26 / 90
第二章 新たな出会い
#24 初依頼(2)
しおりを挟む
僕とノアルはあれから2人で更に4匹のゴブリンを倒した。
僕は1匹しか倒していないのだけれど。
なにせ、ノアルのスピードと戦闘能力は尋常じゃなく、僕が1匹倒している間に3匹あっという間に倒してしまった。
ちょっと情けない。
「……あと、4匹」
「そうだね、最後まで油断しないでいこう」
そして、僕とノアルは最初に魔法で壊した建造物の近くまで来た。
そこには、ゴブリンの気配が4つ集まっていて、その姿を確認したのはいいのだが、
「なんか、違くない?」
「……あれは、上位種」
「上位種?」
「……魔物の中には通常種よりも強い上位種がいる。 真ん中の2匹は上位種」
そんなやつがいるのか。
力がよく分からないから鑑定してみよう。
ゴブリンソルジャー Lv20
種族:ゴブリン
スキル:斧術 Lv3 統率 Lv3
HP:3451
MP:124
力:1003
速:315
技:189
守:674
魔:97
運:10
ゴブリンメイジ Lv18
種族:ゴブリン
スキル:風魔法 Lv3
HP:2452
MP:874
力:135
速:257
技:317
守:329
魔:963
運:10
かなり強いな。
これが上位種なのか。
それにしても、レベルとパラメーターは魔物も人もだがかなり個人差があるみたいだな。
目の前にいるゴブリンメイジと僕とは10近くレベルが離れているけど、パラメーターはそんなに負けてないし。
それからしっかりと鑑定結果をノアルにも伝えた。
「……1対1なら負けないけど、魔法が厄介」
「そうだね。 じゃあ、メイジは僕がなんとか相手をするから、ノアルはソルジャーの方をお願いしていい? 取り巻きの2匹は動きが分からないから各自で対処しよう。 何かあったら念話で呼んで?」
「……了解」
「よし、なるべく怪我しないように立ち回ろう」
よし、これが最後だ!
*
(ノアルside)
おかしい。
ノアルは戦闘を開始してすぐそう思った。
ゴブリンソルジャーとは村で暮らしていた時に近くに出現した個体と戦った事があるが、ここまで強くなかった。
それに、取り巻きのゴブリン2匹の動きもおかしい。
ゴブリンソルジャーが統率スキルを持っていて、その指示によるものでもあるだろうが、どうも自分で考えて動いているように見える。
本来ゴブリンはそこまでの知能を持たず、仲間同士での連携なども稚拙なものなのだが、あの2匹はソルジャーの後ろで機会を伺っていて飛び出したりしてこない。
ノアルの攻撃にソルジャーが押され始めると後ろから出てきて2匹で挟撃してきたり、その2匹を倒そうとすると、ソルジャーの大剣の大振りが襲いかかってくる。
「……鬱陶しい」
思わず悪態をついてしまう。
早く倒してショーマに加勢しようと思っていたのに、思わぬ足止めを食らってしまった。
自分はショーマに命を救われた。
だから、自分に出来ることでショーマの助けになるなら、なんだってする。
近いうちに、別れる事になるだろうから。
自分は故郷の村に帰るという目的がある以上、この場所で活動しているショーマとは別れないといけない。
恐らく、魔力はあと2日程で回復するだろう。
それまでは、ショーマの役に立ちたい。
なので、ギアを上げる事にする。
服が汚れるかもしれなかったから、出来れば嫌だったのだが。
「……ふっ!!」
「グギャ?!」
連携を取り、近づいてきたゴブリンの横っ腹に勢いをつけた回し蹴りが叩き込んだ。
それによりバランスを崩したゴブリンの首を素早く斬り飛ばす。
本来、自分の戦闘スタイルは、双剣と格闘を織り交ぜだ手数の多さで戦うものだ。
ただ、ゴブリンの体表は、人間でいうところの汗のような体液で少しヌメヌメしていて、出来れば触りたくない。
まぁ、体液がヌメヌメしているのはゴブリンに限った話ではなく、魔物という生き物はそういうのばかりなのだが。
「……うげ」
