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濫觴の四月[April of Beginning]
Mission20 ブリーフィング①
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渚を新たな仲間として迎え、部隊名が決まり数日経った。
俺たちはそれぞれの“科”で訓練を受けた。
元空挺団教官である湖城先生の担当する戦闘科では近接戦闘での立ち回りについて嫌と言う口も塞がるほどに叩き込まれた。
彼女の訓練は実に厳しかった。
けれどただ厳しいだけではなく、俺たちを叱咤激励してくれた。
「……いよいよ今日、だね」
レイはそう言った。
「ああ。“任務”……」
──任務。イージス内では対テロ作戦のことをそう呼んでいる。
学園の長である宇治橋礼子学園長による司令で作戦を行う。
「ワタシたちはミッションの概要を説明するために集められているんだったかしら」
渚が席に座ったままそう言った。
今回のミッションがどの様なものか、その説明は湖城先生が行うらしい。
そのために俺たちは放課後、教室に残っている。
「ああ。今回のミッションは私たちは編成したばかりの部隊だ。私たちだけでは不安だろうということで“サイレント・カプリチオ”と“セイクリッドワルツ”という2つの部隊と合同で行うこととなった」
(セイクリッドワルツって……確か拓海姉のいる部隊だ)
“神聖なる円舞曲”──
拓海姉の所属している部隊だということくらいしか知らない。
「セイクリッドワルツ……3年の先輩ばかりが入ってる部隊だって聞いた。じゃあ強いのかな?」
「ああ。恐らくな。しかし一番強いのは……サイレント・カプリチオだろうな」
「そういやそれはどんな部隊なの?」
「学園で一番有名な部隊だよ。ファンクラブもあるくらいだぜ。なんでも暗殺科の生徒だけで構成されてるとか」
ファンクラブが存在するということは置いておいて……
「暗殺科の生徒だけで?」
それは一体どういうことなのだろう。
「ああ。静寂なる狂想曲は全員暗殺科所属の生徒のみで構成されている。“支援科”も“情報科”も“医療科”といったサポートを担当する科も所属していない、学園の中で唯一の部隊だ」
「サポートさえもいない?」
「ああ。個々が技術を持っているから必要ないらしい。しかも学園の中でトップクラスの実力を誇る部隊だ」
サイレント・カプリチオ……一体どんな戦い方をする部隊なのだろうか。
「さて、全員集まっているな。そろそろ始めるとしよう」
俺たちヴァイオレント・ノクターン、サイレント・カプリチオ、セイクリッドワルツの3部隊のメンバー全員が集まると教室に入るなり湖城先生はそう言った。
「今回のミッションは敵の兵器を破壊することだ」
「破壊……」
「GR占領地にある元紙越商店街……そこに兵器は存在する。君たちにはこれを破壊してもらう。破壊にはこれを使え」
そう言って彼女は教卓上になにかを置いた。
それは四角い形をしているものに長方形の小さな機械が取り付けられている。
俺の乏しい知識でもあれがなんなのか判った。
「爆弾……ですか?」
「ああ。可塑性爆薬……プラスチック爆弾だ。そしてこれがこれを爆破するスイッチだ」
そう言って彼女は掌に収まるほどの大きさのスイッチを取り出した。
黒い長方形のそれの側面に1つボタンがある。
「これは各部隊1名、専門知識のある人間に所持させる。危険だからな」
「専門知識……?」
「ああ。あたしが持つよ」
そうレイは言った。
「え、レイって専門知識あったの?」
「む、失礼な。これでもヤマトより長く対テロ戦闘員やってるからね」
意外だ。どちらかというと爆弾というと神崎さんとかが扱えそうなイメージだったのに。
まあ、神崎さんはサポートを担当しているから爆弾を仕掛けたりとかはできないか。
「今回のミッションは兵器の破壊……敵の殲滅ではない。敵と遭遇しても戦いは最小限にして逃げてしまえばいい。兵器さえ破壊すればいいからな」
湖城先生はそう言った。
しかし初めてのミッションは兵器の破壊か。
俺は初めてのミッションなので戦場を駆ける自分自身の姿が思い浮かばない。
「さて、大まかな説明はこれで終わりだ。1時間後にミッション開始だ、それまでに出撃の準備をしておく様に。では、解散!」
力強い合図と共に各自散らばり始める。
俺たちも出撃に備えて準備をしておかないといけない。
「……でも、準備ってなにをすれば?」
「君たちは出撃するからな。武器・装備を身に付けたり、弾薬が足りないのならば足しておいたり……することは山ほどある」
「ああ。俺たちも色々やっとかないといけないことがあるからな。俺たちはヘリを見てくる」
そう言って直巳と神崎さんは小走りでどこかへと行った。
「……さて、武器・装備を整える必要があるわね。整える場所については先輩たちについていけば良さそうね」
「そうだね。今回のミッションは殲滅する必要はないって言っていたから……弾薬は少なくても良さそう。たくさん持っていっても使わなかったら荷物になるしね」
「爆弾は兵器を壊す時に必要だから絶対に持ってくとして……刀とあとなにを持っていこうかな……」
3人は既になにを持っていくか、どのくらい持っていくか考えている様だ。
俺も彼女たちと同じ様に用意を始めることとする。
俺たちはそれぞれの“科”で訓練を受けた。
元空挺団教官である湖城先生の担当する戦闘科では近接戦闘での立ち回りについて嫌と言う口も塞がるほどに叩き込まれた。
彼女の訓練は実に厳しかった。
けれどただ厳しいだけではなく、俺たちを叱咤激励してくれた。
「……いよいよ今日、だね」
レイはそう言った。
「ああ。“任務”……」
──任務。イージス内では対テロ作戦のことをそう呼んでいる。
学園の長である宇治橋礼子学園長による司令で作戦を行う。
「ワタシたちはミッションの概要を説明するために集められているんだったかしら」
渚が席に座ったままそう言った。
今回のミッションがどの様なものか、その説明は湖城先生が行うらしい。
そのために俺たちは放課後、教室に残っている。
「ああ。今回のミッションは私たちは編成したばかりの部隊だ。私たちだけでは不安だろうということで“サイレント・カプリチオ”と“セイクリッドワルツ”という2つの部隊と合同で行うこととなった」
(セイクリッドワルツって……確か拓海姉のいる部隊だ)
“神聖なる円舞曲”──
拓海姉の所属している部隊だということくらいしか知らない。
「セイクリッドワルツ……3年の先輩ばかりが入ってる部隊だって聞いた。じゃあ強いのかな?」
「ああ。恐らくな。しかし一番強いのは……サイレント・カプリチオだろうな」
「そういやそれはどんな部隊なの?」
「学園で一番有名な部隊だよ。ファンクラブもあるくらいだぜ。なんでも暗殺科の生徒だけで構成されてるとか」
ファンクラブが存在するということは置いておいて……
「暗殺科の生徒だけで?」
それは一体どういうことなのだろう。
「ああ。静寂なる狂想曲は全員暗殺科所属の生徒のみで構成されている。“支援科”も“情報科”も“医療科”といったサポートを担当する科も所属していない、学園の中で唯一の部隊だ」
「サポートさえもいない?」
「ああ。個々が技術を持っているから必要ないらしい。しかも学園の中でトップクラスの実力を誇る部隊だ」
サイレント・カプリチオ……一体どんな戦い方をする部隊なのだろうか。
「さて、全員集まっているな。そろそろ始めるとしよう」
俺たちヴァイオレント・ノクターン、サイレント・カプリチオ、セイクリッドワルツの3部隊のメンバー全員が集まると教室に入るなり湖城先生はそう言った。
「今回のミッションは敵の兵器を破壊することだ」
「破壊……」
「GR占領地にある元紙越商店街……そこに兵器は存在する。君たちにはこれを破壊してもらう。破壊にはこれを使え」
そう言って彼女は教卓上になにかを置いた。
それは四角い形をしているものに長方形の小さな機械が取り付けられている。
俺の乏しい知識でもあれがなんなのか判った。
「爆弾……ですか?」
「ああ。可塑性爆薬……プラスチック爆弾だ。そしてこれがこれを爆破するスイッチだ」
そう言って彼女は掌に収まるほどの大きさのスイッチを取り出した。
黒い長方形のそれの側面に1つボタンがある。
「これは各部隊1名、専門知識のある人間に所持させる。危険だからな」
「専門知識……?」
「ああ。あたしが持つよ」
そうレイは言った。
「え、レイって専門知識あったの?」
「む、失礼な。これでもヤマトより長く対テロ戦闘員やってるからね」
意外だ。どちらかというと爆弾というと神崎さんとかが扱えそうなイメージだったのに。
まあ、神崎さんはサポートを担当しているから爆弾を仕掛けたりとかはできないか。
「今回のミッションは兵器の破壊……敵の殲滅ではない。敵と遭遇しても戦いは最小限にして逃げてしまえばいい。兵器さえ破壊すればいいからな」
湖城先生はそう言った。
しかし初めてのミッションは兵器の破壊か。
俺は初めてのミッションなので戦場を駆ける自分自身の姿が思い浮かばない。
「さて、大まかな説明はこれで終わりだ。1時間後にミッション開始だ、それまでに出撃の準備をしておく様に。では、解散!」
力強い合図と共に各自散らばり始める。
俺たちも出撃に備えて準備をしておかないといけない。
「……でも、準備ってなにをすれば?」
「君たちは出撃するからな。武器・装備を身に付けたり、弾薬が足りないのならば足しておいたり……することは山ほどある」
「ああ。俺たちも色々やっとかないといけないことがあるからな。俺たちはヘリを見てくる」
そう言って直巳と神崎さんは小走りでどこかへと行った。
「……さて、武器・装備を整える必要があるわね。整える場所については先輩たちについていけば良さそうね」
「そうだね。今回のミッションは殲滅する必要はないって言っていたから……弾薬は少なくても良さそう。たくさん持っていっても使わなかったら荷物になるしね」
「爆弾は兵器を壊す時に必要だから絶対に持ってくとして……刀とあとなにを持っていこうかな……」
3人は既になにを持っていくか、どのくらい持っていくか考えている様だ。
俺も彼女たちと同じ様に用意を始めることとする。
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