マッチョな料理人が送る、異世界のんびり生活。 強面、筋骨隆々、非常に強い。でもとっても優しい男が異世界でほのぼの暮らすお話

かむら

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#139 ナグモでの晩酌

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「シュージ、ちょっとええか~?」

「はい、なんでしょうか?」


 東の国、ナグモの滞在もそろそろ終わろうかというある日。

 カグラの家の縁側でまったりしていたシュージの横にカグラが座って話しかけてきた。


「祭りはどうやった~?」

「とても楽しかったですよ。 屋台を出したり、祭りを回ったり、色んな出し物を見たりと、かなり満喫できました」

「そかそか~。 他のメンバー達も楽しんでくれてたっぽいから、誘ってよかったわ~」

「楽しい時間はあっという間ですねぇ」

「あ、それで、今日の晩飯のあと、父さんや兄さん義姉さんにこの国以外の酒を飲ませてやりたくてな~。 いつもギルドで出してる感じのでええから、おつまみ作って欲しいんよ~」

「もちろんいいですよ」

「助かるわ~。 母さん以外皆んな酒好きでな~。 母さんもちょっとは飲むと思うけど」

「分かりました。 色々用意しておきますね」



 *



 そしてやってきた夜の時間。

 蒼天の風のお酒を飲むメンバー達も晩酌の噂を嗅ぎつけてやって来たようで、晩ご飯が終わった今の時間でも食堂はかなり賑わいを見せていた。


「なるほど、そういったものもあるのですね」


 そんな中、厨房の方ではシュージがせっせとおつまみ作りをしており、それを横からミコトがお勉強がてら紙にメモをしながら眺めていた。


「結構適当に作るものも多いですけどね」

「それでもこんなに沢山作れるのは凄いですよ」

「はは、皆さんよく飲みますからねぇ。 おつまみに関しては質より量重視でいつも作ってます」

「うちの旦那も息子達もよく飲むんですよ。 カグラ、結構飲むでしょう?」

「確かに、カグラさん凄い飲みますね」


 そう言われてみると、いつもかなり度数の高い清酒をカグラは飲んでいるが、酔い潰れたりしているのを見たことがない。


「なら、やっぱり沢山作らないとですねぇ」

「そうですね。 私も見て学ばせてもらいます」

「どうぞどうぞ」


 という事で、シュージはいくつかの作業を並行して行いながら、おつまみを大量に作っていった。

 定番なところだと、コッコ肉の唐揚げに焼き鳥、あとお刺身とイカやあじのなめろう、あと濃い味付けのポテトサラダなどなど、他にも種類も量も多めに用意した。

 他にも色々と、この国の人にも喜ばれそうなおつまみも用意し、できたものをミコトと一緒に皆んなの元へと運んでいった。


「皆さーん、おつまみできましたよー」


 シュージがそう言うと、蒼天の風のメンバーは早速おつまみに手をつけ始めた。

 彼らはシュージの作るおつまみの美味しさを理解しているので。

 シュージも自分のグラスにお酒を注ぎ、その中に加わっていった。


「んん、このチーズはワインに合うねぇ」


 そう言ってクリームチーズを摘みながらワインを楽しんでいるのは、イザベラだった。


「イザベラさん、この国はどうでしたか?」

「色々と調べ物をしたけど、中々面白い歴史とか、魔法の使い方があったよ。 帰って色々研究したいねぇ」

「イザベラさんは本当に色んな事を研究していますよね」

「知識に果ては無いからね。 私だって、この広い世界のまだほんの一部しか知らない。 ……それに、別世界なんてものもあるんだろ? それこそ本当に果てしないだろうね」

「はは、それはそうですね」


 別世界の話はシュージにだけ聞こえるように小声で言ってきた。


「親父、帰ったら刀作ってみね?」

「いいかもしれんの。 ムサシ殿から刀の材料も貰ったし」

「ミノリさんもジンバさんも、得るものがあったみたいですね」

「うん! この国は独特な武器とか防具があって、めちゃくちゃ勉強になったよ」

「色々作るのが楽しみじゃの」


 どうやらこの滞在で、蒼天の風のメンバーも色々と得るものがあったようだ。


「おお、このつまみは美味いな」


 そんな中、快く蒼天の風のメンバーを泊めてくれたカグラ家の人達も、美味しいつまみに舌鼓を打っていた。

 その中でも当主のカムイは、にんにく、山椒、唐辛子を漬け込んだ香味醤油に浅漬けした枝豆をかなりのペースで食べてくれていた。

 これはただでさえお酒に合う枝豆に、ピリリとした山椒と唐辛子の風味が加わり、辛いもの好きにはたまらないつまみとなっている。


「父さん、これも美味いぞ」


 そしてカグラの兄のカンナギは、こちらも辛めに味をつけた手羽先の唐揚げを食べており、既に手羽先を何本も、お酒も何杯も消費するぐらい手が進んでいた。


「私はこれ好きやな」


 そして、もう一人のお酒好きであるフウカは、キムチを混ぜ込んだチヂミを食べていた。

 こちらはもちもち食感のチヂミ生地の中に、刻まれたキムチのシャキシャキとした食感と程良い辛さが相まって、なかなか食べやすい仕上がりになっている。


「やっぱりシュージに頼んで正解やね~」

「そう言ってもらえて良かったです」

「シュージは参加する人によって出すもの結構変えとるよね~」

「折角なら食べる人の嗜好に合ったものを食べて欲しいですからね」

「そういう気遣いも、シュージの料理が美味しく感じられる秘訣なんやろな~」


 そうして、ナグモでの最後の夜は美味しいお酒とおつまみと共に緩やかに過ぎていくのであった。
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