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#183 濃厚つけ麺を作ろう
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「むむむ……」
「ぬぬぬ……」
「こっちです!」
「あー!?」
「わーい! 僕の勝ちですー!」
「うー、負けちゃいましたー」
現在、蒼天の風の食堂には、お馴染みケットシー商会のマルゥとメルゥがやって来ていて、朝からとあるものの仕込みをしていたシュージとハンスとトランプをして遊んでいた。
仕込みに関しては、今は鍋でコトコトじっくり煮込んでいる段階なので大丈夫だ。
「それにしても、このトランプ扱いやすいですねぇ」
「表面がツルツルになるように加工したんですよー!」
「良いですね。 シャッフルもしやすいです」
「もうトランプは平民から貴族まで凄い人気ですよー!」
「他にも、将棋とかオセロも凄い売れてますー!」
最近販売が始まったトランプや将棋などの娯楽用品は、その小さな子供から大人まで楽しめる手軽さと簡単さから飛ぶように売れているそう。
やはり料理や食材といった文化の違いなどがあって広まるのが遅めなものとは違い、馴染みやすい娯楽商品は他国にもあっという間に浸透していってるらしい。
まぁ、元々この世界に目ぼしい娯楽が無かったのも理由の一つだろう。
「トランプ一個買うだけで、色んな遊びができるのはいいですよねー!」
「そうですね。 あ、そういえば、こんなこともできますよ」
そう言いながらシュージは、スペードのAのカードと、残りもう2枚適当にカードを選んで取り出した。
「ハンスさん、これがスペードのAです」
「あ、はい。 そうですね」
「では、こうして並べてみて……」
ハンスにスペードのAを確認してもらったシュージは、そのままカードを一枚ずつ裏返しでテーブルに並べた。
「はい、ハンスさん。 スペードのAはどこでしょう?」
「えっ、そりゃあ、右のカードですよね」
「はは、残念。 ハズレです」
「えっ!?」
「えー! 僕もそこだと思ってましたー!」
「私もですー!」
シュージがやって見せたのは、タネさえ知っていれば誰でもできる簡単なマジックだった。
ありがたい事に、3人ともまんまと引っかかってくれた。
「こんな風に、人を欺いて楽しませるマジックに使えたりするんですよ」
「魔法じゃないんですかー?」
「いえいえ、僕には魔法は使えませんよ。 これは目の錯覚や誘導を使った遊びです」
それからシュージは、3人にタネ明かしをしてあげた。
とは言っても、このマジックは手の動かし方やカードの持ち方を少し工夫するだけなのだが。
「なるほど…… 言われてみるとすごい単純ですね」
「僕の故郷にはもっとタネの分からないマジックをする方がいて、その方々はマジシャンと呼ばれてましたね」
「こんな遊び方もあるんですねー!」
「私も覚えて余興に使いたいですー!」
それから少しの間、シュージが知ってるマジックを3人に披露してあげたりしていたら、仕込んでいた食材がいい感じになってきたので、一旦トランプは片付けて、シュージとハンスは厨房に戻っていった。
マルゥとメルゥもカウンター席に移動し、シュージとハンスが作っているものを眺め始めた。
「うん、良い感じですね」
「シュージ君、それなんですー?」
「こちらは魚の骨を煮込んだスープですね」
「おー! 良い匂いですー!」
今回仕込んでいたのは、鯛などの魚の骨をかなり長時間煮込んだスープで、骨の髄までしっかり溶け出して、少しとろみがついていた。
そのスープを薄い布を被せたザルでしっかり濾して、同じタイミングで作っておいた鶏がらスープ、醤油、砂糖に飛び魚の干物であるあごだし、干貝柱などからとった醤油ダレを器に入れてしっかり混ぜ合わせたら、濃厚魚介醤油スープの完成だ。
