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第二章 新たな出会い
#19 正体
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※2話前に閑話を入れるのを忘れてたので入れておきました。
良ければ見てくださると嬉しいです。
===========================
何やら体に重みを感じて、目が覚めてきた。
目はまだ開かないが、思考は少しはっきりしてくる。
(昨日の疲れが残ってるのかな? かなりの時間寝た気がするんだけど……)
そんな事を思ったが、実際は違う事に気付く。
体が重いのは疲れじゃなく、体の上に何かが乗っているからだと。
「ううん…… 何か乗ってる?」
枕から少し体を上げ、寝ぼけ眼を擦りながら体の上に乗っているものを確認する。
そこに乗っていたのは……
「うにゃ……」
綺麗な黒髪をした全裸の女の子。
「は!?!?!?!?」
一瞬で意識が覚醒する。
(待て。 僕はこんな子知らないぞ。 なんでこの子は僕の体の上で全裸でスヤスヤ寝ている!?)
僕は自分にかかっていた布団で素早くその子の体を包んだ。
そして、一応起こさないようにゆっくりとベッドから下りようとするが、
シュルっ
立ち上がろうとした僕の手に何かが巻きついてきた。
何かと思い見てみたところ、それは黒くて細長い尻尾だった。
「この子、まさか……」
そこで僕は一つの答えに辿り着いた。
布団に包まれているので肌はあまり見えないようになったが、腰の辺りから黒い尻尾が生えていて、さっきは気が動転して気付かなかったが、頭には猫耳が付いている。
「昨日助けた、黒猫……だよね?」
それしか思いつかなかった。
当の黒猫もいなくなってるし。
「……どうしよう」
尻尾を振り解くのも何かかわいそうだし、かと言って裸の女の子の近くにいるのも心臓に悪い。
え、なんで女の子って分かるかって?
上に乗られていた時に控え目だけど確かな柔らかい感触を感じたからである。
結局僕は女の子に背を向けてベッドに座っておくことにした。
まだ夜が明けたばかりだし、ミラルちゃんもしばらく来ないだろう。
スキルの確認でもしながらこの子が起きるのを待つ事にした。
*
「んー……」
あ、起きたかな?
結局僕が起きてから30分くらい経って、その間僕の右手にはずっと尻尾が巻き付いていた。
おかげでステータス画面の操作が少し覚束なかった。
「えっと、起きたかな?」
背を向けたまま声をかけてみる。
振り返る気はないです。
体を起こしたらしく、体にかけていた布団が落ちた音がしたので。
「……起きた」
「あ、話せるんだ?」
「?? ……もちろん」
猫の姿では話して無かったから、てっきり話せないもんかと思ってた。
「えーっと、取り敢えず自己紹介しようか。 僕はショーマといって一応冒険者をやってる」
「……ショーマ」
「君は? 名前はなんていうの?」
「……ノアル」
「ノアルね、よろしく。 ところで、質問なんだけど、人間の姿と猫の姿に変化する仕組みはどうなっているの?」
「……ノアルは獣人。 ……獣人の一部の人は獣化のスキル持ってる」
「獣人…… そんな種族もいるのか。 まぁ、エルフ や魔族もいるらしいし、獣人もいておかしくはないか……」
この世界には色んな種族がいるんだな。
鑑定すれば分かったことかもしれないが、黒猫の姿の時はその考えが浮かばなかったし、今は人の姿だから、人に向かって許可もなく鑑定というのはあまりしたくない。
どうしても必要な時は迷いなく鑑定すると思うが。
「……怖くないの?」
「え?」
「……ヒト種族は獣人、嫌ってる人いる。 ……怖くないの?」
「そうなんだ。 大丈夫、僕はそういう常識?とかよく分かってないから怖くないよ」
「……そうなんだ」
なんというか、あんまり口数多い方じゃないのかな?
必要な事だけ言うタイプ…… ちょっと父さんと似ているかもしれない。
「……助けてくれてありがと」
「ん? あぁ、気にしなくていいよ。 体はもうなんともない?」
「……ん、怪我治ってる。 ……それと、ごめんなさい」
「え、なんのこと?」
「……噛んじゃった」
噛んじゃった……?
