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ハデス様死神に会う
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ギルドに登録しミント達とやり取りした翌日
ハデスは掲示板を腕組みしながら眺めていた
ハデス「うーむ…読めん!」
ケルベロス「キューン…」
ハデスは異世界の文字が読めず困っていたのである
ケルベロスもそれにつられて少し気持ちが落ち込んでいるようだった
ミント「プルートゥさん!読みましょうか?」
そんな立ち往生状態の時に後ろからミントが声をかけてきた
慣れたものでもうハデスは突然のミントの声かけに驚かなくなっていた
ハデス「うむぅ、ありがたいのはありがたいのだが…いつまでもそう甘えるわけにもいかないのでな…冒険者ランクの文字だけ教えてもらって良いかな?それさえ覚えればランクがわかるし依頼も受けられる、依頼内容はこの際仕方がない何でもやってみるしかないと思っている」
そうハデスがミントに教えを請うと、ミントは嬉しそうに紙とペンを取り出した
ミント「もちろんいいですよ!まずはですねーSSがこの文字で…Sが…A……」
ものの5分もしないうちにミントの説明が終わり、ハデスはランク文字を読めるようになった
ハデス「よし、覚えた。たかだか6種類だ簡単なもんだな、よし!では試しにDランクの依頼を受けてみますか」
そう言うとハデスはDランクの依頼の張り紙を1枚掲示板から剥がし
受付に持っていった
ミント「はい!ありがとうございます!Dランクの依頼葬儀屋のお手伝いですね!報奨金は1日銀貨1枚で期間は7日間です!」
持っていった依頼の張り紙を元気に且つ丁寧に読み上げるミント
ハデス「なるほど…葬儀屋の仕事を7日間手伝うか、まぁ初めての依頼にはまぁまぁ楽そうだな」
ハデスはミントの読み上げてくれた内容に納得しながらミントの顔を見る
ミント「はい!そんなに難しいことは頼まれないはずですね!ここのところ物騒で、街で死者も出てるから葬儀屋さんはお忙しくなってしまって、人手が足りないそうです!」
ハデス「なるほど…治安が悪くなって人々は苦しむが、そのおかげで仕事が増えて経済が回るのか…なんとも皮肉だな…」
ハデスは顔を曇らせながらつぶやいた
ミント「確かにそうかもしれません…モンスター討伐も野党の退治も護衛任務も増えました…それでこんなに冒険者のみなさんがいらっしゃってるので…確かに皮肉ですね……………しかぁぁぁし!そんなのは今考えてもしょうがないのです!プルートゥさんは初仕事頑張ればいいんです!では張り切って行ってらっしゃいませ!」
ハデス「お、おぅ」
ミントのいつもの威勢にたじろぎながら
ハデスはギルドを後にする
ケルベロス「キャゥ!」
ハデス「あぁ、ここだなケルベロス!教会と隣接した小屋が葬儀屋の事務所らしい、扉を叩いても出ない場合は協会に来てくれと言っていたが…居るだろうか」
ドンドン!っと扉を叩くハデスだったが、何度叩いても小屋の主は出て来ない
ハデス「しょうがない、言われたとおり教会に入ってみよう」
ハデス達は返事のこない小屋を離れ隣接した教会の扉を開く
ハデス「(そういえばこの世界の神とは誰になるのだろうか…元の世界の地上ではヨシュアやゼウスなどが神として崇拝されていたが…)」
ふと疑問に思ったハデスだったがギギギッと音をたてて開ききった教会の扉の先で4人程で少人数ではあるが葬儀をしているようだったので考えるのをやめそちらに注視した、しかし
葬儀の最中教会の通路の真ん中でオロオロとあたりを見渡す素振りをしている黒いフードを被った少女が居た
少女の手には彼女の身の丈以上の大きな鎌が握られており、ハデスはその姿に見覚えがあった
ハデス「あれは…」
ハデスはその少女にゆっくり近づいていく
ハデスとは違いケルベロスはタタッとその少女の足元にすり寄っていった
ケルベロス「クゥーン」
?「えっ!?なに?このワンチャン!?あれ?でも、この気配…ケルベロス?むむむ??」
少女はすり寄ってきたケルベロスに戸惑いながらも見知った気を放つ犬に対しかなりの疑問を感じていたそこにハデスは声をかける
ハデス「おい、お前こんな所で何をしてるんだ?タナトスよ」
タナトス「はぃ!?」
急に後ろから自分の名前を呼ばれ驚きながら返事をし振り返ったその少女は黒いショートカットの髪にドクロの髪飾りをした美少女で目には涙を溜めていた
ハデス「なんで泣いてるんだお前」
涙を溜めた顔を見て即座にその質問を投げかけたハデスだったがタナトスはオロオロしたままで返答が返ってくる気配がない
タナトス「あのーもしかして僕に言ってます?どなた様でしょぅ…死期の近い方でしょうか…」
返答が返ってくるどころか、逆に質問されたハデスはピキピキと額に血管を浮き出させてタナトスに近寄って問い詰めた
ハデス「お前なぁ!まがりなりにも俺の半身であるタナトスが俺の顔を忘れるとはいい度胸だな!おい!あぁ??」
タナトス「ひぃぃぃ!すみませんすみません!!ってえええええええええ!!!」
タナトスは詰め寄ってくるハデスに対して謝罪の連呼と同時に大声を上げて驚いた
ハデス「うるさ…」
タナトス「えっ?えぇ?半身って事は…ハデス様?え??なんで?なんでここにハデス様が?このわんちゃんもケルベロスの気配しますし…え?」
タナトスはずっと驚きっぱなしでいい加減面倒だと思ったハデスはタナトスの首根っこを掴んで教会の外に出て人目につかない所に放り投げた
ブベッっと変な声を上げながらタナトスは顔面から地面に落ちまた涙ぐんでいる
ハデス「お前うるさい!お前は姿消えてるし声も他の人に聞こえてないけど俺は見られてるし声も聞かれるの!葬儀してた人達めっちゃこっち見てたじゃん馬鹿なの?声荒げた俺が馬鹿なの?怒らせたお前が馬鹿なの?ん?」
タナトスに怒号のような怒りをぶつけるハデスだったがタナトスはあらぬ回答をしてきた
タナトス「そりゃーもちろんハデス様が悪いに決まって…」
タナトスが言い切るより先にハデスはタナトスの首を180度反転させ、タナトスはその場に倒れた
ゴキッと音がなり完全に首の骨が折れたはずだがタナトスはその場に起き上がった
タナトス「痛いじゃないです、か!!」
そう言いながらタナトスは自分の首を自分の手で、ぐりんっと回しもとに戻した
ハデス「お前がふざけるのが悪い」
そんなもの日常茶飯事だと言わんばかりにハデスは話を続けだした
ハデス「で、お前ここで何をしてるんだ、なんで泣いてた」
