ハデス様が通る

てぃでぃX(テツコDX)

文字の大きさ
上 下
6 / 9

ハデス様飛竜を狩る

しおりを挟む
タナトス「ええぇ!!?ゼウス様もこっちに来てるんですか!?」

ハデスの自室でタナトスが大声をあげる

ハデス一行は盗賊団を壊滅させた後ギルドに幹部の首を届け盗賊団のこれまで行ってきた悪事をすべて報告した

神父が黒幕だったという事もあり真偽を確かめる為に盗賊団のアジトに拘束されていた残りの団員もギルドに引き渡し情報の裏付けが取れ

ハデスは賞金を受け取った
但し、神父の首はハデスの拳で顔面を貫いたので身元が確定せずその分の賞金は保留となった

そしてハイネの墓前に花を添え仇は取ったと報告して帰ってきて今に至る

ハデス「五月蝿い」

タナトスの声に対しハデスは心底迷惑そうに言い放つ

タナトス「いやいやこれは声も大きくなりますって!ゼウス様ですよ!?全知全能と呼ばれる絶対神のゼウス様もこの世界になぜ!?しかも人間に神の御業チカラを与えてまわってるなんて」

ハデスの言葉を無視し大きな声でタナトスはハデスに質問する

ハデス「まだ理由もわからんし、盗賊の話を聞いてそう推測しただけで確証は無い。だが…あいつならやりかねないし、可能だろう」

確証を持てないが確信はしてるといった気持ちのハデスは顔をしかめながらタナトスに説明する

タナトス「そうですか、これからどうしますか?ゼウス様探します?全知全能であるゼウス様なら冥界にも帰る方法しってると思いますけど?」

タナトスはハデスにゼウスを探してみないかと提案する

ハデス「確かにな、だがあいつが本当にこの世界に居て放浪しているのだとすると居場所もわからんし、あいつの事だ俺達がこの世界に居る事も気付いてるんだろう、どうせいつかちょっかいをかけてくるさ、様子見しとこう、それより依頼クエストでも受けるかな」

そういうとハデスは立ち上がりギルド受付に行こうと自室の扉を開けた

そこには鼻をおさえてしゃがみこんでいるミントが居た

ミント「ツーーーーっ!痛いです…」

ハデス「何やってるんだ?ミント」

ハデスに声をかけられたミントは鼻をおさえながら立ち上がる

ミント「いえ、プルートゥ様にお伝えする事がありますので受付まで起こしいただこうと呼びに参りました」

ハデス「そうかちょうどいいな、行こう。さ、ケルベロスも!」

ケルベロス「キャウ!」

そういうとハデスとケルベロス、ミントは受付まで降りていった

それを後ろから見ていたタナトスはミントをじっと見つめていた


ギルド受付

ミント「さて、お話というのは他でもありません!パチパチパチーー!おめでとうございます!プルートゥ様は晴れてBランク冒険者に昇格いたしました!」

受付に来るなりミントは大きな声でハデスを祝いだした


ハデス「は?なんで?」

意味がわからないといった感じでハデスはミントに説明を求む

ミント「ふふん!調査の結果!あの穴あき生首は黒の爪ブラックファングの幹部にして首領オースと確定されましたので!高ランククリアによりランクアップです!」

ミントは自分の事のように誇らしげに嬉しそうに返答する


ハデス「いや、それでも上がるとしたらCランクだろなんでBなんだ」

さらにハデスは質問する

ミント「はい!もちろんちゃんと理由はありますよ?今回ギルドが出していた緊急依頼クエストは4つ!3つは盗賊団の幹部アウリス・オクルス・オースそれぞれの討伐もしくは捕縛!これは1人1つずつ依頼クエストとして出していたので3つ上位依頼クエストクリアになります!そしてもう1つは盗賊団の壊滅です!これでプルートゥ様は2つ一気にランクアップということです!この緊急依頼クエストはBランクだったので当然ですね!あ、オース討伐の賞金もお渡ししますね!よっと!」

