83 / 92
六月
Mission7 scary smile
しおりを挟む
得物を構え直した彼女は早速俺へと迫る。
サイボーグ化した彼女の脚力は凄まじく、地を一蹴りしただけで俺との間合いはあっという間に詰められる。
「ホラッ、攻めて来いよ!隊長サン!」
戦いに喜びを見出しているらしい彼女は狂った笑みを浮かべながら刃を振り下ろした。
一先ずそれを受け止めると素早く後ろに下がると刃を水平に振るった。
「ヘッ……やるな」
速水沙々はバックステップでそれを回避しようとしたが頬を脇差が掠めた。
湧き出た紅血が口元まで垂れてくるとそれを舌で舐めた。
「行くぜっ!」
再び彼女は肉薄してくると今度は斜めに山刀を振るってきた。
しかし冷静に身を引いてそれを避け、速水沙々へと得物を突き出した。
「ぐっ……ハァ……ハァ……」
──藍色に輝く刀身は彼女の腹を貫いた。
速水沙々は一瞬苦しそうに喘ぐもののすぐに俺の目を見て、にたりという笑みを浮かべた。
「……その顔、オマエもオレと同類みてえだな」
「……え?」
無意識に左手を顔にやった。一体どんな顔をしていたのだろうか。
彼女は満足そうに微笑みながら続けた。
「戦うことが生きがいで、日常生活じゃ充足されない欲望を戦うことで満たしてる……」
「なにを……?」
「いいや、なんでもねえ……よっ、と」
彼女はよっ、という掛け声と同時に身体を後ろにやった。
腹部には刃が突き刺さっている。そんな状態で勢いよく身を引いたのだ。
「う゛……痛えなぁ……」
当然彼女の腹からは血が泉の如く湧き出てくる。
けれどサイボーグである速水沙々の腹部から血はさほど出ていなかった。
「あ゛ー……出血抑制機能が付いててよかったわー。痛覚はあるから痛えけど」
腹をさすりながらそう言う。
そういや一ヶ月前のGWの時も彼女が似た様なことを言っていた記憶がある。
「まさかオマエが本気を出したら一瞬で終わるなんて思いもしなかったぜ」
「……これもチップのお陰、だね」
握っている得物の刀身をゆっくりと見た。
淡い藍色をまとった刃は徐々に輝きを失っていき、元の色へと戻った。
「あれ……?」
それと同時に一気に身体から力が抜けていき、その場に座り込んだ。
立とうにも立てない。戦いで昂っていた心が急激に冷めたからだろうか。
「……ま、とにかくこれで今度からチップのチカラを使って戦り合えるな」
落ちたマチェットを拾い、切っ先を自身の左の掌へと向ける。
そしてゆっくりと押し込むとまるで刀身を飲み込む様にして消えていった。
得物をしまうための装置かなにかが入っているらしい。
「そんじゃま、オレの出番はここまでだな」
彼女はそう言うと地面を蹴り、跳躍する。
身体を機械に置換している速水沙々は跳ぶだけで近くの建物の屋根に乗った。
「じゃ、元気でな」
俺へと一瞥くれると彼女は歩いてその場から去っていった。
思わず追おうとしたが身体を動かした瞬間に全身が悲鳴を上げた。
「ぐっ……」
(想像以上に体力を使ったな……)
身体がキシキシと音を立て、地に倒れそうになるがなんとか堪える。
そして意識を失っている仲間の元へと鉛と化した身躯を引きずって歩み寄る。
「うっ、イテテ……大丈夫?ベア」
まず近くに倒れていたのは波打った茶髪を持つ少女だ。
無骨な斧を振り回せるとは思えないほどの華奢な身体を揺すると瞼をぴくぴくと動かした。
「んっ……終わったんですの……?」
「ああ勝ったよ」
「よかった……ごめんなさい、大して力になれなくて……」
申し訳なさそうに黄の瞳を伏せる。
しかしそんな彼女に対して俺は首を横に振った。
「そんなことはない。さっきのマカミ戦で活躍してくれたじゃんか」
「……ええありがとう。そう言ってくれて」
微笑みを作ると斧を手に立ち上がる。
鳩尾を突かれ少なからず痛みはあるはずだというのに彼女はそれを表情に出さずに気丈に振舞っている。
「痛た……遠慮なしに殴ってくれちゃって」
「大丈夫、レイちゃん?」
倒れていたベアを起こしているとレイと森さんが首筋を押さえつつ、歩いてきた。
そういえば彼女たち二人は先ほどの戦いで速水沙々に峰打ちで気絶をさせられた。
強化された膂力で、首を鉄の塊で打たれたら当然痛いだろう。骨が折れてもおかしくはない。
「森さん、レイ……二人とも大丈夫?」
「うん、冷静さを失ってた……」
三人気絶されられたことに対する怒りで彼女は無謀に速水沙々に切りかかっていった。
彼女は迂闊な攻撃だったと自省している様だ。
「やれやれ……あの子、遠慮なく蹴飛ばしてくれたわね」
建物の屋上にいた狙撃手はゆっくりと目覚める。
そして音もなくそこから飛び降り、俺たちの方へと歩み寄る。
「全く……処刑させて欲しいわ」
「寝起きから物騒だね、渚……」
こめかみに青筋を立てながら渚は笑みを浮かべながら言った。
滅多に見ない彼女の笑みは「どう殺してやろうか」とでもいう様な、殺意で塗り固められた笑みだった。
元殺し屋の彼女のことだ。放っておいたら本当に殺しかねない。それも甚振る様にして殺すだろう。
「…………」
俺の隣にいたレイがその肩を震わせた。
彼女は震えを押さえつける様に、掌を乗せた。
「ほら、物騒なこと言うからレイが怖がって……」
「……ううん」
長い金髪を左右に揺らしながら俺の言葉を否定する。
しかしその表情には僅かであるがなにかに対する恐怖が感じ取れる。
「……ヤマト、さっきまでの戦い……あたし、少しだけど意識があったんだ」
痛くて動けはしなかったけど、と付け加える。
「ヤマト以外全員倒れて……戦いの様子を見てた。そしてヤマトが勝った時、ヤマトすっごい怖い顔してた」
どうやら彼女が恐ろしいと感じているのは渚の殺意たっぷりスマイルではないらしく、俺らしい。
そんなに怖い顔をしていたのだろうか。
「え?そりゃあ……戦ってたんだから表情の一つも険しくなって当然──」
「ううん、違うの……」
レイは首を横に振る。
そして赤い唇を震わせながら、
「あの子を……ササを刺した時、ヤマト──」
ゆっくりと言葉を紡ごうとするレイ。
そんな彼女の肩はよく見なければ気付かないくらい微かに震えていた。
「──笑ってた」
サイボーグ化した彼女の脚力は凄まじく、地を一蹴りしただけで俺との間合いはあっという間に詰められる。
「ホラッ、攻めて来いよ!隊長サン!」
戦いに喜びを見出しているらしい彼女は狂った笑みを浮かべながら刃を振り下ろした。
一先ずそれを受け止めると素早く後ろに下がると刃を水平に振るった。
「ヘッ……やるな」
速水沙々はバックステップでそれを回避しようとしたが頬を脇差が掠めた。
湧き出た紅血が口元まで垂れてくるとそれを舌で舐めた。
「行くぜっ!」
再び彼女は肉薄してくると今度は斜めに山刀を振るってきた。
しかし冷静に身を引いてそれを避け、速水沙々へと得物を突き出した。
「ぐっ……ハァ……ハァ……」
──藍色に輝く刀身は彼女の腹を貫いた。
速水沙々は一瞬苦しそうに喘ぐもののすぐに俺の目を見て、にたりという笑みを浮かべた。
「……その顔、オマエもオレと同類みてえだな」
「……え?」
無意識に左手を顔にやった。一体どんな顔をしていたのだろうか。
彼女は満足そうに微笑みながら続けた。
「戦うことが生きがいで、日常生活じゃ充足されない欲望を戦うことで満たしてる……」
「なにを……?」
「いいや、なんでもねえ……よっ、と」
彼女はよっ、という掛け声と同時に身体を後ろにやった。
腹部には刃が突き刺さっている。そんな状態で勢いよく身を引いたのだ。
「う゛……痛えなぁ……」
当然彼女の腹からは血が泉の如く湧き出てくる。
けれどサイボーグである速水沙々の腹部から血はさほど出ていなかった。
「あ゛ー……出血抑制機能が付いててよかったわー。痛覚はあるから痛えけど」
腹をさすりながらそう言う。
そういや一ヶ月前のGWの時も彼女が似た様なことを言っていた記憶がある。
「まさかオマエが本気を出したら一瞬で終わるなんて思いもしなかったぜ」
「……これもチップのお陰、だね」
握っている得物の刀身をゆっくりと見た。
淡い藍色をまとった刃は徐々に輝きを失っていき、元の色へと戻った。
「あれ……?」
それと同時に一気に身体から力が抜けていき、その場に座り込んだ。
立とうにも立てない。戦いで昂っていた心が急激に冷めたからだろうか。
「……ま、とにかくこれで今度からチップのチカラを使って戦り合えるな」
落ちたマチェットを拾い、切っ先を自身の左の掌へと向ける。
そしてゆっくりと押し込むとまるで刀身を飲み込む様にして消えていった。
得物をしまうための装置かなにかが入っているらしい。
「そんじゃま、オレの出番はここまでだな」
彼女はそう言うと地面を蹴り、跳躍する。
身体を機械に置換している速水沙々は跳ぶだけで近くの建物の屋根に乗った。
「じゃ、元気でな」
俺へと一瞥くれると彼女は歩いてその場から去っていった。
思わず追おうとしたが身体を動かした瞬間に全身が悲鳴を上げた。
「ぐっ……」
(想像以上に体力を使ったな……)
身体がキシキシと音を立て、地に倒れそうになるがなんとか堪える。
そして意識を失っている仲間の元へと鉛と化した身躯を引きずって歩み寄る。
「うっ、イテテ……大丈夫?ベア」
まず近くに倒れていたのは波打った茶髪を持つ少女だ。
無骨な斧を振り回せるとは思えないほどの華奢な身体を揺すると瞼をぴくぴくと動かした。
「んっ……終わったんですの……?」
「ああ勝ったよ」
「よかった……ごめんなさい、大して力になれなくて……」
申し訳なさそうに黄の瞳を伏せる。
しかしそんな彼女に対して俺は首を横に振った。
「そんなことはない。さっきのマカミ戦で活躍してくれたじゃんか」
「……ええありがとう。そう言ってくれて」
微笑みを作ると斧を手に立ち上がる。
鳩尾を突かれ少なからず痛みはあるはずだというのに彼女はそれを表情に出さずに気丈に振舞っている。
「痛た……遠慮なしに殴ってくれちゃって」
「大丈夫、レイちゃん?」
倒れていたベアを起こしているとレイと森さんが首筋を押さえつつ、歩いてきた。
そういえば彼女たち二人は先ほどの戦いで速水沙々に峰打ちで気絶をさせられた。
強化された膂力で、首を鉄の塊で打たれたら当然痛いだろう。骨が折れてもおかしくはない。
「森さん、レイ……二人とも大丈夫?」
「うん、冷静さを失ってた……」
三人気絶されられたことに対する怒りで彼女は無謀に速水沙々に切りかかっていった。
彼女は迂闊な攻撃だったと自省している様だ。
「やれやれ……あの子、遠慮なく蹴飛ばしてくれたわね」
建物の屋上にいた狙撃手はゆっくりと目覚める。
そして音もなくそこから飛び降り、俺たちの方へと歩み寄る。
「全く……処刑させて欲しいわ」
「寝起きから物騒だね、渚……」
こめかみに青筋を立てながら渚は笑みを浮かべながら言った。
滅多に見ない彼女の笑みは「どう殺してやろうか」とでもいう様な、殺意で塗り固められた笑みだった。
元殺し屋の彼女のことだ。放っておいたら本当に殺しかねない。それも甚振る様にして殺すだろう。
「…………」
俺の隣にいたレイがその肩を震わせた。
彼女は震えを押さえつける様に、掌を乗せた。
「ほら、物騒なこと言うからレイが怖がって……」
「……ううん」
長い金髪を左右に揺らしながら俺の言葉を否定する。
しかしその表情には僅かであるがなにかに対する恐怖が感じ取れる。
「……ヤマト、さっきまでの戦い……あたし、少しだけど意識があったんだ」
痛くて動けはしなかったけど、と付け加える。
「ヤマト以外全員倒れて……戦いの様子を見てた。そしてヤマトが勝った時、ヤマトすっごい怖い顔してた」
どうやら彼女が恐ろしいと感じているのは渚の殺意たっぷりスマイルではないらしく、俺らしい。
そんなに怖い顔をしていたのだろうか。
「え?そりゃあ……戦ってたんだから表情の一つも険しくなって当然──」
「ううん、違うの……」
レイは首を横に振る。
そして赤い唇を震わせながら、
「あの子を……ササを刺した時、ヤマト──」
ゆっくりと言葉を紡ごうとするレイ。
そんな彼女の肩はよく見なければ気付かないくらい微かに震えていた。
「──笑ってた」
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
赤い太陽
杉 薫田
SF
東京オリンピックを間近にした 5月の日 太陽で数百年に1回と言われる規模の太陽フレア(太陽嵐)が発生し、地球を襲います。 宇宙空間の人工衛星は次々とダウンし、通信衛星、気象衛星、GPS衛星などが機能しなくなり 現代社会は大混乱に陥ります。
しかし、この太陽フレアの最も恐ろしい現代文明に対しての悪魔の手は 地球の電気、電子文明を破壊し、ブラックアウト状態に引き込むことだったのです。
北海道から東京の空でも オーロラが出現し、その電磁波の強い太陽エネルギーは 地表での誘導電流と言われる過電流状態を引き起こし 大停電を引き起こしたのです。
ライフラインの電気、水道、下水道、ガスは供給が停まり、パソコンやスマートフォン、テレビ、家電製品などの電子機器も 機械内部のLSIやマイコンチップが破壊されて機能しなくなります。 自動車やヘリコプター、航空機、船舶なども内部に積まれたマイコンが故障し 電子部品の塊のような最新の交通機関はほとんどが動くことも無く、災害に見舞われた地域への復旧作業もできなくなります。
携帯電話やスマートフォン、テレビ、ラジオ放送が機能しなくなった社会では 物流の供給もされなくなり、情報の提供さえ皆無の世界に引き込まれます。
電気の無い世界が 中世の江戸時代に一時的に戻るだけだと考えていた多くの人は、このブラックアウトの恐ろしさを感じるようになります。
日本を始め 中国や韓国、アメリカ、ヨーロッパなどに点在する原子力発電所では、非常用電源の確保の方法も底をつく中で 制御するためのコンピューターシステムも機能しなくなり、その置かれた状況は最悪な物と突き落とされていきます。
想定外ともいえる事は 現代人にとって必需品でもあったスマートフォンなどの小型電子機器が悪魔の機器に変わることでした、電子機器内部の集積回路が電磁波の影響で熱を持ち、次々と発火して火災を引き起こしたのです。
電気の灯の無くなった時 見上げた空は 現代人がほとんど見たことも無い、まばゆいばかりの星が空を覆っていたのでした・・・・
銀河の外れで生きる僕と彼女とプラス1匹の冒険
グルクン
SF
まだ10歳の僕は、誰1人いない惑星に辿り着いてしまった。
僕と家族が乗る宇宙船が、なんらかの原因で不時着してしまった為に……
コールドスリープ装置に眠る未だ目覚めない家族のため、僕はこの惑星からの脱出方法、または救助されることを待ち望んでいる。
途方にくれる日々のなかで、ひとりの人工知能(AI)と出会った。
彼女は、船の中に1人でいる僕に温かい手を差し伸べてくれた唯一の存在。僕は家族のため、彼女と2人でこの困難を懸命に生き抜こうと心に誓う。
どうしたら帰れるのか。どうやったら生き延びれるのか。
いくつもの課題があるこの状況をどう打開していこう……
※毎週日曜日、朝10時に更新します!
※年中行事等がある場合は、その日も更新されます!
※1話あたり1500字以内を目安に書いてます!
※表紙は自作です!
※5/1題名変更しました。(旧題 : この広い宇宙で〜僕と船の物語〜)
(完結)相談女とお幸せに!(なれるものならの話ですけども。)
ちゃむふー
恋愛
「私は真実の愛に目覚めたんだ!ミレイユ。君は強いから1人で大丈夫だろう?リリアンはミレイユと違って私がいないとダメなんだ。婚約破棄してもらう!!」
完全に自分に酔いしれながらヒーロー気分なこの方は、ヨーデリア侯爵令息のガスパル。私の婚約者だ。
私はミレイユ・ハーブス。伯爵令嬢だ。
この国では、15才から18才まで貴族の令息令嬢は貴族の学園に通う。
あろう事かもうすぐ卒業のこの時期にこんな事を言ってきた。
できればもう少し早く言って欲しかったけれど…。
婚約破棄?大歓迎ですわ。
その真実の愛とやらを貫いてくださいね?
でも、ガスパル様。
そのリリアンとやらは、俗に言う相談女らしいですわよ?
果たして本当に幸せになれるのかしら…??
伯爵令嬢ミレイユ、伯爵令嬢エミール2人の主人公設定です。
学園物を書いた事があまり無いので、
設定が甘い事があるかもしれません…。
ご都合主義とやらでお願いします!!
「メジャー・インフラトン」序章3/7(僕のグランドゼロ〜マズルカの調べに乗って。少年兵の季節 FIRE!FIRE!FIRE!No2. )
あおっち
SF
とうとう、AXIS軍が、椎葉きよしたちの奮闘によって、対馬市へ追い詰められたのだ。
そして、戦いはクライマックスへ。
現舞台の北海道、定山渓温泉で、いよいよ始まった大宴会。昨年あった、対馬島嶼防衛戦の真実を知る人々。あっと、驚く展開。
この序章3/7は主人公の椎葉きよしと、共に闘う女子高生の物語なのです。ジャンプ血清保持者(ゼロ・スターター)椎葉きよしを助ける人々。
いよいよジャンプ血清を守るシンジケート、オリジナル・ペンタゴンと、異星人の関係が少しづつ明らかになるのです。
次の第4部作へ続く大切な、ほのぼのストーリー。
疲れたあなたに贈る、SF物語です。
是非、ご覧あれ。
※加筆や修正が予告なしにあります。
後方支援なら任せてください〜幼馴染にS級クランを追放された【薬師】の私は、拾ってくれたクラマスを影から支えて成り上がらせることにしました〜
黄舞
SF
「お前もういらないから」
大人気VRMMORPGゲーム【マルメリア・オンライン】に誘った本人である幼馴染から受けた言葉に、私は気を失いそうになった。
彼、S級クランのクランマスターであるユースケは、それだけ伝えるといきなりクラマス権限であるキック、つまりクラン追放をした。
「なんで!? 私、ユースケのために一生懸命言われた通りに薬作ったよ? なんでいきなりキックされるの!?」
「薬なんて買えばいいだろ。次の攻城戦こそランキング一位狙ってるから。薬作るしか能のないお前、はっきり言って邪魔なんだよね」
個別チャットで送ったメッセージに返ってきた言葉に、私の中の何かが壊れた。
「そう……なら、私が今までどれだけこのクランに役に立っていたか思い知らせてあげる……後から泣きついたって知らないんだから!!」
現実でも優秀でイケメンでモテる幼馴染に、少しでも気に入られようと尽くしたことで得たこのスキルや装備。
私ほど薬作製に秀でたプレイヤーは居ないと自負がある。
その力、思う存分見せつけてあげるわ!!
VRMMORPGとは仮想現実、大規模、多人数参加型、オンライン、ロールプレイングゲームのことです。
つまり現実世界があって、その人たちが仮想現実空間でオンラインでゲームをしているお話です。
嬉しいことにあまりこういったものに馴染みがない人も楽しんで貰っているようなので記載しておきます。
蒼海の碧血録
三笠 陣
歴史・時代
一九四二年六月、ミッドウェー海戦において日本海軍は赤城、加賀、蒼龍を失うという大敗を喫した。
そして、その二ヶ月後の八月、アメリカ軍海兵隊が南太平洋ガダルカナル島へと上陸し、日米の新たな死闘の幕が切って落とされた。
熾烈なるガダルカナル攻防戦に、ついに日本海軍はある決断を下す。
戦艦大和。
日本海軍最強の戦艦が今、ガダルカナルへと向けて出撃する。
だが、対するアメリカ海軍もまたガダルカナルの日本軍飛行場を破壊すべく、最新鋭戦艦を出撃させていた。
ここに、ついに日米最強戦艦同士による砲撃戦の火蓋が切られることとなる。
(本作は「小説家になろう」様にて連載中の「蒼海決戦」シリーズを加筆修正したものです。予め、ご承知おき下さい。)
※表紙画像は、筆者が呉市海事歴史科学館(大和ミュージアム)にて撮影したものです。
アルファポリスで閲覧者数を増やすための豆プラン
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
エッセイ・ノンフィクション
私がアルファポリスでの活動から得た『誰にでも出来る地道なPV獲得術』を、豆知識的な感じで書いていきます。
※思いついた時に書くので、不定期更新です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる