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#67 沢山届いた果物で昼食を
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「「「疲れた~……」」」
「はは、皆さんお疲れ様です」
現在、お昼前くらい。
食堂には朝から午前中いっぱい訓練をしていた、蒼天の風と潮騒の花の若手メンバー達が机に倒れ伏していた。
ちなみに両ギルドのベテラン組もベテラン組で鍛錬を行っており、それは今ここにいる若手組には付いてこれないのでここにはいない。
「一体どんな鍛錬を?」
「砂浜でひたすら走り込んだり……」
「海の魔物と戦ったりもした……」
「暑くて溶けそうよ……」
「肌が焼けてピリピリしますわ……」
そう言うのは、上からリック、カイン、シャロ、アンネリーゼで、他のメンバーも概ねそんな感じの鍛錬を行なっていたそうだ。
「アンネリーゼさんやメイもそういう肉体的な鍛錬もするんですね」
「まぁ、前衛の方達よりはしないけれど、冒険者として最低限の体力は必要だもの」
「全然付いていけませんでした……」
「まぁ、体力は日々の積み重ねですから、頑張りましょう」
「ねぇ、シュージー? アタシ、甘いもの食べたーい!」
「いやいや、疲れた時こそガツンとしたものがいいなー」
「はは、分かりました。 なるべく皆さんの希望に沿ったものを作りますね」
色々とリクエストをもらったので、とりあえずシュージは厨房に入って昼ごはんを作っていく事にした。
「おや、ミドリさん。 その木箱は?」
そこには既にミドリがいて、何やら沢山の木箱が近くにいた潮騒の花のメンバーによって運び込まれていた。
「ああ、これはこの街で育つ果物ですね。 この時期になると近くの農家の人達が、いつもこの街を守ってくれてありがとうと言っておすそ分けしてくれるんです」
「それはそれは。 ちょっと見てみてもいいですか?」
「もちろんです」
木箱を開けてみると、そこにはメロンやパイナップル、スイカなど、沢山の立派な果物が入っていた。
「おお、どれも立派ですね。 折角なら、これらを使った昼食にしましょうか」
「果物を使った昼食ですか?」
「果物も調理次第ではおかずになるんですよ」
基本的にこの世界で果物は、カットしてそのまま食べるかジャムにするくらいしか使い道が無いとされている。
なので、果物を使った昼食と言われても、ミドリはあまりピンと来ていなかったが、シュージが言うのならできるのだろうと、謎の信頼感があるので、素直に手伝う事にしたようだ。
ちなみに今日、セリアは今度行われる組合での食事会の準備でいない。
その時についてのメニューや準備もシュージは既に取り掛かっていて、きっと満足してくれるだろうとある程度の自信は持っていた。
ただ、今は目の前のお腹を空かせた若手達のために昼食を作ることにする。
まず、メインで使うオークの肩ロース肉を一口大に切り分け、酒、醤油、おろししょうが、片栗粉と合わせて置いて馴染ませておく。
次に、パプリカ、玉ねぎ、そしてパイナップルを2~3センチくらいのサイズに切り分け、パプリカ、玉ねぎ、オーク肉を油を注いだ鍋で軽く揚げていく。
その作業をミドリに任せ、その間にシュージはボウルで混ぜ合わせた酒、醤油、砂糖、酢、ケチャップ、鶏がらスープの素、片栗粉、水で作った甘酢ダレをフライパンに入れ、とろみがつくまで熱していく。
とろみが付いたら揚げ上がったパプリカ、玉ねぎ、オーク肉、そしてパイナップルを加えてしっかりと絡めたら、夏でも食べれる甘酸っぱい酢豚の完成だ。
これだけでもいいのだが、折角ならもう一品くらい作ろうと、シュージはスイカとライムあと今日市場で買ってきた茹でだこを取り出した。
