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第二章 新たな出会い
#30 依頼の前に
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僕も一緒に獣人国へ行く事を改めて告げ、ノアルもそれを受け入れてくれた。
そして、結局僕達は10分くらいの間抱き合っていた。
抱き合っていたというより、ノアルにずっとしがみつかれていたというのが正しいかもしれないが。
僕が「もういい?」と聞いても、「……もうちょっと」と言って中々離れてくれなかった。
終いには僕の胸に頭をグリグリ擦り付けたり、匂いを嗅ぎ始めたので、そこで辞めさせました。
「……ショーマの匂い、安心する」
「……それは良かったけど、途中から目的変わってなかった?」
「……そんなことない」
まぁ、すごく嬉しく思ってくれたっていうのは僕としても悪い気はしないけども。
「落ち着いた事だし、もう寝ようか? なんだかんだで今日動き回ったから疲れたでしょ?」
「……ん、ちょっと眠い」
ノアルの顔を見ると、いつも少し眠たげなノアルの眼が更に眠そうになっていた。
それを見た僕は、ノアルに生活魔法をかけてあげる。
そこまで汚れてはないだろうけど、一応綺麗な方が寝やすいだろう。
「それじゃあ、おやすみ」
そう言って僕は、自分のベッドに入って寝ようとした。
「……ん、おやすみ」
ノアルもそう僕に声をかけてくる。
……僕のベッドに入ろうとしながら。
「……ノアル? 君のベッドは向こうですよ?」
「……こっちがいい」
「じゃあ、僕があっちのベッドに行くね」
「……それならノアルもあっちがいい」
なんでこの子はそんなに一緒に寝たがる!?
「……ダメ?」
「ダメです。 僕の安眠のためにも別々のベッドでお願いします」
「……むぅ、分かった」
流石に睡眠の邪魔をするのは申し訳ないと思ったのか、渋々ノアルはもう一つのベッドに入っていった。
もう…… 寝る前にとても気疲れしたな。
早いとこ寝て明日に備える事にしよう……
*
「……おはよ」
翌朝、目が覚めると、ノアルの挨拶が聞こえた。
僕の横から。
「……おはようノアル、一つ聞いていいかい?」
「……ん?」
「なんで、一緒に寝てるの? 君のベッドは向こうのはずなんだけど?」
「……あったかいから」
「……君、暑がりじゃなかったっけ?」
「……心が、あったかい」
そう言われると悪い気はしないけど、少し心臓には悪い。
女の子慣れしてないと言えばそれまでだが、ノアルはとても可愛らしく魅力的な外見をしているので、そんな子が朝起きて同じベッドに入ってたら、ドキドキするのも仕方ないのではないだろうか?
「お兄ちゃーん、お姉ちゃーん、ご飯が出来てますよー」
それから少しノアルと話していると、コンコンッと扉をノックしながらミラルちゃんがそう呼びかけてきた。
「今行くよー」
「……今行く」
もうそんな時間だったのか。
結構寝てたみたいだけど、やっぱり疲れてたのかな?
……ノアルがベッドに入ってきたのも気付かなかったみたいだし。
*
朝食を取った僕たちは宿を出て、ギルドに向かっている。
その道中、今後の予定について話し合い、今日はまた討伐系の依頼を一つ受けて、明日は一日準備に当てる事になった。
ちなみに、この予定の提案者はノアルだ。
言っちゃ悪いかもしれないが少し意外だった。
明日の昼頃には魔力は回復するそうだから、明日にはもう出発するって言い出すのではないかと思っていたからだ。
そこら辺をノアルに聞いてみると、
「……そうしたいけど、獣人国へは数日かかる。 ……安全のために途中までは道を通って行くけど、村に行くには途中で魔物除けのある道からは外れないと行けない。 ……それに、村の近くにはまだ魔物がいる可能性もある」
「なるほど……そう言われると納得するしかないね」
「……だから、しっかり準備しないと。 ……それに、ショーマに助けてもらった命を無駄にするのは失礼」
そんな事まで考えていてくれたのか。
気にしなくていいとも思ったが、命を助けてもらったらその人に感謝するのは真っ当な事だと、僕もフォルティに転生させてもらった事を思い出して口に出すのはやめておいた。
まぁ、ノアルと僕はちょっと助かり方が違うけどね。
話をしながら少し歩いているとギルドが見えてきた。
そのままギルドに入ろうとした僕達だったが、隣の通りから同じタイミングで一組の男女が歩いてきた。
「あ、クラウスさん、ミリアンヌさん、おはようございます」
「む、ショーマか。 おはよう」
「あら、奇遇ねー? おはよう」
何日か振りにこの2人に会った。
これから依頼だろうか?