案の定、ゴブリンの体液が足に付いてしまった。
ショーマに買ってもらった靴も同様だ。
「……せっかくショーマがくれたものなのに」
汚してしまった事に少し悲しくなってしまう。
すぐにこの戦闘を終わらせたい。
「……もう、終わりにする」
取り巻きの片方を失い、戸惑っているように見えるもう片方のゴブリンに、高速で接近する。
「ゲギャァ!!」
それを隙と見たのか、横からソルジャーが大剣を振り下ろしてくる。
「……そんなの当たらない」
スピードを一段階上げ、大剣をかわす。
そもそもこの戦闘でノアルはまだ6割くらいのスピードしか出していなかった。
なにが出てくるか分からない以上、最初から全力で臨むのは危険だと思い、少し抑えていた。
ただ、すぐにでも戦闘を終わらせたい欲求が芽生えた事で制限を外し、もはやソルジャーの大剣など当たるはずのないスピードを発揮していた。
「ギャ!?」
そのスピードのまま、双剣で取り巻きのゴブリンを斬り裂き、大した抵抗もさせずにとどめを刺した。
「……後はお前だけ」
「グギャ……!」
その後は自慢のスピードを生かし、ソルジャーを翻弄していく。
ソルジャーも必死に大剣を振り回しているが、ノアルにはかすりもしない。
それどころか、体のあちこちに双剣や格闘による傷がどんどん増えていく始末だ。
今、ソルジャーの感覚だと、四方八方から同時に攻撃を受けているような感覚だろう。
それくらいノアルのスピードはすごいものだった。
そしてついに、ソルジャーは多大なダメージによって地面に膝をついてしまう。
「……終わり」
「グギャァァ! ……ギャ?」
最後の抵抗と言わんばかりの大剣による一振りもあっさりとかわされ、ソルジャーは首を跳ねられ絶命した。
「……むぅ、汚れた」
ソルジャーには蹴りだけではなく肘打ちをしたりもしたので、上半身にもゴブリンの体液が付き、シャツも少し汚れてしまった。
「……ショーマの方は」
少し離れたところで戦うショーマの方に視線を向けると、そちらも丁度戦闘が終わるところだった。
*
「ギャ!」
メイジの魔法が僕目掛けて飛んでくる。
確か風魔法のウィンドバレットだな。
風を圧縮した小さな弾を複数飛ばしてくる魔法だ。
「『シールド』」
それを防ぐために僕が使ったのは、光魔法の一つであるシールドという魔法だ。
これは半透明の壁で、物理、魔法に関わらず防御が出来る。
もちろん耐久性には限度があり、限度を超えると割れてしまうのだが。
「今度はこっちからいくよ。 『ロックアロー』」
お返しに前にも使った土魔法で攻撃を繰り出した。
「ギャギャギャ!」
だが、メイジは持っている杖を振って風の防壁を発生させる。
あれは確か、ウィンドウォールだったっけ?
その防壁に阻まれ、ロックアローは撃ち落とされてしまった。
あの壁を破るにはもう少し強い魔法が必要みたいだ。
「なら、これでどうだ。 『ロックジャベリン』」
ロックアロー系の魔法よりも貫通能力が高い上に、サイズも大きいロックジャベリンを唱える。
これでどうだ?
ロックジャベリンは一直線にウィンドウォールに直撃して一瞬の均衡を見せたが、その防壁を破りメイジの方に向かっていった。
「よし! ……って、あれ?」
直撃したかと思った魔法は、メイジの直前で止められていた。
あれは…… シールドの魔法か?
けど、それはありえないはずだ。
あのメイジは風魔法しか持っていなかったから、シールドが使えるはずがない。
「ん? あれ、なんだろ?」
シールドを発動させているメイジが腕に着けている腕輪が目に入った。
飾りかと思っていたが、なにやら光っている。
ひょっとして、あれが原因か?
遠目から鑑定してみると、
【銀の腕輪+1(シールド)】:
シールドの魔法が付与された腕輪。
魔力を流すとシールドの魔法を発動させることができる。
こんな感じだった。
なるほど、ああいった装備もこの世界にはあるのか。
けど、結構貴重なんじゃないのかな?