タナトス「いやーまぁいつも通りに死期の近い人間から魂を回収するために地上に出ようと思って出たらなんか全然違う世界に来ちゃったみたいで…なんか化物は居るし動物も普通と違うし、時代も中世ぐらいまで戻ってる感じですし…何よりスマホの電波が入らない!と思ってたら死者の魂がものすごい量溜まってる所を発見してここに来たという事です!何故泣いているかと言うとスマホの充電がきれた!!」
ハデスは先程の質問を改めて聞き直した
タナトスはペラペラと話をするがハデスは
途中からどうでも良くなっていた
ハデス「あ、そう…じゃ」
そう言ってハデスは教会の中に戻ろうとしたがタナトスは鎌でハデスの服の袖を引っ掛けて止める
タナトス「なんですかそれ!?聞いたのそっちじゃないですか!まぁまぁ一大事な話な気がするんですけどぉぉ?」
鎌で引き寄せたハデスの額に自身の額をこすりつけて眉間にシワを寄せた状態でタナトスは文句を言う
しかしハデスも同じように言い返す
ハデス「あぁ?話の合間合間にスマホ挟んできて真剣味が薄れて聞く気が失せてんだよコノヤロー!」
タナトス「あぁ!そうですか!勝手にしてください!僕は冥界に帰りますぅ!」
タナトスはプイッと体を返しプールの飛び込みのように地面に飛び込み消えた
タナトスが去ったあとハデスは葬儀の仕事を手伝いながら少し考え込んだ
ハデス「(なんでアイツこの世界に来れたんだ?…考えられるのはアイツが俺の半身だってことぐらいだが…)」
タナトスは現代でも有名な「死」を司る神であるが、冥王ハデスと死神タナトスは同一視されることが多々ある
これは別に人々の間違いではなく、ハデスが自身の体を一部切り離し死の概念として生み出した、言わばもう一人のハデスなのである
ケルベロス「クゥーン」
ハデス「あ、ケルベロスもうすぐ仕事も終わる時間だ後で飯買いに行こうな、美味そうな肉の店があったんだ」
ケルベロス「キャウン!」
ハデスは葬儀の仕事を難なくこなし、1日目の仕事は終わった
ハデス「お疲れ様でしたハイネさん」
ハデスは仕事を終え着替えて依頼主である葬儀屋のハイネという中年男に挨拶をした
ハイネ「あぁ!お疲れ様!プルートゥくん!今日はありがとう!初めてとは思えない手際だったよ!この調子であと6日頼んだよ!ガハハハ!」
ハデス「わかりましたよろしくお願いします!(まぁ葬儀の内容は西洋式に似てたし、ほとんど力仕事だったから難しくなかったな…まぁ崇める神はやはり全然違ったが…愛の神クピドか…どこかで聞いたような…)」
?「ハデス様ァァァァァ!!!」
挨拶を終え、ケルベロスと夕飯を買いにいこうと葬儀屋から出て数秒もしない間に
ハデスは腹に思いっきり黒い塊のタックルを食らった
ハデス「ぐぶぁ!!」
アバラが折れて肺に突き刺さり吐血したようでハデスはその場にうずくまった
タナトス「あれ?」
タックルの正体はタナトスで人外の速度でハデスの腹に抱きついてきたようだった
ケルベロス「キューーン!!」
ケルベロスはハデスの側に寄り添い心配している
ハデス「タナトス…てめぇ」
ハデスはプルプルと震えながらタナトスを睨みつける
しかしタナトスはそれを華麗にスルーし
自分の要件を話し始める
タナトス「ハデス様聞いてください!僕帰れなくなりました!」
ハデス「…はぁ?」
タナトスの発言は理解できない事だった
タナトスにはハデスには無い神の御業が備わっている
亡者の魂を回収し冥界、冥府に移送するため
地上とそれらを行き来できるように神の御業をハデスが与えていたのだ
その神の御業はタナトスに与えてしまった為にハデスは自由に行き来できない
ハデス「とりあえず飯を買う…んで持ってお前もついてこいタナトス俺の部屋に」
タナトス「え?…部屋に連れ込んで何する気?」
ハデスが真剣な顔でタナトスに話しを持ちかけたのにタナトスは茶化したので
ハデスが怒り
タナトスの首を引きちぎり、首だけ布に包み、体は小さな木箱に折り畳んで入れられ引きずり持って帰られた
タナトス「んーんー」
布の中から声がするが周りには聞こえないので特に気にも止めずハデスは自室へ持っていく
ミント「あ、おかえりなさいプルートゥさ………ん?どうしたんだろ」
ミントは帰ってきたハデスに挨拶をしたがハデスは無視し、大きな荷物を引きずりながら自室のある2階へ上がって行った
そしてハデスが自室にはいると
首を包んだ布の端を持ちバサッと広げた
その勢いで、ものすごく速く回りながら中に投げ出されたタナトスの首は
1秒後床に鼻から落ちた
ブベッっと本日2度目の声を聞きながら
ハデスは口を開く
ハデス「さて、詳しい話を聞こうかタナトス、真面目に話したら体を返してやる、逆に真面目に話さなかったらお前の体は俺が吸収するいいな?」
タナトス「わかりましたよー」
タナトスに脅迫めいた条件をだし説明を求めたが、わかっているのかいないのか、タナトスは気の抜けた返事をした
タナトス「僕はハデス様とわかれて地面に潜って冥界のタルタロスに帰ろうとしましたがいくら進んでも冥界に辿り着けず、挙句に空から抜け出たんです!おかしいでしょ?下に行ったのに上から出てくるなんて!何度も試しましたがすべて同じ結果で、ハデス様を待っていた。というわけです何故かこの世界にハデス様がいらっしゃるので帰り方がわかるかな?と」
一通り説明を終えたタナトスは目をつむり
とりあえず体返せと小声でつぶやいた
ハデスは少し考え口を開く
ハデス「マズイな…俺もこの世界には旅行気分で来てて…飽きたらタナトス…お前を呼んで冥界に連れて行ってもらおうと思っていたんだ…これは困った…」
タナトス「へ?旅行?そういえばペルセポネ様は?へ?あれ?帰れない?え?僕頼み?へ?え?ええええええええええぇぇぇぇ!???嘘だー!帰りたい!!わぁぁん」
タナトスは頭だけで転がりまわりギャン泣きしたが、すぐにおさまった
ハデス「?どうした?」
すぐに泣きやんだタナトスを見てハデスは疑問を投げかける
タナトス「いや、どうしたじゃなく…体返してください」
ハデス「あぁ、…そうだな」
ハデスはそう返事をすると小さい木箱を開け
中からバキバキに折り曲げられ見るも無残な姿になったタナトスの体を取り出した
ハデス「ほらっ」
取り出した体をハデスはタナトスの頭の前に投げ渡す
タナトス「扱いが雑!!仮にも美少女の体ですよ!?丁寧に扱ってください!ったく…」
そう言いながらタナトスはゴロゴロと転がり体の首部分と頭の切断部分をくっつける
ゴキッバキッゴキュッメキメキメキ
頭と体がくっついたと思ったら徐々に体の骨が音をたてて治っていく
ハデス「うわぁ」
タナトス「それはおかしい!やったのハデス様だから!これ見てる皆もショッキングな絵面すぎてドン引きだよ!」