まずは茹でだこを食べやすいサイズに切り分けてボウルに入れ、そこへライムの果汁と塩をかけて混ぜ合わせたら、冷蔵庫で10分くらい置いて味をなじませておく。
その間に、きゅうりを銀杏切りにし、スイカを皮と種を取って2センチくらいの角切りにする。
それらを今度は冷蔵庫に置いておいた茹でだこと合わせて、レモン汁とブラックペッパーを加え、それをざっくり混ぜ合わせる。
あとはそれを器に盛り付けたら、スイカとたこのセビーチェの完成だ。
セビーチェというのは、地球で言うところの南米辺りで食べられている魚介のマリネの事である。
スイカをこのように使うのは不思議かもしれないが、スイカに塩をかけると甘味が増して美味しく感じられるように、こういった塩味が強めの料理には意外と合うものなのだ。
これでメインは十分なので、あとは普通にデザートとして桃とメロンを食べやすいサイズに切り、フルーツたっぷりのご飯が完成した。
「出来ましたよー」
シュージが食堂で今か今かと待っていたメンバーにそう声をかけると、全員がすぐさま立ち上がって自分の分を受け取りに来た。
「おお! このオーク肉美味いな!」
「スイカ甘くて美味しいー!」
最初は果物が入ったご飯を不思議そうな目で皆んな見ていたが、一度口に運ぶと、酢豚はしっかりとした味付けでライスが進むし、セビーチェの方はすっきりとした味わいでとても美味しかった。
「果物と海鮮やお肉って合うんですね」
「これが結構美味しいんですよ」
前世ではご飯に果物はちょっと…… という考えの人も一定数はいたが、こういう料理を好む人も結構いる。
まぁ、趣味嗜好は人それぞれなので、無理に食べる必要はないが先入観で食わず嫌いしている人にはぜひ食べてみて欲しい。
それぐらい、果物は肉にも海鮮にも、塩辛い味付けにも結構合うのだ。
ちなみに、今日いるメンバーは皆んなとても美味しいと言ってくれ、一部の果物や甘いもの好きのメンバーには特に喜ばれるのであった。
「はは、皆さんお疲れ様です」
現在、お昼前くらい。
食堂には朝から午前中いっぱい訓練をしていた、蒼天の風と潮騒の花の若手メンバー達が机に倒れ伏していた。
ちなみに両ギルドのベテラン組もベテラン組で鍛錬を行っており、それは今ここにいる若手組には付いてこれないのでここにはいない。
「一体どんな鍛錬を?」
「砂浜でひたすら走り込んだり……」
「海の魔物と戦ったりもした……」
「暑くて溶けそうよ……」
「肌が焼けてピリピリしますわ……」
そう言うのは、上からリック、カイン、シャロ、アンネリーゼで、他のメンバーも概ねそんな感じの鍛錬を行なっていたそうだ。
「アンネリーゼさんやメイもそういう肉体的な鍛錬もするんですね」
「まぁ、前衛の方達よりはしないけれど、冒険者として最低限の体力は必要だもの」
「全然付いていけませんでした……」
「まぁ、体力は日々の積み重ねですから、頑張りましょう」
「ねぇ、シュージー? アタシ、甘いもの食べたーい!」
「いやいや、疲れた時こそガツンとしたものがいいなー」
「はは、分かりました。 なるべく皆さんの希望に沿ったものを作りますね」
色々とリクエストをもらったので、とりあえずシュージは厨房に入って昼ごはんを作っていく事にした。
「おや、ミドリさん。 その木箱は?」
そこには既にミドリがいて、何やら沢山の木箱が近くにいた潮騒の花のメンバーによって運び込まれていた。
「ああ、これはこの街で育つ果物ですね。 この時期になると近くの農家の人達が、いつもこの街を守ってくれてありがとうと言っておすそ分けしてくれるんです」
「それはそれは。 ちょっと見てみてもいいですか?」
「もちろんです」
木箱を開けてみると、そこにはメロンやパイナップル、スイカなど、沢山の立派な果物が入っていた。