ミントは説明した後受付の下から金貨を取り出しハデスに手渡した

ハデス「なるほど、だから2ランクアップしたのか…これでBランクの依頼クエストを受けることができると…ならその依頼クエストもやってみるか」

ケルベロス「キャウー」

ハデスが依頼クエストについて考えていると突然背後から肩を叩かれた

ルイ「おぉプルートゥ!Bランクだってー?いやー冒険者になって数日でBランクだなんてやっぱすげぇんだな!今度手合わせしてくれよ!」

ハデス「あぁ、ルイ君か…それとブラウに、あとそちらは?」

ハデスは気づいていたのか驚く素振りも見せず振り向いて肩を叩いた張本人とその取り巻きを見て質問を投げかける


ブラウ「プルートゥさんBランク昇級おめでとうございます、あぁ、こちらはプルートゥさんと同じくBランクの魔法使いクリーシスさんです」

クリーシス「あ、えっと、マギーア・クリーシスと申します…よ、よろしくお願いします」


そうやってブラウはクリーシスと名乗る少女を紹介し、さらに話を続けてきた

ブラウ「急にこんな話を持ちかけるのもなんですが、僕達とパーティを組みませんか?珍しくAランクの依頼クエストが張り出されているのであと1回Aランク以上の依頼クエストをこなせばAランクに上がるクリーシスさんを誘ったところで、プルートゥさんがBランクになったと聞いたのでお声がけさせていただきました!」

以前聞いたパーティの説明では四人以上でパーティを組んだ場合その半数以上が高ランクのならそのランクに合わせて低ランクの者が同行出来て、さらにランクストックも出来るということだった

それを理解したハデスは返答する

ハデス「それは構わないが、なぜ俺に?」

ルイ「当たり前だろ?俺ら以外に俺らぐらい強いやつなんてこの街にはもうプルートゥぐらいしか居ねぇんだAランク依頼クエストに挑むセオリーとしては強ぇヤツの少数精鋭で行くか強くなくても数でクリアするって手しか無いが、大勢でやればそれだけ犠牲者がでるからな、最低限の人数でクリア出来るならそれにこしたことはねぇ」

なるほど筋が通る
とハデスは顎に手を当て納得していた

ブラウ「それに、少しでもこの街に高ランク冒険者が増えればそれだけで犯罪の抑止力になるから、クリーシスさんにもプルートゥさんにも早くAランクに上がってほしいんです!」

ブラウはハデスにまっすぐな目で力強く説明した

ハデス「君はひどく真っ直ぐだな、折れた時…立ち直れなくなるぞ?」

ブラウ「それは、どういう事でしょう?」

意味がよくわからないと思いブラウは質問を投げかける
しかしハデスは真意を答えることはなかった

ハデス「いや、気にしないで忘れてくれ失言だった(誠実、清廉潔白、ブラウはそんなイメージだが、絶望した時に心が耐えれるのだろうか)」

はぁ…とブラウは腑に落ちないように返事をしハデスはさらに続ける

ハデス「わかった、その依頼クエスト参加させてもらおう」

ブラウ「あ!ありがとうございます!よろしくお願いします!」

ハデスはブラウの提案に乗り、ブラウはそれに対し深々と頭を下げた


ルイ「おぉ!やったぜ!プルートゥも早くAランクになって俺と決闘しようぜ!」

ハデス「決闘!!??」

穏やかではない単語が出てきてハデスは少し焦っているとルイが説明してくれた

ルイ「なんだ?ミントから聞いてないのか?決闘デュエルについて、同じランクの冒険者ならギルドに申請すれば闘技場を使って決闘する事ができる、まぁまぁ金は取られるが俺とブラウは何度かそこで実戦形式で訓練してるぜ、観客もいるし、緊張感がすげぇからかなり身につくぞ!まぁ訓練だけじゃなく報酬の分配について揉めた時とかの解決法として使われるやつこともあるが、まぁ1度やってみると楽しくなってくる!」