ああ、この子を助けた時か。
「大丈夫だよ。 あの時は魔物に襲われて気が張ってたみたいだし、しょうがないと思う。 それに、その傷ももう治したから心配いらないよ」
「……それでも、ごめんなさい。 ……助けようとしてくれたのに」
「結果、君は無事で僕も無事だったから本当に気にしないで? あの状況だったら僕の事が敵に思えてもおかしくないからね」
「……ありがと。 ……そういえば、なんで後ろ向き?」
「……君は女の子でしょ? 女の子のあられもない姿を見る訳にはいかないから」
「……気にしない」
「いや、気にして!? 僕のためにもお願いしたい!」
「……別に、ショーマになら見られていい」
「気を許してくれたのは嬉しいけど! 見ないからね!? 布団で隠すか猫の姿に戻って!」
「……獣化したらショーマと話せない」
「そこは色々と考えてあるから心配しないでいいよ。 これから僕、ご飯食べに行かなきゃいけないから、猫の姿ならいいけど、裸のままじゃ外に出せないよ」
「……じゃあ、獣化する」
説得にとても気力を使ったよ……
獣人は羞恥の感覚が僕らと違うんだろうか?
それともこの子が特殊なのかな?
……なんか後者な気がする。
少し待っていると、巻き付いていた尻尾の感覚が無くなった。
それからすぐに、僕の肩に黒猫姿のノアルが乗ってきた。
なので、ノアルを対象にして、さっき取ってLv3まで上げておいたスキルを使った。
(えーっと、こんな感じかな? 聞こえる? ノアル?)
(!? ……びっくりした)
(あ、ごめんごめん。 僕もこのスキル使うの初めてだから、よく分かんなかったんだよね)
(……なにこれ?)
(これは念話っていうスキルで、今の僕のスキルレベルだと、僕の周り半径5m以内にいれば、こうやって頭の中で会話が出来るっていうスキルだよ)
(……すごい、ショーマ)
(それで、僕これからご飯食べに行くんだけど、ノアルはどうする? 待っててもいいけど)
(ノアルも行く)
即答された。
(そっか。 でも、獣化は解かないでね? 獣人を嫌ってる人? がいるかもしれないし、なにしろまた裸に
なっちゃうし)
(……分かった)
(というか、肩に乗ってて大丈夫? 落ちない?)
(……大丈夫。 ……ショーマの近くにいたい)
(一応、気をつけてね?)
というか、僕は口に出してもいいんじゃないかな?
……いや、猫に話しかけてるヤバいやつと思われるのも嫌だし、やっぱり念話で話そう。
*
「あ、ショーマお兄ちゃん。 今起こしに行こうと思って……、あ!! その子起きたんだね!」
「おはようミラルちゃん。 うん、さっき起きたよ」
「か、かわいいー!」
(……ショーマ、この子は?)
(この宿を経営してる夫婦の娘さんだよ、名前はミラルちゃん。 昨日僕が出かけてる間、ノアルの事はこの子とこの子の両親が君の事を見ていてくれたんだ)
(……そうなんだ)
そう言うとノアルはショーマの肩からヒョイっと飛び降り、ミラルちゃんに近づいていくと、頭をグリグリ擦り付けていく。
「わ!わ! お、お兄ちゃんこの子どうしたの!?」
「ミラルちゃんが昨日この子の面倒をみてくれてたって分かって、感謝してるみたいだよ?」
「ほわわ…… な、撫でてもいいのかな?」
(……いい)
「いいらしいよ」
僕の言葉を聞くとミラルちゃんは屈んで恐る恐る、ノアルの頭を撫でた。
ノアルはその手に向かって頭を押し付けている。
言葉には出来ないけど、感謝してる事を伝えたいみたいだ。
「わぁ……! 毛並みサラサラでツヤツヤで、すごい!」
(……でしょ)
ノアルは褒められて満更でもないみたい。
尻尾も上を向いていて、ご機嫌そうだ。
しばらく撫でて撫でられていた2人、(今は1人と1匹かな?)は満足したのかその身を離した。
「はぁ…… 満足です。 ありがとね、猫ちゃん。 また撫でさせてくれる?」
(……うん)
「ほんと!? ありがとー!」
言葉では伝えられないが、首を縦に振っているので、ミラルちゃんにも伝わったみたい。
「それじゃあご飯食べに行こうか?」
(……分かった)
そう言ってノアルはヒョイっと僕の肩に乗る。
「はっ! ミラルもお手伝いの途中でした! お兄ちゃん、後でね! 猫ちゃんも!」
「うん、気をつけてね」
「はーい!」と言いながらミラルちゃんは宿泊客を起こしに行った。
(そういえば、ノアルはなに食べるの?)
(……多分、ショーマと変わらない。 ……あ、でもピーマンは嫌い)
(ピーマンなんだ。 タマネギは?)
