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#159 うなぎの肝吸い
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「いやー、ありがとのシュージ。 助かったわい」
「いえいえ、お安い御用ですよ」
本日、シュージは先代用務員のズズムの手伝いをしていた。
その内容は、ズズムが作っている野菜などを商会に卸すことで、箱詰めされた野菜類をリヤカーで商会まで運んだり、商会の倉庫にその箱を運び込んだりと、中々の重労働だった。
ただ、ムキムキマッチョのシュージからしたらこれぐらい朝飯前なので、いつもは2時間ほどかかるという作業が1時間もかからずに終わってしまった。
「年々この作業がしんどくなってきてなぁ。 寄る年波には敵わねぇよ」
「これぐらいで良ければいつでも手伝いますよ。 ズズムさんにはいつも美味しい野菜をお裾分けしてもらってますし」
「そうかい、助かるよ。 今日のお礼も期待しとってくれ」
「はは、ありがとうございます」
そんな卸し作業を終えた2人は、ズズムの家に戻っていった。
大体ズズムと会う時はこうしてズズムの家にお邪魔して、のんびりさせてもらうのが通例になっていた。
「戻ったぞーい」
「ああ、おかえりなさい」
ズズム宅に入ると、ズズムの妻のハナエが出迎えてくれた。
「シュージちゃん、ありがとねぇ。 疲れたでしょう?」
「いえいえ、体力には自信ありますから、心配するほどじゃ無いですよ」
「流石だねぇ。 ほら、お茶を淹れておきましたから、ゆっくりしてって?」
「ありがとうございます」
そのままリビングに上げてもらったシュージは、お茶を飲んで一息ついた。
そこからはいつものように、ズズム達に最近何があったのかを聞かせてあげる時間となった。
もうあまり遠出などが体力的にも厳しい2人からすると、色んな場所に赴いて色んな体験をしているシュージの話は聞いていてとても楽しく、ありがたいのだ。
「シュージはもう、この世界のほとんどの国に行ったんじゃな」
「そうですね。 あと行ってないのは獣人国と工業国家、あと魔国くらいですかね?」
「お土産話が色々聞けて助かっとるよ。 それに、婆さんが最近シュージのレシピを使って料理するのにハマっててな。 前までの食事に不満があったわけじゃ無いが、劇的に美味くなったの」
「シュージちゃんの料理は簡単なのに美味しくて凄いですからねぇ」
「そう言ってもらえると嬉しいです。 あ、そういえば、またちょっと珍しい食材を手に入れたんですよ」
「お、新作じゃな。 今回は珍味か?」
「そうですね、珍味に入るかと」
こうしてズズムの家に訪れた時は、大抵シュージが何か簡単なものを作ったりしている。
なので、今回も早速キッチンを借りて、手早く一品作ることになった。
「今回はこちらを使います」
「何じゃ、これ?」
「うなぎの肝ですね」
「うなぎって確か、ニョロニョロした魚でしたかねぇ?」
「そうですそうです。 あまり人気がないみたいですが、とても美味しいんですよ」
今回用意したのは、先日ハンスの誕生日の時に使ったうなぎの肝だ。
うなぎは捨てる部位がないと言われるぐらい、身はもちろん、骨や肝まで美味しく食べられる魚なのである。
ちなみに、骨に関しては油で揚げて骨せんべいにし、おやつとしてギルドのメンバーに提供したところ、めちゃくちゃ喜ばれた。
そんなうなぎの肝にシュージは少し塩を振り、サッと湯通しして冷ましておく。
そして、鍋に水とお手製の白だしを加えて煮立てていき、お椀にうなぎの肝を盛って、その上から出汁をかけていった。
「こちらがうなぎの肝吸いです」
「中々簡単じゃの?」
「お吸い物は作るのは簡単ですけど、本当に美味しいんですよ」
「では、早速…… おっ、本当じゃな。 これは美味い」
「とても安心する香りと味ですね。 体も温まります」
「うなぎの肝もぜひ」
「うむ。 ……ほー、コリコリしてて美味いの」
「癖になる感じがしますねぇ」
うなぎの肝はコリコリした貝のような食感が魅力の食材で、生臭さや砂っぽさとかもない、非常に美味しく食べられる部位だ。
それが優しい味わいのお吸い物と合わさると、何とも食べていて心が落ち着く一品になっている。
「僕の故郷でうなぎを扱うお店では、この肝吸いが食事のシメとして出てきたりするんですよ」
「確かに、これが食事の最後に出てきたら、何だか幸せな気分になるじゃろうな」
「うなぎは捌くのが少し難しいので、今度売っていた露天商の方や商会と、捌いた状態で売ってみないかと相談しようと思ってます。 絶対売れると思うので」
「そんなに美味いんなら、食べてみたいのう」
「ぜひぜひ。 後悔はしないと思いますので」
そんな風にズズムとハナエと肝吸いを楽しみつつ、のんびりとした時間を過ごすシュージなのであった。