ルイは目を輝かせ興奮しながら決闘デュエルについて聞かせてくれた

ハデス「な、なるほど。そこで決闘してたから君達は街で有名人なのかな?(なんでミントはコレの説明を俺にしなかったんだ?)」

ハデスは二人が赤蒼の二騎士と呼ばれていた事を思い出しブラウに視線を向けた

ブラウ「あ、もしかしてあの通り名知っちゃいました?」

ルイ「まじか!忘れろ!恥ずかしい!てか誰だ教えたの!あ!ミントか?あんにゃろぉ!おーーーい!!ミントぉ!てめぇー!!」


ルイは赤蒼の二騎士と呼ばれるのが心底恥ずかしいらしくミントの所へ走って行きミントをいじめている

クリーシス「あのぉ」

そんな感じでバタバタしているとクリーシスが声をかけてきた


クリーシス「そろそろ依頼クエストの詳細を相談しませんか?」


ハデス・ブラウ「あ」

ハデスとブラウは二人して忘れていたという感じでクリーシスに頭を下げる

そしてミントに頭を殴られタンコブを作ったルイを含め

酒場のテーブルに地図を広げ作戦会議を始めた


ブラウ「今回の依頼クエストはAランク、ワイバーン10頭討伐だ!ここから北に1日ほど歩いた所にグラン城という廃城がある。そこにワイバーンが10頭住み着いたという情報が入ってる…今はまだ被害がそれほど多くはないが家畜などが被害にあっていて先日人も攫われ始めたらしい」

ハデス「なんと…ワイバーン…どんなモンスターなんだ?」

ブラウの説明中に手を上げハデスは質問する

ロイ「小型のドラゴンだ飛竜とも言われているな、Aランク冒険者なら一人で2、3頭は軽いが…10頭となると流石にAランク依頼クエストになったんだろう、軽いと言っても飛び回ってるし火を吹いてくる油断したらまぁ死ぬだろうが」

ハデスはブラウに質問したがルイが答えてくれた

ブラウ「続けるよ、今回の依頼クエストのタイムリミットは5日間それを超えると依頼クエスト失敗になる、移動時間は行きと帰りで2日使うから実質使えるのは3日、今日の作戦会議ですでに夜も遅くなってきてる装備を明日整えて出発するのがベストだろう」

そんな感じで会議は続き終わったのは夕食時で四人で飯を食うという事になった

ハデス「改めてよろしくプルートゥだ重戦士でやっていくつもりでいる装備は明日買う、あとコイツは相棒のケルベロスだ」
ケルベロス「きゃうーー!」

紹介されたケルベロスは嬉しそうに吠えすぐさまクリーシスの膝に飛び乗った

ハデス「こいつ…」
ハデスは飽きれてなにも言わずに手のひらをブラウに向け自己紹介を促した

ブラウ「こちらこそよろしくお願いします!僕はブラウ・アンディエゴ、僕も重戦士ですので守りが厚くなりますね!装備についても相談に乗ってください見繕いますよ!」

ブラウは立ち上がり元気いっぱいに自己紹介した

ルイ「俺は…バクッゴクッ…プハッ!ルイ・スカーレット!一応職業としては剣士で剣も使えるが、槍が俺の相棒だよろしくな!」

ルイは食事を豪快にしながら自己紹介した
最後はクリーシスだがとハデスは思いながらクリーシスを見つめる

クリーシス「あ、えっと改めまして、マギーア・クリーシスですえっと…得意な魔法は重力魔法グラビトン回復魔法ヒールです!あ、え、あっと…がんばります…」
クリーシスは人見知りなのか引っ込み思案なのか自己紹介が終わると膝に乗るケルベロスに顔を埋め恥ずかしがっている

それぞれ個性的な自己紹介が終わり
ハデスは三人に質問する

ハデス「クリーシスはえっとその…実力的にはどんなもので?」

ルイ「もちろん俺とブラウが認めた女だ!こいつメチャクチャすげーぜ!?魔法も無詠唱だし回復魔法ヒールなんて腕生えてくるレベルだからな!」

ハデス「ほほぅ(そんなに優秀なのになぜまだBランクに…重力魔法グラビトンとやらも聞く限りかなり強力だと思うが)」

ハデスの疑問の顔で察したのかブラウが説明してくれる

ブラウ「彼女の重力魔法グラビトンは強力な魔法ですが、魔力も大量に使うので日に5回が限度なんです。それで高ランク依頼クエストは基本多数の標的を相手にする事が多いですからあまり受けられずコツコツと一人でランクを上げてきたって事ですね」

ハデス「なぜ一人で?」

ブラウの説明に対しハデスはクリーシスへ質問した

クリーシス「あ、えっと、あの…えっと…ゴニョゴニョ…」

ハデス「あーなるほど…」
クリーシスの消えてしまいそうなほとんど聞き取れない返事でハデスは察した

ブラウ「ははは、まぁそういうことですね、僕らは依頼クエストで遠征に出ていた時に手強いモンスターにエンカウントしましてね僕とルイ、それに後衛2人だったのですが、すでにその二人は事切れていて、絶体絶命の時にたまたま一人で依頼クエストをこなしていた彼女と出会い窮地を脱したわけです。そこから何度かパーティを組むようになり今に至るというわけですね」

ハデス「君たちが苦戦するほどのモンスターを?クリーシス一人でどうにかしたのか?」

ルイ「あー!こいつすごかったぜ!!?すんげーでけー牛みたいなバケモノが相手だったんだが、素早いわ力が強いわでどうしょうもない時にこいつが重力魔法グラビトンで足をへしゃげたんだよそれで討伐出来たって感じ!いやぁ一撃だったもんなすげーよ!」

ルイはクリーシスに近付いて背中をバンバン叩き上機嫌で語る

そんな扱われ方で困惑しながらクリーシスが小さな声で話す

クリーシス「あ、あれは…足に縄の跡があったから…縛られてて痛かったんじゃないかなと思ってそこを狙っただけ。そ、それに何故か奇妙な苛立つ感情が湧き上がって来て魔力も上がってた…」

ハデス「(バケモノのように強い牡牛…足に縄の跡…まさかな)」
ハデスはその話を聞いて腑に落ちない気がしていたが気にするのをやめた

ルイ「へぇあいつ足怪我してんのにあの速さだったのか…本当にバケモンだな!この間の三つ首の犬並に強かったんじゃねぇか?」

ハデス「ギクゥッ!!」
ケルベロス「きゃぅぅ」

ルイの一言でハデスとケルベロスは飛び上がりそうになった

ルイ「ん?どうした?プルートゥ?そういや、あの三つ首の犬名前なんだっけ?ケロ…ケラ…」

ブラウ「…ケルベロス…ですか?」

ルイは思い出せないようだったのでブラウが補足した

ルイ「そう!ケルベロス!ってあれ?ブラウあの時聞いてたか?」

ブラウ「…いいえ、ケルベロスというのはプルートゥさんの相棒の名前ですよ」

ルイとブラウのやり取りでハデスとケルベロスはずっと震えていた

クリーシスの膝の上にケルベロスはいるものだからクリーシスには直で震えが伝わってしまう

そのためかクリーシスは心配そうにどうしたの?とケルベロスを撫でる

ルイ「ん?いやでも、あの時の三つ首の犬とこいつ同じ名前なんじゃね?」

ルイはケルベロスをじーっと見つめる

ケルベロスは尚も震え続けている
それに耐えきれなかったのはハデスで
ガタッと立ち上がり
あのっ!と言いかけたとき

ブラウが口を開いた

ブラウ「まぁそういう事もあるんじゃないですか?ペットの名前が被ることもあるでしょう」

ルイ「ま、それもそうか!!でも今度あいつと相対したとき名前被ってるとヤダな、よし!今日からお前はケロ助だ!」

ハデス「いやいや!勝手にアダ名つけないでください!」

ルイ「えーー!?いいじゃねぇか俺が呼ぶだけなんだから!なぁ?ケロ助ー!」

そう呼ばれたケルベロスは一瞬ルイの方へ向いたが、軽蔑の眼差しで見てからプイとクリーシスのお腹あたりに顔を埋め直す

ケルベロス「きゃぅぅぅぅ…」

ルイ「なんでだよ!?」

ハデス「はははっ!まぁ名前を変えられたくないのだろう!」

ハデスはルイのケロ助呼びにケルベロスが納得しなかったのが嬉しかったのか声をだして笑った

ブラウ「ですが、ケルベロスという名前は長い気もしますね一緒に旅をするのであれば戦闘もあると思いますし、咄嗟に呼ぶ時言い辛い気もしますベロスとかでどうでしょう」

ハデス「なんで!?いや、変えなくていいから!なぁ?ケルベロス?」

ブラウが御託を並べてケルベロスを改名しようとしたのでケルベロスに問いかけるハデス

ケルベロスもクリーシスの上で顔をハデスに向けないまま頭を縦に降っていた

ハデス「(せめてこっちみろよ!)」
ハデスが心の中で怒っていると
クリーシスがケルベロスを撫でながらまた口を開いた

クリーシス「…ケルちゃん…」

ケルベロス「きゃぅーん」

ケルベロスはケルちゃんと呼ばれ満更でもないみたいに甘えるように鳴いた


ハデス「おまえ!……はぁ…勝手にしろ、俺はもう寝る…明日早いし…」

ブラウ「では呼び名はケルとしましょう僕らも帰りますよルイ!ではプルートゥさん!明朝お伺いします!」

ルイ「なんでだよー!ケロ助でいいじゃんよー!」

ブラウはルイの首根っこを引っ張り
ハデスに挨拶をして酒場を出ていった

ハデスもそれに答えるように後ろを向いたまま手を降った

急に解散となった食事会でクリーシス1人となってしまった

膝で眠ってしまったケルベロスを持ち上げ
どうしようとうろたえていると
2階に登る階段からハデスの声が聞こえる

ハデス「クリーシス!今日はそいつの事任せたぁ!」

クリーシス「え、え、?あ、え?えぇぇぇ!!!???」

驚きと困惑でクリーシスはここ数年で1番大きい声を出して驚いた

クリーシスはケルベロスを抱きかかえたまま自分の宿に戻りケルベロスと一緒に眠りについた


ハデスは自室に戻るとすぐベッドに横になった

ハデス「なんだ、今日は来ないんだな、来たら足蹴にしてやったのに」

タナトス「いやー今日は野暮用がありましてね!ちょっと出かけてきます!」

ハデスは姿を消していたタナトスに声をかけていたがその本人は姿を現すとすぐに出かけようとしていた

ハデス「タナトス…すまないが少しの間葬儀屋をやってくれないか…頼む」

ハデスはドアノブに手をかけて出かけようとするタナトスに顔を向けずに懇願した

タナトス「はぁ…また人間のような感情で…それにその格好は人に頼みごとをする態度じゃないですよ?ハデス様…まぁ人ではないですが…そもそも命令すればいいのです冥王なのですから…」

ハデス「すまない」

タナトスの言葉を聞いても尚、ハデスは背を向け寝転んだままだった

それには訳があった

家族とも呼べるケルベロスをクリーシスに預けたのも、自分の半身でもあるタナトスにも顔を見せなかったのは、この表情を見られるわけにはいかなかったのである冥王として

ハデスの枕は朝まで乾くことはなかった



タナトス「ちょっといい?あなたXXXでしょ?なんでここにいんの?」

酒場の灯りは消え、厨房だけかすかな灯りがついていた…そこにいる少女にタナトスは声をかけていたのである

翌朝

ハデスの部屋のドアがノックされる

ブラウ「プルートゥさーん!おはようございます!」
ケルベロス「きゃうー」

ハデス「あぁ、おはよう。ケルベロスもおかえり」

ハデスが扉を開けるとそこにはケルベロスを抱きかかえたブラウが居た

ハデスは簡単に支度を済ませ
ブラウと供にメナスの酒場を後にした

出ていく際ハデスはミントに呼び止められ耳打ちされる

ミント「プルートゥさん…昨夜鎌を持った少女が私の所に来て葬儀屋をプルートゥさんに頼まれたって一言言って出ていったんですけど…どういうことですか?」

ハデス「あぁそうか、いいんだ気にしないでくれ」

そう返事をした事を思い出しながらハデスは今ブラウと商店街にいる


ブラウ「ほんと賢いですねその子、朝酒場の入り口で待ってましたよ?」

ハデス「あぁ、昨夜はクリーシスに預けてたんだが勝手に起きて勝手に戻ってきたんだろう…でも俺の部屋には鍵がかかってたから仕方なく知り合いを待ってたってところだろぅな」

