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最終章・転生勇者編
第174話 戦闘の行方
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互いの存在を確かめ合うように、抱擁を交わすタローとタマコ。
二人の感動的な再会を目の前に、ユウシはタローらの元へ近づくと、目を伏せて頭を下げた。
「魔王タイラント、すまなかった」
口から出たのは謝罪だった。
意外な言葉にタマコは一瞬ポカンとしてしまう。
ユウシは頭を下げたまま言葉を続けた。
「おれの一方的な恨みで、取り返しのつかないことをしてしまった……謝ってすむことではないのはわかっているが、どうか謝罪を受け入れて欲しい」
ユウシは誠意を込めて謝罪をした。
タマコは少しだけ考えると、顔を上げるように促した。
「ここに来る前に、ムサシやレオンに聞いてきた。貴様、勇者らしいな」
「あぁ、その通りだ」
「代々勇者は魔王を倒す宿命を背負っている。貴様の思いも……わからないでもない」
「魔王……すまない」
「もう謝罪はいい。私は生きている――それで十分じゃ」
タマコの言葉に、ユウシは泣きそうになった。
自分の重い罪に対し、許そうとする気概。
器の大きさに、ユウシは自分を恥じた。
(そうか……人も魔王も、本質は同じなんだ)
生きている数だけ、善と悪がある。
人にはそれぞれ良い人間と悪い人間がいる。
魔王もまた、良い魔王も悪い魔王もいるのだ。
そしてタマコは前者の魔王だった、ということである。
「魔王タイラント、おれは誓う。
これからは、肩書やレッテルではなく――本質で善悪を判断する。
それを、おれがこれから行う償いとさせてくれ」
「あぁ……そうしてくれ」
ユウシの誓いに、タマコは頷いた。
これでもう、ユウシは肩書やレッテルに惑わされず、この世の悪のみを倒す正義の勇者となるだろう。
・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・・
「――でもやっぱりムカつくからボコボコになってもらうけどな」
「「えッ!?」」
何か許してくれるムードが漂っていたので、これで終わると思っていたユウシ、とついでにタローも。
「なんでタローも驚くのじゃ?」
「いや、終わったから寝れると思って……」
「ただの怠慢かよ」
「お、おい魔王! ゆ、許してくれるんじゃないのかッ?」
夫婦漫才をしだしたタローとタマコに、脱線せぬよう、すかさず本題を切り出した。
タマコはユウシを睨みつけ血管を浮かばせる。
「貴様の謝罪は受け入れた。
だが謝罪されたところでムカつくもんはムカつくんじゃよ……ッ!」
「あぁ~~殺したのがおれだから文句を言えない……」
「というわけで――タロー、頼んだぞ?」
「えッ、俺がやるの?」
「当り前じゃ。病み上がりじゃぞ私」
「いや、めんどk――」
「タロー、やれ」
「――すいません、すぐにぶっ殺してやります!」
タローは怠惰の魔剣を握り、すぐさま戦闘態勢に入った。
「は、はは……」
ユウシも引きつった笑顔で武器を構えた。
こんな感じで、微妙な空気漂う中で最後の戦いは始まるだった。
二人の感動的な再会を目の前に、ユウシはタローらの元へ近づくと、目を伏せて頭を下げた。
「魔王タイラント、すまなかった」
口から出たのは謝罪だった。
意外な言葉にタマコは一瞬ポカンとしてしまう。
ユウシは頭を下げたまま言葉を続けた。
「おれの一方的な恨みで、取り返しのつかないことをしてしまった……謝ってすむことではないのはわかっているが、どうか謝罪を受け入れて欲しい」
ユウシは誠意を込めて謝罪をした。
タマコは少しだけ考えると、顔を上げるように促した。
「ここに来る前に、ムサシやレオンに聞いてきた。貴様、勇者らしいな」
「あぁ、その通りだ」
「代々勇者は魔王を倒す宿命を背負っている。貴様の思いも……わからないでもない」
「魔王……すまない」
「もう謝罪はいい。私は生きている――それで十分じゃ」
タマコの言葉に、ユウシは泣きそうになった。
自分の重い罪に対し、許そうとする気概。
器の大きさに、ユウシは自分を恥じた。
(そうか……人も魔王も、本質は同じなんだ)
生きている数だけ、善と悪がある。
人にはそれぞれ良い人間と悪い人間がいる。
魔王もまた、良い魔王も悪い魔王もいるのだ。
そしてタマコは前者の魔王だった、ということである。
「魔王タイラント、おれは誓う。
これからは、肩書やレッテルではなく――本質で善悪を判断する。
それを、おれがこれから行う償いとさせてくれ」
「あぁ……そうしてくれ」
ユウシの誓いに、タマコは頷いた。
これでもう、ユウシは肩書やレッテルに惑わされず、この世の悪のみを倒す正義の勇者となるだろう。
・・・・・・・
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・・・・・・・
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・・・・・・・
「――でもやっぱりムカつくからボコボコになってもらうけどな」
「「えッ!?」」
何か許してくれるムードが漂っていたので、これで終わると思っていたユウシ、とついでにタローも。
「なんでタローも驚くのじゃ?」
「いや、終わったから寝れると思って……」
「ただの怠慢かよ」
「お、おい魔王! ゆ、許してくれるんじゃないのかッ?」
夫婦漫才をしだしたタローとタマコに、脱線せぬよう、すかさず本題を切り出した。
タマコはユウシを睨みつけ血管を浮かばせる。
「貴様の謝罪は受け入れた。
だが謝罪されたところでムカつくもんはムカつくんじゃよ……ッ!」
「あぁ~~殺したのがおれだから文句を言えない……」
「というわけで――タロー、頼んだぞ?」
「えッ、俺がやるの?」
「当り前じゃ。病み上がりじゃぞ私」
「いや、めんどk――」
「タロー、やれ」
「――すいません、すぐにぶっ殺してやります!」
タローは怠惰の魔剣を握り、すぐさま戦闘態勢に入った。
「は、はは……」
ユウシも引きつった笑顔で武器を構えた。
こんな感じで、微妙な空気漂う中で最後の戦いは始まるだった。
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