303 / 336
終 黒の章
十
しおりを挟む
「之が軍神白起の末路とはな」
馴染みのない声が執拗に谺していた。
五感の感覚は鈍い。それでも、己が今牢獄に囚人の如く、鎖で繋がれ、眼の前にいる男が范雎なのだと分かる。
牢獄に火が灯された。
「お前が范雎か」
口腔内は枯渇し、なおかつ血の錆臭い臭気が広がっている。
「なるほど。陰気な面をした醜悪な男だな」
煽るように、范雎は顎を突き出す。
「ふむ。そういう貴様は、噂に違わぬ美男のようだ。何とも」
鼻先をうごめかせ、彼の鼻が頤に迫る。
馴染みのない声が執拗に谺していた。
五感の感覚は鈍い。それでも、己が今牢獄に囚人の如く、鎖で繋がれ、眼の前にいる男が范雎なのだと分かる。
牢獄に火が灯された。
「お前が范雎か」
口腔内は枯渇し、なおかつ血の錆臭い臭気が広がっている。
「なるほど。陰気な面をした醜悪な男だな」
煽るように、范雎は顎を突き出す。
「ふむ。そういう貴様は、噂に違わぬ美男のようだ。何とも」
鼻先をうごめかせ、彼の鼻が頤に迫る。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
15
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる