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告白
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遥香はゆっくりと目を開けた。
目を開くと天蓋の真っ白なレースが目に入り、その豪華な様子に、夢の中だとすぐにわかる。
舞踏会の次の日の朝だった。
遥香はベッドから降りると、窓のカーテンをいっぱいに開く。まだ朝が早いようで、窓の外からは真っ白な光が飛び込んできた。
遥香は窓から何気なく庭の噴水を見下ろして、息を呑んだ。
噴水のそばに、金髪の背の高い男がいた。遠目なので顔立ちははっきりと見えないが、おそらく、昨夜はじめて会った婚約者のクロードだろう。
心臓がドクリと大きな音を立てて、遥香は反射的にカーテンを閉ざしていた。
昨夜はじめて会った婚約者の印象は、正直言ってあまりよくない。
初対面でいきなり「間抜けな顔だ」と言われたし、それ以外にもいろいろ言われた。
遥香はベッドの端に腰かけてため息をつく。
昨夜、遥香は結局クロードとは踊らなかった。クロードがセザーヌ国の城に到着した時、舞踏会は終わりに差しかかっていたし、遥香も中庭から会場へは戻らなかったからだ。
遥香を連れて会場へ向かおうとするクロードに「人に酔った」と言い、自室に引き上げたのだ。だからあのあと、舞踏会がどうなったのかはわからない。
昨日のわずかな邂逅から、クロードとの婚約が憂鬱になった遥香であるが、これは政略結婚だ。遥香が何を言ったところで、どうにかなるものではないだろう。
もう一度ため息をついた時、コンコンと控えめに部屋の扉がノックされ、侍女が入ってきた。
「おはようございます、リリー様。お目覚めだったんですね。すぐ、カモミールティーを煎れますね」
「うん。ありがとう」
遥香は鷹揚に頷くと、侍女の手によって部屋のカーテンが開かれるのをぼんやりと見つめた。
クロードはいつまでこの国にいるのだろう。
(早く、国に帰ってくれればいいのに……)
そんなことを思ってはいけないとわかりつつも、遥香はそう思わずにはいられなかった。
☆ ☆ ☆
クロードが早く国に帰ればいい――、遥香のその願いは、残念ながら叶わなかった。
午後、父王に呼び出された遥香は、王の執務室にクロードの姿を見つけて、思わず顔をこわばらせた。
遥香が執務室に入ったとき、クロードは昨日とは別人かと思うほどにこやかに国王と談笑していた。昨日遥香に見せた意地の悪い表情は影も形もない。
遥香は父王にソファをすすめられ、すでに腰かけていたクロードと距離を取るように広いソファの端に腰を下ろした。クロードとの間は、おそらく三人は座れるほどあいている。
するとクロードがにこりと微笑んで遥香に言った。
「そんな端の方ではなく、どうぞこちらに。昨夜は体調がすぐれないとお部屋へ戻られましたが、よくなりましたか?」
遥香は笑いかけてきたクロードに驚いて目を丸くした。
(……誰、この人)
昨夜とは本当に別人だ。
びっくりして何も言えずにいる遥香の代わりに、父王が髭を撫でながら笑った。
「すまんね、クロード王子。リリーは姫の中でも特に内気で、人見知りの激しい子なのだよ。悪気はないんだ、許してやってくれ」
「いえ、許すなんて。こちらこそ、そうとは知らず、不躾に失礼いたしました」
「リリー、お前もいくらなんでも、そんなに端っこに座らずともよかろう。話もしにくい。もう少し寄りなさい」
「……はい」
遥香は父王に言われて渋々クロートドとの間を詰める。それでも人一人分の距離は確保しつつ、遥香はちらりとクロードを見上げた。
びっくりするくらい愛想がいい。
(昨日は……、機嫌が悪かったのかしら?)
