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タイタン編
第8話 異常な男
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街で警報が鳴ったときは、タイタンに何らかの危機が迫っている時である。
ドラムスはすぐに頭を切り替えると、連絡用魔道具で、国の憲兵と連絡を取る。
「こちらギルド本部! 状況の説明を!」
すると、憲兵からも返事が返ってくる。
『こちら憲兵! タイタン東の空より害獣<死霊鳥:ファントム・スカル・バード>が飛来! この街に落下すると思われます!』
<死霊鳥:ファントム・スカル・バード>
意思なく空を飛び、人間を見るとそこへ落下して爆散するという害獣である。
爆散すると、大量のガスを半径5キロにわたり放出。
そのガスは30分で人を死に至らしめる危険な猛毒である。
だが、死霊鳥には対策がある。
それは地面へと着地する前に討伐することである。
通常モンスターは死んでも死体が残るのだが、死霊鳥は力尽きると体が無害なガスへ変わり、死体を残さないのだ。
なので、外壁には大砲が備え付けられているのだ。
「死霊鳥か。いつも通り撃ち落とせ! 万が一のために冒険者も配置しておく」ドラムスはいつも通りの対応をしようとした。
しかし、問題はここからだった。
『そ、それが……』言いよどむ憲兵。
「なんだ、どうした?」
『今回の死霊鳥は……巨大なんです!』
「巨大?」ドラムスは訝しむ。
死霊鳥の大きさは精々が2mだ。
今までも壁の大砲で十分討伐できたのだ。
「して大きさは?」ドラムスが訊く。
『……推定、40メートルです』
「よ、40メートルぅ!?」
その規格外の大きさに驚きの声を上げた。
しかも問題はそれだけではなかった。
『現在、大砲での攻撃を試みていますが、ビクともしません!』
「なんだとっ!?」
大砲で撃ち落とせないほどの巨体。
それが街を襲うとなると、どうなるだろうか。
単純計算だが、2メートルの大きさで半径5キロの被害。
それの20倍ということは――
「半径……100km?」
ドラムスの顔から血の気が引く。
この未曽有の大災害が起これば間違いなくこのタイタンは消滅する。
それどころか、周辺の小国だって危うい。
(どうする。Aランクの冒険者を集めるか?
――いや、そもそも今集めても魔法詠唱が間に合うかもわからない!
ちくしょう、あまりにも急すぎるぞ!)
大砲では撃ち落とせない。
Aランク冒険者にも頼りたいが今から行って間に合うのか。
そもそも確実に魔法で仕留めきれるのか。
『落下まで推定2分! も、もうダメだ!』
壁の上にいる憲兵もパニックを起こしかけている
「クソっ! どうしたら――」
机を叩き、顔を下に向ける。
自分の無力さに握る手には血が滲んでいる。
ドラムスはこの異常事態に為す術を失っていた。
そんな時にもかかわらず――
「俺っち到着ぅ~」
暢気な声が聞こえてきた。
だが、それはドラムスが待っていた声であった。
ドラムスは顔を上げると、そこには
初めて会った時と同じ。
黒いズボンにサンダル、
袖がだるんだるんに伸びたシャツ、
死んだ魚のような目。
前と違うのは、手に<キング・オーガの棍棒>を持っていること――
それを見たドラムスの頭に、一つの作戦――いや、作戦とは名ばかりの言葉が浮かんだ。
「バイトしに来たぞ」
――異常事態には、異常な男を――
ドラムスはすぐに頭を切り替えると、連絡用魔道具で、国の憲兵と連絡を取る。
「こちらギルド本部! 状況の説明を!」
すると、憲兵からも返事が返ってくる。
『こちら憲兵! タイタン東の空より害獣<死霊鳥:ファントム・スカル・バード>が飛来! この街に落下すると思われます!』
<死霊鳥:ファントム・スカル・バード>
意思なく空を飛び、人間を見るとそこへ落下して爆散するという害獣である。
爆散すると、大量のガスを半径5キロにわたり放出。
そのガスは30分で人を死に至らしめる危険な猛毒である。
だが、死霊鳥には対策がある。
それは地面へと着地する前に討伐することである。
通常モンスターは死んでも死体が残るのだが、死霊鳥は力尽きると体が無害なガスへ変わり、死体を残さないのだ。
なので、外壁には大砲が備え付けられているのだ。
「死霊鳥か。いつも通り撃ち落とせ! 万が一のために冒険者も配置しておく」ドラムスはいつも通りの対応をしようとした。
しかし、問題はここからだった。
『そ、それが……』言いよどむ憲兵。
「なんだ、どうした?」
『今回の死霊鳥は……巨大なんです!』
「巨大?」ドラムスは訝しむ。
死霊鳥の大きさは精々が2mだ。
今までも壁の大砲で十分討伐できたのだ。
「して大きさは?」ドラムスが訊く。
『……推定、40メートルです』
「よ、40メートルぅ!?」
その規格外の大きさに驚きの声を上げた。
しかも問題はそれだけではなかった。
『現在、大砲での攻撃を試みていますが、ビクともしません!』
「なんだとっ!?」
大砲で撃ち落とせないほどの巨体。
それが街を襲うとなると、どうなるだろうか。
単純計算だが、2メートルの大きさで半径5キロの被害。
それの20倍ということは――
「半径……100km?」
ドラムスの顔から血の気が引く。
この未曽有の大災害が起これば間違いなくこのタイタンは消滅する。
それどころか、周辺の小国だって危うい。
(どうする。Aランクの冒険者を集めるか?
――いや、そもそも今集めても魔法詠唱が間に合うかもわからない!
ちくしょう、あまりにも急すぎるぞ!)
大砲では撃ち落とせない。
Aランク冒険者にも頼りたいが今から行って間に合うのか。
そもそも確実に魔法で仕留めきれるのか。
『落下まで推定2分! も、もうダメだ!』
壁の上にいる憲兵もパニックを起こしかけている
「クソっ! どうしたら――」
机を叩き、顔を下に向ける。
自分の無力さに握る手には血が滲んでいる。
ドラムスはこの異常事態に為す術を失っていた。
そんな時にもかかわらず――
「俺っち到着ぅ~」
暢気な声が聞こえてきた。
だが、それはドラムスが待っていた声であった。
ドラムスは顔を上げると、そこには
初めて会った時と同じ。
黒いズボンにサンダル、
袖がだるんだるんに伸びたシャツ、
死んだ魚のような目。
前と違うのは、手に<キング・オーガの棍棒>を持っていること――
それを見たドラムスの頭に、一つの作戦――いや、作戦とは名ばかりの言葉が浮かんだ。
「バイトしに来たぞ」
――異常事態には、異常な男を――
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