「……だれ?」
そういえば、ノアルは会ったことなかったか。
「この人達はクラウスさんとミリアンヌさん。 同じ宿のゲイルさんや昨日会ったマイヤさんと同じパーティーの人達だよ」
「あら、その子がゲイルが言ってた獣人の子ね。 私はミリアンヌ。 親しい人からはミリーと呼ばれてるわ。 よろしくね」
「クラウスだ。 私達4人のパーティーのリーダーをしている」
「……ノアル。 ……よろしく」
自己紹介し合った僕たちは、そのままギルドの前で話を続ける。
「大体の話はゲイルから聞いている。 パーティーを組んだそうだが、ショーマ、お前の力の事は話したのか?」
「もちろんです。 信用してなかったらそもそもパーティーなんて組みませんし、ノアルは頼りになりますから」
「そうか、それならいいんだ」
「ふふ、男女2人でパーティーなんて、昔を思い出すわね」
「そうだな」
昔はこの2人のパーティーだったのか。
「かなり昔からの付き合いなんですか?」
「ああ、成人する前に婚約したからな」
「え!? お二人って夫婦だったんですか!?」
「あら? 言ってなかったかしら?」
そうだったのか……
そう言われてみるとお似合いだな。
「クラウスさんと婚約したって事は、ミリアンヌさんも貴族なんですか?」
「ええ、そうよ。 とは言っても、侯爵家の三女で第二夫人の子供だから、家督を継いだりする立場ではないわよ。 家の事はお兄様がやり繰りしているから私は比較的自由に動けてるの」
「私も元々はミリーと同じ侯爵家だったが、ここの元領主の汚職が発覚してな。 代わりに我が家がこの街の領主で辺境伯となったのだ」
辺境伯が汚職したのか……
それは中々に問題になりそうだな。
その代わりに辺境伯になったという事は、今の領主のクラウスさんのお兄さんは、国からも信頼されているんだろうな。
「貴族の長男長女以外は騎士団や宮廷魔術師になったり、一部は冒険者になるのよ。 クラウスは元々騎士団だったけどね」
「そうだったんですか? どうして冒険者に?」
「ミリーが成人した時に冒険者になると言ってな。 それならば婚約者である私も付いていかなければなるまい」
「ちょっと、それだと私がわがまま言ったみたいに聞こえない? 宮廷魔術師になる道も考えたのだけど、城勤めとなると色々と派閥争いとかに巻き込まれそうで嫌だったのよ」
「派閥争いですか?」
「ミリーの魔法の実力は他の貴族も知るところだったからな。 自分の派閥に腕の立つ者を取り入れる事で、他の派閥に睨みを聞かせようとする貴族共もいるんだ」
うわー、やっぱりそういう貴族の派閥とかあるんだ……
僕には耐えられないな。
「なるほど、貴族様も色々な苦労があるんですね」
「そうなのよ。 あ、でも勘違いしないで欲しいのは、私もクラウスも家との仲は良好よ。 私のところはかなり無理を言ったのに応援してくれてね。 とても感謝しているわ」
「私は兄を支えるために腕を磨く事も兼ねて冒険者をしている。 兄はとても頭が切れる人だが、体が強い訳ではない。 だから私が兄を力の部分で支えたいと思っている」
なるほど、2人とも強い意志を持って冒険者をしているんだな。
「貴重なお話聞かせてくださりありがとうございました。 とても興味深かったです」
「いいんだ。 待ち合わせには余裕を持って来ていたからな」
「そうね、話していたら丁度いい時間になったわ」
「そうですか。 それでは僕たちは依頼を受けてきます」
「あ、ショーマくん? 少しだけノアルちゃん借りていい?」
「え? あー、ノアルが良ければ僕は構わないですよ? けど、一体何するんですか?」
「いえ、男女2人のパーティーの先輩としてちょっと話したくてね。 女同士、話せる事も多いだろうしそこまで時間は取らせないから」
「だ、そうだけど…… ノアルはどうしたい?」
「……ん、ちょっと気になるから話す。 依頼選んでおいていいよ」
「そっか、じゃあそうするね。 終わってもギルド内にはいるからそこで合流しよう」
「……分かった」
そう言うとノアルはミリアンヌさんの所に行って、僕達から少し離れていった。
「……すまんな、ショーマ」
「いえ、大丈夫ですよ。 女性同士話したい事もあるだろうし、僕らは近いうちに獣人国に行くつもりなので、話せる時に話しておいた方がいいと思いますから」
「獣人国へ行くのか? お前の相方関係か?」
「そうですね」
僕はクラウスさんに獣人国へ行く理由をざっくり話しながらギルド内に入っていった。
「……なるほど、準備はどうするんだ? 獣人国への道のりはそれなりに長いぞ?」
「今日依頼を受けて、明日一日準備に使おうと思っています」
「ふむ、それが上策か。 依頼は何を受けるんだ?」
「まだ決めていないですね。 あまり危険な依頼を受けるつもりはないですが……」
「時間はあるから、手伝おう。 恐らく私の方が依頼に関して話せる事は多いだろう」
「お手数でないのならお願いしてもいいですか?」
「ああ、いいだろう」
クラウスさんに依頼選びを手伝ってもらい、最終的にはレッドウルフ三匹の狩猟に決めた。
クラウスさん曰く、ショーマの実力、依頼を選びながら大まかに話したノアルの実力から余裕を持って倒せるだろうとの事だ。
カウンターに依頼を受理してもらい、少し待っていると、ノアルとミリアンヌさんが戻ってきた。
「それでは、私達はそろそろ待ち合わせに行く。 ショーマ達なら余裕だとは思うが一応油断はしない事だ」
「また今度話しましょう、ショーマくん、ノアル」
「はい、ありがとうございました。 またお会いしましょう」
「……ばいばい、クラウス。 ミリーはありがと、またね」
2人に礼を言って別れた。
よし、依頼を頑張るぞ。
そして、結局僕達は10分くらいの間抱き合っていた。
抱き合っていたというより、ノアルにずっとしがみつかれていたというのが正しいかもしれないが。
僕が「もういい?」と聞いても、「……もうちょっと」と言って中々離れてくれなかった。
終いには僕の胸に頭をグリグリ擦り付けたり、匂いを嗅ぎ始めたので、そこで辞めさせました。
「……ショーマの匂い、安心する」
「……それは良かったけど、途中から目的変わってなかった?」
「……そんなことない」
まぁ、すごく嬉しく思ってくれたっていうのは僕としても悪い気はしないけども。
「落ち着いた事だし、もう寝ようか? なんだかんだで今日動き回ったから疲れたでしょ?」
「……ん、ちょっと眠い」
ノアルの顔を見ると、いつも少し眠たげなノアルの眼が更に眠そうになっていた。
それを見た僕は、ノアルに生活魔法をかけてあげる。
そこまで汚れてはないだろうけど、一応綺麗な方が寝やすいだろう。
「それじゃあ、おやすみ」
そう言って僕は、自分のベッドに入って寝ようとした。
「……ん、おやすみ」
ノアルもそう僕に声をかけてくる。
……僕のベッドに入ろうとしながら。
「……ノアル? 君のベッドは向こうですよ?」
「……こっちがいい」
「じゃあ、僕があっちのベッドに行くね」
「……それならノアルもあっちがいい」
なんでこの子はそんなに一緒に寝たがる!?
「……ダメ?」
「ダメです。 僕の安眠のためにも別々のベッドでお願いします」
「……むぅ、分かった」
流石に睡眠の邪魔をするのは申し訳ないと思ったのか、渋々ノアルはもう一つのベッドに入っていった。
もう…… 寝る前にとても気疲れしたな。
早いとこ寝て明日に備える事にしよう……
*
「……おはよ」
翌朝、目が覚めると、ノアルの挨拶が聞こえた。
僕の横から。
「……おはようノアル、一つ聞いていいかい?」
「……ん?」
「なんで、一緒に寝てるの? 君のベッドは向こうのはずなんだけど?」
「……あったかいから」
「……君、暑がりじゃなかったっけ?」
「……心が、あったかい」
そう言われると悪い気はしないけど、少し心臓には悪い。
女の子慣れしてないと言えばそれまでだが、ノアルはとても可愛らしく魅力的な外見をしているので、そんな子が朝起きて同じベッドに入ってたら、ドキドキするのも仕方ないのではないだろうか?
「お兄ちゃーん、お姉ちゃーん、ご飯が出来てますよー」
それから少しノアルと話していると、コンコンッと扉をノックしながらミラルちゃんがそう呼びかけてきた。
「今行くよー」
「……今行く」
もうそんな時間だったのか。
結構寝てたみたいだけど、やっぱり疲れてたのかな?
……ノアルがベッドに入ってきたのも気付かなかったみたいだし。
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朝食を取った僕たちは宿を出て、ギルドに向かっている。
その道中、今後の予定について話し合い、今日はまた討伐系の依頼を一つ受けて、明日は一日準備に当てる事になった。
ちなみに、この予定の提案者はノアルだ。
言っちゃ悪いかもしれないが少し意外だった。
明日の昼頃には魔力は回復するそうだから、明日にはもう出発するって言い出すのではないかと思っていたからだ。
そこら辺をノアルに聞いてみると、
「……そうしたいけど、獣人国へは数日かかる。 ……安全のために途中までは道を通って行くけど、村に行くには途中で魔物除けのある道からは外れないと行けない。 ……それに、村の近くにはまだ魔物がいる可能性もある」
「なるほど……そう言われると納得するしかないね」
「……だから、しっかり準備しないと。 ……それに、ショーマに助けてもらった命を無駄にするのは失礼」
そんな事まで考えていてくれたのか。
気にしなくていいとも思ったが、命を助けてもらったらその人に感謝するのは真っ当な事だと、僕もフォルティに転生させてもらった事を思い出して口に出すのはやめておいた。
まぁ、ノアルと僕はちょっと助かり方が違うけどね。
話をしながら少し歩いているとギルドが見えてきた。
そのままギルドに入ろうとした僕達だったが、隣の通りから同じタイミングで一組の男女が歩いてきた。
「あ、クラウスさん、ミリアンヌさん、おはようございます」
「む、ショーマか。 おはよう」
「あら、奇遇ねー? おはよう」
何日か振りにこの2人に会った。
これから依頼だろうか?
「……だれ?」
そういえば、ノアルは会ったことなかったか。
「この人達はクラウスさんとミリアンヌさん。 同じ宿のゲイルさんや昨日会ったマイヤさんと同じパーティーの人達だよ」
「あら、その子がゲイルが言ってた獣人の子ね。 私はミリアンヌ。 親しい人からはミリーと呼ばれてるわ。 よろしくね」
「クラウスだ。 私達4人のパーティーのリーダーをしている」
「……ノアル。 ……よろしく」
自己紹介し合った僕たちは、そのままギルドの前で話を続ける。
「大体の話はゲイルから聞いている。 パーティーを組んだそうだが、ショーマ、お前の力の事は話したのか?」
「もちろんです。 信用してなかったらそもそもパーティーなんて組みませんし、ノアルは頼りになりますから」
「そうか、それならいいんだ」
「ふふ、男女2人でパーティーなんて、昔を思い出すわね」
「そうだな」
昔はこの2人のパーティーだったのか。
「かなり昔からの付き合いなんですか?」
「ああ、成人する前に婚約したからな」
「え!? お二人って夫婦だったんですか!?」
「あら? 言ってなかったかしら?」
そうだったのか……
そう言われてみるとお似合いだな。
「クラウスさんと婚約したって事は、ミリアンヌさんも貴族なんですか?」
「ええ、そうよ。 とは言っても、侯爵家の三女で第二夫人の子供だから、家督を継いだりする立場ではないわよ。 家の事はお兄様がやり繰りしているから私は比較的自由に動けてるの」
「私も元々はミリーと同じ侯爵家だったが、ここの元領主の汚職が発覚してな。 代わりに我が家がこの街の領主で辺境伯となったのだ」
辺境伯が汚職したのか……
それは中々に問題になりそうだな。
その代わりに辺境伯になったという事は、今の領主のクラウスさんのお兄さんは、国からも信頼されているんだろうな。
