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知りたくなかった事実
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遥香は勢いよく飛び起きた。
部屋の中はまだ暗く――、ぼんやりと浮かび上がる部屋の内装に、昨日城に戻って来たことを思い出す。
だが、そんなことはどうだっていい。
遥香は自分の腕を抱きしめて、荒い息をくり返した。
大きく見開いた目から、ぽろぽろと涙が零れ落ちていく。
(……そういう、ことだったの……)
零れ落ちた涙が、ぽたぽたと膝の上のシーツの上に染みを作った。
(弘貴さんが、わたしを好きになってくれたのは……、リリーが好きだったからだったんだ……)
ずっとわからなかった。
どうして、特別可愛くもない、平凡な自分を、弘貴みたいなハイスペックな人が好きになってくれたのだろう、と。
どうして出会ってすぐに、あれほどまでにアプローチされたのだろう、と。
わからなくて不安で――、でも、弘貴ならば信じられると思った。この人は自分を愛してくれているのだと、それだけは間違いないと――、信じていた。
(リリーのかわりだったんだ……)
遥香が愛されていたのではなかった。
弘貴は、リリーが好きだったのだ。
その事実にどうしようもないほど打ちのめされて、遥香はただ、声を殺して泣き続けるしかできなかった。
部屋の中はまだ暗く――、ぼんやりと浮かび上がる部屋の内装に、昨日城に戻って来たことを思い出す。
だが、そんなことはどうだっていい。
遥香は自分の腕を抱きしめて、荒い息をくり返した。
大きく見開いた目から、ぽろぽろと涙が零れ落ちていく。
(……そういう、ことだったの……)
零れ落ちた涙が、ぽたぽたと膝の上のシーツの上に染みを作った。
(弘貴さんが、わたしを好きになってくれたのは……、リリーが好きだったからだったんだ……)
ずっとわからなかった。
どうして、特別可愛くもない、平凡な自分を、弘貴みたいなハイスペックな人が好きになってくれたのだろう、と。
どうして出会ってすぐに、あれほどまでにアプローチされたのだろう、と。
わからなくて不安で――、でも、弘貴ならば信じられると思った。この人は自分を愛してくれているのだと、それだけは間違いないと――、信じていた。
(リリーのかわりだったんだ……)
遥香が愛されていたのではなかった。
弘貴は、リリーが好きだったのだ。
その事実にどうしようもないほど打ちのめされて、遥香はただ、声を殺して泣き続けるしかできなかった。
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