それから程なくして、うなぎの切り身がシュージのレシピと共に商会で扱われるようになり、その美味しさから需要がとてつもなく高まるのだが、それはまた別のお話。
「いえいえ、お安い御用ですよ」
本日、シュージは先代用務員のズズムの手伝いをしていた。
その内容は、ズズムが作っている野菜などを商会に卸すことで、箱詰めされた野菜類をリヤカーで商会まで運んだり、商会の倉庫にその箱を運び込んだりと、中々の重労働だった。
ただ、ムキムキマッチョのシュージからしたらこれぐらい朝飯前なので、いつもは2時間ほどかかるという作業が1時間もかからずに終わってしまった。
「年々この作業がしんどくなってきてなぁ。 寄る年波には敵わねぇよ」
「これぐらいで良ければいつでも手伝いますよ。 ズズムさんにはいつも美味しい野菜をお裾分けしてもらってますし」
「そうかい、助かるよ。 今日のお礼も期待しとってくれ」
「はは、ありがとうございます」
そんな卸し作業を終えた2人は、ズズムの家に戻っていった。
大体ズズムと会う時はこうしてズズムの家にお邪魔して、のんびりさせてもらうのが通例になっていた。
「戻ったぞーい」
「ああ、おかえりなさい」
ズズム宅に入ると、ズズムの妻のハナエが出迎えてくれた。
「シュージちゃん、ありがとねぇ。 疲れたでしょう?」
「いえいえ、体力には自信ありますから、心配するほどじゃ無いですよ」
「流石だねぇ。 ほら、お茶を淹れておきましたから、ゆっくりしてって?」
「ありがとうございます」
そのままリビングに上げてもらったシュージは、お茶を飲んで一息ついた。
そこからはいつものように、ズズム達に最近何があったのかを聞かせてあげる時間となった。
もうあまり遠出などが体力的にも厳しい2人からすると、色んな場所に赴いて色んな体験をしているシュージの話は聞いていてとても楽しく、ありがたいのだ。
「シュージはもう、この世界のほとんどの国に行ったんじゃな」
「そうですね。 あと行ってないのは獣人国と工業国家、あと魔国くらいですかね?」
「お土産話が色々聞けて助かっとるよ。 それに、婆さんが最近シュージのレシピを使って料理するのにハマっててな。 前までの食事に不満があったわけじゃ無いが、劇的に美味くなったの」
「シュージちゃんの料理は簡単なのに美味しくて凄いですからねぇ」
「そう言ってもらえると嬉しいです。 あ、そういえば、またちょっと珍しい食材を手に入れたんですよ」
「お、新作じゃな。 今回は珍味か?」
「そうですね、珍味に入るかと」
こうしてズズムの家に訪れた時は、大抵シュージが何か簡単なものを作ったりしている。
なので、今回も早速キッチンを借りて、手早く一品作ることになった。
「今回はこちらを使います」
「何じゃ、これ?」
「うなぎの肝ですね」
「うなぎって確か、ニョロニョロした魚でしたかねぇ?」
「そうですそうです。 あまり人気がないみたいですが、とても美味しいんですよ」
今回用意したのは、先日ハンスの誕生日の時に使ったうなぎの肝だ。
うなぎは捨てる部位がないと言われるぐらい、身はもちろん、骨や肝まで美味しく食べられる魚なのである。
ちなみに、骨に関しては油で揚げて骨せんべいにし、おやつとしてギルドのメンバーに提供したところ、めちゃくちゃ喜ばれた。
そんなうなぎの肝にシュージは少し塩を振り、サッと湯通しして冷ましておく。
そして、鍋に水とお手製の白だしを加えて煮立てていき、お椀にうなぎの肝を盛って、その上から出汁をかけていった。
「こちらがうなぎの肝吸いです」
「中々簡単じゃの?」
「お吸い物は作るのは簡単ですけど、本当に美味しいんですよ」
「では、早速…… おっ、本当じゃな。 これは美味い」
「とても安心する香りと味ですね。 体も温まります」
「うなぎの肝もぜひ」
「うむ。 ……ほー、コリコリしてて美味いの」
「癖になる感じがしますねぇ」
うなぎの肝はコリコリした貝のような食感が魅力の食材で、生臭さや砂っぽさとかもない、非常に美味しく食べられる部位だ。
それが優しい味わいのお吸い物と合わさると、何とも食べていて心が落ち着く一品になっている。
「僕の故郷でうなぎを扱うお店では、この肝吸いが食事のシメとして出てきたりするんですよ」
「確かに、これが食事の最後に出てきたら、何だか幸せな気分になるじゃろうな」
「うなぎは捌くのが少し難しいので、今度売っていた露天商の方や商会と、捌いた状態で売ってみないかと相談しようと思ってます。 絶対売れると思うので」
「そんなに美味いんなら、食べてみたいのう」
「ぜひぜひ。 後悔はしないと思いますので」
そんな風にズズムとハナエと肝吸いを楽しみつつ、のんびりとした時間を過ごすシュージなのであった。
それから程なくして、うなぎの切り身がシュージのレシピと共に商会で扱われるようになり、その美味しさから需要がとてつもなく高まるのだが、それはまた別のお話。
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