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光輝の兆し
七
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白起が軽く手を上げると、副官の李莞が即座に馬を並べた。
「後続を当たらせますか?」
総大将の白起が出るまでもないと言っている。後続には秦王の子飼いの重臣である向寿が続いている。彼は秦王の知己であり、秦王が最も信頼している臣下の一人である。
だが重用されているだけで彼自身は凡俗の徒に過ぎない。数で圧倒的できる単純明快な戦くらいは任すことはできるだろうが、臨機応変かつ変幻な動きが要求される戦では遣いようもない。向寿が白起軍に配属となったのは、嬴稷の意向によるものであった。いわば、己への監視の為に派遣されたのだ。傀儡の王のささやかな抵抗である。しかし、向寿の存在は、一切を白起の興味を喚起しなかった。
「いや。後続は温存させておけ」
「では」
李莞は得心したように強く頷く。
「俺が出る。俺が天狼隊一万を。お前が他二万の騎兵を率いろ」
皮膚に疼きのようなものが走っている。三万の騎兵で何処までできるか。試してみるには良い機会だ。
「御意」
李莞は溌剌とした返事を返したが、濃い緊張が表情から滲み出ている。万を超える兵馬の指揮を担当する重圧ゆえの緊張だろう。
「蹴散らすぞ」
「後続を当たらせますか?」
総大将の白起が出るまでもないと言っている。後続には秦王の子飼いの重臣である向寿が続いている。彼は秦王の知己であり、秦王が最も信頼している臣下の一人である。
だが重用されているだけで彼自身は凡俗の徒に過ぎない。数で圧倒的できる単純明快な戦くらいは任すことはできるだろうが、臨機応変かつ変幻な動きが要求される戦では遣いようもない。向寿が白起軍に配属となったのは、嬴稷の意向によるものであった。いわば、己への監視の為に派遣されたのだ。傀儡の王のささやかな抵抗である。しかし、向寿の存在は、一切を白起の興味を喚起しなかった。
「いや。後続は温存させておけ」
「では」
李莞は得心したように強く頷く。
「俺が出る。俺が天狼隊一万を。お前が他二万の騎兵を率いろ」
皮膚に疼きのようなものが走っている。三万の騎兵で何処までできるか。試してみるには良い機会だ。
「御意」
李莞は溌剌とした返事を返したが、濃い緊張が表情から滲み出ている。万を超える兵馬の指揮を担当する重圧ゆえの緊張だろう。
「蹴散らすぞ」
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