(? ……普通に食べる)
(そっか)
どうやら地球の猫とは違うみたい。
良ければ見てくださると嬉しいです。
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何やら体に重みを感じて、目が覚めてきた。
目はまだ開かないが、思考は少しはっきりしてくる。
(昨日の疲れが残ってるのかな? かなりの時間寝た気がするんだけど……)
そんな事を思ったが、実際は違う事に気付く。
体が重いのは疲れじゃなく、体の上に何かが乗っているからだと。
「ううん…… 何か乗ってる?」
枕から少し体を上げ、寝ぼけ眼を擦りながら体の上に乗っているものを確認する。
そこに乗っていたのは……
「うにゃ……」
綺麗な黒髪をした全裸の女の子。
「は!?!?!?!?」
一瞬で意識が覚醒する。
(待て。 僕はこんな子知らないぞ。 なんでこの子は僕の体の上で全裸でスヤスヤ寝ている!?)
僕は自分にかかっていた布団で素早くその子の体を包んだ。
そして、一応起こさないようにゆっくりとベッドから下りようとするが、
シュルっ
立ち上がろうとした僕の手に何かが巻きついてきた。
何かと思い見てみたところ、それは黒くて細長い尻尾だった。
「この子、まさか……」
そこで僕は一つの答えに辿り着いた。
布団に包まれているので肌はあまり見えないようになったが、腰の辺りから黒い尻尾が生えていて、さっきは気が動転して気付かなかったが、頭には猫耳が付いている。
「昨日助けた、黒猫……だよね?」
それしか思いつかなかった。
当の黒猫もいなくなってるし。
「……どうしよう」
尻尾を振り解くのも何かかわいそうだし、かと言って裸の女の子の近くにいるのも心臓に悪い。
え、なんで女の子って分かるかって?
上に乗られていた時に控え目だけど確かな柔らかい感触を感じたからである。
結局僕は女の子に背を向けてベッドに座っておくことにした。
まだ夜が明けたばかりだし、ミラルちゃんもしばらく来ないだろう。
スキルの確認でもしながらこの子が起きるのを待つ事にした。
*
「んー……」
あ、起きたかな?
結局僕が起きてから30分くらい経って、その間僕の右手にはずっと尻尾が巻き付いていた。
おかげでステータス画面の操作が少し覚束なかった。
「えっと、起きたかな?」
背を向けたまま声をかけてみる。
振り返る気はないです。
体を起こしたらしく、体にかけていた布団が落ちた音がしたので。
「……起きた」
「あ、話せるんだ?」
「?? ……もちろん」
猫の姿では話して無かったから、てっきり話せないもんかと思ってた。
「えーっと、取り敢えず自己紹介しようか。 僕はショーマといって一応冒険者をやってる」
「……ショーマ」
「君は? 名前はなんていうの?」
「……ノアル」
「ノアルね、よろしく。 ところで、質問なんだけど、人間の姿と猫の姿に変化する仕組みはどうなっているの?」
「……ノアルは獣人。 ……獣人の一部の人は獣化のスキル持ってる」
「獣人…… そんな種族もいるのか。 まぁ、エルフ や魔族もいるらしいし、獣人もいておかしくはないか……」
この世界には色んな種族がいるんだな。
鑑定すれば分かったことかもしれないが、黒猫の姿の時はその考えが浮かばなかったし、今は人の姿だから、人に向かって許可もなく鑑定というのはあまりしたくない。
どうしても必要な時は迷いなく鑑定すると思うが。
「……怖くないの?」
「え?」
「……ヒト種族は獣人、嫌ってる人いる。 ……怖くないの?」
「そうなんだ。 大丈夫、僕はそういう常識?とかよく分かってないから怖くないよ」
「……そうなんだ」
なんというか、あんまり口数多い方じゃないのかな?
必要な事だけ言うタイプ…… ちょっと父さんと似ているかもしれない。
「……助けてくれてありがと」
「ん? あぁ、気にしなくていいよ。 体はもうなんともない?」
「……ん、怪我治ってる。 ……それと、ごめんなさい」
「え、なんのこと?」
「……噛んじゃった」
噛んじゃった……?
