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タイタン編
第3話 タローを救出せよ!
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冒険者・タロー
クラス・D
職業・バイト
現在受注中の依頼難度・A
***
ドラムスは焦っていた。
いくら呆れていたとはいえ、新人に危険を伴わせてしまった。
もしかしたら自分のせいで命を落としてしまうかもしれないと。
すぐにでも救出パーティーを編成したいところだが、運悪くここに難度Aの依頼をクリアできる者はいなかった。
だが、それでもドラムスは一人の冒険者の命を諦めたくはなかった。
「おい! 誰か手伝え!」
声を上げるが、手を挙げるものはいない。
「ギルマスよぉ……俺たちはCランクなんだぜ?」
「無茶言うなって」
その他の冒険者たちも怖気づき、みな目を合わせようともしなかった。
苛立つドラムスだが、その気持ちを抑えて説得を試みる。
「いいかお前ら。別に討伐しようってんじゃねぇんだ! 新人見つけて止めにいく、戦闘になったら加勢して、隙を見て逃げればいい! 討伐には俺も行く! だから手を貸せ!」
ドラムスはギルドマスターになってから戦闘には参加していないが、もともとはAランクの冒険者だった。
今は勝てるかわからないが、皆が逃げる時間くらいは作れるだろう。
ドラムスの説得に「それなら、まぁ……」と数人が手を挙げる。
しかし、まだ人数が少なく、救出へは行けない。
(この手は使いたくなかったが…しょうがねぇ!)
そこで、ドラムスは最後の手段を使うことにした。
「参加した者には特別報酬で、50000G支払う! これでどうだ!」
「「「「全員、いくぞぉぉぉおおおお!!!!!」」」」
冒険者は金に目が無かった。
***
「皆、協力感謝する!」
ドラムスは戦闘用の鎧に着替え、冒険者たちも各々準備を完了し、ドラムスの前に並んでいた。
金で動く冒険者たちだったが、こう見えても人の命を守るのも仕事の内である。
「ったく、手のかかる新人だぜ」
「だな」
「まったくだ」
さっきまでビビって参加しようともしていなかったのに、まるで自分から率先して動いたような言動をとるのは、彼らが現金な奴らだからだ。
「冒険者タローが出発して2時間。おそらく今から行けばギリギリ止められるか、戦闘に入る直前だろう。
タローを見つけ次第すぐに救出する! もしキング・オーガを見つけたらすぐに俺を呼べ!」
自身の武器である大剣を空に向け、みなを鼓舞する。
「いくぞぉぉぉおおおお!!!!!」
「「「「おおおおおおお!!!!!」」」」
冒険者たちはタロー救出に向かう――
「ただいまー」
が、行く前にタローが帰ってきた。
………………………
………………………
………………………
………………………
ここに、何とも言えない空気が流れる。
ドラムスも冒険者たちも、みんな開いた口が塞がらない。
「どしたん?」
タローは暢気に訊く。
ちなみに今のタローの格好は、
血まみれで。
キング・オーガの首を右手に持ち。
左手にキングオーガが持つ武器<キング・オーガの棍棒>を手に持って。
するめをかじりながら。
背中にお爺さんを担いでいた。
…………………………
…………………………
…………………………
…………………………
「いや、情報量多すぎだろぉがあ゛ぁ!!」
なんか色々びっくりして変な声が出たドラムスだった。
クラス・D
職業・バイト
現在受注中の依頼難度・A
***
ドラムスは焦っていた。
いくら呆れていたとはいえ、新人に危険を伴わせてしまった。
もしかしたら自分のせいで命を落としてしまうかもしれないと。
すぐにでも救出パーティーを編成したいところだが、運悪くここに難度Aの依頼をクリアできる者はいなかった。
だが、それでもドラムスは一人の冒険者の命を諦めたくはなかった。
「おい! 誰か手伝え!」
声を上げるが、手を挙げるものはいない。
「ギルマスよぉ……俺たちはCランクなんだぜ?」
「無茶言うなって」
その他の冒険者たちも怖気づき、みな目を合わせようともしなかった。
苛立つドラムスだが、その気持ちを抑えて説得を試みる。
「いいかお前ら。別に討伐しようってんじゃねぇんだ! 新人見つけて止めにいく、戦闘になったら加勢して、隙を見て逃げればいい! 討伐には俺も行く! だから手を貸せ!」
ドラムスはギルドマスターになってから戦闘には参加していないが、もともとはAランクの冒険者だった。
今は勝てるかわからないが、皆が逃げる時間くらいは作れるだろう。
ドラムスの説得に「それなら、まぁ……」と数人が手を挙げる。
しかし、まだ人数が少なく、救出へは行けない。
(この手は使いたくなかったが…しょうがねぇ!)
そこで、ドラムスは最後の手段を使うことにした。
「参加した者には特別報酬で、50000G支払う! これでどうだ!」
「「「「全員、いくぞぉぉぉおおおお!!!!!」」」」
冒険者は金に目が無かった。
***
「皆、協力感謝する!」
ドラムスは戦闘用の鎧に着替え、冒険者たちも各々準備を完了し、ドラムスの前に並んでいた。
金で動く冒険者たちだったが、こう見えても人の命を守るのも仕事の内である。
「ったく、手のかかる新人だぜ」
「だな」
「まったくだ」
さっきまでビビって参加しようともしていなかったのに、まるで自分から率先して動いたような言動をとるのは、彼らが現金な奴らだからだ。
「冒険者タローが出発して2時間。おそらく今から行けばギリギリ止められるか、戦闘に入る直前だろう。
タローを見つけ次第すぐに救出する! もしキング・オーガを見つけたらすぐに俺を呼べ!」
自身の武器である大剣を空に向け、みなを鼓舞する。
「いくぞぉぉぉおおおお!!!!!」
「「「「おおおおおおお!!!!!」」」」
冒険者たちはタロー救出に向かう――
「ただいまー」
が、行く前にタローが帰ってきた。
………………………
………………………
………………………
………………………
ここに、何とも言えない空気が流れる。
ドラムスも冒険者たちも、みんな開いた口が塞がらない。
「どしたん?」
タローは暢気に訊く。
ちなみに今のタローの格好は、
血まみれで。
キング・オーガの首を右手に持ち。
左手にキングオーガが持つ武器<キング・オーガの棍棒>を手に持って。
するめをかじりながら。
背中にお爺さんを担いでいた。
…………………………
…………………………
…………………………
…………………………
「いや、情報量多すぎだろぉがあ゛ぁ!!」
なんか色々びっくりして変な声が出たドラムスだった。
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