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第一章 異世界への旅立ち
#12 身の振り方について
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僕の職業についての話を聞いたクラウスさん達は、色々と考えているみたいで3人とも黙り込んでいる。
ちょっと不謹慎かもしれないが、この状況を嬉しく思う自分がいた。
どこぞの馬の骨とも分からない僕のことをこんなにも真剣に考えてくれているということだけでも、相談して良かったと思わされた。
「さて、ここまでの話を聞いて、色々と思う事はあったが、ショーマが今後どうするべきかの答えは私の中では一つ出た。 ミリーとゲイルはどうだ? 恐らく私とほとんど同じ考えだとは思うんだが」
「ええ、大丈夫よ」
「ああ、これしかないな」
「よし、ではショーマよ。 こちらの考えを話す前に、お前自身の考えを聞きたい。 具体的に言えとは言わん。 お前は今後どうするつもりなのか、もしくはどうしたいか、お前の考えがあるなら聞かせてくれないか?」
「正直、決めかねています。 3人に僕の職業を話してみて、やっぱり僕の力は使い方によっては誰かを不幸にしてしまう事がこの先あるということを再認識しました。 例えそれが意図的であろうと、意図しないものであっても確実に何かはあると思います。 ただ、僕自身はこの力を誰かを不幸にするために使うんじゃなく、誰かを、そして何より自分を幸せにするために使います。 この部分だけは誰に何を言われようとも譲るつもりも変えるつもりもありません」
「なるほど、分かった。 その考えを聞いた上で、やはり私達が考えていた方法が一番だと思う」
そう言ってクラウスさんは話を続ける。
「ショーマ、お前は今後、冒険者として活動し、出来るだけ早くランクを上げろ。 恐らくそれをすることがお前の身の安全という面では一番であると言えるだろう」
冒険者のランクを上げる?
なぜそれが、僕の安全に繋がるのだろうか?
「どういうことか聞いてもいいですか?」
「もちろんだ。 まず、冒険者のランク上げることでのメリットは発言力と立場が得られるということだ」
「発言力と立場、ですか?」
「そうだ。 ランクを上げるためには実績や実力の両方を兼ね備えていないといけない。 ショーマは実力は恐らく問題ないだろうが、新人だから実績がない。 これからお前は冒険者として依頼をこなし、なるべく早くランクを上げるべきだろう」
ランクの上げ方は分かったが、それがどうして僕の身を守ることに繋がるんだろう?
そんな僕の疑問を読み取ったのか、クラウスさんが話を続ける。
……なんかこういう事よくあるけど、僕って考えてること顔に出やすいのかな……?
もう少し気を付けないとなぁ。
「ランクの高い冒険者はとても重宝される。 災害レベルが高い魔物が出現した際、もちろん国の騎士団なども動くが、人手が足りない時は冒険者や傭兵の連中に依頼という形で要請が来る事があるんだ。 その時にランクの高い冒険者がいれば、依頼を出すのはその者一人で済んだりすることがあり、冒険者ギルド全体に依頼を出すよりも犠牲者や金銭面の問題が出なくて済む」
「ギルドへの依頼は結構馬鹿にならないお金がかかるのよ」
「それに、過去には国の危機となった魔物を討伐し、国から貴族位をもらった冒険者もいる。 だから、ランクが高く、実力のある冒険者はそこらの貴族よりも発言力が高くなるし、身分も保証され、どこへ行っても悪いようにはされないだろう。 うっかり怒らせて、その力を国に向けられたり、その国の要望に応えなくなられてしまった場合、甚大な被害が出るだろうからな」
クラウスさんの話を聞いてまず思ったことは、冒険者すごいという事だ。
アホっぽい感想かもしれないが、想像していた冒険者と少し違っていて、上手くいけば貴族にもなれると聞いて、とても驚いた。
「クラウスさん達はかなり上のランクなんですよね?」
「まぁ、そうだな。 私とミリーは上から二番目、ゲイルともう一人のメンバーのマイヤは上から三番目だな。 パーティーランクとしては上から二番目になる。 この辺りの話はギルドに聞いてくれ。 その方が具体的に教えてくれるだろう」
「分かりました。 恐らく明日、ギルドに行ってリムさんと話すことになると思うのでその時に色々聞いてみます」
「そうするのがいいだろう」
リムさんに色々聞きに行くと言ったし、大丈夫だろう。
「なぁ、リーダー? ギルドにはショーマのこと言わなくていいのか?」
「む、どういうことだ、ゲイル?」
「今は新人だからあんま目立たないかもしれんが、ランクが上がるにつれて嫌でも目立っていくだろ? その時にギルドがショーマの力を認識してないってのは色々まずいんじゃないか?」
「ふむ…… 確かにそうかもしれないな」
「だろ?」
確かに自分が管理してる団体の中に実力はあるが、得体の知れない人間がいたら気が気ではないだろう。
「だからギルマスには話しておいた方がいいんじゃないか? あの人なら信用出来るし、元々冒険者だったからショーマに色々と助言も出来るだろ」
「まぁ、確かにあの人なら大丈夫でしょうね。 ……ちょっと心配事はあるけれど」
「新人相手だから大丈夫だろう。 ……恐らくだが」
ギルマスっていうのはギルドマスターかな?