なんでゴブリンがそんなものを持っているのかは置いておいて、今はこの状況をどうするかを考えないと。
二重の防壁とは厄介だな。
基本的に魔法は同時に発動は出来ないらしく、シールドとウィンドウォールの二重防壁なんて普通にやったらお目に掛からない。
あれを破る攻撃となると、僕のロングソードでの直接攻撃が現状一番だろうが、僕が生身で突っ込んだら今度は攻撃魔法に当たるリスクが出てくる。
けど、やりようはいくらでもある。
「近付かなければいいよね」
出来るか分からないが、やってみよう。
「『ロックウォール』」
まずは相手の攻撃を遮れるように壁を作る。
「『ウィンド』」
次に風魔法の中で一番基本となる、風を発生させる魔法を使う。
これで、僕のロングソードを包むようにコントロールして宙に浮かせた。
ちなみにこのウィンドという魔法は、魔力を込めれば込める程、強い風を発生させる事ができる。
「ギャァギャァ!」
先ほどからメイジが壁を破ろうとウィンドバレットを壁にぶつけ続けている。
あと少しで破られてしまうだろう。
息を吐き、呼吸を整え、意を決して壁から横に出た。
先程ウィンドで浮かせた剣は宙に浮かせたままだ。
更に、剣の切っ先がメイジに向かうよう風をコントロールする。
メイジは何か危険を察知したのか、ウィンドバレットを打つのをやめ、ウィンドウォールとシールドを展開した。
「いけっ!!」
それを見た僕は、浮かすように剣を包み込んでいた風の流れをメイジに向かうように調整し、同時に少量流していたMPの量を急激に増やすことで暴風を発生させ、剣を猛スピードでメイジに向かって射出した。
ちなみに、込めたMPの量は残り1200くらいあったMPの内、半分以上が消し飛ぶくらいだ。
「ギャァ!?」
凄まじいスピードで向かっていったロングソードは二重の壁をものともせず貫通し、メイジの体に突き刺さった。
「ギャ……」
そのまま、メイジは持っていた杖を地面に落とし、動きを止めた。
メイジの体に刺さったロングソードを回収し、一振りしてロングソードに付いた血や体液を落とす。
「……ふぅ、厄介だったな」
MPを急に、しかも大量に使ったせいか、少し体が重い。
けど、動けない程ではない。
200mくらいを全力で走った後みたいな感覚だ。
なんとか勝てて良かった。
初依頼にしてはハードだったけど、これで無事依頼達成だね。
僕は1匹しか倒していないのだけれど。
なにせ、ノアルのスピードと戦闘能力は尋常じゃなく、僕が1匹倒している間に3匹あっという間に倒してしまった。
ちょっと情けない。
「……あと、4匹」
「そうだね、最後まで油断しないでいこう」
そして、僕とノアルは最初に魔法で壊した建造物の近くまで来た。
そこには、ゴブリンの気配が4つ集まっていて、その姿を確認したのはいいのだが、
「なんか、違くない?」
「……あれは、上位種」
「上位種?」
「……魔物の中には通常種よりも強い上位種がいる。 真ん中の2匹は上位種」
そんなやつがいるのか。
力がよく分からないから鑑定してみよう。
ゴブリンソルジャー Lv20
種族:ゴブリン
スキル:斧術 Lv3 統率 Lv3
HP:3451
MP:124
力:1003
速:315
技:189
守:674
魔:97
運:10
ゴブリンメイジ Lv18
種族:ゴブリン
スキル:風魔法 Lv3
HP:2452
MP:874
力:135
速:257
技:317
守:329
魔:963
運:10
かなり強いな。
これが上位種なのか。
それにしても、レベルとパラメーターは魔物も人もだがかなり個人差があるみたいだな。
目の前にいるゴブリンメイジと僕とは10近くレベルが離れているけど、パラメーターはそんなに負けてないし。
それからしっかりと鑑定結果をノアルにも伝えた。
「……1対1なら負けないけど、魔法が厄介」
「そうだね。 じゃあ、メイジは僕がなんとか相手をするから、ノアルはソルジャーの方をお願いしていい? 取り巻きの2匹は動きが分からないから各自で対処しよう。 何かあったら念話で呼んで?」
「……了解」
「よし、なるべく怪我しないように立ち回ろう」
よし、これが最後だ!