「貴族の長男長女以外は騎士団や宮廷魔術師になったり、一部は冒険者になるのよ。 クラウスは元々騎士団だったけどね」
「そうだったんですか? どうして冒険者に?」
「ミリーが成人した時に冒険者になると言ってな。 それならば婚約者である私も付いていかなければなるまい」
「ちょっと、それだと私がわがまま言ったみたいに聞こえない? 宮廷魔術師になる道も考えたのだけど、城勤めとなると色々と派閥争いとかに巻き込まれそうで嫌だったのよ」
「派閥争いですか?」
「ミリーの魔法の実力は他の貴族も知るところだったからな。 自分の派閥に腕の立つ者を取り入れる事で、他の派閥に睨みを聞かせようとする貴族共もいるんだ」
うわー、やっぱりそういう貴族の派閥とかあるんだ……
僕には耐えられないな。
「なるほど、貴族様も色々な苦労があるんですね」
「そうなのよ。 あ、でも勘違いしないで欲しいのは、私もクラウスも家との仲は良好よ。 私のところはかなり無理を言ったのに応援してくれてね。 とても感謝しているわ」
「私は兄を支えるために腕を磨く事も兼ねて冒険者をしている。 兄はとても頭が切れる人だが、体が強い訳ではない。 だから私が兄を力の部分で支えたいと思っている」
なるほど、2人とも強い意志を持って冒険者をしているんだな。
「貴重なお話聞かせてくださりありがとうございました。 とても興味深かったです」
「いいんだ。 待ち合わせには余裕を持って来ていたからな」
「そうね、話していたら丁度いい時間になったわ」
「そうですか。 それでは僕たちは依頼を受けてきます」
「あ、ショーマくん? 少しだけノアルちゃん借りていい?」
「え? あー、ノアルが良ければ僕は構わないですよ? けど、一体何するんですか?」
「いえ、男女2人のパーティーの先輩としてちょっと話したくてね。 女同士、話せる事も多いだろうしそこまで時間は取らせないから」
「だ、そうだけど…… ノアルはどうしたい?」
「……ん、ちょっと気になるから話す。 依頼選んでおいていいよ」
「そっか、じゃあそうするね。 終わってもギルド内にはいるからそこで合流しよう」
「……分かった」
そう言うとノアルはミリアンヌさんの所に行って、僕達から少し離れていった。
「……すまんな、ショーマ」
「いえ、大丈夫ですよ。 女性同士話したい事もあるだろうし、僕らは近いうちに獣人国に行くつもりなので、話せる時に話しておいた方がいいと思いますから」
「獣人国へ行くのか? お前の相方関係か?」
「そうですね」
僕はクラウスさんに獣人国へ行く理由をざっくり話しながらギルド内に入っていった。
「……なるほど、準備はどうするんだ? 獣人国への道のりはそれなりに長いぞ?」
「今日依頼を受けて、明日一日準備に使おうと思っています」
「ふむ、それが上策か。 依頼は何を受けるんだ?」
「まだ決めていないですね。 あまり危険な依頼を受けるつもりはないですが……」
「時間はあるから、手伝おう。 恐らく私の方が依頼に関して話せる事は多いだろう」
「お手数でないのならお願いしてもいいですか?」
「ああ、いいだろう」
クラウスさんに依頼選びを手伝ってもらい、最終的にはレッドウルフ三匹の狩猟に決めた。
クラウスさん曰く、ショーマの実力、依頼を選びながら大まかに話したノアルの実力から余裕を持って倒せるだろうとの事だ。
カウンターに依頼を受理してもらい、少し待っていると、ノアルとミリアンヌさんが戻ってきた。
「それでは、私達はそろそろ待ち合わせに行く。 ショーマ達なら余裕だとは思うが一応油断はしない事だ」
「また今度話しましょう、ショーマくん、ノアル」
「はい、ありがとうございました。 またお会いしましょう」
「……ばいばい、クラウス。 ミリーはありがと、またね」
2人に礼を言って別れた。
よし、依頼を頑張るぞ。
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