4 / 94
第一章 異世界への旅立ち
#3 別れとこれからについて
しおりを挟む
ピーッ ピーッ
「ん? なに、この音?」
突然、空間にタイマー音のようなものが鳴り響いた。
「これは、もうすぐで一時間ですよっていうお知らせね。 女神さんが言ってたわ」
僕の疑問に母さんが答えをくれる。
そうか…… 話に夢中で忘れかけていたな。
もともと、両親に会えるのは一時間が限界なんだった。
そのことを思い出した途端、先程までの晴れやかな気持ちが、悲しみや寂しさで埋め尽くされる。
二人と、もっと話していたい。
初めての家族三人での時間を過ごして、匠真は初めて、両親の愛を知った。
その時間がこんなにも早く終わってしまうと考えると、どうしようもなく悲しい気持ちになってくる。
「そんな顔すんじゃねぇよ」
父さんが少し笑いながら僕の頭を撫でる。
「そうよ。 もう二度と会えないと思っていたのに、会うだけじゃなく、こんなに沢山のことを話せたんだから」
母さんもそう言って僕の頭を撫でる。
二人は、笑っていた。
二度と会えないと思っていた息子との再会を本当に喜んでいる。
その時間が限られたものであったとしても。
……そうだ、せっかく会えたのに、最後に二人を不安にさせるわけにはいかない。
そう思った僕は、二人をしっかりと見据え、改めて思いをぶつけることにする。
「父さん、母さん、さっきも言ったけど、ありがとう。 本当に色々なことに感謝したいと思う。 産んでくれたこと、育ててくれたこと、見守っていてくれたこと、そして、どこまでも、深く、深く、愛してくれてありがとう。 僕も…… 父さんと母さんのことが…… 大好きです……! 二人の…… 子供で僕は、本当に…… ほん、とに…… 幸せです……」
僕は、泣き笑いの表情で二人にそう告げた。
最後の方の言葉は涙を堪えられなくて、途切れ途切れになってしまった。
ただ、この涙は別れの悲しみから来るものじゃなく、二人が、沢山の愛をくれたことへの感謝から来るものだ。
もう悲しみはない。
あるのは、二人への感謝だけ。
母さんは、僕の言葉を聞いて、涙を流している。
そのまま、僕のことを、しっかりと抱きしめてくる。
父さんは、少し目を潤ませながら、僕のことを、母さんごと優しく抱きしめる。
少しの間、そのままでいた。
言葉はなく、ただただ家族同士の愛を感じながら。
すると、空間が光に包まれ、今までいたリビングの風景が少しずつ薄れていく。
それと同時に、両親の体も少しずつ薄れていく。
約束の一時間が終わろうとしている。
両親は僕の体から名残惜しむように、ゆっくりと体を離した。
そして、おそらく最後になるであろう言葉を紡ぐ。
「匠真。 とても、とても嬉しい言葉だった。 こちらこそありがとう。 母さんが死んで、二人で暮らしていた頃、色々と家のことやってくれたこと、感謝している。
お前は俺達に貰ってばかりだと思っていたみたいだが、そんなことはない。 俺も母さんも、お前には沢山のものを貰ったよ。 本当にありがとう。
この先、何があってもお前は自分の意思で生きればいい。 お前がしっかりと悩み、考えて選ぶ人生なら、それがお前にとって、一番良い選択だろう。 だから、強く生きろよ。 これからの匠真の未来が、どこまでも幸せであることを、願っている」
「私も、お父さんと同じ気持ちよ。 本当にありがとう。 匠真が私のお腹の中にいるって分かった時は、本当に嬉しかったの。 生まれてくる時が本当に楽しみでしょうがなかった。病院で無事に生まれて、声を聞いて、抱きしめたことは今でも鮮明に憶えているわ。
一緒に生きることは出来なかったけど、上から匠真を見守っていた時に、強く生きている匠真を見て、とても嬉しかった。 私たちの子として生まれてきてくれてありがとう。 私たちはいつでも、匠真の心の中にいる。
そして、見守ってるから幸せになりなさい。 匠真の生きる世界の全てに、幸せが溢れることを願っているわ」
母さんも、父さんも優しさと子を想う気持ちを全面に出した表情で、気持ちを伝えてくれた。
二人は、僕の中にいる。
そして、ずっと見守ってくれている。
そう思うと、不思議と悲しくは無かった。
「父さん、母さん、ありがとう。 いってきます」
「「いってらっしゃい」」
その言葉と共に、父さんと母さんは、空間と共に光の粒子となって消えていった。
さようならは言わない。
死んでからまた会って話すことが出来たんだ。
いつかまた会えると思う。
そうしたら、今度は最初に言おう。
「ただいま」と。
*
「両親との再会はどうでしたか?」
気付いたら僕は最初の空間にいた。
後ろから声が聞こえて振り返ると、そこにはいつの間に来たのかフォルティが立っていた。
「……その表情を見る限り、とても有意義な時間だったみたいですね」
「うん、かけがえのない時間になったよ。 ありがとう、フォルティ。 あ、協力してくれた神様にもお礼言ってたって伝えて欲しいな」
「ふふっ、分かりました。 必ず伝えますね」
出来れば、直接お礼を言いたいところだけど、会えないものはしょうがないから、フォルティに頼んでおこう。
彼女ならしっかり伝えてくれると思うので。
「それで、母さん達と話してて、ちょっと気になることがあったんだけど…」
「はい、なんでしょうか?」
「この後、僕ってどうなるの?」
そう、そのことだ。
父さんも母さんも何やら意味深なことを言っていたけどどうなるんだろう?