*
(ノアルside)
おかしい。
ノアルは戦闘を開始してすぐそう思った。
ゴブリンソルジャーとは村で暮らしていた時に近くに出現した個体と戦った事があるが、ここまで強くなかった。
それに、取り巻きのゴブリン2匹の動きもおかしい。
ゴブリンソルジャーが統率スキルを持っていて、その指示によるものでもあるだろうが、どうも自分で考えて動いているように見える。
本来ゴブリンはそこまでの知能を持たず、仲間同士での連携なども稚拙なものなのだが、あの2匹はソルジャーの後ろで機会を伺っていて飛び出したりしてこない。
ノアルの攻撃にソルジャーが押され始めると後ろから出てきて2匹で挟撃してきたり、その2匹を倒そうとすると、ソルジャーの大剣の大振りが襲いかかってくる。
「……鬱陶しい」
思わず悪態をついてしまう。
早く倒してショーマに加勢しようと思っていたのに、思わぬ足止めを食らってしまった。
自分はショーマに命を救われた。
だから、自分に出来ることでショーマの助けになるなら、なんだってする。
近いうちに、別れる事になるだろうから。
自分は故郷の村に帰るという目的がある以上、この場所で活動しているショーマとは別れないといけない。
恐らく、魔力はあと2日程で回復するだろう。
それまでは、ショーマの役に立ちたい。
なので、ギアを上げる事にする。
服が汚れるかもしれなかったから、出来れば嫌だったのだが。
「……ふっ!!」
「グギャ?!」
連携を取り、近づいてきたゴブリンの横っ腹に勢いをつけた回し蹴りが叩き込んだ。
それによりバランスを崩したゴブリンの首を素早く斬り飛ばす。
本来、自分の戦闘スタイルは、双剣と格闘を織り交ぜだ手数の多さで戦うものだ。
ただ、ゴブリンの体表は、人間でいうところの汗のような体液で少しヌメヌメしていて、出来れば触りたくない。
まぁ、体液がヌメヌメしているのはゴブリンに限った話ではなく、魔物という生き物はそういうのばかりなのだが。
「……うげ」
案の定、ゴブリンの体液が足に付いてしまった。
ショーマに買ってもらった靴も同様だ。
「……せっかくショーマがくれたものなのに」
汚してしまった事に少し悲しくなってしまう。
すぐにこの戦闘を終わらせたい。
「……もう、終わりにする」
取り巻きの片方を失い、戸惑っているように見えるもう片方のゴブリンに、高速で接近する。
「ゲギャァ!!」
それを隙と見たのか、横からソルジャーが大剣を振り下ろしてくる。
「……そんなの当たらない」
スピードを一段階上げ、大剣をかわす。
そもそもこの戦闘でノアルはまだ6割くらいのスピードしか出していなかった。
なにが出てくるか分からない以上、最初から全力で臨むのは危険だと思い、少し抑えていた。
ただ、すぐにでも戦闘を終わらせたい欲求が芽生えた事で制限を外し、もはやソルジャーの大剣など当たるはずのないスピードを発揮していた。
「ギャ!?」
そのスピードのまま、双剣で取り巻きのゴブリンを斬り裂き、大した抵抗もさせずにとどめを刺した。
「……後はお前だけ」
「グギャ……!」
その後は自慢のスピードを生かし、ソルジャーを翻弄していく。
ソルジャーも必死に大剣を振り回しているが、ノアルにはかすりもしない。
それどころか、体のあちこちに双剣や格闘による傷がどんどん増えていく始末だ。
今、ソルジャーの感覚だと、四方八方から同時に攻撃を受けているような感覚だろう。
それくらいノアルのスピードはすごいものだった。
そしてついに、ソルジャーは多大なダメージによって地面に膝をついてしまう。
「……終わり」
「グギャァァ! ……ギャ?」
最後の抵抗と言わんばかりの大剣による一振りもあっさりとかわされ、ソルジャーは首を跳ねられ絶命した。
「……むぅ、汚れた」
ソルジャーには蹴りだけではなく肘打ちをしたりもしたので、上半身にもゴブリンの体液が付き、シャツも少し汚れてしまった。
「……ショーマの方は」
少し離れたところで戦うショーマの方に視線を向けると、そちらも丁度戦闘が終わるところだった。
*
「ギャ!」
メイジの魔法が僕目掛けて飛んでくる。
確か風魔法のウィンドバレットだな。
風を圧縮した小さな弾を複数飛ばしてくる魔法だ。
「『シールド』」
それを防ぐために僕が使ったのは、光魔法の一つであるシールドという魔法だ。
これは半透明の壁で、物理、魔法に関わらず防御が出来る。
もちろん耐久性には限度があり、限度を超えると割れてしまうのだが。
「今度はこっちからいくよ。 『ロックアロー』」
お返しに前にも使った土魔法で攻撃を繰り出した。
「ギャギャギャ!」
だが、メイジは持っている杖を振って風の防壁を発生させる。
あれは確か、ウィンドウォールだったっけ?
