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第二章 新たな出会い
#18 贈り物
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ギルドでリムさんと別れた僕は、ギルドの隣にある解体場に向かう。
「お、来たか坊主」
「グラッドさん、終わりましたか?」
「ああ、ちょうど終わったぞ」
この人は解体場の責任者のグラッドさん。
さっきリムさんと一緒に行った時に紹介された。
少し背が低く、口調がぶっきらぼうなのは、ドワーフの血が混じっているからだそうだ。
「坊主が持ってきたブルーウルフだが、収納魔法のおかげでかなり状態が良いから、相場よりも高めで買い取らせてもらうぞ。 具体的には1匹金貨1枚で買い取らせてもらうが、素材とか肉とかどうする? 欲しいもんはあるか?」
「うーん、そうですね。 それじゃあ、1匹分の肉と毛皮をもらっていいですか? あとは全部買い取りでお願いします」
「分かった。 持ってくるからちょっと待ってろ」
そう言ってグラッドさんは作業場の方に戻っていった。
なぜ肉と毛皮をもらうのかというと、肉は自分で料理する時に使いたいのと、毛皮は防具やらなにやらを作るのに使えそうだから、一応もらっておこうと思ったからだ。
収納魔法があるから腐ったりしないしね。
「持ってきたぞ」
「ありがとうございます」
「これが肉と毛皮で、こっちが素材の報酬だ。 報酬は渡す肉と毛皮分の代金を抜いて金貨3枚と銀貨2枚だ。 確認してくれ」
「はい、大丈夫です」
「そうか、今後も頼むぞ。 鮮度のいい素材は助かるからな。 どんどん持ち込んでくれ」
「分かりました。 また来ますね」
素材代をもらって解体場を後にする。
解体場から出ると、もう日が沈んで辺りは少し暗くなり始めていた。
昨日もそうだったけど、この世界に来てから1日が本当に早い。
今日も色んな事があったなぁ。
でも、なんだかんだで出会う人達は皆いい人だし、まだ2日だが暮らしていてとても楽しい。
それにしても、今日はたくさん動いて疲れたな。
晩ご飯も食べたいから、早く宿に戻ることにしよう。
黒猫のことも気になるし。
*
「お、戻ったか。 おかえり」
「ただいま戻りました、ミルドさん」
「ちょうど晩飯出来たが食うか?」
「いただきます」
ちょうどいい時間に戻ってこれたみたいだ。
「そういえば、黒猫の様子はどうですか?」
「あれから寝たまんまだ。 よっぽど疲れていたみたいだな」
「そうですか。 様子を見てくれてありがとうございました」
「いいんだいいんだ。 ミラルもララもあの猫の事、可愛い可愛いって言って寝顔を一緒に眺めてたりしてたからな」
ミラルちゃんだけじゃなくてララさんもか。
まだ会ったことはないけど、猫好きだってことは分かった。
「それで? 今から飯でいいか?」
「あ、はい。 お願いします」
「それじゃあ、座って待っといてくれ」
そう言われたので僕は食堂に移動し、座って待つことにする。
食堂の端の席に座って待っていると、ミルドさんとミラルちゃんが食事を運んで来てくれた。
今日はビーフシチューのようなものに、ロールパンとサラダというメニューだ。
少ないように思うかもしれないが、シチューは具材が沢山入っている上に大盛り、パンはおかわり自由という形になっている。
口をつけてみると、昨日と変わらずとても美味しくて、手が止まらない。
かなりのペースで食べ、ほとんど食べ終わった頃に食堂に誰かが入ってきた。
「お! ショーマ!」
「ゲイルさん! こんばんは。 お疲れ様です」
「おう! お疲れさん! なんかギルドで目立ってたみたいじゃねぇか!」
昼間の事だろうか?
やっぱり話題になっちゃったのかな……?