「そのことについてはしっかりと説明させて貰います。 両親方と会う前に話すか迷ったのですが、一時間という短い時間だったので、教えることで本来話したかった事が話せなくなるかもしれないと思い、後回しにさせていただきました」
「なるほど。 確かにそっちの方が良かったと思う」
「はい。 それでですね、匠真さんの今後の道としては、選択肢が二つあります」
「二つ?」
「そうです。 一つ目としては、地球とは別の世界に転生して、新たな人生を歩んでもらうことです。 転生といっても、匠真さんの記憶を残したまま、姿形もそのままなので、転生というより転移に近いかもしれません」
……これってアレかな、異世界転移ってやつかな?
ラノベでよくあったやつ。
「匠真さん、生前そのような題材の物語、よく見てましたよね。 イメージとしてはそれで合っています」
「ちょっと待って。 なんで知ってんの?」
「見てましたから。 お父様、お母様も見てましたよ」
マジかよー、プライバシーとはいったい?
「……もう一つは?」
なんとなくそれ以上突っ込んだらやぶ蛇な気がするので話を逸らす。
「もう一つは、匠真さんに我々と同じ神になっていただくという選択肢です」
「転生でお願いします」
即答した。
するとフォルティは怒るでもなく、クスっと笑って、「断られると思っていました」と言う。
僕が神なんて、悪い冗談だ。
なにが悲しくて自分から神になろうと思うだろうか。
「一応、理由があってですね? 匠真さんの心というか魂は、神に求められるものをしっかりと満たしていて、相応しいと私と私以外の最高神達が判断したんですよ」
「そもそも、そんな簡単に神になれるもんなの?」
「いえいえ、決して簡単ではないんですよ? 死んでしまった人の魂の転生先は、生前どんな事をしてきたかをある程度考慮するので、色々と検査のような事をするんです。 その時に神に相応しいと判断されたら神になることもあります。 ですが、私が憶えている限りだと、最後に地上から神になったのは一億年くらい前だったと思いますし、神々の歴史の中でも、両手の指で数えられるくらいしかいないと思います」
……神々の歴史て。
遡るとどれくらいになるんだろうか?
「……僕がそんな大層な人間だとは思えないけど」
「ふふ、匠真さんがそう思ってなくてもいいんです。 大事なのは周りがどう感じるかですから」
自分が素晴らしい人間だと言われて、はい、そうですかと受け入れられる程、僕は心が大きくない。
むしろ、どちらかと言えば小心者のカテゴリー入るだろう。
「まぁ、改めて言うけど、神様になるっていうのは遠慮するよ」
「そうですか。 匠真さんと同じ立場になるというのも少し楽しそうだと思ったんですけどね」
フォルティはそう言って悪戯っぽく笑う。
まぁ、断られると思ってたみたいだし、あんまり嘆いたりしてるようには見えないな。
「そうなると、転生ですね。 匠真さんの転生先は匠真さんが楽しんで暮らせるようにこちらで選びました。 具体的に言うと、魔法やステータス、スキルがあって、人は自分の職業を元に冒険したり、何かを生み出したりしています。 匠真さんが好きそうだと思ってこの世界を選んだんですけど、どうでしょうか?」
なんだその夢の世界は。
どうしよう、話を聞いていて、めちゃくちゃ楽しみにしている自分がいる。
ラノベとか読んでいて、その中の世界観が好きで憧れていた自分には、夢のような話だと思う。
「うん。 とても楽しそうな世界だね。 ちょっと楽しみになってきたよ!」
テンションもかなり上がってしまう。
「ふふっ、そうですか。 それは選んだ甲斐があったというものです。 それでこの転生は匠真さんの人生を壊してしまった謝罪の意味を込めているのでなるべく、楽しんで欲しいし、何より幸せになって欲しいんです。 あ! もちろん、匠真さんの不幸体質は改善されての転生になるので安心してください」
それを聞いて安心した。 また、あの不幸体質に困ることになるのは勘弁して欲しいからね。
「それで、匠真さんからなにか転生してしたい事とか、こういう職業が欲しいとかの希望はありますか?」
そうだな…… したい事ができるなら、ずっと憧れていた事がある。
「フォルティも知っているかもしれないけど、僕の父さんは刀匠だったんだ。 僕もそれに憧れていたから、父さんが生きていたら仕事を教えてもらいたかったんだ。 だから、転生したらそういう何かを作ったりする事をしたいかな」
「なるほど…… いいと思います! じゃあ、匠真さんの職業なんですけど、鍛冶師ってことでどうでしょうか?」