あとはここに刻んだ白ネギ、四角く切った海苔、特製メンマ、そしてスープと一緒に煮込んでおいた煮卵と、以前獣人国にいった際に手に入れた、サンダーボアという猪の魔物の肉で作ったチャーシューを盛り付け、太めの中華麺を別皿に盛り付けたら、特製魚介醤油つけ麺の完成だ。
「ふぉぉ……! 凄く美味しそうですー……!」
「匂いも見た目も満点ですー……!」
「他の方が来るのを待つのもアレですし、先に食べちゃいましょうか」
という事で、一旦4人分のつけ麺を用意し、他のメンバーが来る前に食べ始める事にした。
「ん~♡!? な、なんですかこの旨味はー! 美味しすぎますー!」
「濃厚なスープがもちもちの麺とバッチリ合わさってますー!」
「うわ…… これめちゃくちゃ美味しいですね!」
すると、一口食べた瞬間にマルゥ、メルゥ、ハンスから大絶賛の声が上がった。
それもそのはず、魚介の旨味がこれでもかと出ている醤油ベースのつけ汁は、濃厚なはずなのに麺をすする手が止まらないくらいの美味しさだった。
更に、ネギや海苔、煮卵、チャーシュー、メンマといったトッピングを間に挟む事で、全く飽きも来ないという、とても完成度の高い料理となっていた。
「ラーメンってやっぱり奥深いですね!」
この味は、ラーメンにハマって、シュージがいない時に自分で色んなスープを開発し始めるぐらいラーメンが好きになったハンスも唸る美味しさだった。
「この味は全世界に広まって欲しいですねー!」
「中々食材を集めるのが大変ですけどね」
「そういう時のために僕達商人がいますー! やっぱりもっともっと物流を良くしないとですねー!」
「おお、頼もしいですね。 僕にできる事なら全然手伝いますので、遠慮なく言ってください」
「「ありがとうございますー!!」」
それから昼食を食べに来た他のメンバー達にもつけ麺を出してみたところ、全員から絶賛の嵐で、やっぱりラーメンは偉大だなとしみじみ思うシュージなのであった。
「ぬぬぬ……」
「こっちです!」
「あー!?」
「わーい! 僕の勝ちですー!」
「うー、負けちゃいましたー」
現在、蒼天の風の食堂には、お馴染みケットシー商会のマルゥとメルゥがやって来ていて、朝からとあるものの仕込みをしていたシュージとハンスとトランプをして遊んでいた。
仕込みに関しては、今は鍋でコトコトじっくり煮込んでいる段階なので大丈夫だ。
「それにしても、このトランプ扱いやすいですねぇ」
「表面がツルツルになるように加工したんですよー!」
「良いですね。 シャッフルもしやすいです」
「もうトランプは平民から貴族まで凄い人気ですよー!」
「他にも、将棋とかオセロも凄い売れてますー!」
最近販売が始まったトランプや将棋などの娯楽用品は、その小さな子供から大人まで楽しめる手軽さと簡単さから飛ぶように売れているそう。
やはり料理や食材といった文化の違いなどがあって広まるのが遅めなものとは違い、馴染みやすい娯楽商品は他国にもあっという間に浸透していってるらしい。
まぁ、元々この世界に目ぼしい娯楽が無かったのも理由の一つだろう。
「トランプ一個買うだけで、色んな遊びができるのはいいですよねー!」
「そうですね。 あ、そういえば、こんなこともできますよ」
そう言いながらシュージは、スペードのAのカードと、残りもう2枚適当にカードを選んで取り出した。
「ハンスさん、これがスペードのAです」
「あ、はい。 そうですね」
「では、こうして並べてみて……」
ハンスにスペードのAを確認してもらったシュージは、そのままカードを一枚ずつ裏返しでテーブルに並べた。
「はい、ハンスさん。 スペードのAはどこでしょう?」
「えっ、そりゃあ、右のカードですよね」
「はは、残念。 ハズレです」
「えっ!?」
「えー! 僕もそこだと思ってましたー!」