「どんな風に聞いたんですか?」
「調子に乗って喧嘩売ってきた冒険者を物ともせず、そいつらが職員に手を出した時に職員を守って、喧嘩売ってきた奴らをぶっ飛ばしたって感じだな」
「んー…… 少し脚色が入ってる気がしますけど、大体合ってますかね」
「おー! すげぇじゃねぇか! しかも、昨日の今日でもう青ランクになったんだろ?」
「それも聞いたんですか?」
「ああ! リムに聞いた!」
「なるほど」
まぁ、ゲイルさん達になら知られていても問題はないな。
「それに、ブルーウルフ4匹も倒したって聞いたぞ? やっぱり、ショーマ強いな! だが、なんで森に行ってたんだ?」
「スキルを使いたくて森に行ったんです。 道の近くは魔物が出ないと聞いていたんですけどね」
「あー、なんか最近、森の様子がおかしいんだとよ。 俺らも今日、森の隣国側の方にあるダンジョンの近くまで行ってきたんだが、やたらと魔物多くて帰ってくるのに時間かかっちまった」
「ダンジョン? そんなものがあるんですか?」
「ああ、冒険者なら入れるぜ。 ただ、中はお宝もあったりするが、魔物も出るから準備もせずに行くのはおすすめしないがな」
ダンジョンか……
ちょっと気になる。
今度行ってみようかな?
「あ、それで森に行った時にゲイルさんの短剣も作ったんです。 今渡してもいいですか?」
「お、なんだ? もう作ってくれたのかよ?」
「はい、これです」
そう言って僕はアイテムボックスから鋼のダガーを取り出す。
「おぉ…… なんか昨日と大分変わってないか?」
「昨日のダガーと余った鉄鉱石から無駄な物質を取り除いて作りました」
「すっげぇなこれは…… かなり使いやすそうだ」
「あと、付与もしっかり付けておきました。 付けたのは耐久値上昇と斬撃強化と刺突強化です」
「刺突強化ってのは昨日言ってた斬撃強化と似たようなもんか?」
「そうです。 ゲイルさんがどっちを主体で戦うのか分からなかったので、どちらも付けることにしたんです」
「そうなのか! 俺は刺突も斬撃も場合によって使うからありがたいぜ! それより、本当にいいのか? こんなにいいもん貰っちまって?」
「いいんです、ゲイルさんには感謝してますから。 それに、今回のは間に合わせですよ。 僕自身にもっと余裕が出来てきたら、ちゃんとした素材でまた作りますね?」
「お、おう、もう十分感謝してるんだがな?」
「これは僕がしたい事でもあるので。 ゲイルさん達なら悪いようには使わないだろうし、なるべく無事でいて欲しいので、僕の作る武器で皆さんのことが守れるなら僕も嬉しいですから」
「そうか…… 分かった! ありがとう! 大事に使わせてもらうぜ!」
「喜んでもらえて良かったです」
うん、ちゃんと喜んでもらえて良かったな。
今後も僕は武器を作るが、それを売ったりするつもりはない。
信用出来る人には作ったりするが、信用出来ない人に渡す訳にはいかない。
武器は何かを守るためにあるのだと思うから。
「ゲイルおじさん、どうして喜んでるのー?」
「ゲイルくん、嬉しそうだね」
「おう! ショーマに貰い物してな!」
「えー! いいなー! お兄ちゃん、ミラルにも何かちょうだいよー」
「こら、ミラル? わがまま言っちゃだめだよ?」
「だってー」
ゲイルさんと話していたら、ミラルちゃんともう1人、青色のロングヘアーの女性が厨房の方から出てきた。
この人は……
「えーっと、ララさんですか? ミルドさんの奥様の」
「はい、ララと言います。 初めましてショーマさん。 ミラルと旦那からショーマさんの事は聞いています。 ミラルの事、構ってくれたみたいでありがとうございます」
「いえいえ、ミラルちゃん、とてもいい子なので、僕としても話してて楽しいですから」
「そう言ってもらえると嬉しいですね」
「あ、それとミラルちゃんから聞いたかもしれませんが、美味しい食事ありがとうございます。 今日の晩ご飯もとても美味しかったです」
「ふふっ、ありがとうございます。 料理を褒められるのはとても嬉しいです。 こちらこそ、美味しく食べてくれてありがとうございます」
ララさんはすごくおっとりした人みたいだ。
そして、ミラルちゃんとすごく似ている。
いや、ミラルちゃんがララさんに似ているのか。
顔の形などはララさん似で、目元はミルドさんに似ている。
「お兄ちゃん、後で黒猫さんのところ行ってもいいー?」
ララさんと話していると、ミラルちゃんがそう聞いてきた。
んー、どうなんだろう?
僕もまだ帰って来てからあの黒猫を見てないからなんとも言えない。
けどまぁ、大丈夫かな?
「うん、僕もまだ帰って来てから見てないから、一緒に様子見てみようか?」
「いいの!? ありがとう!」
「だけど、そんなに長い時間はだめだよ? 夜更かしは体に悪いからね。 明日もミラルちゃん早起きだろうし?」
「うん! 分かった! じゃあ、お皿片付けてくるねー!」
そう言ってミラルちゃんは僕の食べ終わった皿を持って片付けに行ってしまった。
「もう、ミラルったら…… ショーマさんごめんなさい。 普段はもう少し落ち着いてるんですけど……」
「僕から見ても落ち着いてると思いますよ。 ただ、ララさんとミルドさんの仕事が忙しいからあんまり甘えちゃいけないと思ってるんじゃないですかね?」
「そんなこと…… 気にしなくていいのに」
「それならちゃんと甘えていいと言った方がいいと思います。 言葉に出来て伝えられる内にそういう事は伝えるべきですよ」
「ショーマさん……」
「それに! 僕の事は気にしないでください。 僕としても妹が出来たみたいで楽しいですから」
「そうですか…… それならミラルの事お願いします」
「はい、任されました」
そう言ってララさんは申し訳なさそうに微笑んだ。
「片付け終わったよー! お兄ちゃん行こ!」
「うん、分かった。 今行くよ。 ゲイルさん、それじゃあお先に失礼します」
「おう! ありがとうなショーマ! 貰ったもんは大事に使わせてもらうぜ!」
ゲイルさんに声をかけ、僕はミラルちゃんに手を引かれて食堂を後にした。
*
「起きないですねー」
「起きないね」
今、僕とミラルちゃんは僕の部屋のベッドで眠っている黒猫を眺めている。
黒猫は枕の横の狭いスペースで丸まって寝ていた。
「うー、触ってみたいけど、起こすのもかわいそう……」
「触るのはまた今度にしようか、疲れて眠ってるみたいだからそっとしておこう」
「うん」
そのまま、15分くらい2人で黒猫を眺めていた。
時折黒猫が頭を掻いたり、もぞもぞ動いたりしたのを見て、ミラルちゃんが嬉しそうにしているのが印象的だった。
「それじゃあ、そろそろ戻りな? 後は僕が様子を見ておくからさ」
「うーん、分かったー。 まだまだ見てたいけど、明日まで我慢するね」
「そうだね。 明日には目を覚ますだろうから、その時、問題なさそうだったら会ってもいいと思うよ」
「うん! じゃあミラルはもう寝るね! お兄ちゃんもお休み!」
「うん、お休み」
ミラルちゃんは笑顔で僕の部屋を出ていった。 さて、僕はちょっと確認をしてから寝よう。
「ステータス」
ショーマ=ケンモチ Lv8 男 17歳
種族:ヒト種
職業:鍛冶師 Lv3 魔導師 Lv3
ウェポンマスター Lv3
スキル:言語知識 Lv10
家事 Lv8
運命神の加護(隠蔽) Lv10
気配察知 Lv4
HP:2043
MP:1487
力:397
速:134
技:661
守:192
魔:397
運:1000
スキルポイント:25
「やっぱりレベル上がってる」
ステータスを確認しようと思ったのは、今日魔物を倒した事で、レベルが上がったんじゃないかと思ったのだ。
5レベルも上がるとは思わなかったけど。
(スキルポイントは取っておこうかな。 今のところ急いで欲しいスキルは無いし)
今日のところはとりあえず確認するだけにしよう。
スキルポイントは一定数貯めておいて、必要になった時に使えばいい。
(うん、今日はもう寝よう)
確認したい事も確認出来たし、寝ることにする。
黒猫を起こさないように、ベッドに入り、布団を被る。
極力黒猫とはスペースを開けて、うっかり触れたりしないようにする。
よし、起きてないな。
明日にはこの黒猫も起きてくれるといいな。
*
辺りはすっかり静かになった夜、黒猫は目を覚ました。
ここはどこだろう?
