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幸も不幸も折半で
プロローグ
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※ほのぼのの裏側でシリアスがタップダンスしてるような作風になってます
あの私、親衛隊の子たち好き派なんでようけ出てきます。
故に主人公が元攻めという旗を掲げているのもあって
彼の周りの子達可愛いが渋滞!!ギャンっあがハッ……っ!(あくまで見る側が)
みたいになってるシーンがあるかとおもいます。
時々“あれ、この主人公って総愛されじゃなくて総攻めだっけ”って混乱することがあるかもしれないですが安心して欲しいです。
“総受け”ではないですが、総愛されなのでオールオッケーなのです!!
PS、彼は行く行く筋書き通り一人の人と結ばれます。
彼は愛されています。彼が最高の幸せを見つけるまで見守ってあげてください。
では。わにゃわにゃ言ってないで本編行きます!
────────────────────────
あの時──……
真っ直ぐで穢れのない
澄んだ貴方の瞳を見てしまってから
俺は──
※※※
桜井 那希斗side──
ここはS、Aクラスの教室と生徒会室のある特別棟。
アンティーク調でお洒落な癖に、現代らしくオートロックの重厚な扉。
そしてここは生徒会室。
少し重いが専用のカードさえあれば見た目より簡単に開くそれが廊下側。対角線上の壁には開くことの無い一面の窓。この棟の最上階であるここから入り組んだ中庭を見渡すことが出来る。
ほとんど窓で埋められた部屋の片面からは中庭の向こう側にB~Eクラスの教室や風紀室に職員室そして食堂や購買等々学園生活に必要なものが雑多に集められた大きな一般棟が見える。更にこちらの棟からも一般棟からも少し離れた程よい位置にあるのは、所謂素行不良の生徒らが属すFクラスが三学年纏められた建物。
そこは勉強は得意でないが素行が目立って悪くも無いといった生徒が集められるEクラスから、面倒事を起こしてさらに下のクラスに落とされた生徒の行くF棟とよばれる少し寂れたような木造の閉鎖的な校舎。
ここ特別棟、一般棟、そしてF棟。それらの棟を繋ぐと三角形になり、真ん中にできた無駄に広い空間が中庭になっているのだ。林のようになっている場所もあり、生徒がたまにサボっているのを見掛ける。
……俺は風紀ではなく生徒会の為見かけても特に何も言わない。
窓からの景色を見下ろしていると確認が終わったのか、渡していたサンプル用の書類を突き返された。
「──まぁまぁだな」
そう呟いたのは白い肌に映える真っ黒な髪に血のようにどろりとした真っ赤な瞳を惜しげも無く晒す、その場にいるだけで威圧感を与えるような存在感の男。
現生徒会長、鷹取 玲善(タカトリ-レイゼン)。
俺は「ありがとうございます」と薄ぺらい笑顔を貼り付けて彼に向き直り、ガサリと乱暴に音を立てて押し付けられた書類を持ち直す。
「ハッ、次はもっと完成度を上げろ。おい、それ人数分刷って風紀にも届けとけよ」
笑顔で礼を言ったのが気に食わないのか、そもそも俺の存在自体が気に食わないのか、もっと完成度を求められてしまった。会議の“記録”書類にこれ以上の完成なんて何をしたらいいのだろう。
角端にイラストでも貼ろうか、いや真面目な書類が一気にアホっぽくなる気がする。やめておこう。
会長に一礼して自席に足を向けると、役員の机が並ぶ方が騒がしい。言わずもがな自分が向かっている席も似たようなところにあるため必然的に騒ぐ彼らに視線が向かう。
「泉、凪紗。貴方たちまたサボっているのですか?早く仕事をなさい」
昨日終わらせておきなさいと言ったものもまだ終わってないのですよ、と眦を吊り上げるのは学園内で氷の貴公子と呼ばれて名高い副会長、咲夜 秀司(サクヤーシュウジ)。
白金の髪に淡い水色の瞳をした中性的な麗人。日本人離れしているその姿は美しいが如何せん敬語ながら口が悪いことでも有名であり、彼をよく思わない人間の間では毒舌貴公子なんて呼ばれていたりもする。
悲しいのは本人も否定する気がないところだろうか。
「えーもう疲れたよーっやだ!シュウちゃん手伝って?」
嫌だと高い声を上げるのは庶務で双子の兄、谷枝 泉(タニエダーイズミ)。翠色の大きな丸目が目立つ童顔は、身長が小さいことも相まって庇護欲を誘う。