「私もですー!」
シュージがやって見せたのは、タネさえ知っていれば誰でもできる簡単なマジックだった。
ありがたい事に、3人ともまんまと引っかかってくれた。
「こんな風に、人を欺いて楽しませるマジックに使えたりするんですよ」
「魔法じゃないんですかー?」
「いえいえ、僕には魔法は使えませんよ。 これは目の錯覚や誘導を使った遊びです」
それからシュージは、3人にタネ明かしをしてあげた。
とは言っても、このマジックは手の動かし方やカードの持ち方を少し工夫するだけなのだが。
「なるほど…… 言われてみるとすごい単純ですね」
「僕の故郷にはもっとタネの分からないマジックをする方がいて、その方々はマジシャンと呼ばれてましたね」
「こんな遊び方もあるんですねー!」
「私も覚えて余興に使いたいですー!」
それから少しの間、シュージが知ってるマジックを3人に披露してあげたりしていたら、仕込んでいた食材がいい感じになってきたので、一旦トランプは片付けて、シュージとハンスは厨房に戻っていった。
マルゥとメルゥもカウンター席に移動し、シュージとハンスが作っているものを眺め始めた。
「うん、良い感じですね」
「シュージ君、それなんですー?」
「こちらは魚の骨を煮込んだスープですね」
「おー! 良い匂いですー!」
今回仕込んでいたのは、鯛などの魚の骨をかなり長時間煮込んだスープで、骨の髄までしっかり溶け出して、少しとろみがついていた。
そのスープを薄い布を被せたザルでしっかり濾して、同じタイミングで作っておいた鶏がらスープ、醤油、砂糖に飛び魚の干物であるあごだし、干貝柱などからとった醤油ダレを器に入れてしっかり混ぜ合わせたら、濃厚魚介醤油スープの完成だ。
あとはここに刻んだ白ネギ、四角く切った海苔、特製メンマ、そしてスープと一緒に煮込んでおいた煮卵と、以前獣人国にいった際に手に入れた、サンダーボアという猪の魔物の肉で作ったチャーシューを盛り付け、太めの中華麺を別皿に盛り付けたら、特製魚介醤油つけ麺の完成だ。
「ふぉぉ……! 凄く美味しそうですー……!」
「匂いも見た目も満点ですー……!」
「他の方が来るのを待つのもアレですし、先に食べちゃいましょうか」
という事で、一旦4人分のつけ麺を用意し、他のメンバーが来る前に食べ始める事にした。
「ん~♡!? な、なんですかこの旨味はー! 美味しすぎますー!」
「濃厚なスープがもちもちの麺とバッチリ合わさってますー!」
「うわ…… これめちゃくちゃ美味しいですね!」
すると、一口食べた瞬間にマルゥ、メルゥ、ハンスから大絶賛の声が上がった。
それもそのはず、魚介の旨味がこれでもかと出ている醤油ベースのつけ汁は、濃厚なはずなのに麺をすする手が止まらないくらいの美味しさだった。
更に、ネギや海苔、煮卵、チャーシュー、メンマといったトッピングを間に挟む事で、全く飽きも来ないという、とても完成度の高い料理となっていた。
「ラーメンってやっぱり奥深いですね!」
この味は、ラーメンにハマって、シュージがいない時に自分で色んなスープを開発し始めるぐらいラーメンが好きになったハンスも唸る美味しさだった。
「この味は全世界に広まって欲しいですねー!」
「中々食材を集めるのが大変ですけどね」
「そういう時のために僕達商人がいますー! やっぱりもっともっと物流を良くしないとですねー!」
「おお、頼もしいですね。 僕にできる事なら全然手伝いますので、遠慮なく言ってください」
「「ありがとうございますー!!」」
それから昼食を食べに来た他のメンバー達にもつけ麺を出してみたところ、全員から絶賛の嵐で、やっぱりラーメンは偉大だなとしみじみ思うシュージなのであった。
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