確か自分は魔物に襲われ逃げていて……
顔を上げると横に人が寝ていることに気づく。
一瞬警戒したが、その人が自分の怪我を治し、助けてくれた人だと気づいた。
この人が、自分をここに寝かせてくれたのか。
まだ体は気怠いが、体を起こし移動して、その人のお腹の上に乗った。
一瞬うっと声を上げて苦しそうにしたが、起きる気配はない。
なので、そこに体を寝かせる。
服と布団越しだが、この人の体温を感じる。
その事にとても安心した。
疲れの残る体は、またすぐに眠気を訴えてくる。
安心したのもあってか、黒猫はまたすぐに眠りに落ちるのであった。
「お、来たか坊主」
「グラッドさん、終わりましたか?」
「ああ、ちょうど終わったぞ」
この人は解体場の責任者のグラッドさん。
さっきリムさんと一緒に行った時に紹介された。
少し背が低く、口調がぶっきらぼうなのは、ドワーフの血が混じっているからだそうだ。
「坊主が持ってきたブルーウルフだが、収納魔法のおかげでかなり状態が良いから、相場よりも高めで買い取らせてもらうぞ。 具体的には1匹金貨1枚で買い取らせてもらうが、素材とか肉とかどうする? 欲しいもんはあるか?」
「うーん、そうですね。 それじゃあ、1匹分の肉と毛皮をもらっていいですか? あとは全部買い取りでお願いします」
「分かった。 持ってくるからちょっと待ってろ」
そう言ってグラッドさんは作業場の方に戻っていった。
なぜ肉と毛皮をもらうのかというと、肉は自分で料理する時に使いたいのと、毛皮は防具やらなにやらを作るのに使えそうだから、一応もらっておこうと思ったからだ。
収納魔法があるから腐ったりしないしね。
「持ってきたぞ」
「ありがとうございます」
「これが肉と毛皮で、こっちが素材の報酬だ。 報酬は渡す肉と毛皮分の代金を抜いて金貨3枚と銀貨2枚だ。 確認してくれ」
「はい、大丈夫です」
「そうか、今後も頼むぞ。 鮮度のいい素材は助かるからな。 どんどん持ち込んでくれ」
「分かりました。 また来ますね」
素材代をもらって解体場を後にする。
解体場から出ると、もう日が沈んで辺りは少し暗くなり始めていた。
昨日もそうだったけど、この世界に来てから1日が本当に早い。
今日も色んな事があったなぁ。
でも、なんだかんだで出会う人達は皆いい人だし、まだ2日だが暮らしていてとても楽しい。
それにしても、今日はたくさん動いて疲れたな。
晩ご飯も食べたいから、早く宿に戻ることにしよう。
黒猫のことも気になるし。
*
「お、戻ったか。 おかえり」
「ただいま戻りました、ミルドさん」
「ちょうど晩飯出来たが食うか?」
「いただきます」
ちょうどいい時間に戻ってこれたみたいだ。
「そういえば、黒猫の様子はどうですか?」
「あれから寝たまんまだ。 よっぽど疲れていたみたいだな」
「そうですか。 様子を見てくれてありがとうございました」
「いいんだいいんだ。 ミラルもララもあの猫の事、可愛い可愛いって言って寝顔を一緒に眺めてたりしてたからな」
ミラルちゃんだけじゃなくてララさんもか。
まだ会ったことはないけど、猫好きだってことは分かった。
「それで? 今から飯でいいか?」
「あ、はい。 お願いします」
「それじゃあ、座って待っといてくれ」
そう言われたので僕は食堂に移動し、座って待つことにする。
食堂の端の席に座って待っていると、ミルドさんとミラルちゃんが食事を運んで来てくれた。
今日はビーフシチューのようなものに、ロールパンとサラダというメニューだ。
少ないように思うかもしれないが、シチューは具材が沢山入っている上に大盛り、パンはおかわり自由という形になっている。
口をつけてみると、昨日と変わらずとても美味しくて、手が止まらない。
かなりのペースで食べ、ほとんど食べ終わった頃に食堂に誰かが入ってきた。
「お! ショーマ!」
「ゲイルさん! こんばんは。 お疲れ様です」
「おう! お疲れさん! なんかギルドで目立ってたみたいじゃねぇか!」
昼間の事だろうか?
やっぱり話題になっちゃったのかな……?
「どんな風に聞いたんですか?」
「調子に乗って喧嘩売ってきた冒険者を物ともせず、そいつらが職員に手を出した時に職員を守って、喧嘩売ってきた奴らをぶっ飛ばしたって感じだな」
「んー…… 少し脚色が入ってる気がしますけど、大体合ってますかね」
「おー! すげぇじゃねぇか! しかも、昨日の今日でもう青ランクになったんだろ?」
「それも聞いたんですか?」
「ああ! リムに聞いた!」
「なるほど」
まぁ、ゲイルさん達になら知られていても問題はないな。
「それに、ブルーウルフ4匹も倒したって聞いたぞ? やっぱり、ショーマ強いな! だが、なんで森に行ってたんだ?」
「スキルを使いたくて森に行ったんです。 道の近くは魔物が出ないと聞いていたんですけどね」
「あー、なんか最近、森の様子がおかしいんだとよ。 俺らも今日、森の隣国側の方にあるダンジョンの近くまで行ってきたんだが、やたらと魔物多くて帰ってくるのに時間かかっちまった」
「ダンジョン? そんなものがあるんですか?」
「ああ、冒険者なら入れるぜ。 ただ、中はお宝もあったりするが、魔物も出るから準備もせずに行くのはおすすめしないがな」
ダンジョンか……
ちょっと気になる。
今度行ってみようかな?
「あ、それで森に行った時にゲイルさんの短剣も作ったんです。 今渡してもいいですか?」
「お、なんだ? もう作ってくれたのかよ?」
「はい、これです」
そう言って僕はアイテムボックスから鋼のダガーを取り出す。
「おぉ…… なんか昨日と大分変わってないか?」
「昨日のダガーと余った鉄鉱石から無駄な物質を取り除いて作りました」
「すっげぇなこれは…… かなり使いやすそうだ」
「あと、付与もしっかり付けておきました。 付けたのは耐久値上昇と斬撃強化と刺突強化です」
「刺突強化ってのは昨日言ってた斬撃強化と似たようなもんか?」
「そうです。 ゲイルさんがどっちを主体で戦うのか分からなかったので、どちらも付けることにしたんです」
「そうなのか! 俺は刺突も斬撃も場合によって使うからありがたいぜ! それより、本当にいいのか? こんなにいいもん貰っちまって?」
「いいんです、ゲイルさんには感謝してますから。 それに、今回のは間に合わせですよ。 僕自身にもっと余裕が出来てきたら、ちゃんとした素材でまた作りますね?」
「お、おう、もう十分感謝してるんだがな?」
「これは僕がしたい事でもあるので。 ゲイルさん達なら悪いようには使わないだろうし、なるべく無事でいて欲しいので、僕の作る武器で皆さんのことが守れるなら僕も嬉しいですから」
「そうか…… 分かった! ありがとう! 大事に使わせてもらうぜ!」
「喜んでもらえて良かったです」
うん、ちゃんと喜んでもらえて良かったな。
今後も僕は武器を作るが、それを売ったりするつもりはない。
信用出来る人には作ったりするが、信用出来ない人に渡す訳にはいかない。
武器は何かを守るためにあるのだと思うから。
「ゲイルおじさん、どうして喜んでるのー?」
「ゲイルくん、嬉しそうだね」
「おう! ショーマに貰い物してな!」
「えー! いいなー! お兄ちゃん、ミラルにも何かちょうだいよー」
「こら、ミラル? わがまま言っちゃだめだよ?」
「だってー」
ゲイルさんと話していたら、ミラルちゃんともう1人、青色のロングヘアーの女性が厨房の方から出てきた。
この人は……
「えーっと、ララさんですか? ミルドさんの奥様の」
「はい、ララと言います。 初めましてショーマさん。 ミラルと旦那からショーマさんの事は聞いています。 ミラルの事、構ってくれたみたいでありがとうございます」
「いえいえ、ミラルちゃん、とてもいい子なので、僕としても話してて楽しいですから」