「鍛冶師?」
「はい! 匠真さんのユニーク職業です。 やっぱり、謝罪の意味も込めてるので、他の人と同じ職業ではあまり意味ないと思うので!」
「どういう職業なの?」
「それは、私が言ったら面白くないと思うので、向こうに行ったらご自身で試行錯誤してみてください!」
まぁ、確かに全部分かった状態からだと面白くないか。
「分かったよ」
「それで、他に希望あります?」
「魔法があるってことは、使う必要があるということだよね? 戦わないといけない理由でもあるの?」
「そうですね、もちろん戦わなくても生きてはいけますよ? ただ、匠真さんが分かりやすいように言うと、向こうの世界には魔物がいて、それを討伐なりすることで生計を立てている者もいます」
ますますファンタジーの世界だな。
魔物がいるとなると、多少は戦えないとダメだよなぁ……
「ちなみに、職業は一つとは限りません。複数持っている者もかなりの数います。 ですが、沢山の職業を持っていたからといって、必ず戦闘能力とか知能が上がるわけではありません。 その職業がどのようなものかを理解し、使いこなす事が出来れば一つの戦闘職しか持っていなくても、強い人は強いです」
「なるほど…… 多い人でどのくらいの職業を持っているの?」
「五個くらいですかね? それくらいだと多いと認識されて、それが分かると軽い騒ぎくらいにはなると思います。 それが有能な職業であれば特に」
んー、あまり目立ちたくはないかな……
「ちなみにフォルティ?」
「はい? なんでしょう?」
「僕にも魔法って使える?」
「はい! もちろんです! ふふっ、匠真さんも男の子なんですね。 使う事ができるような職業にしますか?」
「うん、出来れば使ってみたいな。 ちょっと憧れてるのは否定しないよ」
男の子は魔法とかに憧れを抱いちゃうんです。
「じゃあ、魔法が使えるようになる職業も追加しますね。 他にもなにか希望ありますか? 遠慮しないでどんどん言ってください!」
「いやいや、結構わがまま言ったつもりなんだけど?」
「こんなもんじゃ全然、謝罪になってませんよ! ほら、他にも何かないですか??」
食い気味にフォルティが聞いてくる。
うーん、他に何かあるかなー?
「向こうでの強さの判断って、やっぱり職業の強さとかで決まるの?」
「職業の強さというより、それらのスキルレベルの高さですね。 そもそも職業というものの中にいくつかのスキルが含まれていて、職業を持っている事でそれらのスキルレベルが少し高めだったり、成長がしやすい状態で始まると思ってもらえばいいです」
「んー、もうちょっと具体的に言うと?」
「そうですねー、ちょっと長くなりますよ?」
「大丈夫、自分のことなんだからよく知っておきたい」
「分かりました。 例えば職業が魔法使いレベル1だとします。 魔法使いの職業を持つことでその者は職業スキルとして炎魔法、風魔法、水魔法といったスキルがスキルレベル1で使う事ができます」
「ふむふむ」
「そして、戦闘職業を新たに得ることは基本的には出来ません。 町に暮らす事で町人になったり、商売を始めることで商人になったりすることはありますが、魔法使いが戦士の職業を欲しがって剣の修行をしても、剣術のスキルを得ることは出来ても、戦士の職業は得られません」
「職業は割と生まれ持った適性みたいな感じなのかな?」
「概ねそんな感じです! それで今、ちらっと言ったんですけど、スキルに関してはそれなりに修練を積んだりすれば身につけることは出来ますが、匠真さんに関しては別の方法でスキルを得られるようにしておきますね? その方法は向こうに行ってのお楽しみにしていてください♪」
「わかったよ」
「それで、スキルのレベルを上げるためには、スキルを使って何かを作ったり、魔物を倒したりすれば、普通の人はそのうち上がります! 上がれば上がる程上がりにくくはありますけど。 強さの指標としては剣術スキルで例えるとレベル1だと、ガタイのいい一般人が剣を持ったレベルの強さで、レベル5になると中堅冒険者くらいですかね?」
「レベルが高くないとそこまで強さは発揮されないんだね」
「そうですね。 スキルの最高レベルはレベル10ですけど、10は神の領域と言われていて、そこまでのレベルを持つ者は向こうの世界でもごく僅かです。 あと、職業のレベルが上がるとスキルのレベルは格段に上がります。 あ、職業レベル以上に職業スキルのレベルが上がることはないのでそこは注意してください」
「わかった」
