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最終章・転生勇者編

第167話 神? 悪魔? 鬼?

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「――……~~~~ッッッォオォォォオオオオオオオオ!」

 地面がパキパキと呻くと、ユウシは雄叫びと共に地面から這い出た。
 階位昇格レベルアップの効果でステータスが上昇していたのが功を奏し、あのときほどのダメージはない。
 といっても大ダメージなことに変わりはなく、額からは血が止めどなく流れている。

 ――痛ッテェ……
 ――めちゃくちゃ強いじゃんコイツ。

「ぁあぁあぁあああああッッ!!」

 地面から出た途端、すぐさまタローへと攻撃を仕掛けた。
 剣を振る――と見せかけ、盾で殴りつける。
 しかし――。

「――ぶヴぁッ!」

 フェイントにすぐさま対応したタローは、盾を避け強烈なバックブローを浴びせた。
 左頬を殴られよろけたが、右足一本で踏ん張り、倒れるのを防ぐ。

 ――反応できるのかよ……。
 ――だったらこれだ!

 ユウシは剣を地面に突き刺すと、刃に魔法を乗せた。
 勇者の剣の効果により威力が倍増。
 タローの周りを囲むように、12本の巨大な土の柱が出現した。

巨神の地界ギガントマキア!」

 柱はタローを潰さんとばかりに襲い掛かった。
 しかし―ー。

「くだらねぇ」

 ドガァァアアアアンッ! という音と共に一撃で破壊してしまった。
 さらに、飛び散った破片の一部を素手で掴むと、見事な投球フォームでユウシへとぶん投げる。

「――ゴふォッ!?」

 破片は鳩尾に直撃し、ユウシは耐えきれず吐瀉物を吐き出した。
 ゲホゲホ咳き込んでいると、顔面に何かが打ち込まれる。
 言わずもがな怠惰の魔剣ベルフェゴールだ。
 大量の鼻血が舞い散ると、身体をのけ反らせて無様に倒れ伏す。

「フしゥ……フスゥ……」

 息をするので精一杯になるほど、ユウシの状態は深刻になっていた。

 ――あぁ、おれの負けか……。
 ――でも、おれにしては、よくやった方だろ……。

 その強さ、神と言われても信じるだろう。
 それほどまでに、タローは強大で、強烈であり、凶悪だった。
 負けて当然。勇者と言えど、自分は所詮モブキャラ以下の人間なのだと悲観する。

(どこか、遠い場所に行こう。一生一人でいられるような静かな場所で、ひっそりと死のう……)

 きっと一緒に行くと言うであろう4人と共に。
 これからの余生の過ごし方を、倒れながら考えていた。


「――いや、何勝手に終わろうとしてんの?」

 ユウシの瞳に映るのは、夥しい量の魔力を纏った怠惰の魔剣ベルフェゴール
 そして、魔剣を振り下ろす、悪魔タローの姿。

「――ッッがはッ!!!」

 身体を貫き、ユウシの下の地面には巨大なクレータが発生した。

「言っただろ――お前をぶっ殺すってな……ッ!」

 闇を宿した瞳で告げられたのは、無慈悲なる言葉だった。
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