そんなやり取りをしてる間にタナトスの体は元に戻った
タナトス「うわぁぁやっともどれた!」
ゴキッゴキッと首を曲げながら体を伸ばすタナトス
ハデス「うーむ、どうするかねぇケルベロスー」
タナトスのかまってちゃんオーラを察したハデスはケルベロスに頬ずりをしながら質問する
ケルベロス「キャウキャウン」
そんなハデスのウザイ絡みを無視してケルベロスはハデスの後ろに向かって小さく吠える
ハデス「?どうした?ケルベロス?っと…なんのつもりだ?タナトス」
ケルベロスが吠えた先にはタナトスが居てハデスを後ろから抱きしめようとしていたのだ
それに気づくのが遅れたハデスはタナトスに抱きつかれてしまった
タナトス「ハデス様…僕らはこの世界から出られませんし、今ペルセポネ様も居ない…これはもう愛を育むしか無いのではないでしょうか!?」
そう言うとタナトスは強引にハデスを自分の方へ向き直らせ
キスを迫る
しかしハデスは動じない
ハデス「お前ここまで馬鹿だったのか?吸収するぞこら」
ブベッ
タナトスは顔面にハデスの掌底を受けまたもへんな声で泣く
そんな時ハデスの部屋の扉が勢い良く開いた
バン!という音と共に入ってきたのは
鬼の形相のミントだった
ミント「な!に!を!やってるんですか!?プルートゥさん!?」
ハデス「いや、なんでもない…が、ミントお前、見、見えてるのか?」
ミント「何がですか!?ドタドタとうるさいんですよ!ケルベロスちゃんと遊んでたんですか!?もうちょっと静かにしてもらえますか!?出来ないならケルベロスちゃんは私がもらいますからね!」
ハデス「あぁ、す、すまないちょっとじゃれ合いすぎた!な?ケルベロス!」
ケルベロス「キャウ!キャウ!」
ハデスとケルベロスはタナトスの姿がミントに見えているのであればかなりややこしい事になると思っていたが、杞憂に終わったようだと
顔を見合わせた
タナトスは基本姿は消えているが自分の意志で姿を表すことも出来る
今のこいつは何をしだすかわからないからヤバイ
と思っているハデスとケルベロスだった
タナトス「……ミント?…んーどっかで……それにこの魂の感じ………んー?」
タナトスが目を細めミントを睨んでいたが
ミントは気づかずに話を続ける
ミント「お仕事初日で成功したのか知りませんけど!はしゃぎ過ぎです!もうお休みになってください!」
そうハデスを叱るとプンプンと擬音がつくような感じで部屋を出ていった
そして扉をバタン!と閉めて背中を扉に付けミントはうずくまる
ミント「な、なんでタナトス様がここにいるのよぉ!?危うく目線をタナトス様に移すところだった!見えてるって気づかれたら終わりだった!」
そう小さな声で叫ぶと仕切り直すかのように立ち上がり下の階へ降りていった
ハデス「なんかミント怖かったな…今日は寝るか…ケルベロス」
ケルベロス「キャウ」
タナトス「じゃー僕も失礼してっゲバッ!!なにすんのさ!」
ハデスとケルベロスはベッドに横になり
それにくっついてタナトスも寝ようとしたが
ハデスが蹴り飛ばした
ハデス「いや、なにすんのさはこっちのセリフだが?お前ここで寝るつもりか?」
タナトス「当たり前じゃないですか!家帰れないんですよ!?」
ハデス「いや当たり前じゃないし、外で寝ろよ!」
タナトス「ひどい!こんな美少女に野宿させるなんて!危ないとは思わないの!?」
ハデス「いやお前誰にも見えねえだろ」
タナトス「男神に襲われたらどうするの!?」
ハデス「いや返り討ちだろお前なら」
そんな不毛なやり取りが5分ほど続き面倒になったハデスは渋々折れた
ハデス「もううるさい…わかったこの部屋で寝ていい…ただし!このベッドの上に少しでも上がってきたらお前の寝床は一生その木箱だと思え!」
ハデスは怒鳴りながらタナトスの体を入れてきた木箱を指差す
タナトス「わかりました…ソファで寝ます…」
ハデス「そうしろ…お前のせいで疲れた…俺はもう…寝る…あしたも早…Zzz」
ハデスはタナトスにソファで寝るよう指示し
疲れて眠りについた
タナトス「はぁそんなに嫌わなくてもいいじゃないですかねー?ケルベロスー?」
ケルベロス「キャゥ」
ケルベロスはいつの間にかソファのタナトスの隣に来ていた
ハデスが眠るのを待っていたようでケルベロスとタナトスは身を寄せ合って眠りについた
翌朝
小鳥の声が聞こえる気持ちのいい朝
まぶたの隙間から光が入りタナトスは目を開ける…
するとそこにはケルベロスの姿は無く代わりにハデスの寝顔が目の前にあった
タナトス「!!!!!!!???」
寝起きの頭で理解できるわけも無く
危うく気絶しかけたタナトスは根性で意識を保った
タナトス「(なんで?なんで僕ハデス様のベッドで寝てる?え?なんで?…?服の首元が湿ってる…クンクン…クサっ!)」
寝起きで回らない頭をフル稼働させて状況を整理しようと考えたタナトスだったが首元がヒヤリとしたので手で触ってみると湿っていてそれの匂いを嗅いでみた
タナトス「(これはヨダレだ!ケルベロスー!あー!嬉しいけど嬉しくない!これはハデス様が起きる前にここから出ないと!多分永遠に胴体とおさらばすることになる!先に僕が起きて良かった!!ホントに良かった!)」
フル稼働させた脳内会議で犯人断定と今後の方針を決めたタナトスはハデスを起こさないようにそーーっとベッドから出ようとする
しかし、動転していた頭と極度の緊張でハデスの腕が自分の腰に回し当てられているのに気づいていなかったのだ
タナトス「(なんですとーーーーーー!!?嬉しい!嬉しいけど!ちがう!違う!今じゃない!こんな偶然とかそういうんじゃなくて!もっとこぅ!……あぁ!そんなの考えてる場合じゃ……!!)」
ハデス「んー…なんだ…ケルベロス…いやタナトス……?」
タナトス「……(終わった…さよなら胴体…)」
ハデスが目覚め
タナトスの感情はピークに達し嬉しさや焦り驚き、そして絶望が入り混じり…最終的に無になっていた
しかし、それもハデスの言葉で我に帰る事になる
ハデス「ふぁぁ…おはようタナトス、すまんな、俺無意識に手を回してたわケルベロス抱いて寝る癖だなこりゃ…」
タナトス「はへ?」
タナトスはハデスの意外な反応に驚きを隠せない
ハデス「どうした?タナトスそんな馬鹿みたいな顔して…あ、それはいつもの事か」
ケルベロス「キュワーン」
ハデス「お、ケルベロスおはよう朝食にしようか」
タナトス「えーっとちょっと質問よろしいですか?ハデス様?」
何事も無かったかのように朝食の準備などを進めていくハデスにタナトスは質問を投げかけようとする
ハデス「駄目だと言ったら?」
タナトス「ハデス様の耳元でハデス様への愛を三日三晩囁き続けます」
ハデス「嫌すぎる!!」
ハデスはタナトスの返答につい反応してしまい
コーヒーを注いでいたカップを割ってしまった
ハデス「はぁ、いいだろう言ってみろ」
タナトス「え?では失敬して」
ハデスが許可を出すとタナトスが近づいてきて耳元で囁く
タナトス「愛しています///キャー」
ハデス「そっちじゃねぇよ!!!」
タナトスの囁きに鳥肌を立てながらハデスはタナトスの頭を鷲掴みにして
テーブルに叩きつけた
タナトス「なんとバイオレンスな愛でしょう…さすがハデス様…」
ハデス「馬鹿なの?死ぬの?いや、死なないからたち悪いんだけども…とりあえず質問をしろと言ったんだほら早く飯を食ったら仕事に行くんだから」
ハデスはテーブルにめり込んだタナトスに急かすように問いかける
タナトス「わかりました…その…僕はハデス様のベッドに近づくなと言われソファでケルベロスと一緒に眠ったはずです。なのに起きたらハデス様のベッドで、しかも腰に手を回されて眠っていました、何が何やらわかりません。首元がヨダレで濡れていたのでケルベロスの仕業だとは思いますが…ハデス様が全く怒らずあまつさえ、腰に手を回していた事を謝ってきました…何が…あったのでしょう…」
タナトスは起きた瞬間の自分の状況の説明と質問をハデスに投げかけた
ハデス「なんだタナトスお前ホントに起きてなかったんだな」
タナトス「え?」
タナトスの問いかけに返ってきたハデスの返答はタナトス自身には身に覚えが全く無かったことでした
ハデス「俺が眠ったあとケルベロスがタナトスの方へ行きさらにタナトスが眠ったあとにケルベロスがお前の首元をくわえて俺を起しに来たんだよ、んで俺がなんども拒否しても一向にソファに戻らないから仕方なくベッドに寝かせたんだ、ケルベロスにとって俺達二人は同一人物だからな、一緒にいてほしいと思ったんだろう…ケルベロスには負けるよホントに…だから俺が決めたことだし、ケルベロスの好意だし俺が怒る理由は全く無い以上!…さて、仕事に行きますかな、タナトスお前今日はどうするんだ?」
説明が終わったあと忙しなくハデスは仕事の準備をして部屋の扉を開けると同時にタナトスの今日の予定を聞いてきた
タナトス「いえ、今日は特に何も…漂う魂があれば回収するかもですけど…」
ハデス「そうか、了解!んじゃまたな!」
ケルベロス「キャウ!」
そう言うとハデスとケルベロスは
扉を閉めて仕事に向かったと思った矢先
ガチャっとまた扉が開き
ハデス「もし、お前がケルベロスを利用してベッドに潜り込んでたんだったらお前の胴体はこの世から消えてるところだったぞ?じゃ!」
カタ…カタカタ…ガタガタ…ガタガタガタ…ガタガタガタ…ガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタ!!!!
タナトス「ホントに眠ってて良かっだァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!」
ハデスの捨て台詞に身も心も破壊されそうになったタナトスであった
その頃冥界では
ペルセポネ「あ…あ…あ………ハデス様」
書類に埋もれ手だけしか見えていないペルセポネさらにその横には頭髪がすべて白髪になっているミノスも居た
そんな悲惨な場所へ足音がこだまする
コツンコツン
?「なんと情けない私の娘はそんなにヤワな娘だったかしら」
足音のする方向からペルセポネが聞き慣れた声が聞こえる
ミノスもその声で我に帰りその声の主を見て驚愕する
ミノス「貴方様は!」
ペルセポネ「お母様!!」
ミノス「デメテル様!!」
ペルセポネは書類の山からガバッと体を出しデメテルと呼ばれた女性に走り寄る
ペルセポネ「お母様!どうして冥界に?」
デメテル「最近ハデスの様子がおかしいと報告を受けていてね…あの真面目な子がずっとこんな暗い所に閉じこもっていたらもちろん限界も来るでしょうと思ってね少し成り行きを見守っていたのよ」
ペルセポネ「そうでしたか……?見守っていたというと、もしやハデス様の居場所をご存知なのですか!?」
デメテルの発言にペルセポネは希望を持ったような顔をして問いかけた
デメテル「詳しくはわからないけれど…冥界の外れにある洞窟の旅の扉を使って転移したところまでは見ていたわ」
ペルセポネはデメテルの言葉に疑問を持った
ペルセポネ「何故ハデス様をお止め下さらなかったのですか!?お母様が止めていて下さればハデス様を素直に言うことを聞いてくださったかもしれないのに…」
デメテル「コレー、あの子には息抜きが必要と思ったの…それは貴方にもね…行ってきなさい…あの子のもとへ」
ペルセポネ「お母様…いえ、でも申し訳ありません…亡者の対応が…」
デメテルの提案を嬉しく思い涙を流すペルセポネだったが…冥界での仕事がどうしても手放せないと、母であるデメテルに謝罪する
デメテル「問題ないわ…ミノス!あなたが後は全部やりなさい!」
デメテルはミノスを指差し命令する
ミノス「そんな!勘弁してくださいデメテル様!毎日亡者からの苦情やら何やらが来るんです!今ここにあるものだけでも一人だったら1ヶ月はかかります!」
デメテルの指示は流石に承服できないというミノスだったが
デメテルはすでに先を見越していた
デメテル「問題無いと言ったでしょう仕事は今日から1ヶ月間増えることはありません1ヶ月かけてそこの書類だけを片付けなさい」
デメテルの言葉に耳を疑ったミノスは思考する間もなく聞き返した
ミノス「どうやってそんなことを」
デメテル「冥界に住まう亡者共全て木に変えてきました1ヶ月は元に戻りませんなので仕事は無くなりました」
ミノス「…なんと…さすがは豊穣の女神デメテル様…感謝いたします!」
ミノスはデメテルの前で膝を付き傅くように頭を下げた
デメテル「コレー、さぁもういいでしょうお行きなさい…」
デメテルはペルセポネへ優しい顔を見せながら早くハデスのところへ行ってあげなさいと
背中を押す
ペルセポネ「ありがとうございますお母様!」
ペルセポネは母に感謝を述べ冥界の端にある旅の扉の洞窟へ一瞬で移動した
コツンコツン…
洞窟内にペルセポネの足音が響き渡る
そして、ペルセポネは旅の扉の前へ到着する
ペルセポネ「………これが旅の扉…大きい…ここからハデス様のところへ……よしっ!」
気合を入れてペルセポネは旅の扉を開いていく
まばゆい光の中へ
ペルセポネは消えていく
そして、ペルセポネが目を開けるとそこには白銀の世界が…あったはずだった
ペルセポネが降り立った瞬間辺り一面は草原と化し温かい風が肌を撫で始める
ペルセポネ「ここが…異界!!」
ペルセポネは春の女神
一度地上に降りれば雪は溶け氷は水となり木々は生い茂り風は生命を包み込む羽衣となる
ハデスは掲示板を腕組みしながら眺めていた
ハデス「うーむ…読めん!」
ケルベロス「キューン…」
ハデスは異世界の文字が読めず困っていたのである
ケルベロスもそれにつられて少し気持ちが落ち込んでいるようだった
ミント「プルートゥさん!読みましょうか?」
そんな立ち往生状態の時に後ろからミントが声をかけてきた
慣れたものでもうハデスは突然のミントの声かけに驚かなくなっていた
ハデス「うむぅ、ありがたいのはありがたいのだが…いつまでもそう甘えるわけにもいかないのでな…冒険者ランクの文字だけ教えてもらって良いかな?それさえ覚えればランクがわかるし依頼も受けられる、依頼内容はこの際仕方がない何でもやってみるしかないと思っている」
そうハデスがミントに教えを請うと、ミントは嬉しそうに紙とペンを取り出した
ミント「もちろんいいですよ!まずはですねーSSがこの文字で…Sが…A……」
ものの5分もしないうちにミントの説明が終わり、ハデスはランク文字を読めるようになった
ハデス「よし、覚えた。たかだか6種類だ簡単なもんだな、よし!では試しにDランクの依頼を受けてみますか」
そう言うとハデスはDランクの依頼の張り紙を1枚掲示板から剥がし
受付に持っていった
ミント「はい!ありがとうございます!Dランクの依頼葬儀屋のお手伝いですね!報奨金は1日銀貨1枚で期間は7日間です!」
持っていった依頼の張り紙を元気に且つ丁寧に読み上げるミント
ハデス「なるほど…葬儀屋の仕事を7日間手伝うか、まぁ初めての依頼にはまぁまぁ楽そうだな」
ハデスはミントの読み上げてくれた内容に納得しながらミントの顔を見る
ミント「はい!そんなに難しいことは頼まれないはずですね!ここのところ物騒で、街で死者も出てるから葬儀屋さんはお忙しくなってしまって、人手が足りないそうです!」
ハデス「なるほど…治安が悪くなって人々は苦しむが、そのおかげで仕事が増えて経済が回るのか…なんとも皮肉だな…」
ハデスは顔を曇らせながらつぶやいた
ミント「確かにそうかもしれません…モンスター討伐も野党の退治も護衛任務も増えました…それでこんなに冒険者のみなさんがいらっしゃってるので…確かに皮肉ですね……………しかぁぁぁし!そんなのは今考えてもしょうがないのです!プルートゥさんは初仕事頑張ればいいんです!では張り切って行ってらっしゃいませ!」
ハデス「お、おぅ」
ミントのいつもの威勢にたじろぎながら
ハデスはギルドを後にする
ケルベロス「キャゥ!」
ハデス「あぁ、ここだなケルベロス!教会と隣接した小屋が葬儀屋の事務所らしい、扉を叩いても出ない場合は協会に来てくれと言っていたが…居るだろうか」
ドンドン!っと扉を叩くハデスだったが、何度叩いても小屋の主は出て来ない
ハデス「しょうがない、言われたとおり教会に入ってみよう」
ハデス達は返事のこない小屋を離れ隣接した教会の扉を開く
ハデス「(そういえばこの世界の神とは誰になるのだろうか…元の世界の地上ではヨシュアやゼウスなどが神として崇拝されていたが…)」
ふと疑問に思ったハデスだったがギギギッと音をたてて開ききった教会の扉の先で4人程で少人数ではあるが葬儀をしているようだったので考えるのをやめそちらに注視した、しかし
葬儀の最中教会の通路の真ん中でオロオロとあたりを見渡す素振りをしている黒いフードを被った少女が居た
少女の手には彼女の身の丈以上の大きな鎌が握られており、ハデスはその姿に見覚えがあった
ハデス「あれは…」
ハデスはその少女にゆっくり近づいていく
ハデスとは違いケルベロスはタタッとその少女の足元にすり寄っていった
ケルベロス「クゥーン」
?「えっ!?なに?このワンチャン!?あれ?でも、この気配…ケルベロス?むむむ??」
少女はすり寄ってきたケルベロスに戸惑いながらも見知った気を放つ犬に対しかなりの疑問を感じていたそこにハデスは声をかける
ハデス「おい、お前こんな所で何をしてるんだ?タナトスよ」
タナトス「はぃ!?」
急に後ろから自分の名前を呼ばれ驚きながら返事をし振り返ったその少女は黒いショートカットの髪にドクロの髪飾りをした美少女で目には涙を溜めていた
ハデス「なんで泣いてるんだお前」
涙を溜めた顔を見て即座にその質問を投げかけたハデスだったがタナトスはオロオロしたままで返答が返ってくる気配がない
タナトス「あのーもしかして僕に言ってます?どなた様でしょぅ…死期の近い方でしょうか…」
返答が返ってくるどころか、逆に質問されたハデスはピキピキと額に血管を浮き出させてタナトスに近寄って問い詰めた
ハデス「お前なぁ!まがりなりにも俺の半身であるタナトスが俺の顔を忘れるとはいい度胸だな!おい!あぁ??」
タナトス「ひぃぃぃ!すみませんすみません!!ってえええええええええ!!!」
タナトスは詰め寄ってくるハデスに対して謝罪の連呼と同時に大声を上げて驚いた
ハデス「うるさ…」
タナトス「えっ?えぇ?半身って事は…ハデス様?え??なんで?なんでここにハデス様が?このわんちゃんもケルベロスの気配しますし…え?」
タナトスはずっと驚きっぱなしでいい加減面倒だと思ったハデスはタナトスの首根っこを掴んで教会の外に出て人目につかない所に放り投げた
ブベッっと変な声を上げながらタナトスは顔面から地面に落ちまた涙ぐんでいる
ハデス「お前うるさい!お前は姿消えてるし声も他の人に聞こえてないけど俺は見られてるし声も聞かれるの!葬儀してた人達めっちゃこっち見てたじゃん馬鹿なの?声荒げた俺が馬鹿なの?怒らせたお前が馬鹿なの?ん?」
タナトスに怒号のような怒りをぶつけるハデスだったがタナトスはあらぬ回答をしてきた
タナトス「そりゃーもちろんハデス様が悪いに決まって…」
タナトスが言い切るより先にハデスはタナトスの首を180度反転させ、タナトスはその場に倒れた
ゴキッと音がなり完全に首の骨が折れたはずだがタナトスはその場に起き上がった
タナトス「痛いじゃないです、か!!」
そう言いながらタナトスは自分の首を自分の手で、ぐりんっと回しもとに戻した
ハデス「お前がふざけるのが悪い」
そんなもの日常茶飯事だと言わんばかりにハデスは話を続けだした
ハデス「で、お前ここで何をしてるんだ、なんで泣いてた」
タナトス「いやーまぁいつも通りに死期の近い人間から魂を回収するために地上に出ようと思って出たらなんか全然違う世界に来ちゃったみたいで…なんか化物は居るし動物も普通と違うし、時代も中世ぐらいまで戻ってる感じですし…何よりスマホの電波が入らない!と思ってたら死者の魂がものすごい量溜まってる所を発見してここに来たという事です!何故泣いているかと言うとスマホの充電がきれた!!」
ハデスは先程の質問を改めて聞き直した
タナトスはペラペラと話をするがハデスは
途中からどうでも良くなっていた
ハデス「あ、そう…じゃ」
そう言ってハデスは教会の中に戻ろうとしたがタナトスは鎌でハデスの服の袖を引っ掛けて止める
タナトス「なんですかそれ!?聞いたのそっちじゃないですか!まぁまぁ一大事な話な気がするんですけどぉぉ?」
鎌で引き寄せたハデスの額に自身の額をこすりつけて眉間にシワを寄せた状態でタナトスは文句を言う
しかしハデスも同じように言い返す
ハデス「あぁ?話の合間合間にスマホ挟んできて真剣味が薄れて聞く気が失せてんだよコノヤロー!」
タナトス「あぁ!そうですか!勝手にしてください!僕は冥界に帰りますぅ!」
タナトスはプイッと体を返しプールの飛び込みのように地面に飛び込み消えた
タナトスが去ったあとハデスは葬儀の仕事を手伝いながら少し考え込んだ
ハデス「(なんでアイツこの世界に来れたんだ?…考えられるのはアイツが俺の半身だってことぐらいだが…)」
タナトスは現代でも有名な「死」を司る神であるが、冥王ハデスと死神タナトスは同一視されることが多々ある
これは別に人々の間違いではなく、ハデスが自身の体を一部切り離し死の概念として生み出した、言わばもう一人のハデスなのである
ケルベロス「クゥーン」
ハデス「あ、ケルベロスもうすぐ仕事も終わる時間だ後で飯買いに行こうな、美味そうな肉の店があったんだ」
ケルベロス「キャウン!」
ハデスは葬儀の仕事を難なくこなし、1日目の仕事は終わった
ハデス「お疲れ様でしたハイネさん」
ハデスは仕事を終え着替えて依頼主である葬儀屋のハイネという中年男に挨拶をした
ハイネ「あぁ!お疲れ様!プルートゥくん!今日はありがとう!初めてとは思えない手際だったよ!この調子であと6日頼んだよ!ガハハハ!」
ハデス「わかりましたよろしくお願いします!(まぁ葬儀の内容は西洋式に似てたし、ほとんど力仕事だったから難しくなかったな…まぁ崇める神はやはり全然違ったが…愛の神クピドか…どこかで聞いたような…)」
?「ハデス様ァァァァァ!!!」
挨拶を終え、ケルベロスと夕飯を買いにいこうと葬儀屋から出て数秒もしない間に
ハデスは腹に思いっきり黒い塊のタックルを食らった
ハデス「ぐぶぁ!!」
アバラが折れて肺に突き刺さり吐血したようでハデスはその場にうずくまった
タナトス「あれ?」
タックルの正体はタナトスで人外の速度でハデスの腹に抱きついてきたようだった
ケルベロス「キューーン!!」
ケルベロスはハデスの側に寄り添い心配している
ハデス「タナトス…てめぇ」
ハデスはプルプルと震えながらタナトスを睨みつける
しかしタナトスはそれを華麗にスルーし
自分の要件を話し始める
タナトス「ハデス様聞いてください!僕帰れなくなりました!」
ハデス「…はぁ?」
タナトスの発言は理解できない事だった
タナトスにはハデスには無い神の御業が備わっている
亡者の魂を回収し冥界、冥府に移送するため
地上とそれらを行き来できるように神の御業をハデスが与えていたのだ
その神の御業はタナトスに与えてしまった為にハデスは自由に行き来できない
ハデス「とりあえず飯を買う…んで持ってお前もついてこいタナトス俺の部屋に」
タナトス「え?…部屋に連れ込んで何する気?」
ハデスが真剣な顔でタナトスに話しを持ちかけたのにタナトスは茶化したので
ハデスが怒り
タナトスの首を引きちぎり、首だけ布に包み、体は小さな木箱に折り畳んで入れられ引きずり持って帰られた
タナトス「んーんー」
布の中から声がするが周りには聞こえないので特に気にも止めずハデスは自室へ持っていく
ミント「あ、おかえりなさいプルートゥさ………ん?どうしたんだろ」
ミントは帰ってきたハデスに挨拶をしたがハデスは無視し、大きな荷物を引きずりながら自室のある2階へ上がって行った
そしてハデスが自室にはいると
首を包んだ布の端を持ちバサッと広げた
その勢いで、ものすごく速く回りながら中に投げ出されたタナトスの首は
1秒後床に鼻から落ちた
ブベッっと本日2度目の声を聞きながら
ハデスは口を開く
ハデス「さて、詳しい話を聞こうかタナトス、真面目に話したら体を返してやる、逆に真面目に話さなかったらお前の体は俺が吸収するいいな?」
タナトス「わかりましたよー」
タナトスに脅迫めいた条件をだし説明を求めたが、わかっているのかいないのか、タナトスは気の抜けた返事をした
タナトス「僕はハデス様とわかれて地面に潜って冥界のタルタロスに帰ろうとしましたがいくら進んでも冥界に辿り着けず、挙句に空から抜け出たんです!おかしいでしょ?下に行ったのに上から出てくるなんて!何度も試しましたがすべて同じ結果で、ハデス様を待っていた。というわけです何故かこの世界にハデス様がいらっしゃるので帰り方がわかるかな?と」
一通り説明を終えたタナトスは目をつむり
とりあえず体返せと小声でつぶやいた
ハデスは少し考え口を開く
ハデス「マズイな…俺もこの世界には旅行気分で来てて…飽きたらタナトス…お前を呼んで冥界に連れて行ってもらおうと思っていたんだ…これは困った…」
タナトス「へ?旅行?そういえばペルセポネ様は?へ?あれ?帰れない?え?僕頼み?へ?え?ええええええええええぇぇぇぇ!???嘘だー!帰りたい!!わぁぁん」
タナトスは頭だけで転がりまわりギャン泣きしたが、すぐにおさまった
ハデス「?どうした?」
すぐに泣きやんだタナトスを見てハデスは疑問を投げかける
タナトス「いや、どうしたじゃなく…体返してください」
ハデス「あぁ、…そうだな」
ハデスはそう返事をすると小さい木箱を開け
中からバキバキに折り曲げられ見るも無残な姿になったタナトスの体を取り出した
ハデス「ほらっ」
取り出した体をハデスはタナトスの頭の前に投げ渡す
タナトス「扱いが雑!!仮にも美少女の体ですよ!?丁寧に扱ってください!ったく…」
そう言いながらタナトスはゴロゴロと転がり体の首部分と頭の切断部分をくっつける
ゴキッバキッゴキュッメキメキメキ
頭と体がくっついたと思ったら徐々に体の骨が音をたてて治っていく
ハデス「うわぁ」
タナトス「それはおかしい!やったのハデス様だから!これ見てる皆もショッキングな絵面すぎてドン引きだよ!」
そんなやり取りをしてる間にタナトスの体は元に戻った
タナトス「うわぁぁやっともどれた!」
ゴキッゴキッと首を曲げながら体を伸ばすタナトス
ハデス「うーむ、どうするかねぇケルベロスー」
タナトスのかまってちゃんオーラを察したハデスはケルベロスに頬ずりをしながら質問する
ケルベロス「キャウキャウン」
そんなハデスのウザイ絡みを無視してケルベロスはハデスの後ろに向かって小さく吠える
ハデス「?どうした?ケルベロス?っと…なんのつもりだ?タナトス」
ケルベロスが吠えた先にはタナトスが居てハデスを後ろから抱きしめようとしていたのだ
それに気づくのが遅れたハデスはタナトスに抱きつかれてしまった
タナトス「ハデス様…僕らはこの世界から出られませんし、今ペルセポネ様も居ない…これはもう愛を育むしか無いのではないでしょうか!?」
そう言うとタナトスは強引にハデスを自分の方へ向き直らせ
キスを迫る
しかしハデスは動じない
ハデス「お前ここまで馬鹿だったのか?吸収するぞこら」
ブベッ
タナトスは顔面にハデスの掌底を受けまたもへんな声で泣く
そんな時ハデスの部屋の扉が勢い良く開いた
バン!という音と共に入ってきたのは
鬼の形相のミントだった
ミント「な!に!を!やってるんですか!?プルートゥさん!?」
ハデス「いや、なんでもない…が、ミントお前、見、見えてるのか?」
ミント「何がですか!?ドタドタとうるさいんですよ!ケルベロスちゃんと遊んでたんですか!?もうちょっと静かにしてもらえますか!?出来ないならケルベロスちゃんは私がもらいますからね!」
ハデス「あぁ、す、すまないちょっとじゃれ合いすぎた!な?ケルベロス!」
ケルベロス「キャウ!キャウ!」
ハデスとケルベロスはタナトスの姿がミントに見えているのであればかなりややこしい事になると思っていたが、杞憂に終わったようだと
顔を見合わせた
タナトスは基本姿は消えているが自分の意志で姿を表すことも出来る
今のこいつは何をしだすかわからないからヤバイ
と思っているハデスとケルベロスだった
タナトス「……ミント?…んーどっかで……それにこの魂の感じ………んー?」
タナトスが目を細めミントを睨んでいたが
ミントは気づかずに話を続ける
ミント「お仕事初日で成功したのか知りませんけど!はしゃぎ過ぎです!もうお休みになってください!」
そうハデスを叱るとプンプンと擬音がつくような感じで部屋を出ていった
そして扉をバタン!と閉めて背中を扉に付けミントはうずくまる
ミント「な、なんでタナトス様がここにいるのよぉ!?危うく目線をタナトス様に移すところだった!見えてるって気づかれたら終わりだった!」
そう小さな声で叫ぶと仕切り直すかのように立ち上がり下の階へ降りていった
ハデス「なんかミント怖かったな…今日は寝るか…ケルベロス」
ケルベロス「キャウ」
タナトス「じゃー僕も失礼してっゲバッ!!なにすんのさ!」
ハデスとケルベロスはベッドに横になり
それにくっついてタナトスも寝ようとしたが
ハデスが蹴り飛ばした
ハデス「いや、なにすんのさはこっちのセリフだが?お前ここで寝るつもりか?」
タナトス「当たり前じゃないですか!家帰れないんですよ!?」
ハデス「いや当たり前じゃないし、外で寝ろよ!」
タナトス「ひどい!こんな美少女に野宿させるなんて!危ないとは思わないの!?」
ハデス「いやお前誰にも見えねえだろ」
タナトス「男神に襲われたらどうするの!?」
ハデス「いや返り討ちだろお前なら」
そんな不毛なやり取りが5分ほど続き面倒になったハデスは渋々折れた
ハデス「もううるさい…わかったこの部屋で寝ていい…ただし!このベッドの上に少しでも上がってきたらお前の寝床は一生その木箱だと思え!」
ハデスは怒鳴りながらタナトスの体を入れてきた木箱を指差す
タナトス「わかりました…ソファで寝ます…」
ハデス「そうしろ…お前のせいで疲れた…俺はもう…寝る…あしたも早…Zzz」
ハデスはタナトスにソファで寝るよう指示し
疲れて眠りについた
タナトス「はぁそんなに嫌わなくてもいいじゃないですかねー?ケルベロスー?」
ケルベロス「キャゥ」
ケルベロスはいつの間にかソファのタナトスの隣に来ていた
ハデスが眠るのを待っていたようでケルベロスとタナトスは身を寄せ合って眠りについた
翌朝
小鳥の声が聞こえる気持ちのいい朝
まぶたの隙間から光が入りタナトスは目を開ける…
するとそこにはケルベロスの姿は無く代わりにハデスの寝顔が目の前にあった
タナトス「!!!!!!!???」
寝起きの頭で理解できるわけも無く
危うく気絶しかけたタナトスは根性で意識を保った
タナトス「(なんで?なんで僕ハデス様のベッドで寝てる?え?なんで?…?服の首元が湿ってる…クンクン…クサっ!)」
寝起きで回らない頭をフル稼働させて状況を整理しようと考えたタナトスだったが首元がヒヤリとしたので手で触ってみると湿っていてそれの匂いを嗅いでみた
タナトス「(これはヨダレだ!ケルベロスー!あー!嬉しいけど嬉しくない!これはハデス様が起きる前にここから出ないと!多分永遠に胴体とおさらばすることになる!先に僕が起きて良かった!!ホントに良かった!)」
フル稼働させた脳内会議で犯人断定と今後の方針を決めたタナトスはハデスを起こさないようにそーーっとベッドから出ようとする
しかし、動転していた頭と極度の緊張でハデスの腕が自分の腰に回し当てられているのに気づいていなかったのだ
タナトス「(なんですとーーーーーー!!?嬉しい!嬉しいけど!ちがう!違う!今じゃない!こんな偶然とかそういうんじゃなくて!もっとこぅ!……あぁ!そんなの考えてる場合じゃ……!!)」
ハデス「んー…なんだ…ケルベロス…いやタナトス……?」
タナトス「……(終わった…さよなら胴体…)」
ハデスが目覚め
タナトスの感情はピークに達し嬉しさや焦り驚き、そして絶望が入り混じり…最終的に無になっていた
しかし、それもハデスの言葉で我に帰る事になる
ハデス「ふぁぁ…おはようタナトス、すまんな、俺無意識に手を回してたわケルベロス抱いて寝る癖だなこりゃ…」
タナトス「はへ?」
タナトスはハデスの意外な反応に驚きを隠せない
ハデス「どうした?タナトスそんな馬鹿みたいな顔して…あ、それはいつもの事か」
ケルベロス「キュワーン」
ハデス「お、ケルベロスおはよう朝食にしようか」
タナトス「えーっとちょっと質問よろしいですか?ハデス様?」
何事も無かったかのように朝食の準備などを進めていくハデスにタナトスは質問を投げかけようとする
ハデス「駄目だと言ったら?」
タナトス「ハデス様の耳元でハデス様への愛を三日三晩囁き続けます」
ハデス「嫌すぎる!!」
ハデスはタナトスの返答につい反応してしまい
コーヒーを注いでいたカップを割ってしまった
ハデス「はぁ、いいだろう言ってみろ」
タナトス「え?では失敬して」
ハデスが許可を出すとタナトスが近づいてきて耳元で囁く
タナトス「愛しています///キャー」
ハデス「そっちじゃねぇよ!!!」
タナトスの囁きに鳥肌を立てながらハデスはタナトスの頭を鷲掴みにして
テーブルに叩きつけた
タナトス「なんとバイオレンスな愛でしょう…さすがハデス様…」
ハデス「馬鹿なの?死ぬの?いや、死なないからたち悪いんだけども…とりあえず質問をしろと言ったんだほら早く飯を食ったら仕事に行くんだから」
ハデスはテーブルにめり込んだタナトスに急かすように問いかける
タナトス「わかりました…その…僕はハデス様のベッドに近づくなと言われソファでケルベロスと一緒に眠ったはずです。なのに起きたらハデス様のベッドで、しかも腰に手を回されて眠っていました、何が何やらわかりません。首元がヨダレで濡れていたのでケルベロスの仕業だとは思いますが…ハデス様が全く怒らずあまつさえ、腰に手を回していた事を謝ってきました…何が…あったのでしょう…」
タナトスは起きた瞬間の自分の状況の説明と質問をハデスに投げかけた
ハデス「なんだタナトスお前ホントに起きてなかったんだな」
タナトス「え?」
タナトスの問いかけに返ってきたハデスの返答はタナトス自身には身に覚えが全く無かったことでした
ハデス「俺が眠ったあとケルベロスがタナトスの方へ行きさらにタナトスが眠ったあとにケルベロスがお前の首元をくわえて俺を起しに来たんだよ、んで俺がなんども拒否しても一向にソファに戻らないから仕方なくベッドに寝かせたんだ、ケルベロスにとって俺達二人は同一人物だからな、一緒にいてほしいと思ったんだろう…ケルベロスには負けるよホントに…だから俺が決めたことだし、ケルベロスの好意だし俺が怒る理由は全く無い以上!…さて、仕事に行きますかな、タナトスお前今日はどうするんだ?」
説明が終わったあと忙しなくハデスは仕事の準備をして部屋の扉を開けると同時にタナトスの今日の予定を聞いてきた
タナトス「いえ、今日は特に何も…漂う魂があれば回収するかもですけど…」
ハデス「そうか、了解!んじゃまたな!」
ケルベロス「キャウ!」
そう言うとハデスとケルベロスは
扉を閉めて仕事に向かったと思った矢先
ガチャっとまた扉が開き
ハデス「もし、お前がケルベロスを利用してベッドに潜り込んでたんだったらお前の胴体はこの世から消えてるところだったぞ?じゃ!」
カタ…カタカタ…ガタガタ…ガタガタガタ…ガタガタガタ…ガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタ!!!!
タナトス「ホントに眠ってて良かっだァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!」
ハデスの捨て台詞に身も心も破壊されそうになったタナトスであった
その頃冥界では
ペルセポネ「あ…あ…あ………ハデス様」
書類に埋もれ手だけしか見えていないペルセポネさらにその横には頭髪がすべて白髪になっているミノスも居た
そんな悲惨な場所へ足音がこだまする
コツンコツン
?「なんと情けない私の娘はそんなにヤワな娘だったかしら」
足音のする方向からペルセポネが聞き慣れた声が聞こえる
ミノスもその声で我に帰りその声の主を見て驚愕する
ミノス「貴方様は!」
ペルセポネ「お母様!!」
ミノス「デメテル様!!」
ペルセポネは書類の山からガバッと体を出しデメテルと呼ばれた女性に走り寄る
ペルセポネ「お母様!どうして冥界に?」
デメテル「最近ハデスの様子がおかしいと報告を受けていてね…あの真面目な子がずっとこんな暗い所に閉じこもっていたらもちろん限界も来るでしょうと思ってね少し成り行きを見守っていたのよ」
ペルセポネ「そうでしたか……?見守っていたというと、もしやハデス様の居場所をご存知なのですか!?」
デメテルの発言にペルセポネは希望を持ったような顔をして問いかけた
デメテル「詳しくはわからないけれど…冥界の外れにある洞窟の旅の扉を使って転移したところまでは見ていたわ」
ペルセポネはデメテルの言葉に疑問を持った
ペルセポネ「何故ハデス様をお止め下さらなかったのですか!?お母様が止めていて下さればハデス様を素直に言うことを聞いてくださったかもしれないのに…」
デメテル「コレー、あの子には息抜きが必要と思ったの…それは貴方にもね…行ってきなさい…あの子のもとへ」
ペルセポネ「お母様…いえ、でも申し訳ありません…亡者の対応が…」
デメテルの提案を嬉しく思い涙を流すペルセポネだったが…冥界での仕事がどうしても手放せないと、母であるデメテルに謝罪する
デメテル「問題ないわ…ミノス!あなたが後は全部やりなさい!」
デメテルはミノスを指差し命令する
ミノス「そんな!勘弁してくださいデメテル様!毎日亡者からの苦情やら何やらが来るんです!今ここにあるものだけでも一人だったら1ヶ月はかかります!」
デメテルの指示は流石に承服できないというミノスだったが
デメテルはすでに先を見越していた
デメテル「問題無いと言ったでしょう仕事は今日から1ヶ月間増えることはありません1ヶ月かけてそこの書類だけを片付けなさい」
デメテルの言葉に耳を疑ったミノスは思考する間もなく聞き返した
ミノス「どうやってそんなことを」
デメテル「冥界に住まう亡者共全て木に変えてきました1ヶ月は元に戻りませんなので仕事は無くなりました」
ミノス「…なんと…さすがは豊穣の女神デメテル様…感謝いたします!」
ミノスはデメテルの前で膝を付き傅くように頭を下げた
デメテル「コレー、さぁもういいでしょうお行きなさい…」
デメテルはペルセポネへ優しい顔を見せながら早くハデスのところへ行ってあげなさいと
背中を押す
ペルセポネ「ありがとうございますお母様!」
ペルセポネは母に感謝を述べ冥界の端にある旅の扉の洞窟へ一瞬で移動した
コツンコツン…
洞窟内にペルセポネの足音が響き渡る
そして、ペルセポネは旅の扉の前へ到着する
ペルセポネ「………これが旅の扉…大きい…ここからハデス様のところへ……よしっ!」
気合を入れてペルセポネは旅の扉を開いていく
まばゆい光の中へ
ペルセポネは消えていく
そして、ペルセポネが目を開けるとそこには白銀の世界が…あったはずだった
ペルセポネが降り立った瞬間辺り一面は草原と化し温かい風が肌を撫で始める
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