その防壁に阻まれ、ロックアローは撃ち落とされてしまった。
あの壁を破るにはもう少し強い魔法が必要みたいだ。
「なら、これでどうだ。 『ロックジャベリン』」
ロックアロー系の魔法よりも貫通能力が高い上に、サイズも大きいロックジャベリンを唱える。
これでどうだ?
ロックジャベリンは一直線にウィンドウォールに直撃して一瞬の均衡を見せたが、その防壁を破りメイジの方に向かっていった。
「よし! ……って、あれ?」
直撃したかと思った魔法は、メイジの直前で止められていた。
あれは…… シールドの魔法か?
けど、それはありえないはずだ。
あのメイジは風魔法しか持っていなかったから、シールドが使えるはずがない。
「ん? あれ、なんだろ?」
シールドを発動させているメイジが腕に着けている腕輪が目に入った。
飾りかと思っていたが、なにやら光っている。
ひょっとして、あれが原因か?
遠目から鑑定してみると、
【銀の腕輪+1(シールド)】:
シールドの魔法が付与された腕輪。
魔力を流すとシールドの魔法を発動させることができる。
こんな感じだった。
なるほど、ああいった装備もこの世界にはあるのか。
けど、結構貴重なんじゃないのかな?
なんでゴブリンがそんなものを持っているのかは置いておいて、今はこの状況をどうするかを考えないと。
二重の防壁とは厄介だな。
基本的に魔法は同時に発動は出来ないらしく、シールドとウィンドウォールの二重防壁なんて普通にやったらお目に掛からない。
あれを破る攻撃となると、僕のロングソードでの直接攻撃が現状一番だろうが、僕が生身で突っ込んだら今度は攻撃魔法に当たるリスクが出てくる。
けど、やりようはいくらでもある。
「近付かなければいいよね」
出来るか分からないが、やってみよう。
「『ロックウォール』」
まずは相手の攻撃を遮れるように壁を作る。
「『ウィンド』」
次に風魔法の中で一番基本となる、風を発生させる魔法を使う。
これで、僕のロングソードを包むようにコントロールして宙に浮かせた。
ちなみにこのウィンドという魔法は、魔力を込めれば込める程、強い風を発生させる事ができる。
「ギャァギャァ!」
先ほどからメイジが壁を破ろうとウィンドバレットを壁にぶつけ続けている。
あと少しで破られてしまうだろう。
息を吐き、呼吸を整え、意を決して壁から横に出た。
先程ウィンドで浮かせた剣は宙に浮かせたままだ。
更に、剣の切っ先がメイジに向かうよう風をコントロールする。
メイジは何か危険を察知したのか、ウィンドバレットを打つのをやめ、ウィンドウォールとシールドを展開した。
「いけっ!!」
それを見た僕は、浮かすように剣を包み込んでいた風の流れをメイジに向かうように調整し、同時に少量流していたMPの量を急激に増やすことで暴風を発生させ、剣を猛スピードでメイジに向かって射出した。
ちなみに、込めたMPの量は残り1200くらいあったMPの内、半分以上が消し飛ぶくらいだ。
「ギャァ!?」
凄まじいスピードで向かっていったロングソードは二重の壁をものともせず貫通し、メイジの体に突き刺さった。
「ギャ……」
そのまま、メイジは持っていた杖を地面に落とし、動きを止めた。
メイジの体に刺さったロングソードを回収し、一振りしてロングソードに付いた血や体液を落とす。
「……ふぅ、厄介だったな」
MPを急に、しかも大量に使ったせいか、少し体が重い。
けど、動けない程ではない。
200mくらいを全力で走った後みたいな感覚だ。
なんとか勝てて良かった。
初依頼にしてはハードだったけど、これで無事依頼達成だね。
978
お気に入りに追加
2,254
あなたにおすすめの小説
死んだら男女比1:99の異世界に来ていた。SSスキル持ちの僕を冒険者や王女、騎士が奪い合おうとして困っているんですけど!?
