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合従軍戦
八
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黄河の支流に橋が架けられ、五十万の大軍が犇めき合いながら押し寄せて来る。函谷関は南北に亘って山脈が巡る、天嶮の要塞。敵からすれば、攻め入るべき要所は無数に存在し、一点突破は困難である。
敵の軍勢は横に大きく広がることを余儀なくされる。敵も函谷関の強みを理解して、攻め込んできている。故に五十万もの大軍勢なのである。函谷関の三重の楼閣の上で、魏冄は足元までに迫る大軍勢を睥睨し、指揮刀を振るった。
万の吶喊。
「弓兵用意!放て!」
矢の驟雨が、眼下の合従軍に襲い掛かる。盾で防ぐ兵士達。だが防ぎ切れず、矢を食らい倒れていく者達もいる。だが止まらない。
「間断なく放ち続けろ‼」
今や一端の将軍となった、鳥獲と任鄙が歩墻を駆け回り指示を送り続けている。
熄むことのない矢の嵐。そして、仲間の屍を踏みつけ、壁に寄りかかろうとする敵の軍勢。梯子を壁に立て掛けようとする敵に、油を浴びせる。
「火矢用意!放て!」
赤き閃光が孤を描き、飛んで行く。油を浴びた敵に火矢が突き刺さり、断末魔と共に地上が火の海と変わる。油の備蓄は腐るほどある。仮になくなっても、汚穢をぶちまけてやればいい。
初日は、敵も小手調べという様相だった。日が暮れる前に、撤退し支流を越えた先の陣営へと戻っていた。此方の損害は軽微で、合従軍の五千を討ち果たしているという報告が上がってきた。
敵の軍勢は横に大きく広がることを余儀なくされる。敵も函谷関の強みを理解して、攻め込んできている。故に五十万もの大軍勢なのである。函谷関の三重の楼閣の上で、魏冄は足元までに迫る大軍勢を睥睨し、指揮刀を振るった。
万の吶喊。
「弓兵用意!放て!」
矢の驟雨が、眼下の合従軍に襲い掛かる。盾で防ぐ兵士達。だが防ぎ切れず、矢を食らい倒れていく者達もいる。だが止まらない。
「間断なく放ち続けろ‼」
今や一端の将軍となった、鳥獲と任鄙が歩墻を駆け回り指示を送り続けている。
熄むことのない矢の嵐。そして、仲間の屍を踏みつけ、壁に寄りかかろうとする敵の軍勢。梯子を壁に立て掛けようとする敵に、油を浴びせる。
「火矢用意!放て!」
赤き閃光が孤を描き、飛んで行く。油を浴びた敵に火矢が突き刺さり、断末魔と共に地上が火の海と変わる。油の備蓄は腐るほどある。仮になくなっても、汚穢をぶちまけてやればいい。
初日は、敵も小手調べという様相だった。日が暮れる前に、撤退し支流を越えた先の陣営へと戻っていた。此方の損害は軽微で、合従軍の五千を討ち果たしているという報告が上がってきた。
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