俺より15cmも小さいためまるで子供のように見えるが、列記とした2年の先輩だ。
「俺もヤダよぉ……もう数字の羅列見るだけで眠気がさぁ」
「何を言ってるんです?今更でしょう、バカ言ってないでとっとと進める。それから泉?自分でなさい」
ウェーブのかかった鮮やかな金髪に輝かんばかりの金色の瞳。ゆるりと垂れた眦は彼の物腰の柔らかい言動を更に引き立たせている。眉は対照的に上がっているがむしろ全体的にバランスがよく見える。
彼は学園でチャラ男の名を欲しいままにしている会計、南条 凪紗(ナンジョウーナギサ)。
普段は緩いながらも元気な彼だが今は執務続きの為か疲れが見える。……そして相変わらず毒舌な副会長に一蹴されている。
泉が自分で、と言われてカタン──!と席を立つ。
「ぶー…シュウちゃんのケチ!」
「け……なんですって?」
「あ……」
「すみませんもう一度お願いします理解できませんでした」
「え゙っと……」
「わぁお句読点がない」
焦り出す泉に貼り付けた笑顔で詰め寄るのは言わずもがな副会長の咲夜。
そんな彼を、本当にこの人にお金の事を任せてもいいのだろうかと疑いたくなるほどにチャラい外見の会計南条は、緩さが霧散され引き攣った笑みを向ける。
「うわぁ……副会長、“聞き取れませんでした”って言わないあたりぃ……うわぁ」
「おや、嘘は付いてませんが?」
「「とっても正直デスね」」
「はぁ……ほら、泉。貴方の片割れはあちらで仕事をしてますよ?この下半身の緩い他人とハモってないで仕事をしに行きなさい」
「……はーいっ」
美人な咲夜に“下半身の緩い他人”と言われ嘘泣きしながら自席に座る南条。しかし密かに落ち込んでいるところを咲夜に睨まれ、急いで仕事を進め始めている。彼はまるで生徒会の母親のような立ち位置なのだ。怒らせない方がいい。
────────────────────────────────────
ここまで読んでくださってありがとうございます。
ただいま描きたい作品をランダムに書き進めています。
拙い文ですがよろしくお願いします。
主人公の精神衛生はいいほうだと思いますのでその辺はご安心くださいましっ
あの私、親衛隊の子たち好き派なんでようけ出てきます。
故に主人公が元攻めという旗を掲げているのもあって
彼の周りの子達可愛いが渋滞!!ギャンっあがハッ……っ!(あくまで見る側が)
みたいになってるシーンがあるかとおもいます。
時々“あれ、この主人公って総愛されじゃなくて総攻めだっけ”って混乱することがあるかもしれないですが安心して欲しいです。
“総受け”ではないですが、総愛されなのでオールオッケーなのです!!
PS、彼は行く行く筋書き通り一人の人と結ばれます。
彼は愛されています。彼が最高の幸せを見つけるまで見守ってあげてください。
では。わにゃわにゃ言ってないで本編行きます!
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あの時──……
真っ直ぐで穢れのない
澄んだ貴方の瞳を見てしまってから
俺は──
※※※
桜井 那希斗side──
ここはS、Aクラスの教室と生徒会室のある特別棟。
アンティーク調でお洒落な癖に、現代らしくオートロックの重厚な扉。
そしてここは生徒会室。
少し重いが専用のカードさえあれば見た目より簡単に開くそれが廊下側。対角線上の壁には開くことの無い一面の窓。この棟の最上階であるここから入り組んだ中庭を見渡すことが出来る。
ほとんど窓で埋められた部屋の片面からは中庭の向こう側にB~Eクラスの教室や風紀室に職員室そして食堂や購買等々学園生活に必要なものが雑多に集められた大きな一般棟が見える。更にこちらの棟からも一般棟からも少し離れた程よい位置にあるのは、所謂素行不良の生徒らが属すFクラスが三学年纏められた建物。
そこは勉強は得意でないが素行が目立って悪くも無いといった生徒が集められるEクラスから、面倒事を起こしてさらに下のクラスに落とされた生徒の行くF棟とよばれる少し寂れたような木造の閉鎖的な校舎。
ここ特別棟、一般棟、そしてF棟。それらの棟を繋ぐと三角形になり、真ん中にできた無駄に広い空間が中庭になっているのだ。林のようになっている場所もあり、生徒がたまにサボっているのを見掛ける。
