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第一章 異世界への旅立ち

#11 改めて相談

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 疑いが晴れてよかった。 

 あのまま話していたらどうなっていたか分からない。 

 最悪、攻撃されたりしたかもしれないな。

 ここ領主邸だしセキュリティとか防衛手段もあるだろうから。
 

「相談は僕の職業についてです。 話を聞いて思ったこととかはどんどん聞いたり言ってください。 最終的には僕の身の振り方を決められたらいいなと思っているので、そのつもりでお願いします」
 
「分かった」
 
「いいわよ」
 
「おう!」

 
 僕の言葉に、クラウスさん達は三者三様の返事を返してくれた。

 
「ありがとうございます。 そういえば、ミリアンヌさんは僕のこと鑑定したそうですけど、どこまで見ることが出来たんですか?」
 
「レベルとパラメーターは見えたわ。 ただ職業とスキルに関しては何も分からなかった。 恐らく私より高位の職業を持っているからでしょうね。 私が鑑定出来ない相手なんてそうそういないはずなんだけど」
 
「そうですか。 先に言っておくと、僕の職業は3つです。 名称は鍛冶師、魔導師、ウェポンマスターというものです」
 
「「「……………魔導師?」」」
 
「はい、魔導師です」
 

 3人が絶句している。 魔導師はユニーク職業じゃないから知っているみたいだ。 

 ただ、反応からして珍しいことは間違いないみたいだけど。
 

「……魔導師のレベルは?」
 

 ミリアンヌさんがそう聞いてくる。

「3です」
 
「そう……! それじゃあ、私の鑑定魔法じゃ見えないはずだわ」
 
「そうなんですか?」
 
「ええ、だって私も魔導師だもの。 最近なったばかりだから、レベルは1だけどね」
 
「そうだったんですか……!」
 

 ミリアンヌさんも魔導師だったのか。 

 どおりで鑑定魔法が使えるはずだ。
 

「属性魔法は何が使えるの? 光属性が使えることは分かっているけれど」
 
「全属性使えます」
 
「……え?」
 
「火、水、土、風、闇、光の6つが使えるんですけど他にありましたか?」
 
「……いえ、それが全部よ。 あなた、本当に規格外なのね……」
 
「……やっぱり珍しいですかね?」
 
「珍しいどころじゃないわ、聞いたこともない。 ちなみに私は闇と光以外の4属性が使えるけど、それでもかなり珍しいのよ?」
 
「そうですか……」
 
「確か、魔法国家の王が5属性使えるっていう話は聞いたことあるけど、全属性は聞いたことないわね」
 

 まさか、魔導師の職業より全属性持ってるということの方が珍しいとは。 

 ちょっと予想外。
 

「それだけの魔法使いだと、バレたらパーティーの誘いとかすごい事になると思うわよ? ただでさえ冒険者ギルドで光魔法が使えることがバレてしまったのに」
 
「光魔法ってそんな珍しいんですか?」
 
「ええ、闇魔法と光魔法は他の4つと比べて持っている人が少ないわ。 特に冒険者からしたら光魔法の使い手は重宝されるのよ。 ポーションとかで傷を癒す必要がなくなるからね」
 

 無自覚にやっちまってたらしい。 

 慎重にしてるつもりだったけど、まだまだ脇が甘いな……
 

「まぁ、魔導師については今後もミリアンヌから色々と聞くといいだろう。 それで残り2つの職業はどういったものだ? どちらも私は聞いたことがないんだが?」
 
「鍛冶師とウェポンマスターは僕のユニーク職業です……」
 
「……なんだと?」
 
「……やっぱり珍しいですか?」
 
「ああ、ユニーク職業を2つ持ってる者など聞いたことない」
 

 もう、目立たずに暮らすなんて無理な気がしてきた。

  平穏な生活は諦めるしかないのかなぁ……
 

「鍛冶師ってどんな職業なんだ? 字面からして戦闘職ではなさそうだけどよ」
 
「鍛冶師は武具やアイテムを作る生産職です。 あまり使ったことないので全容は僕も把握しきれてませんが」
 
「そうなのか? 魔導師に比べるとそうでもなく思っちまうな」
 
「いえ、使い方によってはこの職業が一番問題があるかもしれません」
 
「どういうことだ?」
 
「そうですね…… 見てもらった方が早いと思うので、使ってみます」
 

 口では説明しづらいので何かを作って見せる事にした。

 そう思い、真っ二つになった鉄鉱石を二つ取り出し準備をする。

 机を使っていいかクラウスさんに聞いたところOKをもらえたので鉄鉱石を置き、鉄鉱石に触れる。 

 作るのは鉄鉱石のサイズから短剣にする事にして、一般的なダガーの形をイメージした。

 すると、鉄鉱石がどんどん形を変えていき、イメージ通りの形になっていく。

「出来ました」
 
「……早すぎないか?」
 
「いや、普通がわからないので、これが早いのかもわからないです」
 
「この街の武器職人は剣一本作るのに手抜きでも半日はかかっていたぞ。 短剣だったらもう少し短いかもしれないがな。 本気で打つ時は3日くらいは平気で工房にこもっていると言っていた」
 