信用は出来るみたいだけど、なんか問題でもあるのかな?
「ならギルドマスターと、場合によっちゃ職員……この場合はリムだな。 にも話しておいた方がいいと思うが、ショーマはどう思う?」
ゲイルさんが僕の顔を見てそう聞いてくる。
「みなさんが信用出来ると思っている人みたいなので話してみようと思います。 ですが、そんなに簡単に偉い人に会えるんですか?」
「それに関しては私が話を通しておこう。 そうだな…… 明日の昼過ぎにギルドに行ってくれるか? それまでに話を通しておこう」
「いいんですか?」
「ああ、ショーマに関して我々だけで判断するのは正直なところ持て余すことになるだろう。 だから、それなりに立場のある者には話しておいた方がいい。 もちろんショーマがそれを嫌うというのなら我々だけの中に留めておくが、どうだ?」
正直言ってありがたいと思う。
クラウスさん達なら信用出来るだろうし、その人達が信用出来ると思っている人ならば、大丈夫だろう。
「いえ、大丈夫です。 クラウスさん達なら信用出来ますから」
「お、なんだ? 信用してくれんのかよ?」
「もちろんです。 ゲイルさんにも色々と案内してもらったりして感謝していますから。 僕からは何も返せないというのが心苦しいんですけど……」
「気にすんな気にすんな! 冒険者は困ったらお互い様だぜ? 申し訳ないんだったら俺が困ってる時に助けてくれよな!」
「分かりました。 ありがとうございます」
ゲイルさんに会ってなかったら街に入れたかも怪しいし、こうやってクラウスさん達に相談することも出来なかっただろう。
なのでめちゃくちゃ感謝している。
「それでだな、私が共有したいと思ったのはまずギルドマスターだ。 これはさっき言ったからいいだろう。 二人目は私達のパーティーメンバーのマイヤだ。 彼女とは同じパーティーで、一緒にいる時間が長いだろうから一応共有しておきたいんだがいいか? もちろん信用出来る人物であることは保証する」
「はい、構いませんよ」
「感謝する。 それとあと一人話したい者がいるんだが、これは許可さえもらえるなら私の口から伝えておく。 直接会う必要はひとまずはないだろう。 マイヤに関しても私達が伝えることもできるがどうする?」
「その方がいいと思います。 ちなみに、誰に話すつもりなんですか?」
「私の兄…… つまりこの街の領主だ」
「なるほど、領主様ですか……」
「そうだ。 これもギルマスに伝える理由とほぼ同じで、街に住む実力者の情報を伝えない訳にはいかないんだ。 私が言わなくともいずれ耳には入るだろうが、知っておくのは早いに越したことはないだろう」
領主様がどんな人かは分からないが、少なくとも門番さんやゲイルさんに話を聞いた限りだと悪い人ではないみたいだし、クラウスさんの兄なら恐らく信用しても大丈夫だろう。
「分かりました。 話して構わないと思います」
「そうか、助かる。 兄とマイヤには私から話すということでいいか?」
「はい、お願いします」
「よし、分かった。 それではそろそろ外に出るとしよう。 大分話し込んでもう日が沈んできたみたいだからな」
クラウスさんの言葉にハッとして窓の外を見ると、確かに日が沈み、空が少し暗くなってきているみたいだ。
話に夢中で時間を完全に忘れていた。
ここまで話に付き合わせてしまって少し申し訳ないな。
なんか返せるものがあればいいんだけど……
あ、そうだ!
