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消えたキャリー

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 私がどうやら普通の人でないらしいと気がついたのは、仕事でアッピラード地方に行って、さらに数年がたったころだった。

 私はアッピラード地方で出会った独特の宗教に興味を覚え、数年かけてその宗教について調べていた。

 特に名前のないその宗教のことを、私は『闇の宗教』と名付けようと思う。

 その闇の宗教を調べるにあたって私を一番てこずらせたのは、古代ラグナ文字だった。

 闇の宗教の経典は古代ラグナ文字で書かれていて、現代の言葉に翻訳されたものは一つもなかった。

 仕方なく、私は古代ラグナ文字で書かれた経典の翻訳をはじめた。

 そう――、これに数年を要したのだ。

 私が経典のすべてを翻訳し、闇の宗教についておおよその理解を得ることができたのは、私が四十になったときだった――
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