 やっぱり、武器職人の人達は鉱物支配のスキルなんて持ってないみたいだ。

 恐らく普通に火を使って鉄を鍛えて作ってるのだろう。

 それをクラウスさんに聞いてみると、やはりそうみたいだった。

 ついでに鉱物支配なんてスキル知らないとも言われてしまった。 

 ちょっと悲しい。
 

「となると、その職業は武器を量産出来る職業ということか? たしかに、国を動かしかねん職業だとは思うが……」
 
「クラウス、それだけじゃないわよ」
 
「ミリー?」
 
「あ、鑑定しましたか?」
 
「ええ…… とんでもないわ。 この職業が一つの国の為に使われたらと思うとゾッとするわね」
 
「なにが見えたってんだよ?」
 
「この短剣、+3が付いてる」
 
「は?」
 
「+3…… つまり付与が3つできるのよ」
 
「まじかよ!? すげーなショーマ!」
 

 そう、僕も鑑定してみたところ、この短剣には+3が付いた。


【ダガー+3】:
 力+70
 鉄製のダガー。
 作成者の力量により、魔法を3つ付与でき、品質もかなり良いため、一般的なダガーより力のパラメーターの上昇率が高い。
 作成者はショーマ=ケンモチ


 今回は+3か…… やっぱり基準が分からない。 

 何か法則とかがあるんだろうか?
 

「これだけでも、かなり問題だと思うんですけど、まだあるんです……」
 
「……なにができるの?」
 
「僕、効果付与も出来ます……」
 
「もう、驚かないわ……」
 

 流石にここで魔法付与をする訳にはいかないので、この前作ったロングソード+2を取り出す。
 

「このロングソードには2つ付与がしてあります。 斬撃強化と耐久値上昇という付与です」
 
「耐久値上昇はなんとなく分かるが、斬撃強化とはなんだ?」
 
「斬撃強化は簡単に言ってしまうと切れ味が上がるものです。 この剣でそこに置いてある鉄鉱石を真っ二つにしました」
 
「ふむ、凄まじいな……」
 

 そう言うと、クラウスさんは黙り込んで何かを考え始めてしまった。
 

「そういえば、残りのウェポンマスター?ってどんな職業なんだ? 戦闘職っぽいけどよ」
 
「ウェポンマスターのスキルは一つだけで、武器操作というものです。 あらゆる武器の扱いが上手くなるというスキルで、レベルが3なので、剣、槍、斧、何を持ってもそれぞれのスキルレベル3くらいの扱いが出来ます」
 
「……なんか、そんなに大した事ないんじゃないかって思っちまったのは俺だけか?」
 
「安心しなさいゲイル、私も思ったわ」
 
「戦闘面以外でミリーと意見が一致するなんて珍しいな」
 
「ええ、本当に。 癪だけどね」
 
「十分やばいんだがなぁ。 さっきの二つが規格外すぎて霞むな」
 
「確かに。 ただ今はまだという感じよね。 そのスキルのレベルが上がれば上がるほど手がつけられなくなるわよ」
 

 確かに、先に紹介した2つと比べると地味かもしれないが、よくよく考えてみると、状況に応じてどんな武器にでも持ち替えれるというのはかなり強みになるんじゃないか? 

 しかもその武器は自分で作れ、品質も良い。 

 挙げ句の果てには、収納魔法によってそれらの武器はいくらでも取り出せるときた。

 それ、どんな生き物? 

 そう言われてもおかしくないと思う。

 ミリアンヌさん達もその可能性には行き着くと思う。 

 今はまだ色んな驚きによって混乱してるだけであって。

 さて、この内容を踏まえてクラウスさん達に今後、僕はどうするべきかを聞くことにしよう。

 平穏な生活? 

 そんなもう希望のかけらも持てないようなものを望むつもりはありません。 

 まぁ、なんにせよ、幸せにはなりたいと本気で思っているから、多少の苦労は許容することにしよう。
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