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奪取
七
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躰に伝わる、独特の揺れの調子で、自分が馬車に寝かされているのだと分かった。
四肢は感覚を失い、瞼を開いても、一条の光もない、暗黒が拡がっていた。
「魏竜を死なせてしまった。すまない」
聞き覚えのある声だった。だが、何処で聞いたことがある声なのか、今は思い出せない。全てが気怠くある。
「お前自身も命を取り留めたが、毒によって、もう躰は以前のように動かすことはできないだろう」
男の声音からは、赤心からの後悔が窺える。
「せめてもの慰めという訳ではないが、お前の妻も息子も家令も無事だ。蘇代という男が、いち早く危機を察知し、家族へ趙へと逃がしたようだ」
(そうか)
楽毅は微笑んだつもりであったが、実際に笑むことはできなかった。
「お前も趙へ送り届ける。趙王はお前に好意的な故、拒むことはしないだろう」
頷く気力も体力もなかった。穿たれた心の空洞を占めているものは、亡き先王への慚愧の念であった。
四肢は感覚を失い、瞼を開いても、一条の光もない、暗黒が拡がっていた。
「魏竜を死なせてしまった。すまない」
聞き覚えのある声だった。だが、何処で聞いたことがある声なのか、今は思い出せない。全てが気怠くある。
「お前自身も命を取り留めたが、毒によって、もう躰は以前のように動かすことはできないだろう」
男の声音からは、赤心からの後悔が窺える。
「せめてもの慰めという訳ではないが、お前の妻も息子も家令も無事だ。蘇代という男が、いち早く危機を察知し、家族へ趙へと逃がしたようだ」
(そうか)
楽毅は微笑んだつもりであったが、実際に笑むことはできなかった。
「お前も趙へ送り届ける。趙王はお前に好意的な故、拒むことはしないだろう」
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