆頭と呼ばれる一番の実力者なので、当然この街の人達はサキナの事をとてもリスペクトしているのだ。

 だから、重度のシスコンという下手すればマイナスなイメージになりかねない要素も「家族想いで良いね」とか、「人間、誰しもちょっとしたマイナスポイントもあるよね」みたいな感じで受け入れられていた。


「ミノリは家で寝るだろう? 今日は早く帰らないとな!」

「え、普通に皆んなと宿に泊まろうかと……」

「えっ……」


 ミノリがそう言った瞬間、サキナの雰囲気がズゥンと暗いものになった。
 

「あーもう…… 分かった分かった。 夜はそっち行くよ。 でも、昼間とかは普通にギルドの皆んなと街回ったりするからね」

「そ、そうか! 私も明後日は休みだから、その時は一緒に案内させてくれ!」

「はいはい」

「じゃあ、昼休みも終わるから、私は戻るな! シュージ達もぜひこの国を楽しんでいってくれ!」


 サキナはそう言うと、慌ただしくその場を後にした。


「もう…… 騒がしいんだから」

「はは、変わりませんねぇ」


 それからシュージ達は、今回の訪問に当たって王城の方で宿を既に取ってくれたようなので、その宿に移動した。

 最高級の宿とかで無くて良いとは伝えておいたが、そこはかなり綺麗な宿で、ワンフロア分を貸切状態にしてくれていた。

 まぁ、ありがたい事にはありがたいので、各自一室ずつ使う事になり、それぞれ部屋に自分の荷物を置いていった。

 それから何名かのグループに分かれ、それぞれ街に繰り出し、工業国家を楽しみ始めるのであった。
しおりを挟む
感想 256

あなたにおすすめの小説

隠れ居酒屋・越境庵~異世界転移した頑固料理人の物語~

呑兵衛和尚
ファンタジー
調理師・宇堂優也。 彼は、交通事故に巻き込まれて異世界へと旅立った。 彼が異世界に向かった理由、それは『運命の女神の干渉外で起きた事故』に巻き込まれたから。 神々でも判らない事故に巻き込まれ、死亡したという事で、優也は『異世界で第二の人生』を送ることが許された。 そして、仕事にまつわるいくつかのチート能力を得た優也は、異世界でも天職である料理に身をやつすことになるのだが。 始めてみる食材、初めて味わう異世界の味。 そこは、優也にとっては、まさに天国ともいえる世界であった。 そして様々な食材や人々と出会い、この異世界でのライフスタイルを謳歌し始めるのであった。 ※【隠れ居酒屋・越境庵】は隔週更新です。

異世界に召喚されたけど、戦えないので牧場経営します~勝手に集まってくる動物達が、みんな普通じゃないんだけど!?~

黒蓬
ファンタジー
白石悠真は、ある日突然異世界へ召喚される。しかし、特別なスキルとして授かったのは「牧場経営」。戦えない彼は、与えられた土地で牧場を経営し、食料面での貢献を望まれる。ところが、彼の牧場には不思議な動物たちが次々と集まってきて――!? 異世界でのんびり牧場ライフ、始まります!

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

『異世界ごはん、はじめました!』 ~料理研究家は転生先でも胃袋から世界を救う~

チャチャ
ファンタジー
味のない異世界に転生したのは、料理研究家の 私!? 魔法効果つきの“ごはん”で人を癒やし、王子を 虜に、ついには王宮キッチンまで! 心と身体を温める“スキル付き料理が、世界を 変えていく-- 美味しい笑顔があふれる、異世界グルメファン タジー!

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。