「クラウスさん、ミリアンヌさん、ゲイルさん。 今日は本当にありがとうございました。 街を案内してくれただけでもありがたいのに、僕の相談にまで乗ってもらって本当に感謝しています。 いずれ何かの形で返せるように頑張ります」
「いいんだ。 冒険者は助け合いと言うし、領主の弟としても悪くない話を聞くことが出来たからな」
「そうよ。 それに、あなたといれば魔法について色々と話せそうだし、今後もよろしくね? 鑑定魔法の新しい使い方、私も試してみるわ」
「いいってことよ! ギルドで会ったらまたよろしくな! ショーマと一緒に依頼を受けるとかも楽しそうだし、暇だったら頼むぜ!」
本当にいい人達だな。
街の人達やギルドの評判が良い理由がよく分かる。
「それで、感謝の気持ちとして、先程作った短剣をゲイルさんに差し上げたいんですが、どうですか? 新しい短剣欲しいって武器屋の前で言ってましたし。 もちろん、いらなければ僕が使うんですけど……」
「え! いいのか!? だってそれ、俺から見ても品質いいし、+3付いてんだろ? もらって良いのか?」
「はい、ゲイルさんには感謝していますので。 むしろ、もっと良い素材使った物を差し上げたいんですが、今はこれしかないので…… この後付与して明日には渡せると思うんですけどそれでいいですか?」
「ああ! もちろん! めちゃくちゃ嬉しいぞ! ありがとな、ショーマ!」
「喜んでもらえたら良かったです。 付与する効果は何がどんなのがいいですか?」
「うーん、ショーマが何を付与できるかは分からないからなぁ。 とりあえずさっき言ってた耐久値上昇を付けてみてくれ。 後は任せる! 出来れば攻撃力が上がるような付与を付けてくれるとありがたい!」
「分かりました。 出来たら渡しますね」
「まぁ、今後も沢山会う機会はあるだろうから、いつでも大丈夫だぜ! 無理せず作ってくれよ!」
「はい! クラウスさんとミリアンヌさんには何も渡せないんですけど、また今度何か作って渡しますね? クラウスさんは片手剣でミリアンヌさんは両手杖ですよね?」
「ああ。 ……気持ちは嬉しいが、少し恐ろしくもあるな」
「同感ね。 ショーマくんが本気出して作ったら本当に国宝レベルの武器作っちゃいそうよね」
「あんまり期待しすぎないでくださいよ?」
流石にそこまではっちゃけるつもりはない。
……自分で使うものに関しては分からないが。
ちょっと不謹慎かもしれないが、この状況を嬉しく思う自分がいた。
どこぞの馬の骨とも分からない僕のことをこんなにも真剣に考えてくれているということだけでも、相談して良かったと思わされた。
「さて、ここまでの話を聞いて、色々と思う事はあったが、ショーマが今後どうするべきかの答えは私の中では一つ出た。 ミリーとゲイルはどうだ? 恐らく私とほとんど同じ考えだとは思うんだが」
「ええ、大丈夫よ」
「ああ、これしかないな」
「よし、ではショーマよ。 こちらの考えを話す前に、お前自身の考えを聞きたい。 具体的に言えとは言わん。 お前は今後どうするつもりなのか、もしくはどうしたいか、お前の考えがあるなら聞かせてくれないか?」
「正直、決めかねています。 3人に僕の職業を話してみて、やっぱり僕の力は使い方によっては誰かを不幸にしてしまう事がこの先あるということを再認識しました。 例えそれが意図的であろうと、意図しないものであっても確実に何かはあると思います。 ただ、僕自身はこの力を誰かを不幸にするために使うんじゃなく、誰かを、そして何より自分を幸せにするために使います。 この部分だけは誰に何を言われようとも譲るつもりも変えるつもりもありません」
「なるほど、分かった。 その考えを聞いた上で、やはり私達が考えていた方法が一番だと思う」
そう言ってクラウスさんは話を続ける。
「ショーマ、お前は今後、冒険者として活動し、出来るだけ早くランクを上げろ。 恐らくそれをすることがお前の身の安全という面では一番であると言えるだろう」
冒険者のランクを上げる?
なぜそれが、僕の安全に繋がるのだろうか?
「どういうことか聞いてもいいですか?」
「もちろんだ。 まず、冒険者のランク上げることでのメリットは発言力と立場が得られるということだ」
「発言力と立場、ですか?」
「そうだ。 ランクを上げるためには実績や実力の両方を兼ね備えていないといけない。 ショーマは実力は恐らく問題ないだろうが、新人だから実績がない。 これからお前は冒険者として依頼をこなし、なるべく早くランクを上げるべきだろう」
ランクの上げ方は分かったが、それがどうして僕の身を守ることに繋がるんだろう?
そんな僕の疑問を読み取ったのか、クラウスさんが話を続ける。
……なんかこういう事よくあるけど、僕って考えてること顔に出やすいのかな……?
もう少し気を付けないとなぁ。
「ランクの高い冒険者はとても重宝される。 災害レベルが高い魔物が出現した際、もちろん国の騎士団なども動くが、人手が足りない時は冒険者や傭兵の連中に依頼という形で要請が来る事があるんだ。 その時にランクの高い冒険者がいれば、依頼を出すのはその者一人で済んだりすることがあり、冒険者ギルド全体に依頼を出すよりも犠牲者や金銭面の問題が出なくて済む」
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「それに、過去には国の危機となった魔物を討伐し、国から貴族位をもらった冒険者もいる。 だから、ランクが高く、実力のある冒険者はそこらの貴族よりも発言力が高くなるし、身分も保証され、どこへ行っても悪いようにはされないだろう。 うっかり怒らせて、その力を国に向けられたり、その国の要望に応えなくなられてしまった場合、甚大な被害が出るだろうからな」
クラウスさんの話を聞いてまず思ったことは、冒険者すごいという事だ。
アホっぽい感想かもしれないが、想像していた冒険者と少し違っていて、上手くいけば貴族にもなれると聞いて、とても驚いた。
「クラウスさん達はかなり上のランクなんですよね?」
「まぁ、そうだな。 私とミリーは上から二番目、ゲイルともう一人のメンバーのマイヤは上から三番目だな。 パーティーランクとしては上から二番目になる。 この辺りの話はギルドに聞いてくれ。 その方が具体的に教えてくれるだろう」
「分かりました。 恐らく明日、ギルドに行ってリムさんと話すことになると思うのでその時に色々聞いてみます」
「そうするのがいいだろう」
リムさんに色々聞きに行くと言ったし、大丈夫だろう。
「なぁ、リーダー? ギルドにはショーマのこと言わなくていいのか?」
「む、どういうことだ、ゲイル?」
「今は新人だからあんま目立たないかもしれんが、ランクが上がるにつれて嫌でも目立っていくだろ? その時にギルドがショーマの力を認識してないってのは色々まずいんじゃないか?」
「ふむ…… 確かにそうかもしれないな」
「だろ?」
確かに自分が管理してる団体の中に実力はあるが、得体の知れない人間がいたら気が気ではないだろう。
「だからギルマスには話しておいた方がいいんじゃないか? あの人なら信用出来るし、元々冒険者だったからショーマに色々と助言も出来るだろ」
「まぁ、確かにあの人なら大丈夫でしょうね。 ……ちょっと心配事はあるけれど」
「新人相手だから大丈夫だろう。 ……恐らくだが」
ギルマスっていうのはギルドマスターかな?
信用は出来るみたいだけど、なんか問題でもあるのかな?
「ならギルドマスターと、場合によっちゃ職員……この場合はリムだな。 にも話しておいた方がいいと思うが、ショーマはどう思う?」
ゲイルさんが僕の顔を見てそう聞いてくる。
「みなさんが信用出来ると思っている人みたいなので話してみようと思います。 ですが、そんなに簡単に偉い人に会えるんですか?」
「それに関しては私が話を通しておこう。 そうだな…… 明日の昼過ぎにギルドに行ってくれるか? それまでに話を通しておこう」
「いいんですか?」
「ああ、ショーマに関して我々だけで判断するのは正直なところ持て余すことになるだろう。 だから、それなりに立場のある者には話しておいた方がいい。 もちろんショーマがそれを嫌うというのなら我々だけの中に留めておくが、どうだ?」
正直言ってありがたいと思う。
クラウスさん達なら信用出来るだろうし、その人達が信用出来ると思っている人ならば、大丈夫だろう。
「いえ、大丈夫です。 クラウスさん達なら信用出来ますから」
「お、なんだ? 信用してくれんのかよ?」
「もちろんです。 ゲイルさんにも色々と案内してもらったりして感謝していますから。 僕からは何も返せないというのが心苦しいんですけど……」
「気にすんな気にすんな! 冒険者は困ったらお互い様だぜ? 申し訳ないんだったら俺が困ってる時に助けてくれよな!」
「分かりました。 ありがとうございます」
ゲイルさんに会ってなかったら街に入れたかも怪しいし、こうやってクラウスさん達に相談することも出来なかっただろう。
なのでめちゃくちゃ感謝している。
「それでだな、私が共有したいと思ったのはまずギルドマスターだ。 これはさっき言ったからいいだろう。 二人目は私達のパーティーメンバーのマイヤだ。 彼女とは同じパーティーで、一緒にいる時間が長いだろうから一応共有しておきたいんだがいいか? もちろん信用出来る人物であることは保証する」
「はい、構いませんよ」
「感謝する。 それとあと一人話したい者がいるんだが、これは許可さえもらえるなら私の口から伝えておく。 直接会う必要はひとまずはないだろう。 マイヤに関しても私達が伝えることもできるがどうする?」
「その方がいいと思います。 ちなみに、誰に話すつもりなんですか?」
「私の兄…… つまりこの街の領主だ」
「なるほど、領主様ですか……」
「そうだ。 これもギルマスに伝える理由とほぼ同じで、街に住む実力者の情報を伝えない訳にはいかないんだ。 私が言わなくともいずれ耳には入るだろうが、知っておくのは早いに越したことはないだろう」
領主様がどんな人かは分からないが、少なくとも門番さんやゲイルさんに話を聞いた限りだと悪い人ではないみたいだし、クラウスさんの兄なら恐らく信用しても大丈夫だろう。
「分かりました。 話して構わないと思います」
「そうか、助かる。 兄とマイヤには私から話すということでいいか?」
「はい、お願いします」
「よし、分かった。 それではそろそろ外に出るとしよう。 大分話し込んでもう日が沈んできたみたいだからな」
クラウスさんの言葉にハッとして窓の外を見ると、確かに日が沈み、空が少し暗くなってきているみたいだ。
話に夢中で時間を完全に忘れていた。
ここまで話に付き合わせてしまって少し申し訳ないな。
なんか返せるものがあればいいんだけど……
あ、そうだ!
「クラウスさん、ミリアンヌさん、ゲイルさん。 今日は本当にありがとうございました。 街を案内してくれただけでもありがたいのに、僕の相談にまで乗ってもらって本当に感謝しています。 いずれ何かの形で返せるように頑張ります」
「いいんだ。 冒険者は助け合いと言うし、領主の弟としても悪くない話を聞くことが出来たからな」
「そうよ。 それに、あなたといれば魔法について色々と話せそうだし、今後もよろしくね? 鑑定魔法の新しい使い方、私も試してみるわ」
「いいってことよ! ギルドで会ったらまたよろしくな! ショーマと一緒に依頼を受けるとかも楽しそうだし、暇だったら頼むぜ!」
本当にいい人達だな。
街の人達やギルドの評判が良い理由がよく分かる。
「それで、感謝の気持ちとして、先程作った短剣をゲイルさんに差し上げたいんですが、どうですか? 新しい短剣欲しいって武器屋の前で言ってましたし。 もちろん、いらなければ僕が使うんですけど……」
「え! いいのか!? だってそれ、俺から見ても品質いいし、+3付いてんだろ? もらって良いのか?」
「はい、ゲイルさんには感謝していますので。 むしろ、もっと良い素材使った物を差し上げたいんですが、今はこれしかないので…… この後付与して明日には渡せると思うんですけどそれでいいですか?」
「ああ! もちろん! めちゃくちゃ嬉しいぞ! ありがとな、ショーマ!」
「喜んでもらえたら良かったです。 付与する効果は何がどんなのがいいですか?」
「うーん、ショーマが何を付与できるかは分からないからなぁ。 とりあえずさっき言ってた耐久値上昇を付けてみてくれ。 後は任せる! 出来れば攻撃力が上がるような付与を付けてくれるとありがたい!」
「分かりました。 出来たら渡しますね」
「まぁ、今後も沢山会う機会はあるだろうから、いつでも大丈夫だぜ! 無理せず作ってくれよ!」
「はい! クラウスさんとミリアンヌさんには何も渡せないんですけど、また今度何か作って渡しますね? クラウスさんは片手剣でミリアンヌさんは両手杖ですよね?」
「ああ。 ……気持ちは嬉しいが、少し恐ろしくもあるな」
「同感ね。 ショーマくんが本気出して作ったら本当に国宝レベルの武器作っちゃいそうよね」
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