「それと同時に、新たなスキルを得ることもあるので、職業スキルはどんどん上げるといいと思います。 ……よし、ここまで話したことが基本的な知識です! あとのことは向こうに行って色々と試行錯誤してみてください!」
「うん、大体分かったよ、ありがとう」
うん、とにかく楽しみになってきた。
あとは向こうで色々と試してみよう。
「いえいえ、それで他に要望とか質問とかは大丈夫ですか?」
「そうだね…… あ、じゃああと一つだけいい?」
「はい! 一つでも百個でもいいですよ!」
「いや、一つでいいから。 それでね、戦う手段がいるみたいだし、魔法だけだとちょっと不安だから近接戦闘用の職業をつけておいてくれない? 具体的なイメージはないんだけど、それなりに武器を使えればいいから形はフォルティに任せるよ」
「分かりました! じゃあ、近接用の戦闘職付けときますね! 他にはもうないんですか?」
「うん、もう十分過ぎるほどだよ。 後は自分で頑張ってみる」
「こちらとしてはもっと要求してくれていいんですけど…… 匠真さんは欲がないというか謙虚というか……」
「いやいや、もう十分だよ!」
「そうですか? まぁ、なにか向こうで分からなくなったりしたら教会に私の像とかがあると思うので、その前で私に呼びかけてみてください! いつでもお答えしますので! そのために私の加護を匠真さんにつけときますね。 私と話すための神託スキルと他人からは見えないように隠蔽もしておいて、他にも何点か匠真さんに役立つ効果をつけておきます!」
「なんか至れり尽くせりで申し訳なくなってくるんだけど……?」
「いいんです! これは私がしたいことなので! むしろ受け取ってくれないと困ります!」
「困るって…… 十分だと思うんだけどなぁ?」
「ほ、ほら! 神様からの加護なんですから、逆に受け取らないと、神罰が当たっちゃいますよ?!」
「なにそれ!? 怖いからやめてくんない?!」
「じゃあ、受け取ってください!」
半ば強引に加護を貰ってしまった……
というかいいのか?
こんなんで加護授けちゃって。
「よし! じゃあ色々と説明もしたので、そろそろ行きましょうか! 匠真さんも早く行って色々確かめたいですよね?」
「そうだね、正直すごいワクワクしてるよ」
「いいことです! じゃあ、向こうの世界に送りますね? 匠真さんを送る先はファルゼイン王国のハゾットという街の近くのウロナの森というところに送ります。 匠真さんの職業スキルの一つにアイテムボックスという魔法がありますから、その中に少し、具体的には宿で数泊出来るくらいのお金と、鍛治師のスキルに必要な物をいくつか入れておきますね!」
「ほんとに至れり尽くせりだね…… ありがとう、フォルティ」
「いえいえ! それじゃあ、向こうの世界にいよいよ転生ですね! 着いたらまず、「ステータス」って唱えてみてください! そうしたら自分のスキルとかを見れるので! それと…… 気が向いたらでいいので教会に来てくださいね! なるべく見守っていますけど、出来れば匠真さんから直接、楽しいかどうかとかを聞きたいので…… あ、ほんとにたまにでいいですよ!? 絶対に来いとかそういうわけじゃないです!」
「いやいや、ちゃんと行くから! こんなにしてもらったのに、それでさよならなんて僕としても嫌だし、魔法とかスキル使ってみた感想とかも言いたいし、なるべくこまめに来るようにするよ。 だから、待ってて?」
「匠真さん…… ありがとうございます! ぜひまた来てください! 私も匠真さんと、またお話ししたいです!」
フォルティはそう言って、満面の笑顔で僕の手を両手で握ってくる。
あの…… そういうことされると、ちょっとドキッとしちゃうんですけども。
そんな僕の心境を知ってか知らずか、フォルティは手を離して、少し目を閉じ集中する。
「それでは、匠真さんを向こうの世界に送ります!」
「分かった。 本当にありがとう、フォルティ。 死んでから転生出来るなんて思ってなかったよ。 それに、父さんと母さんにも会わせてくれてありがとう。 二人に会うことが出来たから、僕は前を向いて生きることが出来る。 それも全てフォルティのおかげ。 本当に感謝してる。 向こうに着いて、教会を見つけたら、また会いにくるよ」
「匠真さんが前を向けたのは、匠真さんが元々強かったからです! 私は少しだけ手助けしただけですよ。 向こうの世界で幸せに過ごせることを祈っていますね!」
フォルティがそう言うと視界が光に包まれる。
ついに異世界に行くことになるのか……!
異世界で、幸せになるため、頑張ろう!