「おお、どれも立派ですね。 折角なら、これらを使った昼食にしましょうか」
「果物を使った昼食ですか?」
「果物も調理次第ではおかずになるんですよ」
基本的にこの世界で果物は、カットしてそのまま食べるかジャムにするくらいしか使い道が無いとされている。
なので、果物を使った昼食と言われても、ミドリはあまりピンと来ていなかったが、シュージが言うのならできるのだろうと、謎の信頼感があるので、素直に手伝う事にしたようだ。
ちなみに今日、セリアは今度行われる組合での食事会の準備でいない。
その時についてのメニューや準備もシュージは既に取り掛かっていて、きっと満足してくれるだろうとある程度の自信は持っていた。
ただ、今は目の前のお腹を空かせた若手達のために昼食を作ることにする。
まず、メインで使うオークの肩ロース肉を一口大に切り分け、酒、醤油、おろししょうが、片栗粉と合わせて置いて馴染ませておく。
次に、パプリカ、玉ねぎ、そしてパイナップルを2~3センチくらいのサイズに切り分け、パプリカ、玉ねぎ、オーク肉を油を注いだ鍋で軽く揚げていく。
その作業をミドリに任せ、その間にシュージはボウルで混ぜ合わせた酒、醤油、砂糖、酢、ケチャップ、鶏がらスープの素、片栗粉、水で作った甘酢ダレをフライパンに入れ、とろみがつくまで熱していく。
とろみが付いたら揚げ上がったパプリカ、玉ねぎ、オーク肉、そしてパイナップルを加えてしっかりと絡めたら、夏でも食べれる甘酸っぱい酢豚の完成だ。
これだけでもいいのだが、折角ならもう一品くらい作ろうと、シュージはスイカとライムあと今日市場で買ってきた茹でだこを取り出した。
まずは茹でだこを食べやすいサイズに切り分けてボウルに入れ、そこへライムの果汁と塩をかけて混ぜ合わせたら、冷蔵庫で10分くらい置いて味をなじませておく。
その間に、きゅうりを銀杏切りにし、スイカを皮と種を取って2センチくらいの角切りにする。
それらを今度は冷蔵庫に置いておいた茹でだこと合わせて、レモン汁とブラックペッパーを加え、それをざっくり混ぜ合わせる。
あとはそれを器に盛り付けたら、スイカとたこのセビーチェの完成だ。
セビーチェというのは、地球で言うところの南米辺りで食べられている魚介のマリネの事である。
スイカをこのように使うのは不思議かもしれないが、スイカに塩をかけると甘味が増して美味しく感じられるように、こういった塩味が強めの料理には意外と合うものなのだ。
これでメインは十分なので、あとは普通にデザートとして桃とメロンを食べやすいサイズに切り、フルーツたっぷりのご飯が完成した。
「出来ましたよー」
シュージが食堂で今か今かと待っていたメンバーにそう声をかけると、全員がすぐさま立ち上がって自分の分を受け取りに来た。
「おお! このオーク肉美味いな!」
「スイカ甘くて美味しいー!」
最初は果物が入ったご飯を不思議そうな目で皆んな見ていたが、一度口に運ぶと、酢豚はしっかりとした味付けでライスが進むし、セビーチェの方はすっきりとした味わいでとても美味しかった。
「果物と海鮮やお肉って合うんですね」
「これが結構美味しいんですよ」
前世ではご飯に果物はちょっと…… という考えの人も一定数はいたが、こういう料理を好む人も結構いる。
まぁ、趣味嗜好は人それぞれなので、無理に食べる必要はないが先入観で食わず嫌いしている人にはぜひ食べてみて欲しい。
それぐらい、果物は肉にも海鮮にも、塩辛い味付けにも結構合うのだ。
ちなみに、今日いるメンバーは皆んなとても美味しいと言ってくれ、一部の果物や甘いもの好きのメンバーには特に喜ばれるのであった。
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