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消えた二人目の遺体
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キャリーが教会のあたりをうろうろしていたという目撃情報は、セルジオ博士とフリップによってもたらされたらしい。
彼らは闇の宗教の調査で教会の近くにある小さな石碑を見に行っていたという。その帰り道、キャリーが教会のあたりを歩き回っているのを見つけて声をかけたそうだ。しかしキャリーは、博士たちに気がつくと、まるで逃げるようにどこかへ走り去ったという。
「また、キャリー嬢か」
「はい。私も博士たちの証言どおり、ドーリー伯爵令嬢が走り去ったというあたりを捜索してみましたが、彼女は見つかりませんでした。もちろん、ドロシーの遺体もいまだ見つかっていません」
レオナードは息を吐きだした。
「キャリー嬢が遺体を持ちだしたとは考えにくいが、二回目となると、彼女にも何らかのかかわりがあるような気すらしてきますね。まあ、そんなことをしても彼女には何の利もないでしょうけど」
どちらにせよ、キャリーを早く見つけないことにははじまらない。レオナードは警部に、オリバーにはこちらから報告しておきますと言って立ち上がった。
「何かわかったら教えてください。こちらも思いつくことがあったらご連絡します。――教授、私たちは邸に戻りますが、あなたがたはどうされますか?」
「わしたちはもう少しこのあたりを調べて帰りますよ」
研究熱心な教授がそう言うので、エリザベスたちは駐屯所を出たところで彼らと別れた。
馬車を止めてある方へと歩きながら、エリザベスはレオナードを見上げた。
「なんか、大変なことになったわね」
「そうだね。キャリー嬢が教会の周りをうろうろしているのも解せないけど」
「お祈りにでも行っていたんじゃない?」
「それはない。ミサにだって行かないような娘なのに、わざわざ一人で、無人の教会に行くはずがないからね」
「じゃあ、何の用事だったのかしら……」
「それがわからないから困っている。このままだと不名誉な嫌疑までかけられるぞ。そうなれば彼女の婚約者ということでオリバーの名前にも傷がつく。まったく人騒がせなお嬢さんだよ」
「でもどうして――」
エリザベスは、つながれているレオナードの手をきゅっと握りしめた。
「どうして、キャリーさんは戻ってこないのかしら。わたしだったら、知らない土地に一人で放りだされたら心細いわ」
もしも今ここで、レオナードにおいて帰られたら、エリザベスは茫然としてしまうだろう。どうしていいのかもわからず、泣いてしまうかもしれない。
不安に思っていると、レオナードはふっと笑った。
「安心しろ。君には俺がついている。君がもし出て行ったとしても、すぐに見つけて連れ戻すから大丈夫だ」
エリザベスはその自信満々な物言いに、不覚にもドキッとしてしまった。
そして、それを気取られるのが恥ずかしかったので、「わたしは、一人で邸を飛び出したりなんか、しないもの」と強がったのだった。
彼らは闇の宗教の調査で教会の近くにある小さな石碑を見に行っていたという。その帰り道、キャリーが教会のあたりを歩き回っているのを見つけて声をかけたそうだ。しかしキャリーは、博士たちに気がつくと、まるで逃げるようにどこかへ走り去ったという。
「また、キャリー嬢か」
「はい。私も博士たちの証言どおり、ドーリー伯爵令嬢が走り去ったというあたりを捜索してみましたが、彼女は見つかりませんでした。もちろん、ドロシーの遺体もいまだ見つかっていません」
レオナードは息を吐きだした。
「キャリー嬢が遺体を持ちだしたとは考えにくいが、二回目となると、彼女にも何らかのかかわりがあるような気すらしてきますね。まあ、そんなことをしても彼女には何の利もないでしょうけど」
どちらにせよ、キャリーを早く見つけないことにははじまらない。レオナードは警部に、オリバーにはこちらから報告しておきますと言って立ち上がった。
「何かわかったら教えてください。こちらも思いつくことがあったらご連絡します。――教授、私たちは邸に戻りますが、あなたがたはどうされますか?」
「わしたちはもう少しこのあたりを調べて帰りますよ」
研究熱心な教授がそう言うので、エリザベスたちは駐屯所を出たところで彼らと別れた。
馬車を止めてある方へと歩きながら、エリザベスはレオナードを見上げた。
「なんか、大変なことになったわね」
「そうだね。キャリー嬢が教会の周りをうろうろしているのも解せないけど」
「お祈りにでも行っていたんじゃない?」
「それはない。ミサにだって行かないような娘なのに、わざわざ一人で、無人の教会に行くはずがないからね」
「じゃあ、何の用事だったのかしら……」
「それがわからないから困っている。このままだと不名誉な嫌疑までかけられるぞ。そうなれば彼女の婚約者ということでオリバーの名前にも傷がつく。まったく人騒がせなお嬢さんだよ」
「でもどうして――」
エリザベスは、つながれているレオナードの手をきゅっと握りしめた。
「どうして、キャリーさんは戻ってこないのかしら。わたしだったら、知らない土地に一人で放りだされたら心細いわ」
もしも今ここで、レオナードにおいて帰られたら、エリザベスは茫然としてしまうだろう。どうしていいのかもわからず、泣いてしまうかもしれない。
不安に思っていると、レオナードはふっと笑った。
「安心しろ。君には俺がついている。君がもし出て行ったとしても、すぐに見つけて連れ戻すから大丈夫だ」
エリザベスはその自信満々な物言いに、不覚にもドキッとしてしまった。
そして、それを気取られるのが恥ずかしかったので、「わたしは、一人で邸を飛び出したりなんか、しないもの」と強がったのだった。
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