「ん? なに、この音?」
突然、空間にタイマー音のようなものが鳴り響いた。
「これは、もうすぐで一時間ですよっていうお知らせね。 女神さんが言ってたわ」
僕の疑問に母さんが答えをくれる。
そうか…… 話に夢中で忘れかけていたな。
もともと、両親に会えるのは一時間が限界なんだった。
そのことを思い出した途端、先程までの晴れやかな気持ちが、悲しみや寂しさで埋め尽くされる。
二人と、もっと話していたい。
初めての家族三人での時間を過ごして、匠真は初めて、両親の愛を知った。
その時間がこんなにも早く終わってしまうと考えると、どうしようもなく悲しい気持ちになってくる。
「そんな顔すんじゃねぇよ」
父さんが少し笑いながら僕の頭を撫でる。
「そうよ。 もう二度と会えないと思っていたのに、会うだけじゃなく、こんなに沢山のことを話せたんだから」
母さんもそう言って僕の頭を撫でる。
二人は、笑っていた。
二度と会えないと思っていた息子との再会を本当に喜んでいる。
その時間が限られたものであったとしても。
……そうだ、せっかく会えたのに、最後に二人を不安にさせるわけにはいかない。
そう思った僕は、二人をしっかりと見据え、改めて思いをぶつけることにする。
「父さん、母さん、さっきも言ったけど、ありがとう。 本当に色々なことに感謝したいと思う。 産んでくれたこと、育ててくれたこと、見守っていてくれたこと、そして、どこまでも、深く、深く、愛してくれてありがとう。 僕も…… 父さんと母さんのことが…… 大好きです……! 二人の…… 子供で僕は、本当に…… ほん、とに…… 幸せです……」
僕は、泣き笑いの表情で二人にそう告げた。
最後の方の言葉は涙を堪えられなくて、途切れ途切れになってしまった。
ただ、この涙は別れの悲しみから来るものじゃなく、二人が、沢山の愛をくれたことへの感謝から来るものだ。
もう悲しみはない。
あるのは、二人への感謝だけ。
母さんは、僕の言葉を聞いて、涙を流している。
そのまま、僕のことを、しっかりと抱きしめてくる。
父さんは、少し目を潤ませながら、僕のことを、母さんごと優しく抱きしめる。
少しの間、そのままでいた。
言葉はなく、ただただ家族同士の愛を感じながら。
すると、空間が光に包まれ、今までいたリビングの風景が少しずつ薄れていく。
それと同時に、両親の体も少しずつ薄れていく。
約束の一時間が終わろうとしている。
両親は僕の体から名残惜しむように、ゆっくりと体を離した。
そして、おそらく最後になるであろう言葉を紡ぐ。
「匠真。 とても、とても嬉しい言葉だった。 こちらこそありがとう。 母さんが死んで、二人で暮らしていた頃、色々と家のことやってくれたこと、感謝している。
お前は俺達に貰ってばかりだと思っていたみたいだが、そんなことはない。 俺も母さんも、お前には沢山のものを貰ったよ。 本当にありがとう。
この先、何があってもお前は自分の意思で生きればいい。 お前がしっかりと悩み、考えて選ぶ人生なら、それがお前にとって、一番良い選択だろう。 だから、強く生きろよ。 これからの匠真の未来が、どこまでも幸せであることを、願っている」
「私も、お父さんと同じ気持ちよ。 本当にありがとう。 匠真が私のお腹の中にいるって分かった時は、本当に嬉しかったの。 生まれてくる時が本当に楽しみでしょうがなかった。病院で無事に生まれて、声を聞いて、抱きしめたことは今でも鮮明に憶えているわ。
一緒に生きることは出来なかったけど、上から匠真を見守っていた時に、強く生きている匠真を見て、とても嬉しかった。 私たちの子として生まれてきてくれてありがとう。 私たちはいつでも、匠真の心の中にいる。
そして、見守ってるから幸せになりなさい。 匠真の生きる世界の全てに、幸せが溢れることを願っているわ」
母さんも、父さんも優しさと子を想う気持ちを全面に出した表情で、気持ちを伝えてくれた。
二人は、僕の中にいる。
そして、ずっと見守ってくれている。
そう思うと、不思議と悲しくは無かった。
「父さん、母さん、ありがとう。 いってきます」
「「いってらっしゃい」」
その言葉と共に、父さんと母さんは、空間と共に光の粒子となって消えていった。
さようならは言わない。
死んでからまた会って話すことが出来たんだ。
いつかまた会えると思う。
そうしたら、今度は最初に言おう。
「ただいま」と。
*
「両親との再会はどうでしたか?」
気付いたら僕は最初の空間にいた。
後ろから声が聞こえて振り返ると、そこにはいつの間に来たのかフォルティが立っていた。
「……その表情を見る限り、とても有意義な時間だったみたいですね」
「うん、かけがえのない時間になったよ。 ありがとう、フォルティ。 あ、協力してくれた神様にもお礼言ってたって伝えて欲しいな」
「ふふっ、分かりました。 必ず伝えますね」
出来れば、直接お礼を言いたいところだけど、会えないものはしょうがないから、フォルティに頼んでおこう。
彼女ならしっかり伝えてくれると思うので。
「それで、母さん達と話してて、ちょっと気になることがあったんだけど…」
「はい、なんでしょうか?」
「この後、僕ってどうなるの?」
そう、そのことだ。
父さんも母さんも何やら意味深なことを言っていたけどどうなるんだろう?