「そう言ってもらえると嬉しいですね」
「あ、それとミラルちゃんから聞いたかもしれませんが、美味しい食事ありがとうございます。 今日の晩ご飯もとても美味しかったです」
「ふふっ、ありがとうございます。 料理を褒められるのはとても嬉しいです。 こちらこそ、美味しく食べてくれてありがとうございます」
ララさんはすごくおっとりした人みたいだ。
そして、ミラルちゃんとすごく似ている。
いや、ミラルちゃんがララさんに似ているのか。
顔の形などはララさん似で、目元はミルドさんに似ている。
「お兄ちゃん、後で黒猫さんのところ行ってもいいー?」
ララさんと話していると、ミラルちゃんがそう聞いてきた。
んー、どうなんだろう?
僕もまだ帰って来てからあの黒猫を見てないからなんとも言えない。
けどまぁ、大丈夫かな?
「うん、僕もまだ帰って来てから見てないから、一緒に様子見てみようか?」
「いいの!? ありがとう!」
「だけど、そんなに長い時間はだめだよ? 夜更かしは体に悪いからね。 明日もミラルちゃん早起きだろうし?」
「うん! 分かった! じゃあ、お皿片付けてくるねー!」
そう言ってミラルちゃんは僕の食べ終わった皿を持って片付けに行ってしまった。
「もう、ミラルったら…… ショーマさんごめんなさい。 普段はもう少し落ち着いてるんですけど……」
「僕から見ても落ち着いてると思いますよ。 ただ、ララさんとミルドさんの仕事が忙しいからあんまり甘えちゃいけないと思ってるんじゃないですかね?」
「そんなこと…… 気にしなくていいのに」
「それならちゃんと甘えていいと言った方がいいと思います。 言葉に出来て伝えられる内にそういう事は伝えるべきですよ」
「ショーマさん……」
「それに! 僕の事は気にしないでください。 僕としても妹が出来たみたいで楽しいですから」
「そうですか…… それならミラルの事お願いします」
「はい、任されました」
そう言ってララさんは申し訳なさそうに微笑んだ。
「片付け終わったよー! お兄ちゃん行こ!」
「うん、分かった。 今行くよ。 ゲイルさん、それじゃあお先に失礼します」
「おう! ありがとうなショーマ! 貰ったもんは大事に使わせてもらうぜ!」
ゲイルさんに声をかけ、僕はミラルちゃんに手を引かれて食堂を後にした。
*
「起きないですねー」
「起きないね」
今、僕とミラルちゃんは僕の部屋のベッドで眠っている黒猫を眺めている。
黒猫は枕の横の狭いスペースで丸まって寝ていた。
「うー、触ってみたいけど、起こすのもかわいそう……」
「触るのはまた今度にしようか、疲れて眠ってるみたいだからそっとしておこう」
「うん」
そのまま、15分くらい2人で黒猫を眺めていた。
時折黒猫が頭を掻いたり、もぞもぞ動いたりしたのを見て、ミラルちゃんが嬉しそうにしているのが印象的だった。
「それじゃあ、そろそろ戻りな? 後は僕が様子を見ておくからさ」
「うーん、分かったー。 まだまだ見てたいけど、明日まで我慢するね」
「そうだね。 明日には目を覚ますだろうから、その時、問題なさそうだったら会ってもいいと思うよ」
「うん! じゃあミラルはもう寝るね! お兄ちゃんもお休み!」
「うん、お休み」
ミラルちゃんは笑顔で僕の部屋を出ていった。 さて、僕はちょっと確認をしてから寝よう。
「ステータス」
ショーマ=ケンモチ Lv8 男 17歳
種族:ヒト種
職業:鍛冶師 Lv3 魔導師 Lv3
ウェポンマスター Lv3
スキル:言語知識 Lv10
家事 Lv8
運命神の加護(隠蔽) Lv10
気配察知 Lv4
HP:2043
MP:1487
力:397
速:134
技:661
守:192
魔:397
運:1000
スキルポイント:25
「やっぱりレベル上がってる」
ステータスを確認しようと思ったのは、今日魔物を倒した事で、レベルが上がったんじゃないかと思ったのだ。
5レベルも上がるとは思わなかったけど。
(スキルポイントは取っておこうかな。 今のところ急いで欲しいスキルは無いし)
今日のところはとりあえず確認するだけにしよう。
スキルポイントは一定数貯めておいて、必要になった時に使えばいい。
(うん、今日はもう寝よう)
確認したい事も確認出来たし、寝ることにする。
黒猫を起こさないように、ベッドに入り、布団を被る。
極力黒猫とはスペースを開けて、うっかり触れたりしないようにする。
よし、起きてないな。
明日にはこの黒猫も起きてくれるといいな。
*
辺りはすっかり静かになった夜、黒猫は目を覚ました。
ここはどこだろう?
確か自分は魔物に襲われ逃げていて……
顔を上げると横に人が寝ていることに気づく。
一瞬警戒したが、その人が自分の怪我を治し、助けてくれた人だと気づいた。
この人が、自分をここに寝かせてくれたのか。
まだ体は気怠いが、体を起こし移動して、その人のお腹の上に乗った。
一瞬うっと声を上げて苦しそうにしたが、起きる気配はない。
なので、そこに体を寝かせる。
服と布団越しだが、この人の体温を感じる。
その事にとても安心した。
疲れの残る体は、またすぐに眠気を訴えてくる。
安心したのもあってか、黒猫はまたすぐに眠りに落ちるのであった。
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まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!
魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!
スマートシステムで異世界革命
小川悟
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/// 毎日19時に投稿する予定です。 ///
★☆★ システム開発の天才!異世界転移して魔法陣構築で生産チート! ★☆★
新道亘《シンドウアタル》は、自分でも気が付かないうちにボッチ人生を歩み始めていた。
それならボッチ卒業の為に、現実世界のしがらみを全て捨て、新たな人生を歩もうとしたら、異世界女神と事故で現実世界のすべてを捨て、やり直すことになってしまった。
異世界に行くために、新たなスキルを神々と作ったら、とんでもなく生産チートなスキルが出来上がる。
スマフォのような便利なスキルで異世界に生産革命を起こします!
序章(全5話)異世界転移までの神々とのお話しです
第1章(全12話+1話)転生した場所での検証と訓練
第2章(全13話+1話)滞在先の街と出会い
第3章(全44話+4話)遺産活用と結婚
第4章(全17話)ダンジョン探索
第5章(執筆中)公的ギルド?
※第3章以降は少し内容が過激になってきます。
上記はあくまで予定です。
カクヨムでも投稿しています。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
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この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
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しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
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