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澱み
二十一
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賈偃は戦車から、愛馬に乗り移る。
嗤っていた。驚きだ。己の中にも、これほど熱いものが眠っていたとは。
「行くぞ!」
三千の騎馬。二千の歩兵が続く。白起の顔。捉えた。
抜刀。血に塗れた両刃の剣。
咆哮。馳せ違う。
斬ったのは白起の兜。
「ちっ」
反転。柄を握りなおす。敵は疲弊している。動きが見える。
(情況は五分ではないが、卑怯などといってくれるなよ)
次で決められる。掴めるのだ。軍人としての栄華を。
馬を駆る。視線が交錯。
(もらった)
刃が交わる。白起の斬撃が幾分か遅れている。
刃が白起の頸に触れる。
刹那。東の方角からどよめき。気が逸れる。眼前の白起が消えた。刃が空を斬る。
「何!?」
消えたのではない。馬上で上体を逸らし、斬撃を躱したのだ。
瞬間、飛び込んできたのは咆哮する少年の姿。煌めく斬光。
(防げる)
だが斬光は無情にも通り抜ける。刃が砕けた。
「あぁぁぁぁぁぁぁ!」
少年の鋭き眼光が、昏くなる視界でしつこく瞬く。
嗤っていた。驚きだ。己の中にも、これほど熱いものが眠っていたとは。
「行くぞ!」
三千の騎馬。二千の歩兵が続く。白起の顔。捉えた。
抜刀。血に塗れた両刃の剣。
咆哮。馳せ違う。
斬ったのは白起の兜。
「ちっ」
反転。柄を握りなおす。敵は疲弊している。動きが見える。
(情況は五分ではないが、卑怯などといってくれるなよ)
次で決められる。掴めるのだ。軍人としての栄華を。
馬を駆る。視線が交錯。
(もらった)
刃が交わる。白起の斬撃が幾分か遅れている。
刃が白起の頸に触れる。
刹那。東の方角からどよめき。気が逸れる。眼前の白起が消えた。刃が空を斬る。
「何!?」
消えたのではない。馬上で上体を逸らし、斬撃を躱したのだ。
瞬間、飛び込んできたのは咆哮する少年の姿。煌めく斬光。
(防げる)
だが斬光は無情にも通り抜ける。刃が砕けた。
「あぁぁぁぁぁぁぁ!」
少年の鋭き眼光が、昏くなる視界でしつこく瞬く。
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