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第三章 獣人国へ
#64 スタンピード(2)
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外壁から降りた僕達は、この街の出入り口である門の前で集まっている冒険者の近くに着陸した。
すると、僕達に気付いた周りの冒険者達が、ワラワラと近付いて来て、口々に称賛の声をかけてくれた。
「おいおい、ショーマ! さっきの魔法すごかったな!」
「この辺りまでかなりの熱が来ましたね。 とんでもない威力でしたよ」
「あんな大きな魔法見たこと無かったわ」
「あはは…… 皆さんありがとうございます」
ギルドの中では僕とノアルの名前はかなり広まっていて、この街を拠点にしている人達とはかなり仲良くさせてもらっていると思う。
皆、気さくでいい人達である。
「おーい! ショーマ!」
そんな冒険者の集団の中から、ゲイルさんが僕の名前を呼びながらこちらに走ってきた。
「あ、ゲイルさん。 お疲れ様です」
「それはこっちのセリフだ! 凄かったな、さっきの魔法! あんなの中々見れるもんじゃないぜ!」
「えーっと、ありがとうございます? 」
「本当に凄かったぜ! 後は俺達に任せてくれよ!ショーマとミリーのおかげでかなり数は減ったからな!」
「心強いです。 僕も無理しない範囲で援護させてもらいますね」
「ああ! 一緒に頑張ろうぜ!」
「お! ゲイルさんに、ショーマっち達じゃないっすか!」
ゲイルさんと軽い決意表明みたいなものをしていると、聞き覚えのある声が聞こえた。
「リット! それに、ギルンさんにヨーガさんも!」
「あぁ、久しぶりだな」
「さっきの魔法、凄かったぞショーマ」
ギルンさん達のパーティーとは以前、ソルムの村に向かっていた時に乗った馬車で一緒になってから会っていなかったけど、いつの間にか戻ってきていたんだな。
「皆の者! 聞いてくれ!」
ギルンさん達と合流したのも束の間、集団の先頭あたりにいたクラウスさんが大きな声で呼びかけを始めた。
「お、始まったか。 じゃあ、俺はクラウス達の所に戻るな!」
「分かりました。 お互い、頑張りましょう」
「おう!」
そう返事をすると、ゲイルさんはクラウスさんの所へ戻って行った。
その間にも、クラウスさんの呼びかけは続いている。
「先程の大規模魔法のおかげで、かなりの魔物を討伐出来たが、まだまだ魔物は残っている! ここからは我々が戦う番だ! 作戦としては、なるべくパーティー単位で動き、絶対に突出しないことだ! 突出した瞬間、数でやられてしまうだろうから、戦線は一定に保つよう気をつけてくれ!」
確かに、あの数の魔物が一斉に襲ってきたら、いくら実力があっても厳しいものがあるだろう。
「厳しい状況になったら迷わず退いてくれ! 恐らく、もう少ししたら後発組も到着するだろうから、一定時間戦ったら交代だ!」
なるほど、さっきギルドにいた人達は後発組なのか。
という事は、今回の戦いはかなりの長期戦になるんだろうな。
「それでは、一斉に行くぞ! この街を守るのだ!!!」
「「「「「オォーー!!!」」」」」
集まった冒険者や衛兵達が、一斉に魔物の群れに向かって突撃していく。
僕達は、ギルンさん達や他の冒険者達と一緒に左側から攻めていくような形になった。
真ん中はクラウスさん達ともう一方の冒険者の集団が担当し、右側はこの街の衛兵の人達が担当するようだ。
と、僕とノアルが魔物の群れに向かって走っていたところ、ギルンさん達がこちらに近づいてきた。
一体なんだろう?
「ショーマ! 私達と即席のパーティーを組まないか? そこでお前にはなるべく後方から援護をしてもらいたい!」
「それは構いませんが…… 僕も近距離で戦えますよ?」
「いや、お前は貴重な大規模魔法を使える存在なのだから、なるべく消耗は避けるべきだ。 近距離では我々が討ち漏らした奴を倒してくれればいい」
「なるほど…… 分かりました。 ノアルもそれでいい?」
「……ん、いいよ」
「ショーマっち達と共闘っすか! ワクワクするっすね~!」
「リット、あまり油断するなよ。 足元をすくわれるぞ」
「してないっすよ! 任せて欲しいっす!」
「私達とノアルは互いをカバー出来る距離で戦おう。 ショーマは私達を見渡せる場所から援護を頼む」
「分かりました」
そうこうしている内に、進軍して来る魔物の群れのすぐ近くまで接近していた。
「それでは、我々は行く! 私達以外に危ない者を見かけたらそちらを手伝ってくれてもいい」
「分かりました、お気をつけて。 ノアルも、無理せず頑張ってね」
「……ん、ありがと。 ……ショーマも気をつけて」
「うん、分かったよ」
ギルンさん達にノアルを加えた獣人の4人は、猛スピードで魔物の群れに突っ込み、その勢いで先頭の方にいた魔物達を吹っ飛ばしていた。
だが、皆ある程度の魔物を倒した所で少し退いた。
先程のクラウスさんの言葉を忠実に守っているようだ。
さて、僕も出来る事をやらないとな。
こちらの戦力として集まった冒険者達は、皆ある程度の実力を持っていて、普通に戦えば、今出てきている魔物には負ける事はない。
だが、いかんせん魔物の数が多いため、どうしても討ち漏らしが出てきてしまっている。
戦線を抜けた魔物が狙うのは、後方から魔法や弓で援護している、後衛職の人達だ。
「ガァッ!」
「あっ、待てコラ!」
今も1匹のウルフが戦線を抜け、後衛職の人達目掛けて、その牙を剥き出しにして突っ込んでくる。
なので、僕はその進行方向に横から割り込み、ロングソードでウルフの胴体を一刀両断した。
「ガ…………」
ウルフの行動停止を確認するよりも先に、今度は少し離れた所にいたゴブリン2匹の首をアイテムボックスから取り出したプルニーマで斬り飛ばす。
「グギャ……」
「ゲギャ……」
更に今度は、オークと戦っている前衛の人の横から、ブラッドスネークが噛みつこうと猛スピードで近寄って来ていたので、そこにもプルニーマを2輪飛ばし、噛みつきをシールドで防ぎ、動きが止まった所をもう1輪のプルニーマで首を両断する。
ブラッドスネークは最期に「シャー……」と一鳴きして、地面に倒れ伏した。
「助かったぜ! 兄ちゃん!」
僕がブラッドスネークを倒している間に、オークを倒した冒険者から感謝の声をかけられた。
それに片手を挙げて答え、その後もサポートを続ける。
言うなれば、僕の位置は前衛と後衛の間の中衛と呼ぶべき位置で、時には前衛の援護をし、時には後衛を守るような役割だ。
一見、大変そうに見えるかもしれないが、僕にはプルニーマがあるので、そこまでの苦労は無く立ち回れている。
ここにいる人達は皆実力があり、ウルフぐらいだったらあっさり1対1で倒せるみたいだから、そもそも討ち漏らしたり、窮地に陥ったりということが少ないのもある。
というか、本来なら僕はギルンさん達とノアルの援護のはずなんだけど、あの4人の戦闘能力は目を見張るものがあって、ここまで1匹たりとも魔物を討ち漏らしたりしていない。
そこではリットが両手に鉤爪のような武器を付けていて、パッと見ノアルといい勝負のスピードを生かして、縦横無尽に動き回りながら魔物を討ち取っている。
ヨーガさんは一般的に、ハルバードと呼ばれる斧と槍が一緒になったような武器を扱っていた。
比較的小さい魔物は斧の部分のなぎ払いでまとめて斬り飛ばし、大きめの魔物に対しては、槍の部分を使って急所を一突きにする事で見事に倒していた。
その2人をまとめるリーダーのギルンさんは、割とほっそりとした体格に似合わず、150cmくらいはあるであろう大剣を振り回している。
一体どこにそんな力がと思ったが、よく見てみると体に魔力を纏っており、恐らく身体強化か何かの魔法で自分の膂力を底上げしているみたいだ。
ちなみに、ノアルはいつも通り双剣と体術を組み合わせた隙のない戦い方をしている。
うーん、やっぱりあの4人には援護は必要なさそうだなぁ……
もちろん、いざという時のためにこまめに確認はしておくが、まだまだ余裕ありそうだし、僕は他の後衛のサポートがない冒険者達のサポートに回ることにしよう。
何かあったとしても、先程ノアルと念話を繋げておいたのですぐに連絡が来るだろう。
よし、僕もあの4人に負けないように頑張らないとな。
すると、僕達に気付いた周りの冒険者達が、ワラワラと近付いて来て、口々に称賛の声をかけてくれた。
「おいおい、ショーマ! さっきの魔法すごかったな!」
「この辺りまでかなりの熱が来ましたね。 とんでもない威力でしたよ」
「あんな大きな魔法見たこと無かったわ」
「あはは…… 皆さんありがとうございます」
ギルドの中では僕とノアルの名前はかなり広まっていて、この街を拠点にしている人達とはかなり仲良くさせてもらっていると思う。
皆、気さくでいい人達である。
「おーい! ショーマ!」
そんな冒険者の集団の中から、ゲイルさんが僕の名前を呼びながらこちらに走ってきた。
「あ、ゲイルさん。 お疲れ様です」
「それはこっちのセリフだ! 凄かったな、さっきの魔法! あんなの中々見れるもんじゃないぜ!」
「えーっと、ありがとうございます? 」
「本当に凄かったぜ! 後は俺達に任せてくれよ!ショーマとミリーのおかげでかなり数は減ったからな!」
「心強いです。 僕も無理しない範囲で援護させてもらいますね」
「ああ! 一緒に頑張ろうぜ!」
「お! ゲイルさんに、ショーマっち達じゃないっすか!」
ゲイルさんと軽い決意表明みたいなものをしていると、聞き覚えのある声が聞こえた。
「リット! それに、ギルンさんにヨーガさんも!」
「あぁ、久しぶりだな」
「さっきの魔法、凄かったぞショーマ」
ギルンさん達のパーティーとは以前、ソルムの村に向かっていた時に乗った馬車で一緒になってから会っていなかったけど、いつの間にか戻ってきていたんだな。
「皆の者! 聞いてくれ!」
ギルンさん達と合流したのも束の間、集団の先頭あたりにいたクラウスさんが大きな声で呼びかけを始めた。
「お、始まったか。 じゃあ、俺はクラウス達の所に戻るな!」
「分かりました。 お互い、頑張りましょう」
「おう!」
そう返事をすると、ゲイルさんはクラウスさんの所へ戻って行った。
その間にも、クラウスさんの呼びかけは続いている。
「先程の大規模魔法のおかげで、かなりの魔物を討伐出来たが、まだまだ魔物は残っている! ここからは我々が戦う番だ! 作戦としては、なるべくパーティー単位で動き、絶対に突出しないことだ! 突出した瞬間、数でやられてしまうだろうから、戦線は一定に保つよう気をつけてくれ!」
確かに、あの数の魔物が一斉に襲ってきたら、いくら実力があっても厳しいものがあるだろう。
「厳しい状況になったら迷わず退いてくれ! 恐らく、もう少ししたら後発組も到着するだろうから、一定時間戦ったら交代だ!」
なるほど、さっきギルドにいた人達は後発組なのか。
という事は、今回の戦いはかなりの長期戦になるんだろうな。
「それでは、一斉に行くぞ! この街を守るのだ!!!」
「「「「「オォーー!!!」」」」」
集まった冒険者や衛兵達が、一斉に魔物の群れに向かって突撃していく。
僕達は、ギルンさん達や他の冒険者達と一緒に左側から攻めていくような形になった。
真ん中はクラウスさん達ともう一方の冒険者の集団が担当し、右側はこの街の衛兵の人達が担当するようだ。
と、僕とノアルが魔物の群れに向かって走っていたところ、ギルンさん達がこちらに近づいてきた。
一体なんだろう?
「ショーマ! 私達と即席のパーティーを組まないか? そこでお前にはなるべく後方から援護をしてもらいたい!」
「それは構いませんが…… 僕も近距離で戦えますよ?」
「いや、お前は貴重な大規模魔法を使える存在なのだから、なるべく消耗は避けるべきだ。 近距離では我々が討ち漏らした奴を倒してくれればいい」
「なるほど…… 分かりました。 ノアルもそれでいい?」
「……ん、いいよ」
「ショーマっち達と共闘っすか! ワクワクするっすね~!」
「リット、あまり油断するなよ。 足元をすくわれるぞ」
「してないっすよ! 任せて欲しいっす!」
「私達とノアルは互いをカバー出来る距離で戦おう。 ショーマは私達を見渡せる場所から援護を頼む」
「分かりました」
そうこうしている内に、進軍して来る魔物の群れのすぐ近くまで接近していた。
「それでは、我々は行く! 私達以外に危ない者を見かけたらそちらを手伝ってくれてもいい」
「分かりました、お気をつけて。 ノアルも、無理せず頑張ってね」
「……ん、ありがと。 ……ショーマも気をつけて」
「うん、分かったよ」
ギルンさん達にノアルを加えた獣人の4人は、猛スピードで魔物の群れに突っ込み、その勢いで先頭の方にいた魔物達を吹っ飛ばしていた。
だが、皆ある程度の魔物を倒した所で少し退いた。
先程のクラウスさんの言葉を忠実に守っているようだ。
さて、僕も出来る事をやらないとな。
こちらの戦力として集まった冒険者達は、皆ある程度の実力を持っていて、普通に戦えば、今出てきている魔物には負ける事はない。
だが、いかんせん魔物の数が多いため、どうしても討ち漏らしが出てきてしまっている。
戦線を抜けた魔物が狙うのは、後方から魔法や弓で援護している、後衛職の人達だ。
「ガァッ!」
「あっ、待てコラ!」
今も1匹のウルフが戦線を抜け、後衛職の人達目掛けて、その牙を剥き出しにして突っ込んでくる。
なので、僕はその進行方向に横から割り込み、ロングソードでウルフの胴体を一刀両断した。
「ガ…………」
ウルフの行動停止を確認するよりも先に、今度は少し離れた所にいたゴブリン2匹の首をアイテムボックスから取り出したプルニーマで斬り飛ばす。
「グギャ……」
「ゲギャ……」
更に今度は、オークと戦っている前衛の人の横から、ブラッドスネークが噛みつこうと猛スピードで近寄って来ていたので、そこにもプルニーマを2輪飛ばし、噛みつきをシールドで防ぎ、動きが止まった所をもう1輪のプルニーマで首を両断する。
ブラッドスネークは最期に「シャー……」と一鳴きして、地面に倒れ伏した。
「助かったぜ! 兄ちゃん!」
僕がブラッドスネークを倒している間に、オークを倒した冒険者から感謝の声をかけられた。
それに片手を挙げて答え、その後もサポートを続ける。
言うなれば、僕の位置は前衛と後衛の間の中衛と呼ぶべき位置で、時には前衛の援護をし、時には後衛を守るような役割だ。
一見、大変そうに見えるかもしれないが、僕にはプルニーマがあるので、そこまでの苦労は無く立ち回れている。
ここにいる人達は皆実力があり、ウルフぐらいだったらあっさり1対1で倒せるみたいだから、そもそも討ち漏らしたり、窮地に陥ったりということが少ないのもある。
というか、本来なら僕はギルンさん達とノアルの援護のはずなんだけど、あの4人の戦闘能力は目を見張るものがあって、ここまで1匹たりとも魔物を討ち漏らしたりしていない。
そこではリットが両手に鉤爪のような武器を付けていて、パッと見ノアルといい勝負のスピードを生かして、縦横無尽に動き回りながら魔物を討ち取っている。
ヨーガさんは一般的に、ハルバードと呼ばれる斧と槍が一緒になったような武器を扱っていた。
比較的小さい魔物は斧の部分のなぎ払いでまとめて斬り飛ばし、大きめの魔物に対しては、槍の部分を使って急所を一突きにする事で見事に倒していた。
その2人をまとめるリーダーのギルンさんは、割とほっそりとした体格に似合わず、150cmくらいはあるであろう大剣を振り回している。
一体どこにそんな力がと思ったが、よく見てみると体に魔力を纏っており、恐らく身体強化か何かの魔法で自分の膂力を底上げしているみたいだ。
ちなみに、ノアルはいつも通り双剣と体術を組み合わせた隙のない戦い方をしている。
うーん、やっぱりあの4人には援護は必要なさそうだなぁ……
もちろん、いざという時のためにこまめに確認はしておくが、まだまだ余裕ありそうだし、僕は他の後衛のサポートがない冒険者達のサポートに回ることにしよう。
何かあったとしても、先程ノアルと念話を繋げておいたのですぐに連絡が来るだろう。
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