内心首をひねりながら、遥香は父王に向きなおった。
「お父様、お話って?」
遥香が訊ねると、父王はにこにこと笑った。
父王は今年五十になるのだが、外見はもう少し若そうに見える。最近耳の後ろに少しばかり目立ちはじめた白髪を気にして、髪を撫でつけるのをやめたため、余計に若そうに見えるのかもしれないが、四十と言っても誰も疑問には思わないだろう。
母は、父王は若いころは相当な美男子だったと言っていた。今でも充分その名残があるが、遥香は父王の顔を見るたび、自分とはあまり似ていないなと思う。母が言うには目元が似ているらしいのだが、せっかくなら、もう少し父の面影を取って、美人に生まれたかった。
けれども、父王は、あまり似ていない遥香も、姉コレットも妹のアリスも、分け隔てなく愛情を注いでくれる。似ていないと疎まれることもなくて、遥香は幸せだと思う。
「リリー、クロード王子だが、しばらくこの国に滞在することになったのだ。婚約者として、王子が滞在なさる間は、お前が面倒を見て差し上げなさい」
「……え?」
思ってもみなかった言葉が父王の口から飛び出して、遥香は目を瞬いた。
「姫、どうぞよろしくお願いします」
遥香が固まっていると、クロードがにこやかに言って小さく頭を下げる。
父王は満足そうな顔をして、遥香の気持ちを置き去りにして話をすすめた。
「婚約も性急に進めてしまったが、せっかくのクロード王子のお申し出だ。この機に、お互いのことをよく知り合うといいだろう。クロード王子、少しおとなしすぎるきらいのある娘だが、どうぞよろしく頼む」
「いえ、こちらこそ、急なお願いにも関わらず快く受け入れていただき、ありがとうございます」
「いやいや、こちらこそ願ってもない」
「ありがとうございます。このあと、城の中を少し案内していただきたいのですが、姫をお借りしても?」
「もちろん」
遥香は一人置いてきぼりを食らったような感じで、二人の会話を茫然と聞いていた。何も了承していないのに、勝手に話が進んでいく。
遥香が居心地の悪さを感じて、執務室から退出したくなってきたとき、話に区切りのついたクロードが腰を上げた。
これで部屋へ戻れるとホッとしていると、父王が急かしたように言う。
「リリー、何をしている。王子をご案内して差し上げなさい」
そういえば、さきほど城の中を案内してほしいから姫を借りるとクロードが言っていたと思い出して、遥香はこっそりと嘆息した。
父王に軽く頭を下げてから、一足先に執務室から出て行ったクロードを追って、遥香は部屋を出る。
部屋の外で待っていたクロードは、遥香が部屋から出てくるなり、優雅に微笑んだ。
「姫、お手間を取らせて申し訳ございませんが、よろしくお願いいたします」
――本当に、昨夜の男と同一人物だろうか。
遥香は長身のクロードを見上げて、首を傾げるのだった。
目を開くと天蓋の真っ白なレースが目に入り、その豪華な様子に、夢の中だとすぐにわかる。
舞踏会の次の日の朝だった。
遥香はベッドから降りると、窓のカーテンをいっぱいに開く。まだ朝が早いようで、窓の外からは真っ白な光が飛び込んできた。
遥香は窓から何気なく庭の噴水を見下ろして、息を呑んだ。
噴水のそばに、金髪の背の高い男がいた。遠目なので顔立ちははっきりと見えないが、おそらく、昨夜はじめて会った婚約者のクロードだろう。
心臓がドクリと大きな音を立てて、遥香は反射的にカーテンを閉ざしていた。
昨夜はじめて会った婚約者の印象は、正直言ってあまりよくない。
初対面でいきなり「間抜けな顔だ」と言われたし、それ以外にもいろいろ言われた。
遥香はベッドの端に腰かけてため息をつく。
昨夜、遥香は結局クロードとは踊らなかった。クロードがセザーヌ国の城に到着した時、舞踏会は終わりに差しかかっていたし、遥香も中庭から会場へは戻らなかったからだ。
遥香を連れて会場へ向かおうとするクロードに「人に酔った」と言い、自室に引き上げたのだ。だからあのあと、舞踏会がどうなったのかはわからない。
昨日のわずかな邂逅から、クロードとの婚約が憂鬱になった遥香であるが、これは政略結婚だ。遥香が何を言ったところで、どうにかなるものではないだろう。
もう一度ため息をついた時、コンコンと控えめに部屋の扉がノックされ、侍女が入ってきた。
「おはようございます、リリー様。お目覚めだったんですね。すぐ、カモミールティーを煎れますね」
「うん。ありがとう」
遥香は鷹揚に頷くと、侍女の手によって部屋のカーテンが開かれるのをぼんやりと見つめた。
クロードはいつまでこの国にいるのだろう。
(早く、国に帰ってくれればいいのに……)
そんなことを思ってはいけないとわかりつつも、遥香はそう思わずにはいられなかった。
☆ ☆ ☆
クロードが早く国に帰ればいい――、遥香のその願いは、残念ながら叶わなかった。
午後、父王に呼び出された遥香は、王の執務室にクロードの姿を見つけて、思わず顔をこわばらせた。
遥香が執務室に入ったとき、クロードは昨日とは別人かと思うほどにこやかに国王と談笑していた。昨日遥香に見せた意地の悪い表情は影も形もない。
遥香は父王にソファをすすめられ、すでに腰かけていたクロードと距離を取るように広いソファの端に腰を下ろした。クロードとの間は、おそらく三人は座れるほどあいている。
するとクロードがにこりと微笑んで遥香に言った。
「そんな端の方ではなく、どうぞこちらに。昨夜は体調がすぐれないとお部屋へ戻られましたが、よくなりましたか?」
遥香は笑いかけてきたクロードに驚いて目を丸くした。
(……誰、この人)
昨夜とは本当に別人だ。
びっくりして何も言えずにいる遥香の代わりに、父王が髭を撫でながら笑った。
「すまんね、クロード王子。リリーは姫の中でも特に内気で、人見知りの激しい子なのだよ。悪気はないんだ、許してやってくれ」
「いえ、許すなんて。こちらこそ、そうとは知らず、不躾に失礼いたしました」
「リリー、お前もいくらなんでも、そんなに端っこに座らずともよかろう。話もしにくい。もう少し寄りなさい」
「……はい」
遥香は父王に言われて渋々クロートドとの間を詰める。それでも人一人分の距離は確保しつつ、遥香はちらりとクロードを見上げた。
びっくりするくらい愛想がいい。
(昨日は……、機嫌が悪かったのかしら?)
内心首をひねりながら、遥香は父王に向きなおった。
「お父様、お話って?」
遥香が訊ねると、父王はにこにこと笑った。
父王は今年五十になるのだが、外見はもう少し若そうに見える。最近耳の後ろに少しばかり目立ちはじめた白髪を気にして、髪を撫でつけるのをやめたため、余計に若そうに見えるのかもしれないが、四十と言っても誰も疑問には思わないだろう。
母は、父王は若いころは相当な美男子だったと言っていた。今でも充分その名残があるが、遥香は父王の顔を見るたび、自分とはあまり似ていないなと思う。母が言うには目元が似ているらしいのだが、せっかくなら、もう少し父の面影を取って、美人に生まれたかった。
けれども、父王は、あまり似ていない遥香も、姉コレットも妹のアリスも、分け隔てなく愛情を注いでくれる。似ていないと疎まれることもなくて、遥香は幸せだと思う。
「リリー、クロード王子だが、しばらくこの国に滞在することになったのだ。婚約者として、王子が滞在なさる間は、お前が面倒を見て差し上げなさい」
「……え?」
思ってもみなかった言葉が父王の口から飛び出して、遥香は目を瞬いた。
「姫、どうぞよろしくお願いします」
遥香が固まっていると、クロードがにこやかに言って小さく頭を下げる。
父王は満足そうな顔をして、遥香の気持ちを置き去りにして話をすすめた。
「婚約も性急に進めてしまったが、せっかくのクロード王子のお申し出だ。この機に、お互いのことをよく知り合うといいだろう。クロード王子、少しおとなしすぎるきらいのある娘だが、どうぞよろしく頼む」
「いえ、こちらこそ、急なお願いにも関わらず快く受け入れていただき、ありがとうございます」
「いやいや、こちらこそ願ってもない」
「ありがとうございます。このあと、城の中を少し案内していただきたいのですが、姫をお借りしても?」
「もちろん」
遥香は一人置いてきぼりを食らったような感じで、二人の会話を茫然と聞いていた。何も了承していないのに、勝手に話が進んでいく。
遥香が居心地の悪さを感じて、執務室から退出したくなってきたとき、話に区切りのついたクロードが腰を上げた。
これで部屋へ戻れるとホッとしていると、父王が急かしたように言う。
「リリー、何をしている。王子をご案内して差し上げなさい」
そういえば、さきほど城の中を案内してほしいから姫を借りるとクロードが言っていたと思い出して、遥香はこっそりと嘆息した。
父王に軽く頭を下げてから、一足先に執務室から出て行ったクロードを追って、遥香は部屋を出る。
部屋の外で待っていたクロードは、遥香が部屋から出てくるなり、優雅に微笑んだ。
「姫、お手間を取らせて申し訳ございませんが、よろしくお願いいたします」
――本当に、昨夜の男と同一人物だろうか。
遥香は長身のクロードを見上げて、首を傾げるのだった。
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