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#156 皆んなで餃子作り
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「では、始めて行きましょうか」
「「「はーい!」」」
現在、蒼天の風の食堂には何人かのメンバー達が集まっていた。
というのも、今日は定期的に開催される皆んなで一緒に料理をしようの会が開かれていて、これから作るものをそのまま夕食にするつもりなのだ。
ちなみに今回は見習い組の3人に、キリカ、アンネリーゼ、ハンス、そしてジルバートとディアナもいた。
ディアナはたまにシュージが料理してるところを眺めに来たりするが、ジルバートがこうして料理をしに来るのは珍しい。
なんでも、先程一緒に事務仕事をしていたキリカが誘ってみたら、たまにはやるかという事で来てくれたそう。
シュージ的にはお手伝い要員は誰が何人来てもありがたいので、快くジルバートのことも受け入れていた。
「では、お手本を作ってみますね」
そんなメンバー達の前で、シュージは本日作るもののお手本を見せていく。
「まず、こちらの生地を手に持って、肉だねをこれぐらい載せます」
そう言ってシュージが手に持ったのは、手のひらサイズの丸い生地で、その上にひき肉、刻んだにらとキャベツ、各種調味料を混ぜ合わせて作った肉だねを載せていく。
「そうしたら、皮の両端を摘んで重ねます。 次に、こんな感じで左右にひだを作って、真ん中に寄せて閉じれたらOKです」
説明をしながらシュージが作ったのは、前世では人気料理と言っていいぐらい浸透していた餃子である。
今回はお店で出てくるような沢山ひだを作る包み方ではなく、真ん中に寄せるだけの簡単な包み方を教えた。
沢山ひだを作る方はちょっとコツがいるので、今回のような餃子を作るのが初めての者が多い場合はこっちの方が良いだろう。
そんなシュージのお手本を見た他のメンバー達は、早速餃子を作り始めた。
「ふむ、こんな感じか」
「お、ギルマス上手いな!」
「流石に多少は料理の心得もある。 ただ、もうお前達の方が上手いかもな」
「オイラ達はほぼ毎日手伝いしてるからね」
「むむむ……」
「ディアナ様、大丈夫ですか……?」
「こういう手先の必要な作業は苦手かも……」
「お前は大雑把だからな」
「うるさいよ、ジルバート……」
色々言い合ったりはしてるが、皆んな初めての餃子作りを楽しんでくれていた。
「シュージさん、中身がボウルにいくつか分けられてますけど、何か違うんですか?」
「ちょっと違いますね。 これが普通ので、こっちが大葉を刻んで混ぜ込んだもの、こっちがチーズを入れたものです」
「色々あるんですね」
「皆さん沢山食べると思いますし、全部同じ味だと飽きちゃうかなと思いまして」
「それは確かにそうね。 ……ところで、シュージのそれは何なのかしら……?」
アンネリーゼがそう言って目線を向けた先には、とてつもなく大きな餃子がデンっと鎮座していた。
「餃子20個分の材料を使った特大餃子です」
「大き過ぎない……?」
「大きなお皿の上の真ん中にこれを置いて、周りに普通サイズの餃子を並べれば映えるかなと思いまして」
「な、なるほど?」
折角の餃子パーティーなので、皆んなに驚き喜んで欲しいという茶目っけから、シュージは各肉だねで一個ずつ特大餃子を作っていた。
「焼くのが大変そうですね?」
「一つはハンスさんに任せますね」
「はは、分かりました」
その後も皆んなでせっせと大量の餃子を作っていき、夕食の時間が迫って来たら、できたものからシュージとハンスで焼き始めた。
フライパンにくっつかないよう油をしっかり敷いてちょこちょこ様子も見つつ、軽く水を注いで羽根なんかも作りながら焼いていく。
「よし、第一陣が焼けましたよー」
「「「おぉー!」」」
そんなこんなで焼き上がった餃子を大皿に並べて、真ん中に特大餃子も乗せてテーブルに並べると、腹ペコ軍団がこぞって突撃していった。
「これ美味しー!」
「中から肉汁が出てくる!」
今回は醤油と酢を合わせたタレから、ラー油を使った辛めのタレ、柑橘が香るポン酢なんかを用意したので、皆んなそれぞれ好きなものをかけて餃子を頬張っていた。
特に大食い面子の勢いは凄まじく、どんどんライスと一緒に餃子が消費されていった。
「こっちのはあっさりしてて良いですね……」
「そうだねぇ」
「チーズ入り、うまうま」
「何個でもいけるなこれ!」
そして、大葉入りとチーズ入りの方もそれぞれ一定数のメンバーに人気が出ており、こちらもどんどん消費されていく。
「ふむ、美味いな」
「それは良かったです」
「なんだか普段より美味く感じるのは気のせいか?」
「自分で作ったからかもしれませんね。 達成感とかそういうのが相まって」
「なるほどな」
「ジルさんの気が向いたらいつでもまた料理しに来ていいですよ」
「そうだな。 中々面白かったし、また来よう」
その後、皆んなで特大餃子をわいわい騒ぎながら包丁で切り分けたり、追加の餃子を先程はいなかったメンバーと一緒に作ったりと、とても楽しい時間が過ぎていった。
やはり親しい仲間と一緒にこうして楽しむ食事は良いものだなと、改めて実感させられたシュージなのであった。
「「「はーい!」」」
現在、蒼天の風の食堂には何人かのメンバー達が集まっていた。
というのも、今日は定期的に開催される皆んなで一緒に料理をしようの会が開かれていて、これから作るものをそのまま夕食にするつもりなのだ。
ちなみに今回は見習い組の3人に、キリカ、アンネリーゼ、ハンス、そしてジルバートとディアナもいた。
ディアナはたまにシュージが料理してるところを眺めに来たりするが、ジルバートがこうして料理をしに来るのは珍しい。
なんでも、先程一緒に事務仕事をしていたキリカが誘ってみたら、たまにはやるかという事で来てくれたそう。
シュージ的にはお手伝い要員は誰が何人来てもありがたいので、快くジルバートのことも受け入れていた。
「では、お手本を作ってみますね」
そんなメンバー達の前で、シュージは本日作るもののお手本を見せていく。
「まず、こちらの生地を手に持って、肉だねをこれぐらい載せます」
そう言ってシュージが手に持ったのは、手のひらサイズの丸い生地で、その上にひき肉、刻んだにらとキャベツ、各種調味料を混ぜ合わせて作った肉だねを載せていく。
「そうしたら、皮の両端を摘んで重ねます。 次に、こんな感じで左右にひだを作って、真ん中に寄せて閉じれたらOKです」
説明をしながらシュージが作ったのは、前世では人気料理と言っていいぐらい浸透していた餃子である。
今回はお店で出てくるような沢山ひだを作る包み方ではなく、真ん中に寄せるだけの簡単な包み方を教えた。
沢山ひだを作る方はちょっとコツがいるので、今回のような餃子を作るのが初めての者が多い場合はこっちの方が良いだろう。
そんなシュージのお手本を見た他のメンバー達は、早速餃子を作り始めた。
「ふむ、こんな感じか」
「お、ギルマス上手いな!」
「流石に多少は料理の心得もある。 ただ、もうお前達の方が上手いかもな」
「オイラ達はほぼ毎日手伝いしてるからね」
「むむむ……」
「ディアナ様、大丈夫ですか……?」
「こういう手先の必要な作業は苦手かも……」
「お前は大雑把だからな」
「うるさいよ、ジルバート……」
色々言い合ったりはしてるが、皆んな初めての餃子作りを楽しんでくれていた。
「シュージさん、中身がボウルにいくつか分けられてますけど、何か違うんですか?」
「ちょっと違いますね。 これが普通ので、こっちが大葉を刻んで混ぜ込んだもの、こっちがチーズを入れたものです」
「色々あるんですね」
「皆さん沢山食べると思いますし、全部同じ味だと飽きちゃうかなと思いまして」
「それは確かにそうね。 ……ところで、シュージのそれは何なのかしら……?」
アンネリーゼがそう言って目線を向けた先には、とてつもなく大きな餃子がデンっと鎮座していた。
「餃子20個分の材料を使った特大餃子です」
「大き過ぎない……?」
「大きなお皿の上の真ん中にこれを置いて、周りに普通サイズの餃子を並べれば映えるかなと思いまして」
「な、なるほど?」
折角の餃子パーティーなので、皆んなに驚き喜んで欲しいという茶目っけから、シュージは各肉だねで一個ずつ特大餃子を作っていた。
「焼くのが大変そうですね?」
「一つはハンスさんに任せますね」
「はは、分かりました」
その後も皆んなでせっせと大量の餃子を作っていき、夕食の時間が迫って来たら、できたものからシュージとハンスで焼き始めた。
フライパンにくっつかないよう油をしっかり敷いてちょこちょこ様子も見つつ、軽く水を注いで羽根なんかも作りながら焼いていく。
「よし、第一陣が焼けましたよー」
「「「おぉー!」」」
そんなこんなで焼き上がった餃子を大皿に並べて、真ん中に特大餃子も乗せてテーブルに並べると、腹ペコ軍団がこぞって突撃していった。
「これ美味しー!」
「中から肉汁が出てくる!」
今回は醤油と酢を合わせたタレから、ラー油を使った辛めのタレ、柑橘が香るポン酢なんかを用意したので、皆んなそれぞれ好きなものをかけて餃子を頬張っていた。
特に大食い面子の勢いは凄まじく、どんどんライスと一緒に餃子が消費されていった。
「こっちのはあっさりしてて良いですね……」
「そうだねぇ」
「チーズ入り、うまうま」
「何個でもいけるなこれ!」
そして、大葉入りとチーズ入りの方もそれぞれ一定数のメンバーに人気が出ており、こちらもどんどん消費されていく。
「ふむ、美味いな」
「それは良かったです」
「なんだか普段より美味く感じるのは気のせいか?」
「自分で作ったからかもしれませんね。 達成感とかそういうのが相まって」
「なるほどな」
「ジルさんの気が向いたらいつでもまた料理しに来ていいですよ」
「そうだな。 中々面白かったし、また来よう」
その後、皆んなで特大餃子をわいわい騒ぎながら包丁で切り分けたり、追加の餃子を先程はいなかったメンバーと一緒に作ったりと、とても楽しい時間が過ぎていった。
やはり親しい仲間と一緒にこうして楽しむ食事は良いものだなと、改めて実感させられたシュージなのであった。
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