ああ、この子を助けた時か。
「大丈夫だよ。 あの時は魔物に襲われて気が張ってたみたいだし、しょうがないと思う。 それに、その傷ももう治したから心配いらないよ」
「……それでも、ごめんなさい。 ……助けようとしてくれたのに」
「結果、君は無事で僕も無事だったから本当に気にしないで? あの状況だったら僕の事が敵に思えてもおかしくないからね」
「……ありがと。 ……そういえば、なんで後ろ向き?」
「……君は女の子でしょ? 女の子のあられもない姿を見る訳にはいかないから」
「……気にしない」
「いや、気にして!? 僕のためにもお願いしたい!」
「……別に、ショーマになら見られていい」
「気を許してくれたのは嬉しいけど! 見ないからね!? 布団で隠すか猫の姿に戻って!」
「……獣化したらショーマと話せない」
「そこは色々と考えてあるから心配しないでいいよ。 これから僕、ご飯食べに行かなきゃいけないから、猫の姿ならいいけど、裸のままじゃ外に出せないよ」
「……じゃあ、獣化する」
説得にとても気力を使ったよ……
獣人は羞恥の感覚が僕らと違うんだろうか?
それともこの子が特殊なのかな?
……なんか後者な気がする。
少し待っていると、巻き付いていた尻尾の感覚が無くなった。
それからすぐに、僕の肩に黒猫姿のノアルが乗ってきた。
なので、ノアルを対象にして、さっき取ってLv3まで上げておいたスキルを使った。
(えーっと、こんな感じかな? 聞こえる? ノアル?)
(!? ……びっくりした)
(あ、ごめんごめん。 僕もこのスキル使うの初めてだから、よく分かんなかったんだよね)
(……なにこれ?)
(これは念話っていうスキルで、今の僕のスキルレベルだと、僕の周り半径5m以内にいれば、こうやって頭の中で会話が出来るっていうスキルだよ)
(……すごい、ショーマ)
(それで、僕これからご飯食べに行くんだけど、ノアルはどうする? 待っててもいいけど)
(ノアルも行く)
即答された。
(そっか。 でも、獣化は解かないでね? 獣人を嫌ってる人? がいるかもしれないし、なにしろまた裸に
なっちゃうし)
(……分かった)
(というか、肩に乗ってて大丈夫? 落ちない?)
(……大丈夫。 ……ショーマの近くにいたい)
(一応、気をつけてね?)
というか、僕は口に出してもいいんじゃないかな?
……いや、猫に話しかけてるヤバいやつと思われるのも嫌だし、やっぱり念話で話そう。
*
「あ、ショーマお兄ちゃん。 今起こしに行こうと思って……、あ!! その子起きたんだね!」
「おはようミラルちゃん。 うん、さっき起きたよ」
「か、かわいいー!」
(……ショーマ、この子は?)
(この宿を経営してる夫婦の娘さんだよ、名前はミラルちゃん。 昨日僕が出かけてる間、ノアルの事はこの子とこの子の両親が君の事を見ていてくれたんだ)
(……そうなんだ)
そう言うとノアルはショーマの肩からヒョイっと飛び降り、ミラルちゃんに近づいていくと、頭をグリグリ擦り付けていく。
「わ!わ! お、お兄ちゃんこの子どうしたの!?」
「ミラルちゃんが昨日この子の面倒をみてくれてたって分かって、感謝してるみたいだよ?」
「ほわわ…… な、撫でてもいいのかな?」
(……いい)
「いいらしいよ」
僕の言葉を聞くとミラルちゃんは屈んで恐る恐る、ノアルの頭を撫でた。
ノアルはその手に向かって頭を押し付けている。
言葉には出来ないけど、感謝してる事を伝えたいみたいだ。
「わぁ……! 毛並みサラサラでツヤツヤで、すごい!」
(……でしょ)
ノアルは褒められて満更でもないみたい。
尻尾も上を向いていて、ご機嫌そうだ。
しばらく撫でて撫でられていた2人、(今は1人と1匹かな?)は満足したのかその身を離した。
「はぁ…… 満足です。 ありがとね、猫ちゃん。 また撫でさせてくれる?」
(……うん)
「ほんと!? ありがとー!」
言葉では伝えられないが、首を縦に振っているので、ミラルちゃんにも伝わったみたい。
「それじゃあご飯食べに行こうか?」
(……分かった)
そう言ってノアルはヒョイっと僕の肩に乗る。
「はっ! ミラルもお手伝いの途中でした! お兄ちゃん、後でね! 猫ちゃんも!」
「うん、気をつけてね」
「はーい!」と言いながらミラルちゃんは宿泊客を起こしに行った。
(そういえば、ノアルはなに食べるの?)
(……多分、ショーマと変わらない。 ……あ、でもピーマンは嫌い)
(ピーマンなんだ。 タマネギは?)
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