「そのことについてはしっかりと説明させて貰います。 両親方と会う前に話すか迷ったのですが、一時間という短い時間だったので、教えることで本来話したかった事が話せなくなるかもしれないと思い、後回しにさせていただきました」
「なるほど。 確かにそっちの方が良かったと思う」
「はい。 それでですね、匠真さんの今後の道としては、選択肢が二つあります」
「二つ?」
「そうです。 一つ目としては、地球とは別の世界に転生して、新たな人生を歩んでもらうことです。 転生といっても、匠真さんの記憶を残したまま、姿形もそのままなので、転生というより転移に近いかもしれません」
……これってアレかな、異世界転移ってやつかな?
ラノベでよくあったやつ。
「匠真さん、生前そのような題材の物語、よく見てましたよね。 イメージとしてはそれで合っています」
「ちょっと待って。 なんで知ってんの?」
「見てましたから。 お父様、お母様も見てましたよ」
マジかよー、プライバシーとはいったい?
「……もう一つは?」
なんとなくそれ以上突っ込んだらやぶ蛇な気がするので話を逸らす。
「もう一つは、匠真さんに我々と同じ神になっていただくという選択肢です」
「転生でお願いします」
即答した。
するとフォルティは怒るでもなく、クスっと笑って、「断られると思っていました」と言う。
僕が神なんて、悪い冗談だ。
なにが悲しくて自分から神になろうと思うだろうか。
「一応、理由があってですね? 匠真さんの心というか魂は、神に求められるものをしっかりと満たしていて、相応しいと私と私以外の最高神達が判断したんですよ」
「そもそも、そんな簡単に神になれるもんなの?」
「いえいえ、決して簡単ではないんですよ? 死んでしまった人の魂の転生先は、生前どんな事をしてきたかをある程度考慮するので、色々と検査のような事をするんです。 その時に神に相応しいと判断されたら神になることもあります。 ですが、私が憶えている限りだと、最後に地上から神になったのは一億年くらい前だったと思いますし、神々の歴史の中でも、両手の指で数えられるくらいしかいないと思います」
……神々の歴史て。
遡るとどれくらいになるんだろうか?
「……僕がそんな大層な人間だとは思えないけど」
「ふふ、匠真さんがそう思ってなくてもいいんです。 大事なのは周りがどう感じるかですから」
自分が素晴らしい人間だと言われて、はい、そうですかと受け入れられる程、僕は心が大きくない。
むしろ、どちらかと言えば小心者のカテゴリー入るだろう。
「まぁ、改めて言うけど、神様になるっていうのは遠慮するよ」
「そうですか。 匠真さんと同じ立場になるというのも少し楽しそうだと思ったんですけどね」
フォルティはそう言って悪戯っぽく笑う。
まぁ、断られると思ってたみたいだし、あんまり嘆いたりしてるようには見えないな。
「そうなると、転生ですね。 匠真さんの転生先は匠真さんが楽しんで暮らせるようにこちらで選びました。 具体的に言うと、魔法やステータス、スキルがあって、人は自分の職業を元に冒険したり、何かを生み出したりしています。 匠真さんが好きそうだと思ってこの世界を選んだんですけど、どうでしょうか?」
なんだその夢の世界は。
どうしよう、話を聞いていて、めちゃくちゃ楽しみにしている自分がいる。
ラノベとか読んでいて、その中の世界観が好きで憧れていた自分には、夢のような話だと思う。
「うん。 とても楽しそうな世界だね。 ちょっと楽しみになってきたよ!」
テンションもかなり上がってしまう。
「ふふっ、そうですか。 それは選んだ甲斐があったというものです。 それでこの転生は匠真さんの人生を壊してしまった謝罪の意味を込めているのでなるべく、楽しんで欲しいし、何より幸せになって欲しいんです。 あ! もちろん、匠真さんの不幸体質は改善されての転生になるので安心してください」
それを聞いて安心した。 また、あの不幸体質に困ることになるのは勘弁して欲しいからね。
「それで、匠真さんからなにか転生してしたい事とか、こういう職業が欲しいとかの希望はありますか?」
そうだな…… したい事ができるなら、ずっと憧れていた事がある。
「フォルティも知っているかもしれないけど、僕の父さんは刀匠だったんだ。 僕もそれに憧れていたから、父さんが生きていたら仕事を教えてもらいたかったんだ。 だから、転生したらそういう何かを作ったりする事をしたいかな」
「なるほど…… いいと思います! じゃあ、匠真さんの職業なんですけど、鍛冶師ってことでどうでしょうか?」
「鍛冶師?」
「はい! 匠真さんのユニーク職業です。 やっぱり、謝罪の意味も込めてるので、他の人と同じ職業ではあまり意味ないと思うので!」
「どういう職業なの?」
「それは、私が言ったら面白くないと思うので、向こうに行ったらご自身で試行錯誤してみてください!」
まぁ、確かに全部分かった状態からだと面白くないか。
「分かったよ」
「それで、他に希望あります?」
「魔法があるってことは、使う必要があるということだよね? 戦わないといけない理由でもあるの?」
「そうですね、もちろん戦わなくても生きてはいけますよ? ただ、匠真さんが分かりやすいように言うと、向こうの世界には魔物がいて、それを討伐なりすることで生計を立てている者もいます」
ますますファンタジーの世界だな。
魔物がいるとなると、多少は戦えないとダメだよなぁ……
「ちなみに、職業は一つとは限りません。複数持っている者もかなりの数います。 ですが、沢山の職業を持っていたからといって、必ず戦闘能力とか知能が上がるわけではありません。 その職業がどのようなものかを理解し、使いこなす事が出来れば一つの戦闘職しか持っていなくても、強い人は強いです」
「なるほど…… 多い人でどのくらいの職業を持っているの?」
「五個くらいですかね? それくらいだと多いと認識されて、それが分かると軽い騒ぎくらいにはなると思います。 それが有能な職業であれば特に」
んー、あまり目立ちたくはないかな……
「ちなみにフォルティ?」
「はい? なんでしょう?」
「僕にも魔法って使える?」
「はい! もちろんです! ふふっ、匠真さんも男の子なんですね。 使う事ができるような職業にしますか?」
「うん、出来れば使ってみたいな。 ちょっと憧れてるのは否定しないよ」
男の子は魔法とかに憧れを抱いちゃうんです。
「じゃあ、魔法が使えるようになる職業も追加しますね。 他にもなにか希望ありますか? 遠慮しないでどんどん言ってください!」
「いやいや、結構わがまま言ったつもりなんだけど?」
「こんなもんじゃ全然、謝罪になってませんよ! ほら、他にも何かないですか??」
食い気味にフォルティが聞いてくる。
うーん、他に何かあるかなー?
「向こうでの強さの判断って、やっぱり職業の強さとかで決まるの?」
「職業の強さというより、それらのスキルレベルの高さですね。 そもそも職業というものの中にいくつかのスキルが含まれていて、職業を持っている事でそれらのスキルレベルが少し高めだったり、成長がしやすい状態で始まると思ってもらえばいいです」
「んー、もうちょっと具体的に言うと?」
「そうですねー、ちょっと長くなりますよ?」
「大丈夫、自分のことなんだからよく知っておきたい」
「分かりました。 例えば職業が魔法使いレベル1だとします。 魔法使いの職業を持つことでその者は職業スキルとして炎魔法、風魔法、水魔法といったスキルがスキルレベル1で使う事ができます」
「ふむふむ」
「そして、戦闘職業を新たに得ることは基本的には出来ません。 町に暮らす事で町人になったり、商売を始めることで商人になったりすることはありますが、魔法使いが戦士の職業を欲しがって剣の修行をしても、剣術のスキルを得ることは出来ても、戦士の職業は得られません」
「職業は割と生まれ持った適性みたいな感じなのかな?」
「概ねそんな感じです! それで今、ちらっと言ったんですけど、スキルに関してはそれなりに修練を積んだりすれば身につけることは出来ますが、匠真さんに関しては別の方法でスキルを得られるようにしておきますね? その方法は向こうに行ってのお楽しみにしていてください♪」
「わかったよ」
「それで、スキルのレベルを上げるためには、スキルを使って何かを作ったり、魔物を倒したりすれば、普通の人はそのうち上がります! 上がれば上がる程上がりにくくはありますけど。 強さの指標としては剣術スキルで例えるとレベル1だと、ガタイのいい一般人が剣を持ったレベルの強さで、レベル5になると中堅冒険者くらいですかね?」
「レベルが高くないとそこまで強さは発揮されないんだね」
「そうですね。 スキルの最高レベルはレベル10ですけど、10は神の領域と言われていて、そこまでのレベルを持つ者は向こうの世界でもごく僅かです。 あと、職業のレベルが上がるとスキルのレベルは格段に上がります。 あ、職業レベル以上に職業スキルのレベルが上がることはないのでそこは注意してください」
「わかった」
「それと同時に、新たなスキルを得ることもあるので、職業スキルはどんどん上げるといいと思います。 ……よし、ここまで話したことが基本的な知識です! あとのことは向こうに行って色々と試行錯誤してみてください!」
「うん、大体分かったよ、ありがとう」
うん、とにかく楽しみになってきた。
あとは向こうで色々と試してみよう。
「いえいえ、それで他に要望とか質問とかは大丈夫ですか?」
「そうだね…… あ、じゃああと一つだけいい?」
「はい! 一つでも百個でもいいですよ!」
「いや、一つでいいから。 それでね、戦う手段がいるみたいだし、魔法だけだとちょっと不安だから近接戦闘用の職業をつけておいてくれない? 具体的なイメージはないんだけど、それなりに武器を使えればいいから形はフォルティに任せるよ」
「分かりました! じゃあ、近接用の戦闘職付けときますね! 他にはもうないんですか?」
「うん、もう十分過ぎるほどだよ。 後は自分で頑張ってみる」
「こちらとしてはもっと要求してくれていいんですけど…… 匠真さんは欲がないというか謙虚というか……」
「いやいや、もう十分だよ!」
「そうですか? まぁ、なにか向こうで分からなくなったりしたら教会に私の像とかがあると思うので、その前で私に呼びかけてみてください! いつでもお答えしますので! そのために私の加護を匠真さんにつけときますね。 私と話すための神託スキルと他人からは見えないように隠蔽もしておいて、他にも何点か匠真さんに役立つ効果をつけておきます!」
「なんか至れり尽くせりで申し訳なくなってくるんだけど……?」
「いいんです! これは私がしたいことなので! むしろ受け取ってくれないと困ります!」
「困るって…… 十分だと思うんだけどなぁ?」
「ほ、ほら! 神様からの加護なんですから、逆に受け取らないと、神罰が当たっちゃいますよ?!」
「なにそれ!? 怖いからやめてくんない?!」
「じゃあ、受け取ってください!」
半ば強引に加護を貰ってしまった……
というかいいのか?