……俺は風紀ではなく生徒会の為見かけても特に何も言わない。
窓からの景色を見下ろしていると確認が終わったのか、渡していたサンプル用の書類を突き返された。
「──まぁまぁだな」
そう呟いたのは白い肌に映える真っ黒な髪に血のようにどろりとした真っ赤な瞳を惜しげも無く晒す、その場にいるだけで威圧感を与えるような存在感の男。
現生徒会長、鷹取 玲善(タカトリ-レイゼン)。
俺は「ありがとうございます」と薄ぺらい笑顔を貼り付けて彼に向き直り、ガサリと乱暴に音を立てて押し付けられた書類を持ち直す。
「ハッ、次はもっと完成度を上げろ。おい、それ人数分刷って風紀にも届けとけよ」
笑顔で礼を言ったのが気に食わないのか、そもそも俺の存在自体が気に食わないのか、もっと完成度を求められてしまった。会議の“記録”書類にこれ以上の完成なんて何をしたらいいのだろう。
角端にイラストでも貼ろうか、いや真面目な書類が一気にアホっぽくなる気がする。やめておこう。
会長に一礼して自席に足を向けると、役員の机が並ぶ方が騒がしい。言わずもがな自分が向かっている席も似たようなところにあるため必然的に騒ぐ彼らに視線が向かう。
「泉、凪紗。貴方たちまたサボっているのですか?早く仕事をなさい」
昨日終わらせておきなさいと言ったものもまだ終わってないのですよ、と眦を吊り上げるのは学園内で氷の貴公子と呼ばれて名高い副会長、咲夜 秀司(サクヤーシュウジ)。
白金の髪に淡い水色の瞳をした中性的な麗人。日本人離れしているその姿は美しいが如何せん敬語ながら口が悪いことでも有名であり、彼をよく思わない人間の間では毒舌貴公子なんて呼ばれていたりもする。
悲しいのは本人も否定する気がないところだろうか。
「えーもう疲れたよーっやだ!シュウちゃん手伝って?」
嫌だと高い声を上げるのは庶務で双子の兄、谷枝 泉(タニエダーイズミ)。翠色の大きな丸目が目立つ童顔は、身長が小さいことも相まって庇護欲を誘う。
俺より15cmも小さいためまるで子供のように見えるが、列記とした2年の先輩だ。
「俺もヤダよぉ……もう数字の羅列見るだけで眠気がさぁ」
「何を言ってるんです?今更でしょう、バカ言ってないでとっとと進める。それから泉?自分でなさい」
ウェーブのかかった鮮やかな金髪に輝かんばかりの金色の瞳。ゆるりと垂れた眦は彼の物腰の柔らかい言動を更に引き立たせている。眉は対照的に上がっているがむしろ全体的にバランスがよく見える。
彼は学園でチャラ男の名を欲しいままにしている会計、南条 凪紗(ナンジョウーナギサ)。
普段は緩いながらも元気な彼だが今は執務続きの為か疲れが見える。……そして相変わらず毒舌な副会長に一蹴されている。
泉が自分で、と言われてカタン──!と席を立つ。
「ぶー…シュウちゃんのケチ!」
「け……なんですって?」
「あ……」
「すみませんもう一度お願いします理解できませんでした」
「え゙っと……」
「わぁお句読点がない」
焦り出す泉に貼り付けた笑顔で詰め寄るのは言わずもがな副会長の咲夜。
そんな彼を、本当にこの人にお金の事を任せてもいいのだろうかと疑いたくなるほどにチャラい外見の会計南条は、緩さが霧散され引き攣った笑みを向ける。
「うわぁ……副会長、“聞き取れませんでした”って言わないあたりぃ……うわぁ」
「おや、嘘は付いてませんが?」
「「とっても正直デスね」」
「はぁ……ほら、泉。貴方の片割れはあちらで仕事をしてますよ?この下半身の緩い他人とハモってないで仕事をしに行きなさい」
「……はーいっ」
美人な咲夜に“下半身の緩い他人”と言われ嘘泣きしながら自席に座る南条。しかし密かに落ち込んでいるところを咲夜に睨まれ、急いで仕事を進め始めている。彼はまるで生徒会の母親のような立ち位置なのだ。怒らせない方がいい。
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ここまで読んでくださってありがとうございます。
ただいま描きたい作品をランダムに書き進めています。
拙い文ですがよろしくお願いします。
主人公の精神衛生はいいほうだと思いますのでその辺はご安心くださいましっ
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