ブラウ「え"?」
ハデス「え"?」

ブラウ「なんと不憫な…」

その頃クリーシスの宿では

クリーシス「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!ケルちゃんがいない!!!どうしよう!頼まれたのに!!うそでしょ!?ケルちゃーーーん!!!!」

クリーシスは昨日に引き続き数年希に見る大声で叫んだ

ケルベロス「きゃうぅ?」

そんなこんなで
防具屋にてハデスの鎧を買い、武器屋で大剣を手に入れ

一行は昼過ぎには酒場に集まっていた


ブラウ「よし、準備できましたね?」
ルイ「おうよ!プルートゥは新しい装備どうなんだ?着慣れてなかったり使い慣れてなかったらケガじゃ済まないかもしれないぜ?」

ブラウとルイの問に明るくハデスは答える

ハデス「問題ないさ、弘法筆を選ばずというやつだ」

ルイ「ん?なんだそれ?」

ハデス「はは、東洋のことわざさそれより、クリーシス…大丈夫か?」

ハデスはルイと他愛無い話をしていたがふとクリーシスを気にかけた

クリーシス「だ、大丈夫…です…ちょっと朝からはしゃぎ過ぎただけですから…」
ケルベロス「きゅぅ?」
そういうとケルベロスの方へ顔を向け何食わぬ顔で可愛らしく鳴くケルベロスを見てクリーシスは肩を落とした

ブラウ「不憫な……」

ハデス「ん?」

ブラウ「まぁいいでしょうでは行きましょう!ワイバーンの巣!グラン城へ!」

クリーシスの苦労を理解し同情していたブラウだったが気を取り直して号令をかけ

一行を率いて旅立った


手練の冒険者四人が揃っていることもありモンスターが出てきても道中難なく進むことが出来て、予想以上に早くグラン城を視認できるところまでたどり着いた

道中出くわしたモンスターとの戦闘でわかったことだが、クリーシスは重力魔法グラビトン回復魔法ヒールだけじゃなく炎や土の魔法も使えるそうだ得意ではないらしく詠唱も必要らしい

確かに自己紹介の時には得意な魔法しか言ってなかったからな


ブラウ「さて、ここで野営しよう城の攻略は明朝にして交代で睡眠を取ろう焚き火を炊いてもいいと思う、ワイバーンはそもそもそこまで群れる習性はないから火に気付くやつが居ても1頭ずつ来るだろう逆に好都合だ、あとはまわりのモンスターだが、ここら一帯平原になっていて岩場もここぐらいだし大丈夫そうだ」

ハデス「ふむ、時にブラウいつもその口調でいいんだぞ?」

ブラウ「え?あ、ごめんなさい!プルートゥさん!」

ハデス「いや、謝らなくていいし敬語もいらないし、さん付けもいらない、ルイと同等ぐらいに思ってくれればいいさ俺達はパーティだ」

ブラウは時折敬語が無くなっていたし多分その方が素なんだろうとハデスは予想していたし、いい機会だと思い話すことにした


ブラウ「…そうか…わかった!ありがとう!」


そんなやり取りのあと
ハデスは最初の見張りに志願し
火の番とグラン城を監視していた
すると1頭のワイバーンがこちらに向かってきているのが見えハデスは戦闘態勢を取る

ハデス「ブラウの言う通りだったか…神の御業チカラは…使わない…この重い大剣なら…フン!!!」
ハデスは背中に装備していた大剣を両手で持ち背に当たるかと思うほど振りかぶって音速を超える速さで振り下ろした

その勢いで生まれる真空の刃
ソニックブームである

ソニックブームはワイバーンに見事命中し
身体を縦に引き裂いた

そして飛んでいたスピードのままハデスの方へ落ちてくる

ハデス「あ、やば」

ドスンッ!と落ちてきたワイバーンの身体の片方は焚き火の中にツッコミ衝撃で焚き火は吹き飛んでしまった

岩場の影で寝ていた
ルイとブラウはその音で目を覚まし
何事かと周囲を警戒した

ブラウ「これは…プルートゥ?」

ハデス「あーすまん飛んでるヤツを真っ二つにしたら死体が焚き火に…」

ルイ「おぉい!そんなことはいいんだよ!お前ワイバーンが来たら起こせって言ってたろ?ったく、てかどうやって飛んでるヤツ真っ二つに出来んだ?」

ハデス「ははは」

ハデスは笑いながら焚き火にまた火をつけて
今度はブラウが見張りをすると言ってきたので交代することにした

ふとクリーシスを見るとケルベロスを抱きかかえすやすやと眠っている

ハデス「よく起きなかったな今ので…流石に場馴れしてるのか…それとも疲れていたのか…まぁいいか」
ハデスはそう言いながら目をつぶり
意識を手放した



クリーシス「プルートゥ…プルートゥ…起きて、朝だよ」


ハデス「!?!?」

朝日が登る頃ハデスはクリーシスの囁くような声を耳元で聞かされ背筋がゾクゾクっとした衝撃で起きた

ハデス「…!?なんだ?今の…こ、これが声魔法ボイスマジック?」

ルイ「はははは!!ひーっ!腹いてー!違う違う!それはただのクリーシスの小声だ!最初は慣れねえだろうな!ヒーッヒヒ!俺も最初そうだったぜ!なんかゾクゾクするよな!な!?ブラウ!」

ブラウ「いや、僕はべ、別に…」

ハデス「(なんか前に妙に地上かぶれして冥界に戻ってきたタナトスが…耳が…背筋が!キモチィィ!ASMRさいっこう!とか言ってたなもしやこれか?)」

ハデスASMRを知る


そんな馬鹿な事をしてる暇はないと思い一行は
グラン城に侵入し攻略へ向かった


一行のランクを考えれば四方を見渡すような陣形にして注意していれば正面突破できると考え、そのまま正面入り口へ入っていった


するとすぐにワイバーンが3頭同時に襲いかかってきた


ハデス「ふゔん!!」

ブラウ「っ!!」

ルイ「どぅりゃ!」

クリーシス「火を司る精霊よ、土に宿る精霊よ、我に力をお貸しください…土炎魔法フレイムストーン!!!さらに!重力魔法グラビトン!」

ハデスは体当たりしてきたワイバーンの攻撃を大剣で防ぎ大剣を持ったままワイバーンの頭に倒れ込み押し潰した

ブラウがワイバーンの攻撃を盾で受け止めその隙にルイが槍で頭を貫く

クリーシスは火と土の魔法を組み合わせ隕石のようなモノを空中の魔法陣から召喚しワイバーンにぶつけ
さらに重力魔法グラビトンでその隕石を重くしワイバーンの身体をペシャンコにして焼き尽くした


ブラウ「あと6!」


ブラウの掛け声で一行は
城の中を駆けて
1頭また1頭と順調に倒していった

ブラウ「あと2!」

そして城の王の間のような所で

玉座を挟みワイバーンが2頭佇んでいた

しかしそんな事よりも四人はワイバーンが守るようにして佇んでいるその間の玉座に座っている男に目を奪われた

?「んー?なんだ?客か?招いた覚えは無いな…ふむ…トカゲ共の数が減っているな…クレータの牡牛の代わりに飼い慣らしたというのに、酷いことをするやつもいるものだ」

ハデス「なんだと?クレータの牡牛?貴様ミノスか?」

ブラウ「プルートゥ知り合いかい?」
ハデス「いや、この感じは…」
灯りもなく窓からの光しか光源の無い部屋では
その男の顔ははっきりせず

全員目をこらした

すると男は立ち上がりハデスたちに近づいてきた、あと一歩で窓からの光に顔が当たるという所で男は立ち止まり口を開く

?「ミノスだと?あんな落ちぶれた王と一緒にされては困る我は…」

そう男が喋っていると風が吹きカーテンが揺れ男の顔に光が当たる

その顔をみたハデスは驚愕した

ハデス「お前!!どうしてここにいる!」


















ヘラクレス「我は…英雄!ヘラクレス!!」

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

平凡冒険者のスローライフ

上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。 平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。 果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか…… ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

明智さんちの旦那さんたちR

明智 颯茄
恋愛
 あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。  奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。  ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。  *BL描写あり  毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

処理中です...