我々は記憶喪失。学校で彼は知的な少女に説教される。解脱してそのまま転生。哲学的な彼女シリーズ第一弾

焦燥と

　そこまで言って手の止まってしまうのが惜しかった。いいや、口か、舌は動いていなかった。

　舌か、

　「やあ、」

　「、」「私、君のこと知らないわよ。」

　「唇の皮のくっついてしまうのに耐えかねたのさ。」「上等な傘だね。」

　「傘持ってないのね。」

　「降らないだろう。」

　「降るわよ。」

　「傘の話がしたいんだ。」

　なるほど、彼女の顔が良かったのだ。

　「うん。」

　しかし遠目においてジロジロと物色する癖は無かった。

　「木の柄が良いね。」

　だから、きっと見た目ではないだろう。

　「そうね。」

　いや、やはり私は彼女を見ていた。

　「何て木だろうか。」

　今見える彼女の白色はきっと一昨日に付けたものであった。

　「知らないわ。」

　「、」「天気の話をしよう。」

　「いいえ、精神の話をしましょうか。」