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第一部 悪役令嬢未満、お兄様と結婚します!
墓地の妖精 5
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……熱い‼
灼熱に全身が包まれる激痛が走る。
「レベルが低いと言うことを聞いてくれません」って注意書きがあったサラマンダーだけど、わたしごと燃やせという雑なお願いは聞いてくれたらしい。
まあ、もしかしたらお願いを聞いてくれたのではなくて、本能であたりを燃やし尽くそうとしただけなのかもしれないけどね。
わずか六秒で消えた炎だが、アンデットを燃やし尽くすには充分だった。
幸か不幸か、アンデットに飲まれかけていたわたしは、わたしを包んでいたアンデットが壁になって、全身が燃やされるということはなかった。
でも、しっかり火傷は負ったみたいで、炎が消え去るとほぼ同時にその場に力なく倒れ込む。
「マリア‼」
お兄様が悲鳴のような声を上げてわたしに駆け寄って来た。
お兄様のそんな声、はじめて聞いたような――いや、ずっと昔に、同じような声を聞いたことが、あるような。
「マリアッ」
アレクサンダー様まで、そんな悲痛な声を上げて、変なの。
意識が朦朧としているわたしは、目の前にキラキラとした粉が舞っていることに気が付いた。
サラマンダーの炎でわたしの服は結構燃えちゃってて、どうやらポケットに入れていたハイライドの鱗粉を入れていた巾着袋も、燃えて破れてしまったみたい。
鱗粉が燃えていないのは、さすが妖精の翅の鱗粉ってところかしら。
……ああ、それにしても、綺麗ね。
きらきらと星屑のように降り注ぐ金粉に、わたしは震える手を何とか持ち上げて指をさす。
「アレク、サンダーさ、ま……、妖精の、鱗粉……だと思います……。集めて……」
風魔法を使えば、簡単に集められるはずだ。
予定とは違うが、アレクサンダー様に無事にハイライドの鱗粉を渡せたことにホッとする。
そう、ホッと、したからだろう。
急速に体が重たくなって、持ち上げていた腕ががくんと力なく落ちる。
「マリア! マリア‼」
お兄様の叫び声がだんだん遠くなって――
「マリア――‼」
わたしは、意識を失った。
灼熱に全身が包まれる激痛が走る。
「レベルが低いと言うことを聞いてくれません」って注意書きがあったサラマンダーだけど、わたしごと燃やせという雑なお願いは聞いてくれたらしい。
まあ、もしかしたらお願いを聞いてくれたのではなくて、本能であたりを燃やし尽くそうとしただけなのかもしれないけどね。
わずか六秒で消えた炎だが、アンデットを燃やし尽くすには充分だった。
幸か不幸か、アンデットに飲まれかけていたわたしは、わたしを包んでいたアンデットが壁になって、全身が燃やされるということはなかった。
でも、しっかり火傷は負ったみたいで、炎が消え去るとほぼ同時にその場に力なく倒れ込む。
「マリア‼」
お兄様が悲鳴のような声を上げてわたしに駆け寄って来た。
お兄様のそんな声、はじめて聞いたような――いや、ずっと昔に、同じような声を聞いたことが、あるような。
「マリアッ」
アレクサンダー様まで、そんな悲痛な声を上げて、変なの。
意識が朦朧としているわたしは、目の前にキラキラとした粉が舞っていることに気が付いた。
サラマンダーの炎でわたしの服は結構燃えちゃってて、どうやらポケットに入れていたハイライドの鱗粉を入れていた巾着袋も、燃えて破れてしまったみたい。
鱗粉が燃えていないのは、さすが妖精の翅の鱗粉ってところかしら。
……ああ、それにしても、綺麗ね。
きらきらと星屑のように降り注ぐ金粉に、わたしは震える手を何とか持ち上げて指をさす。
「アレク、サンダーさ、ま……、妖精の、鱗粉……だと思います……。集めて……」
風魔法を使えば、簡単に集められるはずだ。
予定とは違うが、アレクサンダー様に無事にハイライドの鱗粉を渡せたことにホッとする。
そう、ホッと、したからだろう。
急速に体が重たくなって、持ち上げていた腕ががくんと力なく落ちる。
「マリア! マリア‼」
お兄様の叫び声がだんだん遠くなって――
「マリア――‼」
わたしは、意識を失った。
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