わんた
ファンタジー
DVの父から母を守って死ぬと、異世界の住民であるイオディプスの体に乗り移って目覚めた。
ここは、男女比率が1対99に偏っている世界だ。
しかもスキルという特殊能力も存在し、イオディプスは最高ランクSSのスキルブースターをもっている。
他人が持っているスキルの効果を上昇させる効果があり、ブースト対象との仲が良ければ上昇率は高まるうえに、スキルが別物に進化することもある。
本来であれば上位貴族の夫(種馬)として過ごせるほどの能力を持っているのだが、当の本人は自らの価値に気づいていない。
贅沢な暮らしなんてどうでもよく、近くにいる女性を幸せにしたいと願っているのだ。
そんな隙だらけの男を、知り合った女性は見逃さない。
家で監禁しようとする危険な女性や子作りにしか興味のない女性などと、表面上は穏やかな生活をしつつ、一緒に冒険者として活躍する日々が始まった。
異世界に射出された俺、『大地の力』で快適森暮らし始めます!
らもえ
ファンタジー
旧題:異世界に射出された俺、見知らぬ森の真中へ放り出される。周りには木しか生えていないけどお地蔵さんに貰ったレアスキルを使って何とか生き延びます。
俺こと杉浦耕平は、学校帰りのコンビニから家に帰る途中で自称神なるものに拉致される。いきなり攫って異世界へ行けとおっしゃる。しかも語り口が軽くどうにも怪しい。
向こうに行っても特に使命は無く、自由にしていいと言う。しかし、もらえたスキルは【異言語理解】と【簡易鑑定】のみ。いや、これだけでどうせいっちゅーに。そんな俺を見かねた地元の地蔵尊がレアスキルをくれると言うらしい。やっぱり持つべきものは地元の繋がりだよね!
それで早速異世界転移!と思いきや、異世界の高高度の上空に自称神の手違いで射出されちまう。紐なしバンジーもしくはパラシュート無しのスカイダイビングか?これ。
自称神様が何かしてくれたお陰で何とか着地に成功するも、辺りは一面木ばっかりの森のど真ん中。いやこれ遭難ですやん。
そこでお地蔵さんから貰ったスキルを思い出した。これが意外とチートスキルで何とか生活していくことに成功するのだった。
平凡すぎる、と追放された俺。実は大量スキル獲得可のチート能力『無限変化』の使い手でした。俺が抜けてパーティが瓦解したから今更戻れ?お断りです
たかたちひろ【令嬢節約ごはん23日発売】
ファンタジー
★ファンタジーカップ参加作品です。
応援していただけたら執筆の励みになります。
《俺、貸します!》
これはパーティーを追放された男が、その実力で上り詰め、唯一無二の『レンタル冒険者』として無双を極める話である。(新形式のざまぁもあるよ)
ここから、直接ざまぁに入ります。スカッとしたい方は是非!
「君みたいな平均的な冒険者は不要だ」
この一言で、パーティーリーダーに追放を言い渡されたヨシュア。
しかしその実、彼は平均を装っていただけだった。
レベル35と見せかけているが、本当は350。
水属性魔法しか使えないと見せかけ、全属性魔法使い。
あまりに圧倒的な実力があったため、パーティーの中での力量バランスを考え、あえて影からのサポートに徹していたのだ。
それどころか攻撃力・防御力、メンバー関係の調整まで全て、彼が一手に担っていた。
リーダーのあまりに不足している実力を、ヨシュアのサポートにより埋めてきたのである。
その事実を伝えるも、リーダーには取り合ってもらえず。
あえなく、追放されてしまう。
しかし、それにより制限の消えたヨシュア。
一人で無双をしていたところ、その実力を美少女魔導士に見抜かれ、『レンタル冒険者』としてスカウトされる。
その内容は、パーティーや個人などに借りられていき、場面に応じた役割を果たすというものだった。
まさに、ヨシュアにとっての天職であった。
自分を正当に認めてくれ、力を発揮できる環境だ。
生まれつき与えられていたギフト【無限変化】による全武器、全スキルへの適性を活かして、様々な場所や状況に完璧な適応を見せるヨシュア。
目立ちたくないという思いとは裏腹に、引っ張りだこ。
元パーティーメンバーも彼のもとに帰ってきたいと言うなど、美少女たちに溺愛される。
そうしつつ、かつて前例のない、『レンタル』無双を開始するのであった。
一方、ヨシュアを追放したパーティーリーダーはと言えば、クエストの失敗、メンバーの離脱など、どんどん破滅へと追い込まれていく。
ヨシュアのスーパーサポートに頼りきっていたこと、その真の強さに気づき、戻ってこいと声をかけるが……。
そのときには、もう遅いのであった。
日本帝国陸海軍 混成異世界根拠地隊
北鴨梨
ファンタジー
太平洋戦争も終盤に近付いた1944(昭和19)年末、日本海軍が特攻作戦のため終結させた南方の小規模な空母機動部隊、北方の輸送兼対潜掃討部隊、小笠原増援輸送部隊が突如として消失し、異世界へ転移した。米軍相手には苦戦続きの彼らが、航空戦力と火力、機動力を生かして他を圧倒し、図らずも異世界最強の軍隊となってしまい、その情勢に大きく関わって引っ掻き回すことになる。
女神に同情されて異世界へと飛ばされたアラフォーおっさん、特S級モンスター相手に無双した結果、実力がバレて世界に見つかってしまう
サイダーボウイ
ファンタジー
「ちょっと冬馬君。このプレゼン資料ぜんぜんダメ。一から作り直してくれない?」
万年ヒラ社員の冬馬弦人(39歳)は、今日も上司にこき使われていた。
地方の中堅大学を卒業後、都内の中小家電メーカーに就職。
これまで文句も言わず、コツコツと地道に勤め上げてきた。
彼女なしの独身に平凡な年収。
これといって自慢できるものはなにひとつないが、当の本人はあまり気にしていない。
2匹の猫と穏やかに暮らし、仕事終わりに缶ビールが1本飲めれば、それだけで幸せだったのだが・・・。
「おめでとう♪ たった今、あなたには異世界へ旅立つ権利が生まれたわ」
誕生日を迎えた夜。
突如、目の前に現れた女神によって、弦人の人生は大きく変わることになる。
「40歳まで童貞だったなんて・・・これまで惨めで辛かったでしょ? でももう大丈夫! これからは異世界で楽しく遊んで暮らせるんだから♪」
女神に同情される形で異世界へと旅立つことになった弦人。
しかし、降り立って彼はすぐに気づく。
女神のとんでもないしくじりによって、ハードモードから異世界生活をスタートさせなければならないという現実に。
これは、これまで日の目を見なかったアラフォーおっさんが、異世界で無双しながら成り上がり、その実力がバレて世界に見つかってしまうという人生逆転の物語である。
神様との賭けに勝ったので、スキルを沢山貰えた件。
猫丸
ファンタジー
ある日の放課後。突然足元に魔法陣が現れると、気付けば目の前には神を名乗る存在が居た。
そこで神は異世界に送るからスキルを1つ選べと言ってくる。
あれ?これもしかして頑張ったらもっと貰えるパターンでは?
そこで彼は思った――もっと欲しい!
欲をかいた少年は神様に賭けをしないかと提案した。
神様とゲームをすることになった悠斗はその結果――
※過去に投稿していたものを大きく加筆修正したものになります。
スキル喰らい(スキルイーター)がヤバすぎた 他人のスキルを食らって底辺から最強に駆け上がる
けんたん
ファンタジー
レイ・ユーグナイト 貴族の三男で産まれたおれは、12の成人の儀を受けたら家を出ないと行けなかった だが俺には誰にも言ってない秘密があった 前世の記憶があることだ
俺は10才になったら現代知識と貴族の子供が受ける継承の義で受け継ぐであろうスキルでスローライフの夢をみる
だが本来受け継ぐであろう親のスキルを何一つ受け継ぐことなく能無しとされひどい扱いを受けることになる だが実はスキルは受け継がなかったが俺にだけ見えるユニークスキル スキル喰らいで俺は密かに強くなり 俺に対してひどい扱いをしたやつを見返すことを心に誓った
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる