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濫觴の四月[April of Beginning]
Mission11 自己紹介
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俺は学園まで腰に脇差を帯びた状態で向かったが道行く人は俺が佩刀していても一切驚く様な素振りは見せなかった。
対テロ戦闘員は武器の携行が許可されているとは聞くがまさか本当だとは……。
理屈は判っていても武器を携行して町を歩くというのはどうしても抵抗感がある。
「俺のクラスは……1-Bか」
昇降口に張り出されているクラス割りの表を見て、俺は自身のクラスへと向かう。
1-Bは4階にある様だ。
「おう、大和。おはよう」
教室に入ると早速直巳が少女たち数人と話をしている状態でそう挨拶をした。
同性・異性関係なく話しかけられる彼のコミュニケーション力は大したものだ。
「ああおはよう」
「あ、君はあの時の……」
少女たちの1人──黒髪の少女が俺を見てそう言った。
「君たちはあの時の……」
俺も少女たちと面識があった。
俺が紙越町に帰ってきて、巨人に襲われた時に俺を助けてくれた少女たちだ。
「あの時は助かったよ。ありがとう」
「いやいや、むしろあたしたちを助けてくれたじゃん。ありがとね」
金髪赤眼の、腰に刀を帯びた少女が言う。
俺に脇差を渡した少女だ。
そしてその脇差は姉さんによって改造──どこを改造したのかはまだ判らない──され、腰にある。
「君たちもこのクラスに?」
「うん。ああ、そう言えば自己紹介をしていなかったね」
黒髪青眼の、二挺の拳銃を腰に帯びた少女がそう言った。
「わたしは森美波、使うのはこの2つの拳銃だよ」
艶のある長い黒髪、深海の蒼を閉じ込めたかの様な瞳、それを彩る長い睫毛……例えるなら蝶の様な儚さを感じさせる白皙の美少女だ。
「二挺拳銃?」
「そう。これでも襲撃が得意なんだ。だから最初は機銃を使おうと思ったんだけど機銃はどうしても重たくて……」
「それで拳銃を二挺に?」
「そう。これなら軽くて扱いやすいしね。……ただ再装填がやりづらいけどね」
そう言って二挺の拳銃を取り出してそれを見せる。
銀色に輝く銃身を持つ拳銃と漆黒に輝く銃身を持つ拳銃だ。
どちらも自動拳銃だ。
「2つも武器を使えるなんて……ミナミは凄いよね」
「レイちゃんもこの間刀で硬そうな装甲を斬ってたし……レイちゃんも凄いと思うよ」
「あたし?……このカタナを使い始めたのはただ単にニッポンの文化に触れたいと思ったからなんだけどね」
それだけで銃弾を通さなかった巨人の装甲を斬れるものなのだろうか。
「日本の?君は日本の文化が好きなの?」
「うん!アメリカにいた時に色々勉強したんだ。ニッポンのアニメとかマンガ、文化についてもね」
そう目を輝かせて金髪赤眼の少女は言った。
「ああそうだ。あたしはレイラ、レイラ・アシュリー。アメリカ出身だよ。みんな愛称のレイで呼んでる」
右側で1つにまとめた金色の長髪、激しい紅炎を連想させる鮮やかな紅色の瞳、幼さの残る顔と雰囲気を持つ白肌の美少女だ。
「そういや君の刀は?あの時巨人に傷を付けてたけど……」
「ああこれ?高周波ブレードってものらしいけど……刃を振動させてズパズパ斬れるって千秋が言ってた」
「千秋……って、この間の白衣の子?」
「私のことか?」
ぬぅっと突然死角から白衣の少女──千秋が現れる。
彼女はこの間と変わらず制服の上に白衣を羽織っている。
「ぉわっ!?驚いた……」
「あれ、千秋。千秋はA組じゃなかったっけ?」
「ああ。しかしどうも暇でな、せっかくだからB組に来たというわけだ」
透き通る様な長い銀髪、新緑を思わせる瑞々しい緑の瞳、高く通った鼻筋に淡い桃色をした唇を持つ少女は白衣のポケットに片手を入れたままそう言った。
彼女の身長は165センチほどだろうか。女子にしては高い方だろう。
「おや、自己紹介がまだだったな。私は神崎千秋だ。まぁ、どうとでも呼んでくれ。私は基本的にこのパソコンを使って支援を行っている」
そう言って彼女は小脇に抱えているノートパソコンを俺たちに見せる。
その黒い表面には可愛らしい猫だったり髑髏のステッカーが貼られている。
「それで?どうやって?」
「相手の無線を傍受したり、電子ロックを解除したり……大抵の電子機器ならばどうとでもできる」
「へぇ、他にどんなことができるの?」
「例えば……これだな」
そう言って彼女は懐中から小指ほどのプラスチックの欠片を取り出す。
「それは?」
「私謹製のウイルスが入ったUSBメモリだ」
「謹製って……」
謹んで作る様なものではないだろう。
「これを挿した瞬間にその機械をフリーズさせる。なんなら君にやろう」
「いや……大丈夫」
貰ったとしても使う場面なんてないだろう。
使う場面があったとしてもそれを使う度胸はない。
「む、そうか。共に任務を行う際は君たちを全力でサポートしよう」
「ああ。期待してる」
「おや、そろそろ教室に戻らせてもらう。それではな」
彼女はくるりとそのまま背を向けて去っていった。
それからしばらくして白衣の女教師──東条仙が入ってくる。
「はーい、席に着いてね」
彼女はチョークを手に取ると自信の名前を黒板に書いた。
「あたしが1-Bの担任を務める……東条仙よ。教師生活3年目だけど担任を務めるのは今回が初めてなの。だから色々とあると思うけど、1年間よろしくね」
「はい、先生っ!何歳ですか?彼氏は?」
「いきなり質問?まぁいいわ。25歳。彼氏はいないわ。付き合う予定もない」
そう女子生徒の質問に淡白に答える。
そんな彼女の答えを聞いた男子生徒が口を開いた。
「でも、付き合う予定がないとか言ってるとA組の湖城先生みたいに彼氏のいないアラサーになりますよ?」
「ほう?私の話かな」
突然後ろの方の扉が開き、1人の先生が入ってくる。
黒のレディスーツに身を包んだ黒髪黒目の女教師だ。切れ長の涼やかな目と後ろで1つに結っている艶やかな髪、スリムでありそれでいて豊満な胸を持っている。
まるでモデルの様だが彼女の雰囲気は歴戦の軍人と言っても過言ではない。
鋭い刃物を眼前に突き付けられている時の様な緊張を感じる。
「指導だ。後で職員室までくる様に。反省文と君の恋愛観について5枚ほど思っていることについて書いてもらう。なお、書き終えるまで帰宅・帰寮はできないものと思え」
(5枚って……かなりキッツイだろうな、ご愁傷様)
『口は災いの元』と言うがまさにそれだ。
……しかし反省文5枚は些かならずやり過ぎな気がする。
「すまない、東条先生。話を続けてくれ」
「ああはい。……えっと、とりあえず不用意に『アラサー独り身』とかって発言しない様にね」
「……ハイ」
男子生徒は悄然とし、椅子に座っている。
彼がよっぽど学習能力のない人間でなければもう二度とアラサー独り身などと発言はしないだろう。
「さ、話を切り替えるわ。早速だけど一週間後に“科”と“部隊”についての希望を出して貰うわ。これが希望表ね」
(……科?部隊……?)
突然出てきた聞き慣れない単語に俺は思わず首を傾げた。
回されてきた用紙を見てもなにがなんだか判らない。
用紙には氏名・性別・学年・出席番号、そして『希望する科』について書く様に印刷されているだけだ。
「科が決まり次第、部隊を編成してもらうわ──っと、もうこんな時間ね。それじゃあ今日はここまでよ」
号鐘と同時に彼女は解散する様に言う。
俺も荷物をまとめて出ようとした時、机の上の1枚の紙が目に入った。
希望表だ。まだ記入されていない用紙は白い。
「科、か……一体なんのことだろう……」
「東条くん」
「おっと、なに?」
白紙の希望表を見て考えていると後ろから森さんが話しかけてきた。
彼女も手に希望表を持っている。
「東条くんはどこを希望するの?」
「いや、そもそも“科”ってなんのことか判らなくて……」
「ああそうか。高等部からだっけ、知らなくても無理はないか」
そう言って彼女は俺の真後ろにある背面黒板へと身体の向きを変える。
そしてチョークを手に取ると『戦闘科』、『急襲科』、『暗殺科』……と書いていく。
しかし達者な字と筆致なので書かれた内容よりもそちらに意識が行ってしまいそうだ。
「この学校が対テロ戦闘員を養成するための学校ってことは流石に知ってるよね」
「ああ。うん」
「どういった対テロ戦闘員を目指すか……それによって所属する科を選べる」
「……どういった対テロ戦闘員を目指すか?」
俺は彼女の言葉をそのまま問い返した。
「そう。前線に出て相手を倒す『戦闘科』、相手を襲撃・陽動する『急襲科』、狙撃や死角とかから暗殺する『暗殺科』……武器・装備の点検・補充や車輌・航空機・船舶とかで部隊を支援する『支援科』、無線機器を使ってサポートする『情報科』、負傷者の治療を担当する『医療科』……この6つの科があるから自分の目指す戦闘員になれそうな科を希望すればいい」
チョークで6つの科についての特徴を書いていく。
おかげで口頭だけの説明よりも遥かに理解しやすかった。
「6つも……」
「わたしは襲撃が得意だから『急襲科』希望、君はそうだね……『戦闘科』が向いてるんじゃないかな」
「戦闘科……は前線で敵を倒す科だね」
「そう。湖城先生が担当してる科で、厳しいらしいね。彼女、元空挺団教官らしいから」
教官……だからあの軍人の様な雰囲気をまとっているのか。
「それに多分戦いに向いてると思うよ、あの巨人に向かっていくだけの勇気もあったし」
「あれは……つい、身体が動いただけで……」
「その勇気は力になる。見て見ぬフリをしようと思えばできたはずだけれどしなかったのは君が優しいから。勇ましさも優しさも戦士には必要な素質だと思うよ」
美波はそう言った。
「そう、かな。それじゃあ俺は『戦闘科』を希望するよ」
「よし、それじゃあこの町を奪還するために頑張ろう」
対テロ戦闘員は武器の携行が許可されているとは聞くがまさか本当だとは……。
理屈は判っていても武器を携行して町を歩くというのはどうしても抵抗感がある。
「俺のクラスは……1-Bか」
昇降口に張り出されているクラス割りの表を見て、俺は自身のクラスへと向かう。
1-Bは4階にある様だ。
「おう、大和。おはよう」
教室に入ると早速直巳が少女たち数人と話をしている状態でそう挨拶をした。
同性・異性関係なく話しかけられる彼のコミュニケーション力は大したものだ。
「ああおはよう」
「あ、君はあの時の……」
少女たちの1人──黒髪の少女が俺を見てそう言った。
「君たちはあの時の……」
俺も少女たちと面識があった。
俺が紙越町に帰ってきて、巨人に襲われた時に俺を助けてくれた少女たちだ。
「あの時は助かったよ。ありがとう」
「いやいや、むしろあたしたちを助けてくれたじゃん。ありがとね」
金髪赤眼の、腰に刀を帯びた少女が言う。
俺に脇差を渡した少女だ。
そしてその脇差は姉さんによって改造──どこを改造したのかはまだ判らない──され、腰にある。
「君たちもこのクラスに?」
「うん。ああ、そう言えば自己紹介をしていなかったね」
黒髪青眼の、二挺の拳銃を腰に帯びた少女がそう言った。
「わたしは森美波、使うのはこの2つの拳銃だよ」
艶のある長い黒髪、深海の蒼を閉じ込めたかの様な瞳、それを彩る長い睫毛……例えるなら蝶の様な儚さを感じさせる白皙の美少女だ。
「二挺拳銃?」
「そう。これでも襲撃が得意なんだ。だから最初は機銃を使おうと思ったんだけど機銃はどうしても重たくて……」
「それで拳銃を二挺に?」
「そう。これなら軽くて扱いやすいしね。……ただ再装填がやりづらいけどね」
そう言って二挺の拳銃を取り出してそれを見せる。
銀色に輝く銃身を持つ拳銃と漆黒に輝く銃身を持つ拳銃だ。
どちらも自動拳銃だ。
「2つも武器を使えるなんて……ミナミは凄いよね」
「レイちゃんもこの間刀で硬そうな装甲を斬ってたし……レイちゃんも凄いと思うよ」
「あたし?……このカタナを使い始めたのはただ単にニッポンの文化に触れたいと思ったからなんだけどね」
それだけで銃弾を通さなかった巨人の装甲を斬れるものなのだろうか。
「日本の?君は日本の文化が好きなの?」
「うん!アメリカにいた時に色々勉強したんだ。ニッポンのアニメとかマンガ、文化についてもね」
そう目を輝かせて金髪赤眼の少女は言った。
「ああそうだ。あたしはレイラ、レイラ・アシュリー。アメリカ出身だよ。みんな愛称のレイで呼んでる」
右側で1つにまとめた金色の長髪、激しい紅炎を連想させる鮮やかな紅色の瞳、幼さの残る顔と雰囲気を持つ白肌の美少女だ。
「そういや君の刀は?あの時巨人に傷を付けてたけど……」
「ああこれ?高周波ブレードってものらしいけど……刃を振動させてズパズパ斬れるって千秋が言ってた」
「千秋……って、この間の白衣の子?」
「私のことか?」
ぬぅっと突然死角から白衣の少女──千秋が現れる。
彼女はこの間と変わらず制服の上に白衣を羽織っている。
「ぉわっ!?驚いた……」
「あれ、千秋。千秋はA組じゃなかったっけ?」
「ああ。しかしどうも暇でな、せっかくだからB組に来たというわけだ」
透き通る様な長い銀髪、新緑を思わせる瑞々しい緑の瞳、高く通った鼻筋に淡い桃色をした唇を持つ少女は白衣のポケットに片手を入れたままそう言った。
彼女の身長は165センチほどだろうか。女子にしては高い方だろう。
「おや、自己紹介がまだだったな。私は神崎千秋だ。まぁ、どうとでも呼んでくれ。私は基本的にこのパソコンを使って支援を行っている」
そう言って彼女は小脇に抱えているノートパソコンを俺たちに見せる。
その黒い表面には可愛らしい猫だったり髑髏のステッカーが貼られている。
「それで?どうやって?」
「相手の無線を傍受したり、電子ロックを解除したり……大抵の電子機器ならばどうとでもできる」
「へぇ、他にどんなことができるの?」
「例えば……これだな」
そう言って彼女は懐中から小指ほどのプラスチックの欠片を取り出す。
「それは?」
「私謹製のウイルスが入ったUSBメモリだ」
「謹製って……」
謹んで作る様なものではないだろう。
「これを挿した瞬間にその機械をフリーズさせる。なんなら君にやろう」
「いや……大丈夫」
貰ったとしても使う場面なんてないだろう。
使う場面があったとしてもそれを使う度胸はない。
「む、そうか。共に任務を行う際は君たちを全力でサポートしよう」
「ああ。期待してる」
「おや、そろそろ教室に戻らせてもらう。それではな」
彼女はくるりとそのまま背を向けて去っていった。
それからしばらくして白衣の女教師──東条仙が入ってくる。
「はーい、席に着いてね」
彼女はチョークを手に取ると自信の名前を黒板に書いた。
「あたしが1-Bの担任を務める……東条仙よ。教師生活3年目だけど担任を務めるのは今回が初めてなの。だから色々とあると思うけど、1年間よろしくね」
「はい、先生っ!何歳ですか?彼氏は?」
「いきなり質問?まぁいいわ。25歳。彼氏はいないわ。付き合う予定もない」
そう女子生徒の質問に淡白に答える。
そんな彼女の答えを聞いた男子生徒が口を開いた。
「でも、付き合う予定がないとか言ってるとA組の湖城先生みたいに彼氏のいないアラサーになりますよ?」
「ほう?私の話かな」
突然後ろの方の扉が開き、1人の先生が入ってくる。
黒のレディスーツに身を包んだ黒髪黒目の女教師だ。切れ長の涼やかな目と後ろで1つに結っている艶やかな髪、スリムでありそれでいて豊満な胸を持っている。
まるでモデルの様だが彼女の雰囲気は歴戦の軍人と言っても過言ではない。
鋭い刃物を眼前に突き付けられている時の様な緊張を感じる。
「指導だ。後で職員室までくる様に。反省文と君の恋愛観について5枚ほど思っていることについて書いてもらう。なお、書き終えるまで帰宅・帰寮はできないものと思え」
(5枚って……かなりキッツイだろうな、ご愁傷様)
『口は災いの元』と言うがまさにそれだ。
……しかし反省文5枚は些かならずやり過ぎな気がする。
「すまない、東条先生。話を続けてくれ」
「ああはい。……えっと、とりあえず不用意に『アラサー独り身』とかって発言しない様にね」
「……ハイ」
男子生徒は悄然とし、椅子に座っている。
彼がよっぽど学習能力のない人間でなければもう二度とアラサー独り身などと発言はしないだろう。
「さ、話を切り替えるわ。早速だけど一週間後に“科”と“部隊”についての希望を出して貰うわ。これが希望表ね」
(……科?部隊……?)
突然出てきた聞き慣れない単語に俺は思わず首を傾げた。
回されてきた用紙を見てもなにがなんだか判らない。
用紙には氏名・性別・学年・出席番号、そして『希望する科』について書く様に印刷されているだけだ。
「科が決まり次第、部隊を編成してもらうわ──っと、もうこんな時間ね。それじゃあ今日はここまでよ」
号鐘と同時に彼女は解散する様に言う。
俺も荷物をまとめて出ようとした時、机の上の1枚の紙が目に入った。
希望表だ。まだ記入されていない用紙は白い。
「科、か……一体なんのことだろう……」
「東条くん」
「おっと、なに?」
白紙の希望表を見て考えていると後ろから森さんが話しかけてきた。
彼女も手に希望表を持っている。
「東条くんはどこを希望するの?」
「いや、そもそも“科”ってなんのことか判らなくて……」
「ああそうか。高等部からだっけ、知らなくても無理はないか」
そう言って彼女は俺の真後ろにある背面黒板へと身体の向きを変える。
そしてチョークを手に取ると『戦闘科』、『急襲科』、『暗殺科』……と書いていく。
しかし達者な字と筆致なので書かれた内容よりもそちらに意識が行ってしまいそうだ。
「この学校が対テロ戦闘員を養成するための学校ってことは流石に知ってるよね」
「ああ。うん」
「どういった対テロ戦闘員を目指すか……それによって所属する科を選べる」
「……どういった対テロ戦闘員を目指すか?」
俺は彼女の言葉をそのまま問い返した。
「そう。前線に出て相手を倒す『戦闘科』、相手を襲撃・陽動する『急襲科』、狙撃や死角とかから暗殺する『暗殺科』……武器・装備の点検・補充や車輌・航空機・船舶とかで部隊を支援する『支援科』、無線機器を使ってサポートする『情報科』、負傷者の治療を担当する『医療科』……この6つの科があるから自分の目指す戦闘員になれそうな科を希望すればいい」
チョークで6つの科についての特徴を書いていく。
おかげで口頭だけの説明よりも遥かに理解しやすかった。
「6つも……」
「わたしは襲撃が得意だから『急襲科』希望、君はそうだね……『戦闘科』が向いてるんじゃないかな」
「戦闘科……は前線で敵を倒す科だね」
「そう。湖城先生が担当してる科で、厳しいらしいね。彼女、元空挺団教官らしいから」
教官……だからあの軍人の様な雰囲気をまとっているのか。
「それに多分戦いに向いてると思うよ、あの巨人に向かっていくだけの勇気もあったし」
「あれは……つい、身体が動いただけで……」
「その勇気は力になる。見て見ぬフリをしようと思えばできたはずだけれどしなかったのは君が優しいから。勇ましさも優しさも戦士には必要な素質だと思うよ」
美波はそう言った。
「そう、かな。それじゃあ俺は『戦闘科』を希望するよ」
「よし、それじゃあこの町を奪還するために頑張ろう」
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