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終 黒の章
八
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街道を悠々と進む馬車。供廻りはせいぜい十騎。
風は熄み、幸いとして厚い雲は月を隠したままだ。白起は豺狼と等しいほどに、夜目が利く。一団との距離として、縦三十歩程度。
(充分だ)
静かに手に持った、弓を構える。背の箙に手を伸ばす。音速で番え、先頭を行く衛兵の頭を撃ち抜いた。
嘶く馬達。松明を手にした衛兵が、狼狽えながら、此方に松明の明かりを向ける。だが、もう白起はその場から移動していた。素早く駆け回りながらの射撃。一呼吸で九射。必殺の腕前である。
息絶えた衛兵達。白起は彼等の屍から流れ出る、血の海を踏みしめ、馬車の扉を蹴り破った。
「くそっ」
即座に身を翻す。
馬車の中は、もぬけの殻であった。狗を使えない白起にとって、情報は圧倒的に不足していたのである。
時すでに遅し。角から一斉に龕灯を手にした、衛兵達が姿を現す。
風は熄み、幸いとして厚い雲は月を隠したままだ。白起は豺狼と等しいほどに、夜目が利く。一団との距離として、縦三十歩程度。
(充分だ)
静かに手に持った、弓を構える。背の箙に手を伸ばす。音速で番え、先頭を行く衛兵の頭を撃ち抜いた。
嘶く馬達。松明を手にした衛兵が、狼狽えながら、此方に松明の明かりを向ける。だが、もう白起はその場から移動していた。素早く駆け回りながらの射撃。一呼吸で九射。必殺の腕前である。
息絶えた衛兵達。白起は彼等の屍から流れ出る、血の海を踏みしめ、馬車の扉を蹴り破った。
「くそっ」
即座に身を翻す。
馬車の中は、もぬけの殻であった。狗を使えない白起にとって、情報は圧倒的に不足していたのである。
時すでに遅し。角から一斉に龕灯を手にした、衛兵達が姿を現す。
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