マッチョな料理人が送る、異世界のんびり生活。 強面、筋骨隆々、非常に強い。でもとっても優しい男が異世界でほのぼの暮らすお話

かむら

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#143 新しい調理に便利な道具

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「シュージさん、ちょっと良いですか……?」

「どうしましたか、シドさん?」

「前にシュージさんと話してたもので、いい感じに作れた物があるのでちょっと見てもらいたくて……」

「お、行きます行きます」


 優秀なアイテム士であるシドは、もちろんポーションや発煙弾のような冒険者の役に立つアイテムを作るのが主な仕事だが、それ以外にも日常で使えるアイテムを作ったりもしている。

 例を挙げると、シュージがいつも使っているスライムシートもシドのようなアイテム士が開発した便利道具で、シドもたまに作ったりしているそうだ。

 そんなシドとはちょくちょく、シュージが前世で使っていた道具でこんな便利なものがあったんだよーみたいな話をする事があり、今回はその中の一つを作ってくれたらしい。

 という事で、早速シドが普段籠っている製作室に向かった。


「ちょっとごちゃついててすみません……」

「おや、これはまた。 あとで掃除しましょうか」

「助かります…… 僕も手伝いますので……」


 いざ入った製作室は何やら色んな素材の破片や紙の切れ端などが散らばっていた。

 やはり、物作りをする人の空間はこんな感じになりがちで、ジンバやミノリがいる鍛冶場なども目を離したうちに結構散らかっている事が多い。

 なので、そういう場所には週に1~2回ぐらいシュージの掃除の手が入り、何とかゴミで溢れたりはしないように保たれている。

 シドやジンバ達からすると、面倒な掃除を快く引き受けてくれるシュージには頭が上がらないので、シュージの頼み事なんかは率先してやってくれるのだ。

 今回のシドの場合、シュージが頼んだわけではないが、「こういうのがあると料理に使えて便利なんですよねぇ」とその道具の話をした時にシュージが溢していて、なら作ってあげたいという気持ちになったみたいだ。


「こちらですね…… ちょっと作り過ぎちゃったんですけど……」

「おお、これは…… 少し確かめてみてもいいですか?」

「どうぞどうぞ……」


 そんなシドが見せてきた道具は、メタリックにギラギラと輝いているが、ペラペラの紙状の物体で、シュージはその手触りなどを確かめていく。


「うん、パッと見た感じ、僕の前世にあったものと大差ないですね」

「本当ですか……? 良かったです…… 確か、アルミホイル、でしたっけ?」

「そうですそうです。 これがあると便利なんですよねぇ」


 そう、シュージが以前シドに話した道具というのは、アルミホイルだった。

 やはり料理をする上でアルミホイルがあると、作れる料理や省ける工程が結構増えるので、ずっと欲してはいたのだ。


「どうやって作ったんですか?」

「メタルスライムの硬いけど柔軟性のある成分と、グリモワという魔法を使ってくる本の魔物がいるんですけど、その体を構成する紙の部分の成分の良い所取りをして混ぜて、あと固形化の魔法や防水効果を付けたりとか……」


 作り方を聞いてみたは良いものの、シュージにはちょっとよくわからなかった。

 が、話を聞いただけでここまでしっかり再現できるというのは、シドの腕がとても良い事を示していると思う。
 

「結構大変そうですね?」

「新発明のアイテム作りは大体そんなものです…… あとはどうやって工程を省略したり、安全性を確かめたり、量産はできそうかなども研究しないと……」

「わざわざありがとうございます」

「いえいえ…… 新しいアイテムを作るのは僕も楽しいですし、いつもシュージさんにはお世話になってますから…… あ、とりあえず、料理に使うぐらいの耐火性は保証します……」

「ありがとうございます。 早速試してみますね」


 丁度時刻はお昼時なので、早速アルミホイルを使って昼ご飯を作ることにした。

 とりあえずお試しなので、今回は簡単な一品料理にする。

 使ってみて良かったら今度はメイン料理を作るのにも使いたいなと思ったり。

 という事で厨房に向かったシュージは、メインのオーク肉をフライパンで焼きつつ、アルミホイルを広げて、その上に手で程よいサイズに割いたエリンギを並べていく。

 その上に酒、醤油、刻みニンニクをかけて、バターを乗せたらアルミホイルを閉じる。

 これを今日の昼ご飯を食べる人数分作ったら、オーブンに入れて焼いていく。

 アルミホイルで包んで焼くと、しっかりとした蒸し焼きになるので、肉や魚、今回のエリンギのようなキノコなどがとってもジューシーに仕上がってくれる。

 他にも焦がしたりする心配もないし、オーブンも汚れず洗い物も少なくて済むので、めちゃくちゃ便利なのだ。

 それからたまにオーブンを開けて、アルミホイルが問題ないかをちょこちょこ確認しつつ、じっくり焼き上げていく。

 恐らく、こちらの世界でこのアルミホイルを売るならば、メタルスライムシートみたいな名前になると思われる。

 そもそもこれはアルミでもない別のものなので。

 ちなみに、スライムシート系統もそうだが、そういうものは魔物素材で作られているので、色々とリサイクルができるそうだ。

 魔物素材は魔素を沢山含んでいるので、捨てられたものを圧縮して魔石と呼ばれる魔道具の動力源にしたり、成分を取り出して新たな道具にしたりと、話を聞く感じ地球のアルミなどをリサイクルするよりも効率よく資源を使えているように感じる。

 ちゃんとこちらの世界にもリサイクルという概念があると聞いて、どの世界でも資源の大切さは共通なんだなとしみじみ思うシュージだった。

 そんな事を思いつつ、メインのオーク肉の焼き肉やサラダを作っていたら、エリンギのホイル焼きもいい感じになったので取り出し、オーク肉の焼き肉と一緒の皿に付け合わせのようにして盛り付けて、皆が待つテーブルへと運んだ。


「こちらはアルミホイルという、シドさんが作ってくれたアイテムで調理したエリンギのホイル焼きです。 とっても美味しいですよ」


 テーブルに並べられた銀色の紙のようなものに「なにこれ?」みたいな目を向けていたメンバーも、シュージの説明を聞いてとりあえず食べてみることにしたようだ。


「おお…… 凄いジューシーですね……! キノコなのに、肉を食べてるみたいです……」

「ホイル焼きはやっぱり仕上がりがジューシーになっていいですねぇ」

「他にも使い道あるんですか……?」

「色々ありますよ。 包み焼き以外にも、オーブンの下に敷いて使ったり、あとお弁当のおにぎりとかを包んだりしますね。 遮光性があるので痛みにくくなりますし、保湿効果も多少あるので、美味しさがキープされるんですよ」

「なるほど…… シュージさんの故郷はこういうちょっとした便利な道具が沢山あるんですね……」

「魔物とかいませんでしたから、発明されるのも生活を豊かにするものがほとんどでしたかね」

「僕はポーションとかを作るのも好きですけど、どちらかと言えば今回のアルミホイルみたいな物を作る方が好きなので、また色々と教えてください……」

「はは、ありがとうございます。 何か思いついたら頼みますね」


 新しい料理に役立つ便利道具も手に入れ、ますます異世界での料理生活が充実しそうだなと嬉しくなるシュージなのであった。



***



 皆様の応援のおかげにより、今回この作品が先日行われたファンタジー小説大賞にて読者投票2位を獲得し、ジョブ・スキル賞を受賞致する事ができました!

 この作品に投稿してくださった皆様、いつも読んで応援してくださってる皆様、本当にありがとうございます。

 こういった賞の受賞などは初めてで、作者自身まだ信じられない気持ちもあるのですが、僕にできるのは作品を書き続ける事だと思っていますので、今後も積極的に更新を頑張っていきたいと思います。

 改めて、応援ありがとうございました!

                
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