君の涙をみないために

mimi

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守りたいもの

交換日記

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「…によって、ここの答えは…。」
桜との交換日記を書くために俺は久しぶりに数学の授業にでている。
先生は俺を見るなり、
「は、早川。今日はどうしたんだ?」
と言ってきた。俺が授業にでてはなんか都合が悪いのか?
隣の女は青ざめてずっと反対側を見てるし。
そんなに怖いのか…俺。
「とにかく、桜のためにも書くか。」
数学の教科書もノートも開いてない俺の机。久しぶりに開いて置いたのは、朝桜に貰った真新しい水色のノート。
「…。あれ?」
まてよ。交換日記しようとは言ったものの、何を書けばいいんだ?
「…んー!わかんねぇ!!」
「は?!早川?!ど、どこが分からないんだ!!先生の授業は分かりにくいか?!」
「あ?あぁーいや、大丈夫…です。」
ついつい大声を出しちまった。
「お、おぉそうか。」
はぁ…何を書こうか…。自己紹介でもしとくか。
ノートの1ページ目に、俺は長らく触っていなかったボールペンを握りかきだした。

キーンコーン…
ガラガラガラ!
結局、ちょっとした自己紹介を書いただけになってしまった。桜こんなんで納得すんのかな…。
「桜ー。」
桜のクラスにいって呼ぶと
「あ、あ。い、今行く!」
桜が女達に囲まれていた。
「…。またなんかされてたのか?」
「ち、違うよ!!あのね、優也が言ってくれたから…みんなが優しく…なってくれたの。」
そういう桜の表情は柔らかかった。どうやら本当のようだ。
「そっか。囲まれてたからまた嫌なことされてんのかと思ったんだ。」
「大丈夫!ありがとう。」
はにかむ桜。あー…抱きしめたい…。
「そういえば優也そのノート…」
「あぁ、これか。交換日記。するって言っただろ?」
「本当に書いてくれたんだ!」
「本当に書いてやったよ。」
「え、じゃぁ授業でたの??」
「ちゃーんと自分の机で書いたぞ。」
「わぁーお。」
そんなに俺は不良のイメージなのかよ。
ペラッ
「…ふふっ。」
「ん?やっぱり変か?」
「いや…ふふっ…あはは!」
「な、なんだよ。」
変なこと書いたか?自己紹介書いたと思うんだが…。
「優也ってハンバーグ好きなんだ…ふふっ。可愛いところあるんだね!」
「わ、わりーかよ!ハンバーグ美味いだろ!」
「おいしーおいしー」
「そういう桜は何が好きなんだよ。」
「それはー…日記に書くね!」
ノートで顔を少し隠して笑う桜は、凄く可愛い。
「へいへい。楽しみに待ってますよ。」
「あ!日記書かないからってサボらないこと!ちゃんと授業でるんだよー。」
「おぉ…心を読まれてた…。まぁ、桜がいうならちゃんと授業でるよ。」
「えらい!あ、優也こっちきて!」
「ん?」
桜に近づくと、俺の頭に手を伸ばす。
「えらいえらい!次の授業もがんばろうね!」
そう言って頭を撫でる。これはちょっと…
「…反則だろ…。」
「ん?なんか言った?」
「言ってねーよ。じゃ、桜の日記楽しみにしてるからなー。」
「もーなによー!」
はぁ…くそ。なんか…
「…ドキドキすんだろ。」
顔が火照るのを冷ましてから俺はクラスに戻った。
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