こんなんで加護授けちゃって。
「よし! じゃあ色々と説明もしたので、そろそろ行きましょうか! 匠真さんも早く行って色々確かめたいですよね?」
「そうだね、正直すごいワクワクしてるよ」
「いいことです! じゃあ、向こうの世界に送りますね? 匠真さんを送る先はファルゼイン王国のハゾットという街の近くのウロナの森というところに送ります。 匠真さんの職業スキルの一つにアイテムボックスという魔法がありますから、その中に少し、具体的には宿で数泊出来るくらいのお金と、鍛治師のスキルに必要な物をいくつか入れておきますね!」
「ほんとに至れり尽くせりだね…… ありがとう、フォルティ」
「いえいえ! それじゃあ、向こうの世界にいよいよ転生ですね! 着いたらまず、「ステータス」って唱えてみてください! そうしたら自分のスキルとかを見れるので! それと…… 気が向いたらでいいので教会に来てくださいね! なるべく見守っていますけど、出来れば匠真さんから直接、楽しいかどうかとかを聞きたいので…… あ、ほんとにたまにでいいですよ!? 絶対に来いとかそういうわけじゃないです!」
「いやいや、ちゃんと行くから! こんなにしてもらったのに、それでさよならなんて僕としても嫌だし、魔法とかスキル使ってみた感想とかも言いたいし、なるべくこまめに来るようにするよ。 だから、待ってて?」
「匠真さん…… ありがとうございます! ぜひまた来てください! 私も匠真さんと、またお話ししたいです!」
フォルティはそう言って、満面の笑顔で僕の手を両手で握ってくる。
あの…… そういうことされると、ちょっとドキッとしちゃうんですけども。
そんな僕の心境を知ってか知らずか、フォルティは手を離して、少し目を閉じ集中する。
「それでは、匠真さんを向こうの世界に送ります!」
「分かった。 本当にありがとう、フォルティ。 死んでから転生出来るなんて思ってなかったよ。 それに、父さんと母さんにも会わせてくれてありがとう。 二人に会うことが出来たから、僕は前を向いて生きることが出来る。 それも全てフォルティのおかげ。 本当に感謝してる。 向こうに着いて、教会を見つけたら、また会いにくるよ」
「匠真さんが前を向けたのは、匠真さんが元々強かったからです! 私は少しだけ手助けしただけですよ。 向こうの世界で幸せに過ごせることを祈っていますね!」
フォルティがそう言うと視界が光に包まれる。
ついに異世界に行くことになるのか……!
異世界で、幸せになるため、頑張ろう!
1,146
お気に入りに追加
2,327
あなたにおすすめの小説
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?
死んで全ての凶運を使い果たした俺は異世界では強運しか残ってなかったみたいです。〜最強スキルと強運で異世界を無双します!〜
猫パンチ
ファンタジー
主人公、音峰 蓮(おとみね れん)はとてつもなく不幸な男だった。
ある日、とんでもない死に方をしたレンは気づくと神の世界にいた。
そこには創造神がいて、レンの余りの不運な死に方に同情し、異世界転生を提案する。
それを大いに喜び、快諾したレンは創造神にスキルをもらうことになる。
ただし、スキルは選べず運のみが頼り。
しかし、死んだ時に凶運を使い果たしたレンは強運の力で次々と最強スキルを引いてしまう。
それは創造神ですら引くほどのスキルだらけで・・・
そして、レンは最強スキルと強運で異世界を無双してゆく・・・。
異世界ハーレム漫遊記
けんもも
ファンタジー
ある日、突然異世界に紛れ込んだ主人公。
異世界の知識が何もないまま、最初に出会った、兎族の美少女と旅をし、成長しながら、異世界転移物のお約束、主人公のチート能力によって、これまたお約束の、ハーレム状態になりながら、転生した異世界の謎を解明していきます。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~
緋色優希
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる