転生鍛冶師は異世界で幸せを掴みます! 〜物作りチートで楽々異世界生活〜

かむら

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第三章 獣人国へ

#49 手伝い

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「族長ー! あ、それにアルジェ様も! 丁度良かった! 少し聞いてもらいたい事があるのでこちらに来てくれませんかー!?」

「分かったー! 今向かうから少し待っていろ! ……って事で悪いなショーマ、少し俺達は行かなきゃならん。 この村を見て回りたかったらノアルに案内してもらってくれ!」

「分かりました。 また後でお会いしましょう」

「ノアル? ショーマさんの事頼んだわよ?」

「……ん、任された」
 

 ドレアスさんとアルジェさんは新たに用事が出来たみたいなので、一旦ここで別れる。 

 やっぱり族長ともなると忙しいんだろうなー。
 

「……どこ行く?」

「んー、とりあえず村を周ってみたいな」

「……分かった、着いてきて」
 

 そう言ってノアルは僕の手を取り歩き始める。
 

「ちょっ……! ノアル!? 速い! 速いよ!」

「……あ」


 ノアルはどうやら、自分の大好きな村を一刻も早く案内したいらしく、ものすごい速さで歩き出した。
 

「そ、そんなに急ぎではないから普通に周ろう? ……あと、出来れば手は離したいかな」

「……分かった。 ……手はダメ」
 

 やっぱり手は繋いだままか……

 ノアルは気にしてないみたいだけど腕を組んでいた時から周りの視線が凄い飛んでくるんだよね……

 特に、男の獣人の人からの視線が痛い……

 そんな僕の気も知らず、ノアルは嬉しそうに僕と手を繋いで村を案内している。 

 なぜ嬉しそうか分かるかというと、これでもかというほど、尻尾や耳がユラユラ、ピコピコと動いているからである。

 そんなノアルに連れられ村を歩いていていると、やはり村の外側に行くに連れて、建物や地面がボロボロになっているのが目立っていた。

 今は冒険者や獣人達が協力して瓦礫の撤去をしている。 

 残っている冒険者達は、村の瓦礫を取り除く所くらいまでは協力するつもりなのだと、先程少し言葉を交わした冒険者の1人が言っていた。 

「家を建てるのにはいろんな知識がいるから、俺達が口や手を出すべきじゃない」との事で、瓦礫の撤去までに止めるそうだ。

 その作業も今日中には終わるそうで、残った冒険者達は明日の朝にはまとまって帰るらしい。 
 
 話を聞いた冒険者は申し訳なさそうにそう言っていたが、十分助けになっているだろう。
 
 僕もその作業を手伝おうとしたのだが、ノアルだけじゃなく、そこで作業をしていた人達全員に止められてしまった。

 曰く、病み上がりなんだから無理をするな、これくらいなら自分達で出来る、恩人を働かせる訳にはいかない、などなど色んな理由の下、僕の申し出はアッサリ断られた。
 

「なにも、皆で断らなくても……」

「……皆、ショーマが無理する事知ってる」

「瓦礫の撤去をしてて、無理し過ぎて倒れる事は無いと思うんだけどな……」

「……前科持ちは信用出来ない。 ……少なくとも今日は大人しくしてて」

「……分かったよー」
 

 周りの人達も口々にノアルの意見に賛同してくるので、若干へこんだ。

 流石にもう倒れる事はしないつもりなのだが信用されてないなぁ……

 仕方ないので、作業をしている人達に「頑張ってください」と言ってその場を後にした。
 


     *
 


 ある程度、村全体を見て周ったので、僕達は村の中央付近に戻ってきたのだが、そこには獣人の人達が集まっていた。 

 さらに言うと、ほとんどが女性の人達だ。
 

「おや! あんたは恩人さんじゃないか! 元気になったんだねぇ!」
 

 僕達が近づくと、恰幅のいい人の良さそうな獣人のおばちゃんが話しかけてきた。
 

「おかげさまで元気になりました。 ところで、皆さんはなにをしているんですか?」

「あたしらは男どもの昼飯の準備だよ! 今はなに作るか相談してるんだが、決まってなくてねぇ。 どうしたもんかと思ってるんだ」

「そうなんですか。 ちなみにどんな食材があるんですか?」

「コッコの肉が大量にあるのと、今はライスを大量に炊いて……」

「え!? お米あるんですか!?」

「おぉ、どうしたんだい? そんな血相変えて。 お米がなんだか知らないが、獣人国ではライスは普通に食べるよ」
 

 そうなのか! 

 正直なところ、とても嬉しい。

 ハゾットの街の市場ではざっと見た感じ売っていなかったから無いものだと思っていたが、この世界にもお米がしっかり存在してくれていて良かった。

 やっぱり日本人だからか、僕はパンよりも米の方が好きだ。 

 それに、洋食より和食の方が好みでもある。
 

「すいません、僕も料理していいですか?」

「ん? あんた料理出来るのかい?」

「はい、人並みには出来ます。 久しぶりにお米…… ライスを見たのでそれを使った料理を作ろうかと。 いいよね? ノアル?」

「……ん、いいよ。 ……疲れたりしたら止めてね?」
 
「大丈夫だよ、料理するだけだし」


 さて、なにを作ろうかな。 

 コッコの肉が沢山あるみたいだけど、普通の鶏肉なんだろうか? 

 見た感じ胸肉っぽいんだけど。
 

「すいません、このお肉の味見したいので、火は使えますかね?」

「ああ、それならこいつがあるから大丈夫だよ」
 

 そう言って、獣人のおばちゃんが渡してきたのは、カセットコンロのような魔導具だった。
 

「魔導コンロだよ。 大体の家庭に一個はあるからここにもいっぱいあるから遠慮なく使っておくれ」

「そうなんですね。 それならありがたく使わせてもらいます」
 

 そんな物があるなら買っておきたかったな。 

 道具屋に行ったときには見逃していたのだろうか?

 渡されたコンロに油を引いて、コッコの肉を焼いて試食する。 

 味付けは塩のみだ。

 うん、やっぱり胸肉だな。 相変わらず地球のものと比べて旨味がすごいが。
 

「……なに作るの?」

「ライスも大量にあるみたいだし、丼ものにしようかな。 作業している人達はガッツリ食べたいだろうし」
 

 鶏胸肉という事で、照り焼き丼を作ろうかな。 

 フーミ鳥で作ったのも美味しかったけど、コッコの肉で作っても美味しく出来るだろう。 

 コッコの肉を一口大にカットして、塩胡椒で下味をつけておく。 

 そして、酒やみりん、醤油や酢などを先に合わせておく。 

 ちなみに、前回と同じでみりんは料理酒と砂糖を合わせたみりんもどきだ。

 それが終わったら、用意しておいた大きめのフライパンを使って大量に焼き上げる。 

 焦げ目がついた辺りでさっき作っておいた合わせ調味料を入れて、汁気が無くなるまでフライパンで炒める。
 

「こんな感じでいいかな。 味の方は…… うん、美味しい」
 

 味見をしてみても、なにも問題はなかった。 

 調味料とかはかなり適当に入れたのだが、家事スキルの影響もあってか、ものすごく適量になったみたいだ。
 

「……美味しそう」

「味見してみる? あ、それじゃあ、ちょっと早いけど昼ごはんにしようか。 作業をしてる人達が来る前に食べておいた方がいいよね」

「……ん!」

「おや、なんだい美味しそうだね」

「皆さんも先に食べますか? 今、ここにいる人達の分ならすぐ作れるので」

「そうだね、男共が来たら食う時間ないだろうから先に食べておこうか!」

「それじゃあ、各自で食べたい量のライスを器によそって、この机に置いていってください。 ノアルは出来上がったお肉をライスの上に適量乗せていってくれる?」

「……ん、分かった。 ……ショーマはライスの量どれくらい?」
 
「んー、僕は後で自分用に作るからいいよ。 数日食べてないのに、いきなり照り焼きはちょっとお腹に優しくないからね」
 
「……分かった」
 

 ライスがあるので、後でお粥でも作って食べよう。 
 
 幸い食欲はあるので、少しずつお腹の調子も整えていくことにする。

 まぁ、僕のことは置いておいて、作った照り焼き丼を、ここにいた女性の方々に提供したところ……
 

「これは美味しいねぇ! ライスにもとても合ってる!」
 
「食べやすいですね!」
 
「……ん、とても美味しい」
 

 概ね好評みたいで良かった。 

 今回の照り焼きはお酢を入れて作ったので、サッパリして食べやすいと思う。 
 
 女性陣から太鼓判を押されたので、引き続き大量にあるコッコの肉を使って、照り焼きを作り続ける。 

 女性陣からも何人か、僕と並列して照り焼きを作ってもらうことにもなった。

 うん、このペースなら十分な量が作れるだろう。

 男性陣は沢山食べるだろうから、沢山作らないとなー。
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